ボードゲーム「カタンの開拓者たち」日本語スタンダード版
いまさら「カタンの開拓者たち」(参照)でもないでしょうという人も多いだろう。
カタンの開拓者たち スタンダード版 |
率直に言うけど、製品がどういうものか了解している人なら、「カタンの開拓者 携帯キャリーケース版」(参照)や「ポータブル カタン」(参照)でもいいが、初めて「カタンの開拓者たち」をするというなら、この日本語スタンダード版がよいのではないか。それなりにゲームボードも厚く広いし、駒もカードもそれなりに使える。むしろ今の自分としては、別の言葉でもいいからもっと上等な作りのがほしい。
「カタンの開拓者たち」はボードゲームの世界に革命的な変化をもたらしたともいえるほどの定番ボードゲームで、1995年にドイツの「年間ゲーム大賞」と「ドイツゲーム大賞」を受賞している。現代古典とも言えるボードゲームだし、現在でも当然、面白い。時間はプレーヤーが強くなるにつれ長くなる傾向はありそうだ。一時間では終わらないかな。
面白いボードゲームだし、入門的なボードゲームでもあるのだけど、初めてプレーする人にとっては、最初は、とっつきにくいかもしれない。ルールは覚えてしまえば難しくはないが、説明書だけで理解するのは難しいだろう。
日本版販売元のサイトをみると小学生向けの解説書(参照PDF)もあったが、わかりやすいという印象は受けない。製品添付の説明書(参照PDF)も公開されているが、どうだろうか。やはり、最初は知っている人に教えてもらうほうがいいだろう。
基本のゲームは、六角形のタイルを19枚円陣(ハニカム)に敷き詰めて形成されたカタン島へプレーヤーが開拓者となって入植していくというものである。土地よって資源の産出が、木材・煉瓦・麦・鉄鉱石、羊と異なり、この産出と交易をもとにコストを支払って都市を線上に発展させていく。発展状況に応じて加点され得点で争う。
資源の産出は二つのサイコロの数で決まることから、よく出る目の確率の土地が肥沃ということなる。だが、初期時点で肥沃な土地は独占できない。そこで、貧相な土地や、資源の偏りなどから、戦略と交渉力が問われることになる。また最もよく出る目は盗賊の対象にもなるので、肥沃な土地は抑制されやすい。
やってみると、会社経営のように経営ゲーム的にも見えるし、コストと投資の関係が自然に問われるようになる。こういうのきちんとやれば、生産力やコストを無視した理想論とかに振り回されないような市民の教育にもなるのではないか。自由貿易が双方の利益になるときに発生することも、楽しく学べる。小学校の授業で取り入れてるのもお薦めしたい。
「カタンの開拓者たち」には、英語表示だがiPad版・iPhone版共通で使える電子ゲームもある。ちょっとアメコミぽい感じの、プレーヤーのキャラ絵は好みが分かれるだろう。操作性は悪くない。プレーヤーのキャラはターン毎に「俺の勝ちだぜ」みたいなぶつぶつつぶやく機能もある。現実のボードゲームのプレーも、こんなふうなコミュニケーションも楽しいものなんだが、iPadでやっているとうるさくも感じられる。それでも、iPad対戦とかやってみると、ルールの確認にもなるし、戦略の検証やチャンスのシミュレーションにもなる。
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コメント
finalventさん、こんばんは、
いまからだと一昨年、ポータブル版にはまりました。小学生の子どもも、違和感なくプレーできました。比較優位の概念を理解できるように思いました。
投稿: ひでき | 2012.01.02 23:44