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2010.06.05

菅新首相会見から、「ある意味」を抜き出してみた

 菅新首相を会見をぼんやり聞いていたせいか、何をおっしゃっているのか皆目わかりません状態になってしまった。


Pancake Bunny (2001)

 ダメだ俺もうボケちゃったんだと思って、文字起こしされた会見を産経新聞「【菅首相誕生】会見詳報」(参照)で読んでみて、なんで自分がわからなかったか、わかった。「ある意味で」と菅首相が言われると、頭のなかで、「どんな意味で」と自動的に突っ込みが入り、そこが明示されないと、ペンディング状態になるのだが、そのペンディングの積み重ねで自分の脳みそのスタック許容量がパンクしていたのだった。
 こんな感じです。


まずやらなければならないのは、サッカーでいえば岡田ジャパン、ある意味では、菅内閣と同時に、私が代表である民主党の体制をしっかりとしたものとして立ち上げなければならない。このように考えております。

 岡田ジャパンに模されているのが、ある意味では菅内閣なのだから、もしかすると、九月には別の内閣になる。小沢氏もそう言っているし。「「選挙勝てば先頭に立つ」=9月の代表選に出馬?-小沢氏」(参照)によると、「私は立場上、動けなかったが、次につながる良い数字だ。あと90(票獲得)で首相が取れた。90なんて難しい数字じゃない」とのこと。
 

そのためには、この数日間、かなりある意味で、集中して、いろいろなことにあたってきましたので、一度、頭を休めることも含めて頭を整理して、多少の時間をいただいて、新しい体制づくりに入りたいと、このように考えております。

 かなりある意味で集中するというのは、普通に集中するというわけではないということで、ヨガの倒立のポーズをしていたのかもしれないし、牛肉の貝割れ大根添えを食べながら集中していたのかもしれない。あるいは、かなりある意味でいろんなことにあたってきたのかもしれない。量子力学的だなあ。

