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2011.12.08

産後鬱病とか伝染性セックス依存症とか

 先日……、いや、ちょっと調べ直すと、5日だ。NHKの7時のニュースで「出産後冷める愛 夫しだいで保つ」(参照)という話をやっていた。300組の夫婦を対象にベネッセ次世代育成研究所が4年間の継続調査したところ、出産後、夫を愛していると感じる妻の割合が大きく減少していたというのだ。ニュースは報告を引いている。


 それによりますと、妊娠中は、夫も妻も「愛していると実感する」のは74.3%で、差はありませんでした。ところが、出産すると「夫を愛していると実感する」妻の割合は大きく減少し、子どもが0歳の時は、およそ30ポイント下がって45.5%。1歳の時は、さらに9ポイント近く下がって36.8%。2歳の時は、さらに下がって34%となりました。
 一方、「妻を愛していると実感する」夫の割合は、子どもが2歳の時に51.7%あり、妻に比べて減少幅は緩やかでした。また、「妊娠した時」も「子どもが0歳になった時」も、変わらずに夫を愛していると実感する妻の調査結果を調べると、「夫は家族との時間を努力して作っている(79.9%)」「私の仕事や家事をねぎらってくれる(71.5%)」などと感じている割合が高く、家族と一緒に過ごす努力や、妻をいたわることばが、愛情を保つ大切な要素になっていました。

 子供が二歳になるころ、夫を愛していると実感する妻は三分の一にまで減少する。
 すごい減少率だなと驚いたのだが、基点を妊娠中に取ると最初から夫に愛情を覚えるという人は四分の三くらい。全体としては半減くらいだろうか。それなりにこの夫でやっていけるかなと思っていた若妻の二人に一人は、とほほということなのだろう。
 しかし、「夫を愛していると実感する」というのが、必ずしも愛情とイコールいうものでもないだろうとも思った。新婚のころのような実感は減っても愛はあるということもある、とか。そう考えないとちょっと救われない話でもあるな。
 この話題、ツイッターでも多少話題になったので、反応を追ってみると、「そんなもんじゃないすか」みたいなつぶやきも見られた。うーむ。そんなものなのか。もわもわ。
 関連しているというわけでもないだろうが、今日のロイターで「Women's Post-Natal Depression Linked to Partners' Abuse」(参照)というニュースが流れていた。邦訳は見かけないが、話は「産後の鬱は夫からの虐待による」といったところ。虐待というのは、実際の暴力もあり心理的なものもあり。夫が冷たく当たる、というのも含まれるだろう。もちろん暴力のほうが悪影響が強い。
 いずれにせよ、夫からの虐待があると産後の妻の40%は鬱に苦しむというのだ。
 そうなのだろうなとも思うが、なんとなく連想したのは、鬱とまでいえない落ち込みの感覚ならもっと多くあるだろうし、夫からの虐待がなくても、出産自体の影響で鬱の傾向もあり、それが影響して夫の愛情への不満というのもあるのでは。相互作用というか。そんなことも思った。
 穏当な結論から言えば、妻が出産した後、夫の精神的なフォローはとても大切である、ということになる。
 だが、この話、そういうお行儀のいい教訓で終わるものでもなさそうだという印象も持った。いや、結婚し子供は産んだけど、恋愛の感情は、むしろ、いわゆる不倫の方向にずれていく萌芽もあるんじゃないか。
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Newsweek Asia
December 5, 2011
 こうした話と直接関係があるわけでもないが、Newsweekの12月5日号に「The Sex Addiction Epidemic」という記事があり、表紙もこのネタを暗示していた。なお、記事のタイトルは「This Man Is Addicted to Sex」ともなっていた。内容は英文のほうは無料で読むことができる(参照)。
 話はタイトルからもわかるように、「セックス依存症の伝染病」ということ。どうも現代人は、セックス依存症という伝染病に感染しやすいのではないか、ということだ。含みとしては、夫婦関係が維持できないということもありそうだった。
 日本版のニューズウィークに、この記事、翻訳されるのか、その後の2号を追ってみたがなかった。
 日本人向けの話でもないからなというのと、英語版のこのネタだが、同号に「Sex Addiction and the City」(参照)があるように、スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)が監督した映画「Shame」から釣られたネタでもあるからだろう。同映画は、2011年ヴェネツィア国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞、主人公がヴォルピ杯男優賞(マイケル・ファスベンダー)を受賞し、ちょっとした話題になっていた。日本で上映するんでしょうかね。

 英国映画ではあるが、話は、ニューヨークの富裕なビジネスマン中年男ブランドンのセックス依存症を描くという作品。当然、エロなシーンは多くて18歳未満は鑑賞できない「NC-17」というレーティングとなった。まあでも、エロというより、薬物依存症のような陰鬱な映画だ。若者に見せると鬱になるからという配慮と受け取りたい。
 Newsweekの先の記事も、基本的にセックス依存症を薬物依存症と同系統に扱っている。記事は食いつきを狙ってか、女性の事例から始まっているが、実際には、当然という言うべきなのか、依存症は男性が多い。
 とはいえ、医学的な統計を元に語られているわけではなく、対処にあたる側の現場の声から導いている。背景としては、れいのIMFのドミニク・ストロスカーンやタイガーウッヅなどの話題もある。
 さらに背景として、流行の伝染病らしい部分にデジタル革命を置いている。いわく猥褻サイトが身近になりスマートフォンなどもそうした用途に使えるといったノリである。ただ、記事としては先にもふれたが、薬物中毒と同系統に落とし込んでいるので、セックスという特有の様相への考察は弱い。

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不倫の恋で苦しむ男たち
(新潮文庫)
 これは何かなとぼんやり思って、ふと鞄の整理をしていたら、ぽろっと未読の「不倫の恋で苦しむ男たち」(参照)が出て来て驚いた。なんとも奇妙な偶然。
 この文庫本、どう考えても5年前に自分で購入したものだろうが、記憶にない。なぜ買ったんだろうか。当時自分が不倫の恋で苦しんでいたわけでもない。
 なんとも奇妙な偶然だと読み始めると、面白いには面白い。
 テーマは不倫男の生態だから当然、中年男がいろいろ登場し、50歳を超えた、自分の年代の男の話もある。状況的には共感できないが、男の心情としてそういうことはあるかもしれないと理解できる面もある。
 だが、これ、なんというのか、一時代前の話ではないか。古いな。と、疑問に思い、当初の出版年を見ると、2001年であった。つまり、収録されている話はどれも10年前であり、50代の男性は、私の年代と思いきや、現在は60代。団塊世代。なるほどな、自分とは世代的な感性が違うなとも思った。もちろん、本書の40代の男は、今の私くらいの年代ではある。
 この本の50代の不倫男性は今60代か。お相手が40代くらいの女性だと、50代か。不倫も老いの領域に突入していくものか。その前に破綻しちゃうのか。どういう人生の風景なのだろうかといろいろ想像してみた。
 
 

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