日本の国際ジャーナリストさんとかがぶちまけるヘタな陰謀論のような図柄でもあるが、「ウォール街占拠」運動にはどうも、うさんくさい影がある。本当に自然着火なのだろうか。
欧米では「これってソロスが後ろで糸を引いているのではないか」という噂があり、しかも、リンボーあたりが気炎を吐いているならば、苦笑して通り過ぎるのが常識人だし、お利口さんならクラウトハマーのように「馬鹿なスケープゴート運動やりやがって」(参照)とかするのが定番だが、どうもそれで納めるにはなんとも、嫌な印象が残る。
と思っていたところに、ロイターが直球に見せかけてクセ玉を投げ込んだ。13日付け「焦点:格差是正求める反ウォール街デモ、背後に富豪ソロス氏の影」(参照)である。長いがジャーナリズム検証の意味もあってあえて引用したい。
[ニューヨーク 13日 ロイター] 米国でニューヨークから各地に広がっている「反ウォール街デモ」は、平均的な国民が生活に苦しむ一方、富裕層がますます裕福になっているとの抗議がメインテーマだ。しかし、デモ参加者らは間接的に、世界有数の富豪からの恩恵を受けているかもしれない。
過去4週間にわたって続く反ウォール街デモを、背後で資金的に援助しているのは一体誰か。さまざまな憶測が流れる中、常に名前が取りざたされるのは、米フォーブス誌の「2011年版米長者番付」で初めてトップ10入りを果たした著名投資家ジョージ・ソロス氏だ。
ソロス氏とデモ主催者は、双方ともに関係を否定する。しかしロイターは、反ウォール街デモを仕掛けたカナダの反資本主義団体「アドバスターズ」とソロス氏の間に、間接的な資金的結びつきがあるのを発見した。さらに、ソロス氏とデモ隊の間には、イデオロギー的な立場でいくつかの共通点もある。
ソロス氏は先週、反ウォール街デモについて記者団に「彼らの感情は理解できる」と述べていた。「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」と銘打った抗議運動はシカゴやボストンなどにも飛び火しており、15日には世界主要都市で一斉にデモを行うことも呼び掛けられている。
ソロス氏自身は反ウォール街デモに関する踏み込んだ発言を避けているが、保守派ラジオホストのラッシュ・リンボウ氏は先週、番組内で「(デモの)背後にはジョージ・ソロスの資金がある」と語っていた。
ソロス氏は現在81歳。フォーブス誌の米長者番付400人では、資産総額220億ドル(約1兆7000億円)で7位に入っている。個人資産は生前に半分、残りを死後に寄付するという。
デモ参加者らと同様、ソロス氏は2008年の米政府による金融機関救済と、その後の不良資産救済プログラム(TARP)への多額の資金投入には賛成していない。
反ウォール街デモでは、平均的な国民が高い失業率に苦しめられている一方、税金投入で命拾いした金融機関が巨額の利益を享受していると不満の声が強い。また、1%の富裕層が米国の富を独占しているとして、格差是正も叫ばれている。
<銀行の生命維持装置>
ソロス氏は2009年に執筆した論説で、金融機関の不良資産を購入するのは「納税者の多大な負担で銀行に生命維持装置を与える」ことになると指摘。オバマ政権に対しては金融機関の国有化など大胆な措置を求めていたが、そうした提言は無視された。
2008年の米大統領選では、ソロス氏は早くからオバマ大統領を支持。オバマ大統領は来年11月の次期大統領選で再選を目指す。
ソロス氏が会長を務めるオープン・ソサエティ財団が公開した2007─09年の報告書によると、同財団はサンフランシスコを拠点とする非営利団体(NPO)「タイズ・センター」に350万ドルを援助。同センターは、ほかのNPOのための決済機関的な役割を果たしており、フォード財団やゲイツ財団とも協力している。報告書によれば、そのタイズ・センターからは、2001─2010年にアドバスターズに総額18万5000ドルが支払われている。タイズ・センターからのコメントは得られていない。
ソロス氏の側近は、そうしたつながりの一切は根拠に乏しいとしており、ソロス氏はアドバスターズのことを聞いたこともないと説明。ソロス氏自身はコメントを差し控えている。