まず、あの、一般的に申し上げて、これからの政策運営、あるいはいろいろな活動については、まず、しっかりした体制をつくった上で、私1人ではもちろんできるわけではありませんので、そうしたそれぞれの役割を担っていただくみなさんとよく相談をしながら進めていきたい。こう考えております。そういった意味でですね、必ずしもこの場で、すべてを私が1人でやるわけではありませんので、そのことについて、相談した上で決めることも多いということはご理解をいただきたいと。こう思っております。
 そういった意味というのは、菅さんが自分で責任を取らずに進めていきたいということ。
鳩山内閣との違い、というご質問でありますけれども、今日も朝の両院(議員)総会の席、あるいは、特に立候補したときの席でも申し上げましたように、鳩山総理からは日米の関係、日中の関係、日韓の関係をしっかりやってほしい、さらには地方主権国家、新しい公共、そして地球温暖化の問題、そういった課題についてしっかりやってほしいと。そういうことも言われているわけでありまして、そういったことについては、まさに鳩山内閣がやろうとして、着手をしたけれども、さらに進めなければならない問題を引き継いでいくという意味では、鳩山内閣と多くの点で、同じ民主党内閣でありますから、共通した方向性を持っていると。このように思っております。
 どういう意味かというと、この内閣は、鳩山政権が残した失態を引き継いでいくという意味なので、それはとても納得できる意見だと思う。でも、その割にまるでその文脈とは異なる新内閣として人事をがちゃがちゃいじっているのはなぜなんだろうか。トバイアス・ハリスさんの「菅首相に新内閣は必要ない」(参照)を参考にしたらよいのに。
と同時に、これもまた、代表選の立候補のときにも申し上げましたけれども、鳩山総理ご自身が政治とカネの問題、普天間の問題ということで国民のみなさんの理解が得られないということを自覚された中で、ああした勇断をもっての行動をされたわけでありますから、その点は逆に鳩山代表から、ある意味では、そういった問題を変えてほしいという期待でありますので、特に政治とカネの問題についてはきちっと襟を正した姿勢を示していかなければならないと思っております。
 ある意味では普天間問題と政治資金問題を変えるというのは、別の意味では変えないということなんだろうか。まあ、そのあたりが本音かな。これまで副総理だったけど普天間問題にはノータッチだったし、政治資金問題はブーメランになりそうだし。
普天間の移設問題は、基本的には日米間の合意を踏まえ、同時に、その合意の中にも盛り込まれておりますけれども、沖縄の負担軽減ということを重視をして、この問題、相当に大変な問題でありますので、しっかりと、ある意味では腰を据えて取り組んでいきたいと思っております。
 ある意味では腰を据える、ある意味では、尻を据える。あるいはある意味では腰を据えない。まあ、沖縄の負担軽減にはそれほど腰を据えないようだ。というのは、沖縄県知事や県民に会いに行くスケジュールの話はなかった。そういえば、口蹄疫の話もなし。
今も何度も繰り返して申し上げましたけれども、何か、この、どのグループをどうこうするという、そういう発想はまったくありません。そういう中で、この数日間は、ある意味で、代表選挙、首相指名というところまでですね、短い期間ではありましたが、集中的にそこにエネルギーを注いできましたので、いろんな意見を聞くことも、まあ、選挙はどうしても応援してくれるかどうかということが1つの判断にならざるを得ませんが、選挙が終わればまさにノーサイドですから、適材適所でどういう方がもっともふさわしいか、いろんな意見を聞いて進めていきたいし、まさにそのために若干の時間をいただきたいと思っております。
 なんど読み直しても、何を言ってるのか皆目わからん。ノーサイドを強調したいんだろうとは思う。「これからはノーサイドでいきましょう」だけでよさそう。
ま、選挙について、これまで小沢幹事長を中心に、もう相当程度、候補者の擁立はもうほとんどと言ってもいいかもしれませんが、進んでおりますし、いろいろな準備が進んでいることも承知をしております。そういう、進めていただいた今の状況を改めて、ま、私自身も把握をしなければならないと思っておりますが、何よりも、どういう方にですね、それを、ま、ある意味で引き継ぐのか、ある意味ではすでにそういう役目についている方に継続をいただくのか、まさにそれも含めて、この、ある程度の時間をいただいた中で、しっかりと決めていきたいと。
 ひと言でいうと、選挙についてなんも考えてない。あるいは、選挙については言いたくない。
私なりのイメージで申し上げれば、昨年の政権交代に、ある意味で託していただいた国民の皆さんの思いは、今の日本が大変、何と言いましょうか、活力があって、どんどん、この元気良くなっているというよりは、どんどん経済も低迷し、あるいは自殺の数も減らない。こういう閉塞感を打ち破ってくれないかと。ある時期、それを小泉さんに託するという結果も、2005年の選挙ではあったわけですけれども、それが、ある意味、国民の期待にかなわなかったなかで、昨年、民主党に政権を託すことによって、そうした閉塞感、閉塞した状況を打ち破ってもらいたい。私はそこが一番の思いだと思っております。
 ある意味で託したけど、別の意味で民主党に託していないというのは、そう。小泉政権もある意味国民の期待にかなわなかったけど、ある意味かなっていた。シュレディンガーの猫。
