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2011.01.06

フィナンシャルタイムズ曰く、菅首相の税制改革の心意気や良し、されども……

 民主党の政治にまったく関心が向かない。鳩山(兄)さんや小沢さんが出てくるよりは、仙谷さんと菅さんのコンビでやるしかないんじゃないのと思うし、そもそも仙谷・菅内閣でできることにそれほど期待が持てるわけもないでしょう。嘘マニフェストぶちあげてしまたのだから、神妙に地味に政治をやってくださいなと思うのだが、そこもダメみたいだ。
 菅さん、社会保障と税の一体改革に「政治生命かける」 とか言い出したらしい(参照)。いや、誰も菅さんの「政治生命」を重視していないって。鳩山(兄)さんみたいに引退宣言を撤回するみたいなことになるんじゃないのくらいしか思っていない。補佐するはずの仙谷さん自身、全然重視してない。報道によっては「財政への危機感の深さで発言したと思う。自らの政治生命か、日本の沈没かというぐらいの決意だったのではないか」(参照)と大げさだが、実際は空言であったようだ。読売新聞「首相の政治生命発言で仙谷氏「責任に直結せず」」(参照)より。


仙谷官房長官は6日午前の記者会見で、菅首相が消費税を含む税制と社会保障制度の一体改革に「政治生命をかける」と発言したことについて、「危機感がそこまで深いという認識と覚悟(を示したもの)だと思う」と述べ、実現できなくても首相の政治責任には直結しないとの考えを示唆した。

 また時事「首相の政治責任問われず=「政治生命懸ける」発言-仙谷官房長官」(参照)ではこう。

 仙谷由人官房長官は6日午前の記者会見で、社会保障制度と消費税を含む税制の抜本改革に菅直人首相が「政治生命を懸ける」と発言したことに関し、首相が示した6月までに方向性を出すことができなくても、野党の対応によっては首相の政治責任は問われないとの認識を示した。
 仙谷長官は「(方向性を出すことが)できない理由による。(野党が与野党協議に)応じない理由が無理筋であれば、少々の猶予はいただける」と述べた。

 そんなところでしょ。
 とはいえ、社会保障と税の一体改革を熱心にするというのはいいことなんじゃないかとも思うのだが、これもようするにまたまた消費税ということらしい。産経新聞「首相「消費税、公務員改革に政治生命懸ける」」(参照)より。

 菅直人首相は5日、テレビ朝日番組に出演し、今後の社会保障制度改革に関し「消費税だけでなく、国民にある程度負担してもらっても、社会保障を安心できるものにする。政治生命を懸ける覚悟でやる」と述べ、消費税増税も含めた年金、医療、介護各制度の安定化に不退転の覚悟で取り組む考えを示した。

 とにかくなにより消費税ということで、ダメだなあ感がじんわりと染みてくる。
 というところで年始のフィナンシャルタイムズ社説が「Tax man Kan」(参照)であった。普通に読めば、「税の男、菅」でそのままなのだが、いまひとつダジャレのネタモトはよくわからない。ビートルズのTaxmanあたりだろうか。



Let me tell you how it will be;
There's one for you, nineteen for me.
'Cause I’m the taxman,
Yeah, I’m the taxman.

これからどうなるか、ご説明しましょう
あなたの取り分は1として、私が19
だって、私は、徴税人
いえい、私は、徴税人

Should five per cent appear too small,
Be thankful I don't take it all.

5%じゃ少なすぎませんか
感謝してくださいよ、全部取るわけじゃないんですから

(if you drive a car, car;) - I’ll tax the street;
(if you try to sit, sit;) - I’ll tax your seat;
(if you get too cold, cold;) - I’ll tax the heat;
(if you take a walk, walk;) - I'll tax your feet.

運転なさるなら、道路に課税
その席に座るなら、椅子に課税
風邪を引くなら、お熱に課税
歩いて行くなら、あんよに課税


 「税の男、菅」はそんなはずはないでしょう。
 フィナンシャルタイムズ社説もまずはあっぱれと褒めている。

Prime minister Naoto Kan used his new year press conference to call for cross-party dialogue on comprehensive reform of Japan’s tax system. It is not the first time a Japanese leader has broached tax reform: for years, the topic has been the subject of much talk but little action by Japan’s politicians – no doubt because it is often followed by poor election results. The prime minister deserves credit for continuing to push the issue.


菅直人首相は新年記者会見を使って、日本税制の包括的改革について超党派的な対話を求めた。日本のリーダーとして税制改革を切り出したのはこれが最初ということではない。何年間もこの話題は議論されたが、日本の政治家による行動はほとんどなかった。理由はといえば実際、この話題の後には惨めな選挙結果が出たからだ。菅首相がこの話題を推進し続けるなら称賛に値する。


 まずは、よいしょ、と。

Though tax rises should not be thoughtlessly inflicted on Japan’s stumbling recovery, it is clear that fiscal reform is imperative to put public finances on solid ground.

日本の経済回復が躓いているなか軽率な増税は避けるべきだが、財政を堅固にするためには、財政改革の必要は明白である。


 フィナンシャルタイムズ社説の言葉遣いが慎重なのは、結論から言えば、消費税はやめとけ、他の増税にしとけ、ということだ。

Japan has scope to tax more, but Mr Kan and his interlocutors must look for the changes that do the least damage. Taxes on wealth and savings should be considered: Tokyo is deep in debt but households and businesses are not. This may be politically difficult, but the private wealth of the Japanese is a fertile tax base. Taxing it could make them save less and spend more: just what the country needs.

日本にはまだ課税余地はあるが、菅氏とその対話者は、日本経済へのダメージを最小限にする変革が求められる。だから、財産と預金への税を考慮すべきである。日本政府は借金で首も回らないが、家計はそうではない。財産と預金への課税は政治的には難しいかもしれないが、日本人が保有する私的財産は肥沃な課税源である。財産と預金に課税することで、貯蓄を削減し支出を増やすことができる。これこそ、日本が必要としていることなのだ。


 まあ、ぶっちゃけて言えば、カネを溜め込んだ民間企業と高齢者富裕層がこれ以上、カネを溜め込んだままにせず、日本社会にカネを出すようにしろということだ。
 さらにぶっちゃけて言えば、これは、マイナス金利としてリフレ政策と同じ効果を持つ。
 「財務省に載せられて消費税なんて言ってんじゃねーよ、頭悪いなあ、菅首相」とかクチの悪いことを言っても社会的には通じないわけで、フィナンシャルタイムズ社説みたいに上手に英国流に言えるようになりたいものである、というのがブロガーとしての今年の目標である。


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コメント

「Tax man Kan」
 元ネタは
 The Byrds 「Turn! Turn! Turn!」 (1965)
 じゃないかしら?
 もっともこれもカヴァーらしいんですが。
 

投稿: にこべん | 2011.01.07 10:38

たしかファイナルベントさんはかつて小沢さんを支持しておられましたね
この人ほど多くの支持者がついては失望して離れる政治家はいないでしょう
もうすぐ民主党を追い出され、政治家として完全に終わると私は予想していますが
ある種の哀しさを感じます

投稿: 軟弱若者 | 2011.01.07 23:14

消費税は、遺産や過去の貯蓄で生活している人にでも、消費に比例して税金がかかりますが、所得税は所得にしか税金がかからないため、資産が少なくて自らの所得で生活している層、すなわち若年現役層に重くのしかかります。
以上より、消費税は所得税に比べ、資産に課税するという側面が強いので、この論調ではよりbetterなのではないかと思います。

投稿: a researcher | 2011.01.11 03:27

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受信: 2011.01.07 06:17

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