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2011.11.02

エジプト軍政はアラー・アブド・エルファタ(Alaa Abd El Fattah)氏を公正に扱え!

 エジプトの民主化をブログから訴え続けた、29歳のエジプトのブロガー、アラー・アブド・エルファタ(Alaa Abd El Fattah)氏が10月30日、エジプト軍に拘束された。理由は、エジプト軍に対する暴力活動の煽動と妨害行為とされている。
 彼は、ムバラク政権下でもその言論活動で2006年に逮捕されたことがあるが、クーデターによって政権を奪取したエジプト軍は、あからさまにムバラク時代のやり口をなぞりだしたように見える。
 ガーディアンも今回の事態を「逆走」の転機(参照)と見ている。確かに「エジプトの民主化」と言うなら、ようやくの転機の兆候である。エジプトに民主化を求める諸国は、エジプト軍政がアラー氏を公正に扱うように求めなければならない。


アラー氏の拘束を伝えるガーディアン記事
(写真は左がアラー氏、右が夫人のマナル・ハッサン(Manal Hassan)氏)

 アラー氏に問われた「煽動」だが、このブログでも「エジプトのコプト教徒差別: 極東ブログ」(参照)として記したが、多数の死者を出したコプト教徒弾圧事件に関わるものである。この事件は現在、その広場の名称をとって「マスペロの虐殺(Maspero massacre)」と呼ばれるようになった。
 エジプト軍部はマスペロの虐殺について、丸腰の兵士三百人が、六千人のデモ参加者に向き合ったと二人の将官に証言させているが、戦闘用車両を突っ込んで市民を殺害したことや発砲したことには触れず、目撃証言とは異なっている(参照)。
 エジプト軍に拘束されたアラー氏は現在、軍人にはアラー氏のような市民を尋問する権利はないとして、文民による司法手順を望み、軍部への応答を拒絶している。だがこの拒絶を理由に軍政側は拘束を15日続けるとしている。事態について私は客観的に見ていきたいのだが、アラー氏の文民による司法への要求は民主主義国の市民の権利としてごく当然のことと言えるだろう。
 アラー氏の拘束に反対し、アラー氏への連帯から、タハリール広場には三千人の抗議者が集結して、現在のエジプト軍部が政権から下りるように求めた。軍政指導者に向けて、「陸軍元帥、革命はやってる」との声もスピーカーで拡がった(参照)。軍部が民主の議会に従属してこそ、初めて革命と言える。
 背景となるエジプト軍政府の動向はどうか? マスペロの虐殺の報道でもすでにそうであったが、軍側が被害者であるという枠組みに持ち込みたいようだ。今回の抗議者についても海外からの煽動によるのだと吹聴している。今回のアラー氏の拘束もこの流れの一環にある。
 しかし軍側が国内報道を握り直して、都合のいい虚構を流しても、抗議者たちの活動は依然ツイッターなどで世界に通じている。マスペロの虐殺でもその実態は、ツイッターやフェイスブックから証言が流布していった。軍側の虚構の枠組みによる抑え込みは無理がある。
 現在のエジプト情勢について、ざっと日本国内の報道や国内ブログを見まわしたところ、年初のような関心が失われているようにも思えたが、現在こそ、民主主義諸国がエジプト軍部の動向を注視していくことが重要だろう。ブロガーであるアラー氏へ弾圧の抑制に、一人のブロガーとして連帯の声を上げたい。


追記(2011.12.26)
 テレグラフ「Prominent Egyptian blogger Alaa Abdel-Fattah freed after two months - Telegraph」(参照)などによると、12月26日に解放された。

 
 

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