電話で脅された思い出
一年前だったか二年前だったか三年前ということもないように思うが、投資マンション販売関連だと思うが電話勧誘で脅されたことがある。先日たまたまNHKを見てたら番組でそういう人が増えているという話をやっていて、「ああ、そういうことあったなあ」と思い出した。ただ、私の場合、ちょっと話が違っていたんだけど。
最近はとんとそういうことがない。ない理由はたぶんアレなんじゃないかなと思う。非通知の電話はかからないようにしたから。ちなみに、これやっておくと、勧誘とかの電話は激減しますよ。やり方は電話機対応だったか。それ以前からナンバーディスプレイにしてはいたので、ああ非通知かというのは電話に出るときにはわかっていはいたのだけど。そういえば、NHKの番組でこの対処方法については説明がなかった。なぜなんだろう。
思い出すと、それ以前にはよく勧誘関係の電話はかかってきたものだった。で、その半分くらい、「お母様はいらっしゃいますか?」である。相手はもろにオバさん声。保険の勧誘員さんのイメージ。BMIはたぶん30。問いかける声にも重みがあって、思わず、「すみませんすみません兄が」とか言いそうになる。
「お母様はいらっしゃいますか?」「はい」いるけど。
70歳過ぎた実家の母親となにかお話をしたいのでしょうかね。というか、どうやら私は10代か20代のお兄さんだと思われている。声が若いからなんでしょうか。あるいはしゃべりにおっさんが出ないからなのか。いや俺は若いぜとかいう気はさらさらなくて、一声聞いただけ、「お、こいつガキ」と思われているわけです。たまに「奥様はいらっしゃいますか?」もあるけど。むふっ。
あの脅しの勧誘電話のときはそうではなかった。「はい」とか言って出ると、例によって要領を得ない。これは勧誘の基本みたいなんでしかないとは思うけど、ついご用件は?と聞き返して、それでも要領を得ないので、「そういう話は関心ありませんから」と答えて切った。よくあるパターンで、普通はそれで終わり。でも、その時はそうではなかった。再度電話がかかってきた。なんか言っているけどやはり要領を得ない。なんか売りたいらしい。「関心ないです」と答えて切る。するとさらにかかってくる。ちなみに、相手全部非通知。
今度は相手は怒っている。いわく、人としてそういう口の利き方はないだろ、というのだ。はい。人が話をするのだからちゃんと聞け、というのである。はい。
どうやら、私を年下の若造のように思っているみたいだった。若い奴にコケにされてたまるもんかと、おじさん怒っている。
困ったなと、後になってみると、そこで話を聞いてしまったのがいけなかったのかもしれない。おじさんとうとうとしゃべくって、遂になにか自己達成した。なので、その達成感のフィードバックをどうやら私に求めている。さて、はいわかりました、と言うべきなのか。
丁寧に説明したのだから、オマエは人としてきちんとそれに応対する義務があるだろうと息巻いている。はい、しかし、それと勧誘の話は別なのではないか。話はわかりましたが、私はその話には関心ありませんから、と切る。火に油。
次にかかってきたときはもう脅迫。今からオマエの家に行くからな覚悟しろみたいな話。この辺りから、おっさん、私のプロファイリングを始める。私がどんなに社会的に脱落している人間なのか、どうしなければ人生は生きられないか、なんたらかんたら。さすがプロなのか当たっているところもあるけど、外れているところある。思い込みは激しい。
というわけで、さらに丁重にお断りという感じで電話を切ると、さらにかかってくる。もういいよ、おじさん、と思って留守電ボタンを押すと、いるのはわかってんだぞ、こそこそ隠れるんじゃないよ、みたいな展開に。大丈夫か、おっさん。
というわけで、出る。乗りかかった船、もうしかたないかと。さらに謙虚に話を聞く。もうカウンセリングモード。頷いて、相手の言っていることを整理して、優しく問い返す。カウンセリングの基礎技術。そうこうしているうちに、相手がふとこう言った。「おまえ、インテリだな」
え? 何それ。で、まあ、こういう人生を生きていると、私はそう誤解されて嫌われる経験も積んでいるので、いえいえそんなことはありませんよと答える。しだいに話は収束。疲れた。おじさん、コルチゾール高いよ。
そういう社会になったのかのかなと、その後しばしぼうっとして、非通知の電話ってこれからこういうふうになっていくんだろうなと思った。そういえば、ネットの世界でもちょっと似ているな。また同じ事やるのもなんだしな、と以来非通知電話はかからない設定にした。
知らない相手との電話というのは変なものだ。全部悪いものでもない。若い頃、英会話の勧誘で相手は若い女性の声だった。私はといえば「英会話関心ないです」と答えると、「なぜですか、外国行ったとき英語しゃべるといいですよ」と問いかける。「そうですよね」「だったらどうですか」「観光旅行くらいの会話ならそれほど困らないから」「英語できるんですか」「出来るというわけではないけど」と妙にもつれ込んだ。東京に戻ってからだが、なんかの勧誘で相手の女性の声に、やまとうちなーぐちが混じっているの気がついて、「沖縄の人?」と聞くとそうだという。で、それからちょっと盛り上がったことがある。
