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2011.09.06

さらに民主党の自民党化、党税制調査会の復活

 予想されていたことではあるし、とやかく言うほどの話でもないのだが、民主党野田どじょう政権が着実に自民党化していくワンシーンとしてメモしておきたい。
 報道の確認から。NHK「民主 党税調復活で財源議論へ」(参照)より。


 民主党は、おととしの政権交代の際に党の税制調査会を廃止して政府の税制調査会に議論を一本化し、その後、党内に税制改正の作業チームを設置したものの、政府税調が税制改正の議論を主導してきました。
 こうしたなか、民主党の前原政策調査会長は、党の税制調査会を復活させ、会長に藤井元財務大臣を起用する方針を決め、5日、野田総理大臣に報告しました。
 党の税制調査会は、震災からの本格的な復興に向けた今年度の第3次補正予算案の財源を確保するための税制上の措置などを巡って早急に議論を始める方針です。

 さて。
 それほど昔のことではないが、現状との比較のために、二年前の読売新聞「2009.08.26 税制改正論議を政府税調に一本化 民主党税調廃止へ 会長は財務相に」(2009.08.26)を読み返してみよう。民主党とは、このような主張をする政党であった。

会長は財務相、議員20人
 民主党は25日、衆院選で政権を獲得した場合に創設する新たな政府税制調査会の骨格を固めた。税制改正過程を透明化するため、与党としての税制調査会は設けず、新政府税調に一本化する。会長は財務相、副会長は総務相が兼任、各省庁に置く税制担当政務官らの計約20人で構成することとし、政治主導を明確にする方針だ。
 現在の税制改正は、首相の諮問機関で、有識者で構成する政府税調が基本的な方針を首相に答申するものの、個別の税率など細部は自民党税調での調整が不可欠となっている。与党での調整について、民主党は「責任が不明確なうえ、既得権益維持や政官業癒着の温床となる」などと批判してきた。
 現在の民主党税調は政権獲得後に廃止する。各省庁の税制改正要望は、税制担当政務官が集約し、新政府税調で調整する。

 同種の内容だがもう一点、読売新聞「消費税論議 連立3党に溝 民主「将来は増税」 社・国「絶対ダメ」」(2009.09.12)も読み返してみよう。

税調は一元化
 税制改正の流れも変わる。民主党は、与党としての税制調査会は作らず、新たに組織する政府税制調査会に一元化する方針。会長は財務相、副会長は総務相、メンバーは国会議員で、政治主導をより鮮明にする。
 これまでは与党の税制調査会と政府税調の2本立てで審議が行われ、実質的には自民党税調のベテラン議員が各業界などの意見を踏まえ、議論を仕切ってきた。
 新政府税調は、さまざまな利害が対立する税制のあり方を政治主導でどう決めていくかが問われることになる。

税制改正要望先、業界団体は困惑
 各業界団体は例年9月、与党である自民党や中央省庁などに税制改正要望書を提出していた。だが、今年は政権交代を控えているため提出先が決まらず、困惑しているという。
 日本経団連は、例年なら9月下旬に自民党などに税制改正要望を行っていたが、今年は「様子を見ながら適切なタイミングで要望書を提出するしかない」という。日本商工会議所も、「新税調が決まるのを見定めて対処する」としている。

消費税据え置き、一つの政治決断
 森信茂樹・中央大法科大学院教授 「連立合意で消費税率の据え置きが決まったのは、一つの政治決断だ。徹底した歳出削減を行えば、自公政権よりも消費税率引き上げの環境整備が進みやすいのではないか。来年夏の参院選後くらいから議論を始め、次の総選挙で『引き上げる』と公約に掲げることを期待している。ただ、ガソリン税などの暫定税率廃止は、消費税1%分を失うと同じ影響がある。新政権は、市場メカニズムに沿った経済運営をするだろうから、天地がひっくり返るような税制の方針転換はないだろう」 