バンクーバーを拠点に活動するアドバスターズは、「企業が力を行使する方法を変え」、「既存の権力構造を打倒する」ことが目標だとしている。アドバスターズ誌はパロディー広告で有名で、発行部数は約12万部。共同創業者のカル・ラスン氏(69)は、チュニジアやエジプト、リビアで政権崩壊につながった中東・北アフリカの民主化運動「アラブの春」を目の当たりにし、反ウォール街デモを思いついたとしている。
「アドバスターズでのブレインストーミング中にアイデアが出てきた。チュニジアやエジプトで起きたことに感銘を受け、米国でも機が熟したと感じた」と語るラスン氏。「米国でも本物の怒りが積み上がっていると感じた。その怒りを表現するための火付け役になろうと考えた」という。
アドバスターズは運営費の95%を購読料に頼っており、ソロス氏については「彼の考え方の多くは非常に良い。少し寄付して欲しいが、一銭もくれたことがない」と語る。
反ウォール街デモを支援しているのはほかに、募金サイトの「キックスターター」が7万5000ドル以上を集めたほか、社会派ドキュメンタリー作品で知られる映画監督のマイケル・ムーア氏も寄付を表明している。
(Mark Egan記者;翻訳 宮井伸明;編集 本田ももこ)
さっと読むとロイターも面白いネタを掘りますなというところだし、ソロスを疑っていそうな文脈に道化のリンボーを配して逃げ口上にもしているのだが、意外と事実の線は抑えているので、日本の国際ジャーナリストさんのレベルではない。
事実というのは、「
しかしロイターは、反ウォール街デモを仕掛けたカナダの反資本主義団体「アドバスターズ」とソロス氏の間に、間接的な資金的結びつきがあるのを発見した。」という点だ。つまり、事実の線からすると、カナダの「アドバスターズ」とソロス資金の関係を追えばよいということになる。
もう一点、ネタ臭いとはいえ、「
さらに、ソロス氏とデモ隊の間には、イデオロギー的な立場でいくつかの共通点もある。」は、見逃せない。
現状ではこの事実と、ソロス氏のこの件についての思惑の2点以上のソースはない。なので、思惑とソロス氏のこのところの挙動を傍証的に振り返るというくらいしかできないのだが、その前に、この日本版のロイター記事の出所に疑問がある。端的なところ、原文はどこにあるのか?
その前にこの日本版ロイター記事には別バージョンがある。asahi.comのサイトに掲載されている、「再送:格差是正求める反ウォール街デモ、富豪ソロス氏は支援否定」(
参照)である。
[ニューヨーク 13日 ロイター] 過去4週間にわたって続く反ウォール街デモを、背後で資金的に援助しているのは一体誰か。さまざまな憶測が流れる中、常に名前が取りざたされるのは、米長者番付で今年初めてトップ10入りを果たした著名投資家ジョージ・ソロス氏だが、ソロス氏側は強く否定している。
保守派ラジオホストのラッシュ・リンボウ氏は先週、番組内で「(デモの)背後にはジョージ・ソロスの資金がある」と発言。また、ソロス氏自身も、反ウォール街デモについて記者団に「彼らの感情は理解できる」と述べていた。
しかし、ソロス氏の広報担当を務めるマイケル・バション氏は、ソロス氏が「デモ参加者に直接的にも間接的にも資金提供していない」と憶測を強く否定。「全く違うことを主張するのは、デモに反対する人たちが運動の信ぴょう性に疑問を投げ掛けるために行っている行為だ」と語った。
「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」と銘打った抗議運動はシカゴやボストンなどにも飛び火しており、15日には世界主要都市で一斉にデモを行うことも呼び掛けられている。
ソロス氏は現在81歳。フォーブス誌の米長者番付400人では、資産総額220億ドル(約1兆7000億円)で7位に入っている。個人資産は生前に半分、残りを死後に寄付するという。
デモ参加者らと同様、ソロス氏は2008年の米政府による金融機関救済と、その後の不良資産救済プログラム(TARP)への多額の資金投入には賛成していない。
反ウォール街デモでは、平均的な国民が高い失業率に苦しめられている一方、税金投入で命拾いした金融機関が巨額の利益を享受していると不満の声が強い。また、1%の富裕層が米国の富を独占しているとして、格差是正も叫ばれている。
<銀行の生命維持装置>