最近はそういうのもない。携帯電話の時代でもあるしな。
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コメント
finalventさん、こんばんは、
大変でしたね。うちも非通知にさっそくします。
ちなみに、「低調」 → 「丁重」かと。
投稿: ひでき | 2011.02.07 18:24
ひできさん、ご指摘ありがとう。直しました。
投稿: finalvent | 2011.02.07 18:35
>>ちなみに、これやっておくと、勧誘とかの電話は激減しますよ。
いやぁ、開き直ってかけてくるとこもありますんで、
http://hobtion.com/
というサイトが出来るくらいです。
投稿: てんてけ | 2011.02.07 19:27
我家はナンバー表示のうえに常に留守電にしてます。
たまにナンバー表示だからと出るとやっぱり勧誘だったりします。
出しなに勧誘とわかってすぐ切ったらしつこくかかってきたこともあるが絶対に出ませんでした。
就職したてのころ会社に資格取得通信口座の勧誘があり引っかかってしまったことがありました。粗悪なテキストでまともな口座の倍額くらいであると後になってわかり、結局途中で放りだしました。
ところが十数年後、日曜日の午後にまどろんでいるときに電話がかかり、その口座を終了してないので再チャレンジか又はレジメを送る、という。レジメでさえ3万いくらだというので、どちらも要らぬと断るとしつこくどちらかを選択せよと言うので、何度か断った挙げ句に「こちらから連絡し直すから会社名住所電話番号を言え」と言ったら突然切られやっと解放されました。
さらに数年後また同じ電話があり、前の顛末をすっかり忘れていたため、今度は電話線をはずす羽目になりまsた。後で思い出せば全く同じ声でした。そういう商売の奴がいるということでしょう。
投稿: 笛吹働爺 | 2011.02.07 19:28
ふむ。貼り付かれやすい性格ってありますね。確かに。
人間に関心持ちすぎではないのかなぁ?多分。
投稿: tamamusi | 2011.02.07 22:28
ああ、ウチにも掛かってきました。
つか、1回はウチまで来て、ドア口で粘って「何でドアを開けてくれないんですか」「失礼じゃないですか」とかのたまって去ってゆき、その翌週にしれっとした声でまた電話かけてきて(たぶん同じ人)、また勝手に怒りだしました。
……何がやりたいんでしょうか、この人達?
それにしても、ウチまで来たんなら、投資用の資産なんてどこ見てもなさそうなのは、すぐに判りそうなものなんだが……。
投稿: 義忠 | 2011.02.08 01:02
>相手がふとこう言った。「おまえ、インテリだな」
これ、多分フーテンの寅さんですよね。笑ってあげたほうがよかったんじゃないかな。このネタを受けてあげなかったら、相手が断絶を感じてしまうのではないでしょうか。って迷惑電話なんだからその方がいいか。
迷惑電話ですが、私の場合会社のオフィスに何度も何度もかかって来ます。
やっぱり不動産関係の勧誘で、複数だけれども常連(電話機の横にリストが貼ってある)。「ああ、そういう案件は取り次げないんですよ〜」とやるとすぐ引き下がるのですが数時間後同じ会社から別の社員宛にかかってくる。
運動員の士気が低い選挙の電話作戦だって、もうちょっと粘る気がしますが、あれで仕事として成り立つのだから最後まで話を聞く人もいるのでしょうね。
不思議な商売です。
投稿: hamanako | 2011.02.08 01:47
うちにも時々かかってきます。
「目的は何か」と聞いても、口を濁してはっきり言わないで私の情報(収入など)を探ろうとする。
担当者は明らかな偽名。会社の電話番号を教えろと言っても言わない。
切るとまたかかってくる。根がまじめなので本当にむかっ腹が立ち、切った後手が震えています。
いちど腹を据えて2時間ぐらい付き合ったら、勝手に上司と称する人に変わられて「包茎野郎、お前一生家を買えないようにしてやる」と脅され切られました。
しかしNTTのナンバーディスプレイ、加入権を持っている人にはただでサービスしろ。
投稿: うらたん | 2011.02.08 11:09
掛ける側も同室で何人も詰めてる可能性があり、あっさり引き下がると周囲(上司)に悪い印象が残るので仕方なく掛け直したりしてる部分もあると思う。
切るのは諦めてハンズフリーにして30分から1時間ほど無言で放置しておくと、こちらが相槌を打ってるかのような独り言を聞かせてくれますよ。
もうネタ切れかなって思えてきたら、無職ですとか低年収ですといえば「それですと大変残念ですが査定が・・・」などといい始めるので更に10分放置しておくと自然に切れたりしますよ。
投稿: | 2011.02.08 13:21
無条件の肯定的配慮と、共感的理解というやつですな。
投稿: TURON | 2011.02.09 04:44