 過去を顧みるに、こうなる。2年前の8月の民主党は、「税制改正過程を透明化するため、与党としての税制調査会は設けず、新政府税調に一本化する」と言っていたのだから、現在の民主党がそれを受けるなら、「税制改正過程を不透明化する」という主旨になるだろう。
 実際、復興の大義のどさくさに明後日の方向の増税をやってしまうというのだから、不透明にしておかないとまずいというのはある。
 かつての民主党は自民党流の党税調と政府税調の二本立てを「責任が不明確なうえ、既得権益維持や政官業癒着の温床となる」などと批判してきたのだから、これからの民主党は、当然、既得権益維持や政官業癒着の温床を作るのである。
 もちろん、看板くらいは付け替えるだろうけど、政府の仕組みが自民党と同じなら、自民党と同じ構造ができあがるのは理の当然である。
 2年前の読売新聞記事に出てくる森信茂樹・中央大法科大学院教授は「連立合意で消費税率の据え置きが決まったのは、一つの政治決断だ」と述べたが、その連立合意はどうなったのだろうか。
 いずれにせよ、税制議論は自民党政権時代に戻るのである。
 自民党時代は、税制論議は国会議員による党税調と、学識経験者らで構成する政府税調の二本立てだった。
 自民党時代、この二本立ての仕組みを調整していたのは、山中貞則のような大物議員で、たばこ値上げなどを抑えてきた(参照)。また基点となる業界の要望をも調整してきた。別の言い方をすれば、党税調との二本立てシステムは、自民党の大物がいると機能する仕組みともいえた。
 そこでどじょうは考えた。自民党を使えばよいではないか。
 古き自民党で1977年から1993年のキャリアを持ち、大蔵官僚出の藤井裕久元財務相を党税調の会長に据えた。
 関連して今朝の産経新聞「党税調復活で増税鮮明に 民主、会長に藤井元財務相」(参照)に面白い話がある。

 財務省OBの森信茂樹・中央大学法科大学院教授は、税制をめぐる民主党政権の混乱について、「自民党政権では族議員たちを『もっと勉強してこい』と一喝できる長老議員がいたが、民主党にはいなかった」と振り返る。藤井氏はかつて財務相として野田首相を財務副大臣に起用した「師匠格」とされ、財務相退任後は「税と社会保障の抜本改革調査会」の会長として、党内の一体改革論議をリードしてきた経緯がある。政府内には「藤井氏なら存在だけで反対派を抑えられる」との期待も強い。
 自民党的な手法への回帰を批判する声もあるが、増税に向けて「名を捨てて実を取った」(政府関係者)との見方も出ている。

 この森信茂樹教授は2年前の読売新聞記事に出てくる森信茂樹教授と名前も役職も同じだが、どうも逆のことを言っているようにも思えるので、もしかすると別の人物かもしれないが、それはさておき、自民党の党税調システム要件である大物議員についても、「藤井氏なら存在だけで反対派を抑えられる」ということで満たされる。
 私は思うのだが、政権交代というのは、小泉郵政選挙のときに起きていたのではないだろうか。そして、その後の古き自民党政権に戻そうとした反動の安倍政権からの迷走はそのまま、滑らかに菅政権まで続いていたのではないだろうか。
 意識的に古き自民党に戻ろうとしている野田政権もその反動の連続になるのだろうか。

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コメント

党税調から政府税調へ一本化とは要するに
財務省が他の省庁の権限を奪うと言うことです。
少なくとも自民党時代はそういう意味でした。

際限なく権限を拡大しようとする大蔵省と
それを抑える自民党、これが古き良き自民党政治です。

族議員とは他の省庁に分散されている権限を守ろうとした議員、
大蔵省への際限なき権限集中を阻止しようとした議員のことです。
少なくとも大蔵省にとってはそうでした。
大蔵省は目障りな議員をネガキャンで次々に潰す一方、
協力的な議員にはサポートを惜しみませんでした。

小泉政権時代に自民党税調から政府税調になったのは、
小泉総理が財務省を味方につけるため財務省に権限を献上したのです。
小泉総理に人気があったのも財務省のお気に入りだったからです。


>私は思うのだが、政権交代というのは、
>小泉郵政選挙のときに起きていたのではないだろうか。

そうですね。自民党・財務省の2大政党制から
財務省1党独裁体制にかわったんだと思います。


>古き自民党政権に戻そうとした反動の安倍政権
>意識的に古き自民党に戻ろうとしている野田政権も
>その反動の連続になるのだろうか。

安倍総理はともかくとして、野田総理が財務省1党独裁体制を打破しようとしてるとは思えませんねえ。
それ以前に理解さえしてない、関心すら無いかもしれません。

投稿: . | 2011.09.06 20:45

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