ソロス氏は2009年に執筆した論説で、金融機関の不良資産を購入するのは「納税者の多大な負担で銀行に生命維持装置を与える」ことになると指摘。オバマ政権に対しては金融機関の国有化など大胆な措置を求めていたが、そうした提言は無視された。
2008年の米大統領選では、ソロス氏は早くからオバマ大統領を支持。オバマ大統領は来年11月の次期大統領選で再選を目指す。
ソロス氏が会長を務めるオープン・ソサエティ財団が公開した2007─09年の報告書によると、同財団はサンフランシスコを拠点とする非営利団体(NPO)「タイズ・センター」に350万ドルを援助。同センターは、ほかのNPOのための決済機関的な役割を果たしており、フォード財団やゲイツ財団とも協力している。報告書によれば、そのタイズ・センターからは、2001─2010年にアドバスターズに総額18万5000ドルが支払われている。タイズ・センターからのコメントは得られていない。
ソロス氏の側近は、そうしたつながりの一切は根拠に乏しいとしており、ソロス氏はアドバスターズのことを聞いたこともないと説明。ソロス氏自身はコメントを差し控えている。
バンクーバーを拠点に活動するアドバスターズは、「企業が力を行使する方法を変え」、「既存の権力構造を打倒する」ことが目標だとしている。アドバスターズ誌はパロディー広告で有名で、発行部数は約12万部。共同創業者のカル・ラスン氏(69)は、チュニジアやエジプト、リビアで政権崩壊につながった中東・北アフリカの民主化運動「アラブの春」を目の当たりにし、反ウォール街デモを思いついたとしている。
「アドバスターズでのブレインストーミング中にアイデアが出てきた。チュニジアやエジプトで起きたことに感銘を受け、米国でも機が熟したと感じた」と語るラスン氏。「米国でも本物の怒りが積み上がっていると感じた。その怒りを表現するための火付け役になろうと考えた」という。
アドバスターズは運営費の95%を購読料に頼っており、ソロス氏については「彼の考え方の多くは非常に良い。少し寄付して欲しいが、一銭もくれたことがない」と語る。
反ウォール街デモを支援しているのはほかに、募金サイトの「キックスターター」が7万5000ドル以上を集めたほか、社会派ドキュメンタリー作品で知られる映画監督のマイケル・ムーア氏も寄付を表明している。
*14日配信した記事にソロス氏側のコメントを加え、見出し・本文を更新して再送します。
(Mark Egan記者;翻訳 宮井伸明;編集 本田ももこ)
さっと読むと同じ記事のように見えるが、こちらの記事の文末にあるように、こちらの記事では、ソロス氏側のコメントを加えている。
普通に考えれば、これらのバージョンに対応する原文があるはずなのだが、これがよくわからない。前バージョンと思われるのは「Soros: not a funder of Wall Street protests」(
参照)であるが、タイトルから直接的に読み取れるのはそのまま「ソロスはウォール街抗議者運動の設立者のひとりではない」ということになる。つまり、ソロスが背景にいることを否定している。だが、その記事は、やはり、ソロスとアドバスターズの関係をより詳細に伝えている。
この英文記事だがざっと見ただけで、日本語訳とされる記事と長さが違うし、"Michelle Nichols"記者も加わっている。
By Mark Egan and Michelle Nichols
NEW YORK | Thu Oct 13, 2011 9:35pm EDT
(Reuters) - George Soros isn't a financial backer of the Wall Street protests, despite speculation by critics including radio host Rush Limbaugh that the billionaire investor has helped fuel the anti-capitalist movement.
Limbaugh summed up the chatter when he told his listeners last week, "George Soros money is behind this."
