[書評]信長協奏曲(石井あゆみ)
「信長協奏曲(石井あゆみ)」(参照)が面白いというので、じゃあと注文してみたものの、表紙を見て怯んだ。
信長協奏曲 1 |
が、この程度の後悔、我が人生の後悔の峻峰に添えても微々たるものよ。ところが、はずれた。面白いのである。めったくそ面白い。というわけで、出ているだけ、5巻まで買って読んだ。大人はいいぞ。
はっきり言ってタイムスリップの小細工は、狂言回しであって、良くも悪くもない。道三や弾正に充ててくるのも、まあどうでもよい。漫画は漫画。面白いのは、プロット(筋立て)とキャラとディテールである。
信長協奏曲 2 |
プロットですごいな、まいったなと思ったのは、協奏曲(コンチェルト)という、モダンというだけの思いつきの命名ではないかという印象のタイトルの意味がきっちり開示される3巻目の末である。つまり、この物語の主人公はサブロー信長一人ではない。ここまでは前振りであったか。やるなあ。
信長協奏曲 3 |
作者については、公式サイト(参照)に、「1985年9月24日生まれ。神奈川県出身」とあるので、26歳ということになる。若いな。他に代表作もないようなので、これが代表作として意気込んで書かれたか、出版編集側でかなりリキを入れたかなのだが、結果がよければよいでしょう。
信長協奏曲 4 |
いずれにせよ、面白くて、成功しているし、この先、20巻くらいは続きそうなで今後も楽しみ、というところなんだが、作者の資質は、ちょっとこの路線とは違うんじゃないかなという感じもした。ので、そのあたりも。
信長協奏曲 5 |
3巻の表紙裏というかカバーの折り返しに、作者のひとこととして「日本各地、行ってみたい場所はたくさんあるんですけど、旅行とか嫌いなもんでなかなかどこにも行けません。かなしいです。」とあるが、案外すでに行っているのかもしれないが、安土には行ってみるといいんじゃないか。僕は安土の水郷に行って、シーズンはずれのせいもあって、たまたま舟を一人借り切って、船頭さんにいろいろ話をきいたことがある。よかったすよ。
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コメント
ご紹介ありがとうございます。さっそく読んでみました。さくさくでしたが、誰でも知ってる話というだけでなく、独特のリズム感が良いんでしょうか。あと、この設定だと光秀は天海まで行っちゃうかも。
投稿: Sundaland | 2011.10.26 14:15