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2011.12.23

山田うどんの煮込みソースカツ丼

 「山田うどん」(チェーン店名)があるからといってそこが埼玉とはかぎらない。だが、そこが東京であれ神奈川であれ千葉であれ、とても埼玉みたいなところだ。山田うどんの店内に入り、「埼玉県人、挙手っ!」と呼びかけたら、みんな手を上げる。
 山田うどんに入るのは三年ぶりくらいだ。カウンター席に座る。頼むのは、うどんだろ。やはり、うどんだろ。なにせ山田うどんだ。いや、山田うどん通ならみんな知っているが、うどんを食べに山田うどんに来るわけではない。でも、うどんかな。
 メニューを見ると、11月のお薦めは辛味噌と煮込みソースカツ丼とある。11月? 埼玉はまだ11月なのだ。ま、いいや。辛味噌は辛そうで食べられないが、煮込みソースカツ丼なら……え? 煮込みソースカツ丼って何?
 言葉から連想できるものはある。「煮込みソースカツ丼」だから、カツをソースで煮込んでどんぶりご飯に載せたものでは、あるまいか。「きつねラーメン」ならラーメンにお揚げが載っているし、「カレー天ぷらうどん」ならカレーうどんのなかに海老天が入っているのだ。当然。
 とはいえ煮込みソースカツ丼とは何か? メニューに解説がある。ソースベースのタレで煮込んだ、一味違う山田オリジナルメニュー!ぜひご賞味ください、だと。じゃ、食わないわけにいかないだろ。
 写真を見ると、ソースカツ丼が卵でとじてあるみたいだ。どんぶりのふちには鳥の糞みたいなものもついている。辛子?
 店員のお姉さんが来る。20代だろうか。埼玉らしくふっくらとしたやさしさが感じられるのだが、それはさておき。「この、煮込みソースカツ丼ください」と言うと「セットは何になさいますか」と問われた。はて? 困った顔をしているとお姉さんは壁を指して「うどんかおそばがお選びできます」と言う。
 煮込みソースカツ丼はうどんと一緒に食うものだったのか。知らなかった。まあ、うどんは残せばいいやと思って、ふとメニューを見ると、単品というのがあった。「単品でもいいんですか?」 「はい……」と不安げなおねえさん。そういう客は初めてなんだろうな。でも「じゃ、単品で」
 おねえさんはまだ少し困ったような表情をしている。店長から客にはうどんを食わせるようにというノルマでもあるのだろうか。違った。「カツを揚げるのにお時間がかかりますがよろしいでしょうか」と言う。「いいですよ」と答えたとき自分は暢気な異邦人なのだと知る。
 ぼんやり店内を見渡す。私は人生で半年ほど埼玉に住んでいたことがある。山田うどんを食ったことがあるというのと同じ意味だ。山田うどんのカウンターで青春を語り合った友だちもいた、と、回想シーンで場をつなぐことなく、三分もしないで煮込みソースカツ丼が出てくる。別に待たせてないじゃん。
 オレンジ色のたくわんと、スープが付いてくる。スープ? やたらとネギのスライスが入っているから中華風かなと、飲んでみると、山田うどんのうどんの汁を薄めたものである。
 さて、煮込みソースカツ丼を食う。卵は完璧に火が入って白身すら凝固しているのだが、それすらもこってりと、ソースで煮込まれている。カットされたカツの手前のパーツを取りあげると、カツの衣はじっくりべっとりソースを吸っている。
 カツなのかこれ? 疑問にも思うが、それ以外のものではない。本当にカツなのかこれと疑念を抱えつつ食う。ソースのお味は、とんかつソースかな、これ。つまり、ソースです。ソースかけ過ぎたタコ焼きとかソース焼きそば食っている感じ。
 それでもカツだから豚肉はというと、固っ。こりゃ固いな。「かつや」のくにゃっとしたアメリカンポークとはわけが違う。噛みしめる噛みしめる。昭和な豚肉が強烈なソースとともに口に拡がる。年寄りは食えないんじゃないかと店内を見ると、平均年齢は60歳。でも、カツ丼食っているの俺だけみたい。
 それにしても、なんでソースで煮込んじゃったんだろうか。ソースで煮込むといっても、煮込みハンバーグみたいにドミグラソースじゃないんだよ。とんかつソースみたいの。お好み焼きにべたべた塗るようなやつ。
 ソースカツ丼なら、「かつや」にだってあるし、あれはまあ、ソースカツ丼だよな。どう見ても。そして「かつや」なら、普通に卵で閉じたカツ丼もある。「かつや」は店によって、とじた卵が生っぽかったりはするけども。しかし、それらを統合して、煮込みソースカツ丼というものはどうなんだろうか。わからん。と考えつつ噛みつつ、メニューを見直したら普通のカツ丼もあった。値段は同じ。580円。
 べっとりカツ、もうひと切れを、がっしがっし噛みしめながら食う。食ったことによって生じるどんぶり上部のカツの欠落によって、どんぶり内のご飯が見えるかと思いきや、何? いやご飯は見えるのだが、茶色。なんというのか、これ、ソース茶漬け? 炒めたタマネギとご飯がどっぷりとソースに浸かっている。
 べちゃっとした焼きそば食っている感じでソース漬けのご飯を食う。ご飯はソース味。ソース漬けのカツを食う。カツはソース味。もうひたすら、ソース味。このまま食えるのかとふと、盆を見ると、鳥の糞みたいなものは小皿に載っていて、辛子でした。辛子でアクセント。
 ソース味カツ、ソース味ごはん、辛子ピリリ、ソース味カツ、ソース味ごはん、オレンジたくわんポリポリ、ソース味カツ、ソース味ごはん……。その繰り返しで飽きるかと思ったが、ふと我に返ると、食い尽くしていた。
 俺は、「かつや」のカツ丼の小でもご飯残しちゃうんだが、たいらげちゃったよ。えっへんと思って壁を見ると、うどんとそばの写真。ああ、それも食ってこそ、山田うどん、一人前なんだろうな。いや、プラス50円で大盛りにもできますとある。ああああ、無理。埼玉、すごすぎる。
 カツ丼食ったというより、とんかつソースをビンの半分くらいごくごく飲み干したような満足感。もし、それを、満足感というなら。(のどが渇いて、マクドに寄ってコーヒーを飲んだ。140円。いつ値上げしたんだ?)
 
 

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コメント

だれか爺さんに「煮込みソースカツ丼!」の食い方教えてやれよ,オレ?知らね.

投稿: KI | 2011.12.23 12:19

私はちょっと遠慮したいメニューです。。。

山田うどんでは、いつもチャーハンを食べます。パラッとしていて、私は美味いと感じます。

投稿: | 2011.12.23 13:51

やまだうどんは確か社長の

『・・・だが、だがそれでもうちはうどん屋なんだよ!』

とのこだわりから、全てのメニューにうどんかそばが付いてくると聞いたような気がします( ・ω・)

投稿: | 2011.12.24 11:03

なつかしいヤマダうどんの名前を聞きました。徒歩で他にレストランが見つからなくて仕方なく入って以来もう30年位も行っていません。競争の激しい業界と思うのですが、東京のさる田舎に今だに健在で、つぶれずにいます。少しは進歩したかと思っていましたが,相変わらずのダサイ?味でしょうか。

投稿: kappnets | 2011.12.26 22:16

いかにもまずい食い物を、「まずかった、まずかった」といいながら、きちっと平らげているあたり、終風先生らしい笑いのとり方なのかな、と、感じました。

吉野家の豚丼は、帯広風にしてから少しおいしくなりましたね。

投稿: enneagram | 2011.12.28 09:42

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