Soros spokesman Michael Vachon said that Soros has not "funded the protests directly or indirectly." He added: "Assertions to the contrary are an attempt by those who oppose the protesters to cast doubt on the authenticity of the movement."
Soros has donated at least $3.5 million to an organization called the Tides Center in recent years, earmarking the funds for specific purposes. Tides has given grants to Adbusters, an anti-capitalist group in Canada whose inventive marketing campaign sparked the first demonstrations last month.
Vachon said Open Society specified what its donations could be used for. He said they were not general purpose funds to be used at the discretion of Tides -- for example for grants to Adbusters. "Our grants to Tides were for other purposes."
Tides declined to comment.
According to IRS disclosure documents from 2007-2009, the latest data available, Soros' Open Society gave grants of $3.5 million to Tides, a San Francisco-based group that acts almost like a clearing house for other donors, directing their contributions to liberal non-profit groups. Among others the Tides Center has partnered with are the Ford Foundation and the Gates Foundation.
IRS disclosure documents and reports from Tides also show that Tides gave Adbusters grants of $185,000 from 2001-2010, including nearly $26,000 between 2007-2009.
The Vancouver-based Adbusters publishes a magazine with a circulation of 120,000 and is known for its spoofs of popular advertisements. It says it wants to "change the way corporations wield power" and its goal is "to topple existing power structures."
Adbusters co-founder Kalle Lasn said the group is 95 percent funded by subscribers paying for the magazine.
"George Soros's ideas are quite good, many of them. I wish he would give Adbusters some money, we sorely need it," he said. "He's never given us a penny."
Adbusters may have sparked Occupy Wall Street but it is by no means in control of the disparate movement, with the protests now in their fourth week and spreading to cities across America. President Barack Obama, BlackRock Chief Executive Laurence Fink and Soros himself are among those who have expressed sympathy for the protesters' frustration with high unemployment.
SHARED FRUSTRATION
"I can understand their sentiment," Soros told reporters last week at the United Nations about the Occupy Wall Street demonstrations, which are expected to spur solidarity marches globally on Saturday. He declined to comment further.
Soros, 81, is No. 7 on the Forbes 400 list with a fortune of $22 billion, which has ballooned in recent years as he deftly responded to financial market turmoil. He has pledged to give away all his wealth, half of it while he earns it and the rest when he dies.
Like the protesters, Soros is no fan of the 2008 bank bailouts and subsequent government purchase of the toxic sub-prime mortgage assets they amassed in the property bubble.
The protesters say the Wall Street bank bailouts in 2008 left banks enjoying huge profits while average Americans suffered under high unemployment and job insecurity with little help from Washington. They contend that the richest 1 percent of Americans have amassed vast fortunes while being taxed at a lower rate than most people.
Soros in 2009 wrote in an editorial that the purchase of toxic bank assets would, "provide artificial life support for the banks at considerable expense to the taxpayer."
He urged the Obama administration to take bolder action, either by recapitalizing or nationalizing the banks and forcing them to lend at attractive rates. His advice went unheeded.
The Hungarian-American was an early supporter of the 2008 election campaign of Barack Obama, who will seek a second term as president in the November, 2012, election. He has long backed liberal causes - the Open Society Institute, the foreign policy think tank Council on Foreign Relations and Human Rights Watch.
SLOW START
Adbusters, which publishes a magazine and runs such campaigns as "Digital Detox Week" and "Buy Nothing Day," came up with the Occupy Wall Street idea after Arab Spring protests toppled governments in Egypt, Libya and Tunisia, said Lasn, the 69-year-old co-founder of the group.
"It came out of these brainstorming sessions we have at Adbusters," Lasn told Reuters, adding they began promoting it online on July 13. "We were inspired by what happened in Tunisia and Egypt and we had this feeling that America was ripe for a Tahrir moment."
"We felt there was a real rage building up in America, and we thought that we would like to create a spark which would give expression for this rage."
