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2012.01.01

ボードゲーム「世界の七不思議」日本語版

 ボードゲーム「世界の七不思議」(参照)は、2009年の「ドミニオン」(参照)に続き、昨年「ドイツ年間ゲーム大賞 エキスパートゲーム大賞」「ドイツゲーム賞 大賞」「アラカルトカードゲーム賞 大賞」の三大賞を獲得した。評判に押されて日本語版も出たのでやってみた。なるほどの面白さであった。

cover
「世界の七不思議」
日本語版
 「世界の七不思議」は「ドミニオン」同様、カードが主体なので、ボードゲームと呼ぶのは違うようにも思うが、広義にドイツボードゲームとしてもよいのではないか。やってみた感触はトレーディングカードっぽいドミニオンより、純然たるボードゲームである「エンデバー」(参照)に近い。
 「エンデバー」が出たついでに言うと、このゲームは大航海時代の世界で、「世界の七不思議」は古代ヘレニズム世界である。何回かやってみると、歴史的な象徴の暗喩もよく練られていることがわかって楽しい。
 ボードゲームには詳しくはないのであまり比較はできないが、「世界の七不思議」の資源産出・交易・建設コストという基本の考え方は、「カタンの開拓者たち」(参照)に近く、カタンの建設コスト表が各カード化したような印象もあった。
 ゲームは「世界の七不思議」というだけあって、7名までプレーできる。各プレーヤーは「七不思議」の一つの「不思議」、つまり驚異の建造物に代表される都市国家を受け持つ。具体的には、ギザのピラミッド、ロードスの巨人像、アレクサンドリアの灯台、エフィソスのアルテミス神殿、バビロンの空中庭園、オリンピアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟である。
 日本語では「不思議」と訳されているが、Wondersは「驚異」を覚えるような対象ということでもあり、古代へレジニズム世界の名所旧跡的な意味合いもあった。ちなみに、ギザとエフィソス、オリンピア博物館は実際に行ったことがあるので、親近感も持った。
 ゲームは各人七枚のカードを持ち、一枚ずつ切る。これを三期に分けて使いこなす。一期に六枚のカードを切って(最後の一枚は切らない)、各古代都市の富や建造物、軍事力を通して得点を得る(ピラミッドなどを各不思議を構築しということではない)。
 三期の各期はそれぞれ都市の発展段階を比喩している。特に一期目は、自己都市と隣接都市の産出資源を理解していく必要がある。
 一枚カードを切ったら手持ちの残りのカードは隣の人に渡す。つまり、手札はプレーヤーを流れていく。このことによって相手の情報を読み取ることが可能になる。最初は自分の手札から最適なカードを切って、しこしこと自己没頭型ゲームのようにも思えるが、いや、全然違う。
 面白いのは、局面毎の最適戦略を採っていくと自滅することだ。ゲームの進展シナリオの全体を構想する能力が求められる。また特定の戦法を採っていくのも自滅しやすい。最終的な得点では、「科学」「ギルド」というインフレーションの仕組みが物を言うが、それでも全体的な得点のバランスを志向したほうが強いようだ。
 反面、ゲームに慣れているプレーヤーだと、第三期あたりで混戦というか、いったい誰が勝っているんだ、誰が誰を裏切っているのだというのが、非常に微妙になってくる。基本的に隣接する都市との交易が重要になるが、隣接しない都市で資源や継続カードが止められていることもある。
 いやはや、よく練られたゲームだと言えるが、欠点としては、ゲーム終了で得点計算するまで、誰が勝者かわからないことが多い。しかし、分かってみると「あのときに、糞、してやられたんだ」とむらむらとくる後悔が味わい深い(もちろん、けけけと後から勝利感を味わうこともある)。
 ゲームでカードを切る機会は基本的18回しかなく、プレーヤー毎に順繰りということでもないので、慣れてくるとゲームはさくさくと進む。標準プレー時間30分というのも頷ける。が、実際は難しい局面があり、長考場面が出てくるので30分はちょっと無理かもしれない。それでも、「挽回できないのいつ終わるんだこのゲーム」みたいなぐったり感はないので、つい続けて二回戦くらいにはなる。
 ゲームのルールだが、一度覚えてしまえば、シンボルの仕組みは簡単なので小学生でもプレーできる。が、ルールブックから理解しようとすると極めて難解。
 カタンやドミニオン、エンデバーなどをやっていると、なるほどという類推は効くが、それでも難解。もう少しわかりやすいルールブックに書き換えられないかとも思ったが、具体的に考えてみると思いつかない。最初は誰か知っている人に教わったほうがいいのではないか。
 ゲームは無理なく七人でできるが、四人くらいだとカードの流れと読みが複雑になり一番面白いように思う。二人だけの対戦型のルールもある。
 
 

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