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2011.11.28

[書評]修道院の食卓:修道院ライブラリー(ブリエラ・ヘルペル著、ペーター・ゼーヴァルト編)

 本書「修道院の食卓」は、出版社の創元社の情報では、修道院ライブラリー全4部作の第2巻に当たるらしい。他に、第1部「修道院へようこそ」(参照)、第3部「修道院の断食」(参照)、第4部「修道院の医術」(参照)がある。

cover
修道院の食卓
(修道院ライブラリー)
 ふと気になってオリジナルでも4部構成になっていたのかドイツのアマゾンを覗いて見ると、本書のオリジナル「Die Küche der Mönche」と並んでペーター・ゼーヴァルト編のハードカバーが数冊見つかる。そのまま4部構成なのか、タイトルを見ていくと必ずしも合致していないようにも思える。精神性や庭園などの書籍もあるからだ。ちなみに本書のオリジナルタイトルは直訳すると「修道士のキッチン」ということになり、男性的なイメージがあるが、邦訳書ではシスターのイラストから修道女のイメージを持つだろう。あとで触れるが、それもわかる気がする。
 なぜ修道院の本を読む? ごく個人的な関心からでしかない。そろそろ隠棲を深めようと思うのだ、なんてことはなく、日頃愛用している「修道院のレシピ」(参照)の背景と、西洋における食の伝統が知りたいということがあった。
 その個人的な関心は満たされたかというと、ちょっと微妙なものがあった。つまらない本ではないが、当然といえば当然なのだが、現代人への文脈化が強い。つまり、現代の世俗的な生活をしている人に示唆的な修道院の食生活をご紹介しましょうということだ。特にその健康的な食事という点に重点が置かれている。
cover
Canticles of Ecstasy
Hildegard von Bingen
 修道院の食事は健康にいい。ごもっともとしか言えないのだが、読み進めていくうちに、あるコアのイメージが湧いてきて、それが本書でも言及されているヒルデガルト・フォン・ビンゲン(Hildegard von Bingen, 1098-1179)に収斂されてくるのが面白い。なるほど、ヒルデガルトの入門書と言えるほどの既述はないが、こういうアプローチだとヒルデガルトが身近に感じられる。
 本書にも記載があるが、ドイツでは近年ヒルデガルトのブームがあったらしい。彼女は、ベネディクトゥスの系統の修道女で、神秘体験を経て有名なり、ルーペルツベルク(Rupertsberg)に女子修道院を建てて院長となる。本書からもわかるように、神秘家でありながら、自然科学的な傾向もあり、医学や薬草学の知識もあり、ドイツの薬草学の祖とも見られている。
 ヒルデガルトは音楽家でもあり、その音楽はまさに彼女の神秘体験の音楽的な表現にも思われる。感動する。

 本書に戻って、具体的にレシピ集として見るとどうかなのだが、私の印象では、全体的にドイツ的な食の発想もレシピから伺われるところは面白い。簡素な食材で簡単にできるものもあるし、特別にレシピというほどでもないものもある。反面、かなり手の込んだパンの作り方などもある。当然というべきかシュトレンもレシピもあるが、ちょっと簡素すぎる印象はある。
 Happy Advent!
 


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