Other support for Occupy Wall Street has come from online funding website Kickstarter, where more than $75,000 has been pledged, deliveries of food and from cash dropped in a bucket at the park. Liberal film maker Michael Moore has also pledged to donate money.
The protests began in earnest on September 17, triggered by an Adbusters campaign featuring a provocative poster showing a ballerina dancing atop the famous bronze bull in New York's financial district as a crowd of protesters wearing gas masks approach behind her.
Dressed in anarchist black, the battle-ready mob is shrouded in a fog suggestive of tear gas or fires burning. Some are wearing gas masks, others wielding sticks. The poster's message seems to be a heady combination of sexuality, violence, excitement and adventure.
Former carpenter Robert Daros, 23, saw that poster in a cafe in Fort Lauderdale, Florida. Having lost his work as a carpenter after Florida's speculative construction boom collapsed in a heap of sub-prime mortgage foreclosures, he quit his job as a bartender and traveled to New York City with just a sleeping bag and the hope of joining the protest movement.
Daros was one of the first people to arrive on Wall Street for the so-called occupation on September 17, when protesters marched and tried to camp on Wall Street only to be driven off by police to Zuccotti Park - two acres of concrete without a blade of grass near the rising One World Trade Center.
"When I was a carpenter, I lost my job because the financier of my project was arrested for corporate fraud," said Daros, who was wearing a red arm band to show he was helping out in the medic section of the Occupy Wall Street camp.
Since its obscure beginnings, the campaign has drawn global media attention in places as far-flung as Iran and China. The Times of London, however, was not alone when it called the protests "Passionate but Pointless."
Adbusters' co-founder Lasn dismisses that, reeling off specific demands: a tax on the richest 1 percent, a tax on currency trades and a tax on all financial transactions.
"Down the road, there will be crystal clear demands coming out of this movement," he said. "But this first phase of the movement is messy and leaderless and demandless."
"I think it was perfect the way it happened."
(Recasts with comment from Soros aide, adds new details to clarify. The original version can be found here)
(Additional reporting by Cezary Podkul in New York and Cameron French in Toronto, writing by Mark Egan, editing by Claudia Parsons)
もう一点、この記事で重要なのは、文末にあるが、この記事はソロス側のコメントを加えてリライトされているという記述があり、これは日本側の後バージョンとも対応している。だが、その原文の第二バージョンもまた日本版とは異なっている。「Who's behind the Wall Street protests?」(
参照)がそれである。煩瑣だが資料のため引用しておく。
(Reuters) - Anti-Wall Street protesters say the rich are getting richer while average Americans suffer, but the group that started it all may have benefited indirectly from the largesse of one of the world's richest men.
There has been much speculation over who is financing the disparate protest, which has spread to cities across America and lasted nearly four weeks. One name that keeps coming up is investor George Soros, who in September debuted in the top 10 list of wealthiest Americans. Conservative critics contend the movement is a Trojan horse for a secret Soros agenda.
Soros and the protesters deny any connection. But Reuters did find indirect financial links between Soros and Adbusters, an anti-capitalist group in Canada which started the protests with an inventive marketing campaign aimed at sparking an Arab Spring type uprising against Wall Street. Moreover, Soros and the protesters share some ideological ground.
"I can understand their sentiment," Soros told reporters last week at the United Nations about the Occupy Wall Street demonstrations, which are expected to spur solidarity marches globally on Saturday.
Pressed further for his views on the movement and the protesters, Soros refused to be drawn in. But conservative radio host Rush Limbaugh summed up the speculation when he told his listeners last week, "George Soros money is behind this."
Soros, 81, is No. 7 on the Forbes 400 list with a fortune of $22 billion, which has ballooned in recent years as he deftly responded to financial market turmoil. He has pledged to give away all his wealth, half of it while he earns it and the rest when he dies.
Like the protesters, Soros is no fan of the 2008 bank bailouts and subsequent government purchase of the toxic sub-prime mortgage assets they amassed in the property bubble.
The protesters say the Wall Street bank bailouts in 2008 left banks enjoying huge profits while average Americans suffered under high unemployment and job insecurity with little help from Washington. They contend that the richest 1 percent of Americans have amassed vast fortunes while being taxed at a lower rate than most people.
