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2012.01.21

民主党政権、終わりの風景

 「民主党政権はもう終わりだ」と息荒立てて言うつもりはまったくない。普通に終わっていく風景を、日本の心である、わびさびの情感をもって見守っていくばかりである。見渡せば花も紅葉もなかりけり民主党政権秋の夕暮れ、また、駒とめて袖うちはらふ陰もなし民主党政権雪の夕暮れ。
 昨日、読みようによっては奇妙な報道があった。産経新聞「行政刷新会議廃止へ 新組織設立に向け次期国会で法案提出」(参照)である。表題を見ると、行政刷新会議が廃止されるということのようだ。鳴り物入りのパフォーマンスだった事業仕分けも廃止にされるらしい。


 政府は19日、平成21年の政権交代以降、民主党政権の“金看板”として事業仕分けなどを実施してきた「行政刷新会議」を廃止する方針を固めた。消費税増税に向け、公務員人件費の削減や国有資産の売却など同会議が取り扱わなかったテーマを中心に、行政改革全般に取り組むため組織の見直しが必要と判断した。増税議論の本格化を前に「行政構造改革実行本部」(仮称)を立ち上げ、政府自らが「身を切る」姿勢をアピールする。
 実行本部は首相をトップに関係閣僚らで構成。行政刷新会議を「発展的に解消」(民主党関係者)し、財源捻出効果の少なかった事業仕分けも廃止する。


 行政改革担当相を兼務する岡田克也副総理は会議後の記者会見で「特別会計と独法でできることは精いっぱいやった」と述べた。
 行政刷新会議はこれまで3回事業仕分けを実施したが、昨年12月に民主党内に同調査会が設置されたことで議論の中心が党に移り、存在意義が問われていた。

 ほんと? いやいや、産経新聞一流のフカシ記事でしょう。行政刷新会議ではなく、「行政刷新会議」と括弧を付けているあたりが、格好付けといった洒落である。
 実際はどうかというと、17日付けFNN「民主党の金看板「事業仕分け」が廃止との一部報道 藤村官房長官「事実に反する」」(参照)は岡田副総理による否定の声を伝えていた。

 行政刷新を担当している岡田副総理は午後3時すぎ、「行政刷新会議を廃止するということは、全く考えておりません」と述べた。

 洒落の解説をするのも無粋だが、産経新聞でフカシて産経系のフジの報道でオチを付けたということだろう。
 とはいえ、民主党マニフェストの看板でもあった「行政刷新会議」と「事業仕分け」が実質、ナンセンスに終わったことは否みがたい。

 政権交代の推進力となったマニフェストだが、その中で金看板だったものが「行政刷新会議」、そして「事業仕分け」だった。
 動画投稿サイト「YouTube」にアップロードされている野田首相の映像が、今、大きな話題になっている。

 

 

 この映像について、自民党の谷垣総裁は、「YouTubeを拝見しておりましたら、野田さんが2年半前の(総)選挙で演説しておられました。『マニフェストに書いてあることはやるんだ』と。『書いていないことはやらないんだ』と。それはいったい、どう国民に説明されるんだと」と述べた。
 話題となっている映像は、野田首相が「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは、命懸けで実行する。書いてないことは、やらないんです」と演説しているもの。
 この映像での発言に、みんなの党の渡辺代表も、「今、マニフェストに書いていないことを、平気でやろうとしています。増税法案であります。何寝ぼけたことを言っているんだと言いたいですね」と、17日に批判していた。
 こうした中、政府は20日の閣議で、現在102ある独立行政法人を統廃合するなどして、およそ4割の65法人に減らすなどとした基本方針を決定した。
 しかし、廃止とするのは、大阪の万博公園の管理を行っている日本万国博覧会記念機構など7法人だけ。

 数の上では統廃合が見えないわけではないが、民主党マニフェストにあった「独法・特会予算などから約6・1兆円の財源を捻出」という点で効果が見えなかったことは、岡田副総理も認めざるを得なかった。20日付け毎日新聞「行政刷新会議:歳出削減額示さず 独法、特会改革案了承」(参照)より。

 政府は19日の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)で、特別会計を従来の17から11に減らし、独立行政法人は102から65以下に約4割削減する案を了承した。24日召集の通常国会に関連法案を提出する。ただ、肝心の歳出削減効果は「計るのが難しい」(岡田克也副総理兼行政改革担当相)と示さずじまい。

