夢の中国人コンサルタント
このところ気の滅入るようなエントリーばかり書いているせいか、ツイッターで、また料理の話書いてくださいといったことを言われた。そうだなあ。料理とかボードゲームの話もないわけではないが、とふと先日の夢を思い出した。
夢のチャーハン(参照)に似ている。残念ながら件の老師は出てこないのだが、日本語の達者な中国人中年のビジネスコンサルタントが出て来た。中国ビジネスの極意3点を日本人に教えましょうというのだ。へえ。いやいや、たかが夢の中のことなんだけどね。
夢の話の前段はあまり覚えていない。「君、このセミナーのこれに出席してくれ」ということだったような。それで、はあ、と答えて50人ほどの殺風景な講演会に参加した。が、これが意外やなかなかよい話で、いいこと聞いたなあと思った。
実際のところは自分の夢の話にすぎず、なんの元ネタもなし。つまり、まったくのでたらめもいいところ。でも、もしかすると、当たっていることもあるかもしれない。まあ、与太話。
講師の名前は忘れた。孔さんだったかな。中国語っぽいナマリはあるけど、日本語は上手というか完璧。年齢は40代という感じ。グレーのスーツをたらっときて、頭は適当に七三分け。それはないだろという黒縁めがね。まったくカリスマ性はないのだが、妙にリラックスしていて、ほんとにいい話なんですよ、みなさんラッキーでしたねという雰囲気が出ている。
中国ビジネスの極意3点、その1点目は、「押すときは面で押しましょう」というのだ。
1 押すときは面で押しましょう
日本人のビジネスのやりかたを見ていると、これが一番という方法だという思い込みでぐいぐい押してくることが多いですね。あるいは、中国ビジネスでは人脈が大切だということで、いきなりひとつの人脈に賭けてくる。中国人はそういうことはしません。
ひとつでないと二つというのもありますね。日本人の組織は同じ目標を持っているのに、なぜか派閥に別れて、矛盾した二つの方法でぐいぐいと押してくることがあります。やっている日本人はお互い競争心をもってやりがいがあるみたいですが、中国人から見ると、不審を抱かざるを得ません。
中国でビジネスをするときは、面で押すのです。
中国と限りませんよ、中国人のビジネスは面で押していくのです。政治もそうです。面というのは、一点で押さないことです。
一点で押すと、どうなりますか(ここで彼は人差し指を示して、参加者のほうに突き刺すようにする)。一点で押していきますね。ここに障子がある。破けてしまいました。固いものがある。押すほうが折れてしまいました(指を痛がるジェスチャー)。
二点ではどうですか(両手を参加者のほうに突き出す)。ぐーっと二点で押していく。いい感じです。どうなりますか(ここで彼は前につんのめる)。おっと、ころんでしまいました。二点ではバランスを崩して転んでしまいます。
面を作って押すには三点が必要です。少なくとも三点で、じわじわと押していくのです。押しながらバランスをとって相手の力を見るのです(両手をひろげて顔と三点で参加者のほうに押していき、にこっと笑う)。ここまで押したらビジネスは成功です。
面で押していけば相手は負けてもどこで負けたかは曖昧。失点は見えません。
2 相手を信じる前に相手の売り物を買いましょう
2点目。
日本人とビジネスをしていると、この中国人は信用できるのか、このビジネスの情報は揃っているのかといろいろ考えていますね。そして、その不信感が顔に出ます。中国人はこういう人を相手にしません。
ではどうするのか。相手の売り物をまず買うのです。いい悪いではないですよ。中国人はたいてい何か売っています。これ買いませんか、というのがビジネスの原点なのです。
でも、最初はこれ買って下さいとは言いません。相手が買うかどうか見ているのです。ですから、まずそれを買うのです。最初に、その人の顧客になる。そして、私はあなたの顧客ですよという立場を作ってから、相手に接するのです。
そうすると、相手は売った分だけの対応します。それを見るのです。中国人は日本人みたいに口先で、ありがとうございましたとは言わないですが、売り物が買われたらそれなりにその分、その次は相手にメリットを返します。そこを見るのです。そこが信頼できるかの始まりです。
何も売っていそうもない人だったら、その人の親族の売り物を買いましょう。親族も何も売ってないと思ったら、縁起を担いでその人の名前にちなんだものでも、その人の故郷の産物でも買いましょう。相手はそれになにか答えますよ。
ビジネスは情報ではありません。まず関係の成立から。関係とは、相手のものをまず買ってみるということです。
今日のお話が終わったら、出口にでこのセミナー主催会社の手帳を販売しているので、まずそれを買ってくださいね。
3 あなたが美味しいと思うものをご馳走しましょう
中国人は食事にうるさいです。日本人がどんなに心づくしたつもりでも、振る舞うご馳走が美味しくなければ、不満を持ちます。日本人は、そういう細かいことはどうでもいいではないかと思いますね。それではだめです。
どういうご馳走がよいのでしょう。あなたが美味しいと思うものをご馳走しましょう。
相手がそれが嫌いだったらどうでしょう。中国人はこんなの食べないよと思うものを出していいのでしょうか。たとえば、あなたが心の底から、この納豆が美味しいと思うなら、どうしましょう。
本当に自分が美味しいと思うなら出してごらんなさい。
残念ながら、相手は、こんな不味いものは食べられない、こんな人との付き合いはおしまいだと思うかもしれません。そういうことはあります。しかし中国人にしてみると、最初からそういうつきあいは要らないのです。
自分が本当に美味しいと思うものを心から信じて出して、相手がそれを理解したら、あなたが信頼されます。言葉を越えて信頼するでしょう。
この納豆が本当に美味しいと思って自信があるなら、それをご馳走にしなさい。相手は美味しいと思わないかもしれないけど、そのあなたの自信は伝わりますよ。ビジネスのきついとき伝わるのはそこです。
このあと食事会があります。私が美味しいと思う料理があります。ご参加ください。
ご静聴ありがとうございました。
ということで、夢でさらに食事会があった。うまかった。
ということで、この話は全部、夢です。これが中国ビジネスの極意なのか、私にはとんとわかりませんので、ご注意。
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コメント
宋文州さんを思い出しました。(^0^)こんど、私の知り合いの中国の方に、私がおいしいと思うものを差し上げようと思います。
投稿: Tammy | 2011.03.29 12:48
その中国人コンサルタントは、わかいころの「きゅうえいかん」先生にどことなく似ていませんでしたか。
「きゅうえいかん」先生は、一時期、長谷川慶太郎先生が日本経済大丈夫説を唱える強気の何層倍も強気で、中国永久発展説を唱えていたけど、どっちもこれから大丈夫なのかな?
投稿: enneagram | 2011.03.29 12:57
夢の話、細かく覚えているものですか?
私は夢の中で本など読んだりして「いやあ面白いなあ」「いやあためになるなあ」とか思っても起きてしまうと内容はさっぱり忘れてしまいます。
「雑記」より信頼度の低い「夢」カテゴリでいろいろ書いてほしいです。
投稿: mori-tahyoue | 2011.03.29 16:42
夜中、読ませていただきました。ブログ主さんが叩かれた「中国人は『律儀』」のエントリを思い出しました。それはさておきこの三点、ちょっと試したくなりました。
投稿: umeumer | 2011.03.30 10:19
私は酔っ払いでしばしば飲み屋街でケンカにまきこまれるのだけど、夢でもケンカすることがある。しかし、夢の中では思ったとおり体が動かなくてイライラしまう。
投稿: ピンちゃん | 2011.03.30 22:06