BANKING LIFE SUPPORT
Soros in 2009 wrote in an editorial that the purchase of toxic bank assets would, "provide artificial life support for the banks at considerable expense to the taxpayer."
He urged the Obama administration to take bolder action, either by recapitalizing or nationalizing the banks and forcing them to lend at attractive rates. His advice went unheeded.
The Hungarian-American was an early supporter of the 2008 election campaign of Barack Obama, who will seek a second term as president in the November, 2012, election. He has long backed liberal causes - the Open Society Institute, the foreign policy think tank Council on Foreign Relations and Human Rights Watch.
According to disclosure documents from 2007-2009, Soros' Open Society gave grants of $3.5 million to the Tides Center, a San Francisco-based group that acts almost like a clearing house for other donors, directing their contributions to liberal non-profit groups. Among others the Tides Center has partnered with are the Ford Foundation and the Gates Foundation.
Disclosure documents also show Tides, which declined comment, gave Adbusters grants of $185,000 from 2001-2010, including nearly $26,000 between 2007-2009.
Aides to Soros say any connection is tenuous and that Soros has never heard of Adbusters. Soros himself declined comment.
The Vancouver-based group, which publishes a magazine and runs such campaigns as "Digital Detox Week" and "Buy Nothing Day," says it wants to "change the way corporations wield power" and its goal is "to topple existing power structures."
SLOW START
Adbusters, whose magazine has a circulation of 120,000 and which is known for its spoofs of popular advertisements, came up with the Occupy Wall Street idea after Arab Spring protests toppled governments in Egypt, Libya and Tunisia, said Kalle Lasn, 69, Adbusters co-founder.
"It came out of these brainstorming sessions we have at Adbusters," Lasn told Reuters, adding they began promoting it online on July 13. "We were inspired by what happened in Tunisia and Egypt and we had this feeling that America was ripe for a Tahrir moment."
"We felt there was a real rage building up in America, and we thought that we would like to create a spark which would give expression for this rage."
Lasn said Adbusters is 95 percent funded by subscribers paying for the magazine. "George Soros's ideas are quite good, many of them. I wish he would give Adbusters some money, we sorely need it," he said. "He's never given us a penny."
Other support for Occupy Wall Street has come from online funding website Kickstarter, where more than $75,000 has been pledged, deliveries of food and from cash dropped in a bucket at the park. Liberal film maker Michael Moore has also pledged to donate money.
The protests began in earnest on September 17, triggered by an Adbusters campaign featuring a provocative poster showing a ballerina dancing atop the famous bronze bull in New York's financial district as a crowd of protesters wearing gas masks approach behind her.
Dressed in anarchist black, the battle-ready mob is shrouded in a fog suggestive of tear gas or fires burning. Some are wearing gas masks, others wielding sticks. The poster's message seems to be a heady combination of sexuality, violence, excitement and adventure.
Former carpenter Robert Daros, 23, saw that poster in a cafe in Fort Lauderdale, Florida. Having lost his work as a carpenter after Florida's speculative construction boom collapsed in a heap of sub-prime mortgage foreclosures, he quit his job as a bartender and traveled to New York City with just a sleeping bag and the hope of joining the protest movement.
Daros was one of the first people to arrive on Wall Street for the so-called occupation on September 17, when protesters marched and tried to camp on Wall Street only to be driven off by police to Zuccotti Park - two acres of concrete without a blade of grass near the rising One World Trade Center.
"When I was a carpenter, I lost my job because the financier of my project was arrested for corporate fraud," said Daros, who was wearing a red arm band to show he was helping out in the medic section of the Occupy Wall Street camp.
Since its obscure beginnings, the campaign has drawn global media attention in places as far-flung as Iran and China. The Times of London, however, was not alone when it called the protests "Passionate but Pointless."
Adbusters' co-founder Lasn dismisses that, reeling off specific demands: a tax on the richest 1 percent, a tax on currency trades and a tax on all financial transactions.