 ざっくり言って、民主党マニフェストは予想通り(参照)無残な失敗に終わった。
 では、どうするかというあたりが民主党政権終わりの風景の情緒である。
 とっかかりは、「行政改革調査会」である。
 これ、なんだかわかりますか? 私にはわからない。民主党マニフェストにも無かった変な物。わかるのは、これができたのは昨年12月13日だったということ。1か月ほど前にこさえた物。これに政調役員会で当時の岡田克也前幹事長を長に据えた。思えばこの時点で、改造内閣、つ・ま・り、岡田政権の骨格が決められていた。
 改造内閣では、岡田副総理が「行政改革相」と「行政刷新相」を兼務することになった。さて、この二つの違いは何? 15日付け読売新聞記事「行革相と刷新相、政府内からも「違い分からず」」(参照)がこの疑問を扱っていた。

 二つのポストが併存するのは初めてだ。いずれも行政の見直しを担当するため、政府内からも「違いが分からない」との指摘が出ている。
 藤村官房長官は13日の記者会見で、「行政刷新相は内閣府の行政刷新会議の運営を通じて行政刷新を行う。行政改革相は内閣官房で行政の抜本的な見直しを行う」と述べ、二つのポストの違いは所管する組織の違いだと説明した。
 野田首相は消費税増税に向けた行革の徹底を最重要課題に位置付けており、「金看板の行政刷新をおろすわけにもいかず、併存させたのではないか」と見る向きもある。

 読売新聞の読みでは、民主党マニフェストにある「行政刷新会議」の看板を下ろさないための修辞ではないかということだった。
 確かにその流れで事態が進んでいるように見える。テレビ東京「行革強化へ新組織 刷新会議と総務省部局を統合」(参照)より。

 行政改革に取り組む体制を強化するため、政府に新組織を創設する方向で、民主党が調整していることがテレビ東京の取材で判明しました。政府内で政策評価などを行う総務省の行政評価局と従来の行政刷新会議を統合します。民主党関係者によりますと、党の行政改革調査会の会長だった岡田副総理の指示で、政府内で政策評価などを行う総務省の行政評価局と従来の行政刷新会議を統合し内閣府に新組織を置く案が、民主党で検討されているということです。総務省の一部局に留まっていた行政評価や監視の権限を強い勧告権を持つ内閣府に格上げすることで、政府全体で行革に取り組む体制を整える方針です。消費税の増税のイメージが先行する野田政権が無駄削減に取り組む姿勢を強調する狙いがあり、早ければ2月中の関連法案の提出を目指します。

 テレビ東京のトバシの可能性はあるが、これまでの流れからは「行政改革調査会の会長だった岡田副総理の指示で、政府内で政策評価などを行う総務省の行政評価局と従来の行政刷新会議を統合し内閣府に新組織を置く」ということになりそうだ。となれば、冒頭の産経記事はフカシとも言えず、行政刷新会議と事業仕分けはこれで名実ともに終了になる。
 さよなら行政刷新会議だが、これは政権交代後、閣議決定で設置されたものだった。法的な裏付けとしてこれを含む政治主導確立法案が鳩山内閣で提出されたが、鳩山氏の奮迅が第22回参院選挙の結果に結びつき、成立見込みがなくなり、昨年5月の衆議院本会議で撤回された。この時点で行政刷新会議はもうどうしようもない代物になっていた。
 
 

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コメント

この期に及んで、消費税の増税分は、全額社会保障費にまわすなんて、できもしないことをまた持ち出すところが、民主党は、見苦しいし、聞き苦しい。

ほんとうに、この「ウソツキ集団」は、ウソをいい続けるのをやめられないものらしい。

投稿: enneagram | 2012.01.22 09:33

消費税は関税の役割を果たします。なぜなら輸出品にはかからず、輸入した商品にはかかるからです。つまり自由貿易を目指す方向であれば消費税は税のありかたとして悪い。
大方の日本人は消費税は増税するのだろうと思っていると思いますし、特に輸出大企業の多い経団連は期待していると思いますが、最終的には国民の反発が強いですねで終わるだろうと思っています。メディアの世論操作は信じられない程、巧みなので本質的な事を理解してないと振り回される恐ろしい代物だと思っています。
話は変わりますが、「日本経済のウソ」で書かれていましたが、日銀の国際保有残高は長期債だけで60兆円以上です。金利が4%になったら既存債権暴落で日銀が破綻するのではないでしょうか。
ご存知とは思いますが、日銀はジャスダックに上場している民間銀行で政府が51%の株式を保有していますが、あくまで株主としての責任しかありません。
通常、日本銀行券は日本国債を担保に発行されますが、あくまで日本銀行券は日本の通貨であるという定義はないのにもかかわらず我々は一民間銀行の通貨を国の通貨だと思っている訳です。つまり日本はインフレや経済成長が起これば即破綻という状況でグーグルマンのリフレ政策どころではないと思います。

投稿: ヒロ | 2012.01.28 10:41

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