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2011.10.25

シャヴァヤトラ(Shavayatra)

 ヨガについては若い頃関心をもっていろいろ学んだり調べたりもした。今でもたまに気になることがあり調べるのだが、その過程で、シャヴァヤトラ(Shavayatra)について日本語のソースがなさそうに思えたので、気まぐれに書いてみたい。
 シャヴァヤトラは、英語圏では「61点リラクセーション法(61 point relaxation technique)」とも呼ばれている。身体の61の点に意識を移していくことでリラックスするらしい。
 シャヴァヤトラは名前から連想されるように、日本ではよく「死体のポーズ」とも呼ばれているシャヴァサナ(Shavasana)の一種のようだが、その関係はよくわからない。シャヴァサナは、死体のように寝ているだけの単純なアサナのように見えるが、アイアンガー師の「ヨガ呼吸・瞑想百科」(参照)を読むと、きちんとするにはそれなりにむずかしいことがわかる。
 シャヴァヤトラ(Shavayatra)の「シャヴァ」の部分はヒンディー語で「死体」の意味ではないかと思うし、ヒンディー語で「शवयात्रा」を引くと「葬式」とあるので、死に逝く作法という意味があるのかもしれない。

cover
Advanced Yoga Relaxations
 修法の出典は、ヒマラヤ研究所(Himalayan Institute)というところで、音声によるガイドは、ロルフ・ソビック(Rolf Sovik)師によるCDの「Advanced Yoga Relaxations」(参照)にある。他に、オーディブル版もある。詳しく知りたい人は、英語の朗読だが参考にするとよいだろう。
 さらにその伝承元だが、師匠筋のスワミ・ラマ(Swami Rama)による「Path of Fire and Light: A Practical Companion to Volume One」(参照)のようだ。同書では、この修法はShithali Karanaに続き、さらにYoga Nidraに続いている。
 ヨガ・ニドラ(Yoga Nidra)については、ググってみると日本で教えられているヨガでも扱うところがあるようだ。が、どのような修法なのかは、わからない。ウィキペディアを見ると、Swami Satyananda Saraswatiが起源のようでもあり、ラジニーシ(Bhagwan Shree Rajneesh)なども採用していたように書かれているので、各種の修法があるのだろう。
 シャヴァヤトラに話を戻すと、身体の61の点に順に意識を移していくということでリラックスするというものだ。仙道の小周天にも似ているが、骨格を伝わっていく点が違う。ウスペンスキーによれば(参照)、グルジェフのワークにも小周天に似たようなものがあり、フェルデンクライス・メソッド(参照)にも似たようなレッスンがある。つまり、瞑想技法によくある身体知覚(Body Scan)の一種でもあり、やってみると、類似性は感じられる。ただ、シャヴァヤトラについては、骨格を辿る以外に、チャクラの扱いが興味深いとも言える。
 ソビック師の指導では、点毎に青い炎をイメージするとある。番号の意識については、番号ありとなしの二通りがある。やってみるとわかるが、利き足ではないほうの指の識別知覚に番号留意の意識が重なると、独特の意識の保持が必要になる。眠くなるというタイプのリラックスではなさそうだ。
 そういえばこの手のものはオカルト風味なので、「そもそもリラックス効果なんかあるのか?」という疑問ももっともだが、妊婦対象にした研究( Indian J Physiol Pharmacol. 2008 Jan-Mar;52(1):69-76.)もあり、まったく無根拠というものでもなさそうだ。もちろん、医学的に確実な効果があるとまで言えるものではないのはもちろんのことだ。
 ソビック師の指導では、最初は31点までとしている。確かに、いきなり61点よりはよいのかもしれない。
 シャヴァアサナの状態で、指定された身体内の31の点(または61の点)について、額の中央の奥の点から、ひとつひとつ意識し分けて、青い炎がもとることをイメージし、次の点へと意識とイメージを移していく。
 身体の各センターはチャクラに対応しているかに見えるが、スヴァディシュターナ(Swadhisthana)・チャクラは含まれていない。理由だがスワミ・ラマはShithali Karanaについてだが、そう経典にあるからとのみ説明している。

1:額中央
2:首中央
3:右肩
4:右肘
5:右手首
6:右親指
7:右人差し指
8:右中指
9:右薬指
10:右小指
11:右手首
12:右肘
13:右肩
14:首中央
15:左肩
16:左肘
17:左手首
18:左親指
19:左人差し指
20:左中指
21:左薬指
22:左小指
23:左手首
24:左肘
25:左肩
26:首中央
27:胸中央
28:右胸
29:胸中央
30:左胸
31:胸中央

32:おへそ
33:恥骨部
34:右足股関節
35:右膝
36:右足首
37:右足親指
38:右第2指
39:右第3指
40:右第4指
41:右足小指
42:右足首
43:右膝
44:右足股関節
45:恥骨部
46:左足股関節
47:左膝
48:左足首
49:左足親指
50:左第2指
51:左第3指
52:左第4指
53:左足小指
54:左足首
55:左膝
56:左足股関節
57:恥骨部
58:おへそ
59:胸中央
60:首中央
61:額中央

追記
 シャヴァヤトラは日本語でどこかで読んだことがあるんだがと、書棚を見ていて「バイオフィードバックの驚異―心は血圧までコントロールできる (エルマー・グリーン、アリス・グリーン )」(参照)に気がついた。同書に、スワミ・ラマとの共同研究でシャヴァヤトラが掲載されている。ただし、「体の中を旅する」とある。実験結果では、被験者の脳波のシータ波がよく出るようになったらしい。
 
 

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