"Down the road, there will be crystal clear demands coming out of this movement," he said. "But this first phase of the movement is messy and leaderless and demandless."
"I think it was perfect the way it happened." (Additional reporting by Cezary Podkul in New York and Cameron French in Toronto, writing by Mark Egan, editing by Claudia Parsons.)
日本版のように改版の英文記事もソロス側のコメントを加えているのだが、この記事の重要性は前の記事にあった、事実とされてた「
Soros has donated at least $3.5 million to an organization called the Tides Center in recent years, earmarking the funds for specific purposes.」が欠落していることだ。普通に考えれば、その部分はロイターの勇み足で誤報のようにも思えるが、良く読むとわかるが、この改版の記事で訂正されているわけではない。
むしろ改版記事の「
Aides to Soros say any connection is tenuous and that Soros has never heard of Adbusters. Soros himself declined comment.」は、ソロス氏の関係は薄く、ソロス氏はアドバスターズを知らないとしているのだが、ソロス氏自身がこの点にコメントを避けていることと、改版記事のタイトルが「Who's behind the Wall Street protests?(ウォール街抗議者運動の背後には誰か)」として、修辞的な逆説に見せかけながら、背景のカネの動きに焦点を充ててきていることがわかる。
ウォール街抗議者運動を裏で糸を引いている者や組織があるのか?
直接的にはないと見るのが妥当だろう。
ではこの運動はまったく組織的なカネの裏打ちなく手弁当で実施されているのか? 後から加わった労組や各種の主張のゴミ的団体にはそれなりの背景はあるのだが、ウォール街を狙うという中心的な抗議活動部分での、背景のカネを動きがないとまで見るのはむしろ不自然だろうし、間接的にはであるが、カネによってそれがソロス氏の思惑に繋がっていると見るのも妥当だろう。
現状言えるのはこのくらいで、ロイターもやるなという印象ではあるが、ソロス氏の背景を考えると、さらにうさんくささは増す。
ソロス氏はこの春に自己の保有金を売却していた。豊島逸夫ワールドゴールドカウンシル日韓地域代表による5月時点の記事「ソロス氏が保有金を売却 バブルに警戒感か」(
参照)が日本語で読みやすい。一部、引用する。
既に米ウォール・ストリート・ジャーナルの観測記事で著名投資家のジョージ・ソロス氏が保有金を売却していたことが伝えられていたが、日本時間17日早朝に発表された米証券取引委員会(SEC)への運用資産情報開示により、保有金約15トンのほぼ全量が売却されていることが確認された。
なお最も大量に金ETFを保有しているので注目されているポールソンは売らず。前期も今期も3150万株(約97.6トン)保有継続である。
ソロスは昨年のダボス会議で「金はバブル」と発言して警戒感を表していたが、ポールソンは「米国の量的緩和政策がインフレをもたらす可能性があるのでヘッジとして金を戦略的に保有する」と公言していた。
ソロス氏の思惑をどう見るかなのだが、豊島氏はバブルの懸念としているが、今回の抗議運動の文脈に置くと、奇妙な図柄に見えるのは避けがたい。
7月のMarket Hackブログ「ジョージ・ソロスが他人のお金の運用を止める理由」(
参照)も類似の話ではあるが、こちらは投資規制から推測している。
ジョージ・ソロスが他人のお金の運用を止めると発表しました。
なぜか?
三番目の理由は法的規制で法務コストが嵩むという点です。これには運用資産や顧客数によって数段階のハードルがあると思います。ソロスの場合も米国証券取引委員会のルール変更で嫌気がさしたという事を投資家へのレターの中で言及しています。
ただ僕が考えるにソロス・ファンドくらいの規模になると法務コストをファンドの経費の中で落とすことはカンタンなので、これはファンドを閉じる「表向きの理由」でしょう。
私は投資の素人なので基本を理解していないのかもしれないが、春時点でのこのソロスの奇妙な挙動についてはその後もよくわかっていないようだ。だが、これらが今回のウォール街抗議運動への賛同と調和していること、むしろ、カネが動いて調和していることは、薄気味悪い印象を強く残す。