そういった意味では、まさに、政権がスタートして8カ月余り。最初の予算はやはり、9月の政権成立という、かなり時間的にも制約があるなかで、あるいはリーマンブラザーズの破綻(はたん)といったなかで、予想を超えた税収落ち込みといった制約のなかで作り上げた予算でありますから、来年度の予算は、基本的な考え方も含めてですね、これから20年。これまでの20年間の間違った政策を改める。ある意味では、本格的な第一歩がここから始まると。こう思っております。
 ある意味では第一歩だけど、先に述べていらっしゃったように、鳩山政権の失態を継ぐのだから第一歩にはならない。
農業の所得補償、1兆円という数字も挙げていただきました。私も民主党の農業再生本部長なども務めて、そうした議論の中から直接支払制度、そういったものがある意味で議論として浮かび上がって政策としてマニフェストに盛り込まれたということはその通りであります。
 ある意味でマニフェストに農家の直接支払いを盛り込んだが、ある意味ではそうではなくなる、と。
ギリシャの例は、ある意味でもちろんあれは外国が国債を買っていたということもありますが、結局マーケットがそれを信認しなくなったことで、ああした危機が訪れたわけであります。
 これは、ある意味ではなく、べたのその意味なんで、財政に弱い菅さんの面目躍如。
さらに日本は大変いい地政学的な位置にあります。まさに今やアジアは世界の、まさに発展地域であり、歴史的にももっともすばらしい発展を遂げつつある地域でありまして、その一角に位置している日本は、もちろん発展途上の国と今の日本の状況はいろいろ違いますけれども、少なくとも中国やインドやベトナムや多くの発展を続ける国々と、ある意味で補完関係になることができる。
 ある意味では補完関係だけど、ある意味では敵対関係。またある意味では、対中国の緩衝的な意味合い。いろんな意味がある。たくさんならべると無意味。
いまや中国に行っても、大きな事業はヨーロッパがドンドンとっているですね。なぜこんなことになったのか。私は小泉内閣時代の政治的な日中関係の経熱政冷とかという、ちょっと言葉が正確であるかどうかあれですが、経済は熱いけども政治は冷たいという言葉が同時ありましたけれども、実は政治が冷たければ経済も決して熱くはならないということをですね、当時の失敗の一つの原因であったと、このように考えております。そういった意味で、少し長くなりましたけれども、過去の失敗をきちっと検証していけば、将来に向かっての成長の道筋は必ず開けると、このように考えております。
 そういった意味というのは、政治が冷めても経済は熱いという状態は過去の失敗の検証で達成できると。そう、小泉政権を学ぶべし。
いずれにしても、先程来、申し上げていますように、新しい党の機構、態勢をどうするか。全員が参加できるための1つの大きな役割として、政調の復活が必要であり、そのことは必ずしも一元化に反するのではなくて、ある意味で、一元化をする中での幅広い裾野を形成するもになる。このように考えております。
 ある意味で政調は一元化には反しないと。それはそう。一元化というのは、道路問題で顕著だったけど、小沢一元化だったのだから。
まず社民党のことでありますけれども、実は、この間も、国対などを含めて、昨年の3党合意の中での政策について、もちろん普天間の問題については意見が合わないということで離脱されたわけですけども、それ以外の多くのところでは意見が一致してきているわけですので、それをどのような形で実現にこぎつけるのか。今日もあいさつに伺いましたら、特に派遣法の問題など、お互いに議論をし、苦労をし法案までこぎつけたものについて、ぜひ一緒に成立をさせようじゃないか、ということも福島党首からもお話をいただきました。そういった意味で、政策を中心にした協力関係、改めて党の態勢ができた中で、これまでの経緯も含めて、話し合っていきたい。そういう中では、広い意味での国会運営の協力ということもお願いするというか、少なくとも同じ法案については、同じような行動を、共に賛成する法案についての同じような行動をすることになりますので、そのこともお願いしていきたい。そのように考えております。
 社民党とは連立を解消したけど政策合意はできるし、国会運営に協調できるということ。それは歓迎。郵政国営化についても他党とよく協議していただきたい。
また、鳩山代表、小沢幹事長とのトロイカ体制についてでありますけれど、野党の時代にそういう表現がかなりあったことも、よく承知しておりますし、それぞれの役割分担でこの民主党を、ある意味、どなたかが代表であったりしましたけれど、1つの方向性を打ち出してきたことも事実だと思っております。
 ある意味事実であった。事実でないとも言える。意味の取り方で事実は変わる。そんなまさかね。

 とまあ、いちいち突っ込みを入れてみたけど、実際はただの口癖なんだろうけど、言質を取られまいと緊張しすぎて、なんだかわけのわからない話になっているのは確か。
 菅内閣は独自性を出すためではなく、鳩山内閣の失態を繕うことが課題だからそれほど意気込まなくてもよいのに。それに、鳩山政権のナンバーツーであったにもかかわらず、実際上なんもしてこなかったわけだから、その呪いのようなものがこれから襲うのではないかな。

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2010.06.04

6月3日発売週刊文春記事「鳩山官邸マル秘作戦”権力にしがみつけ”(上杉隆)」が面白かった

 鳩山由紀夫首相の退陣表明があった6月2日の翌日に出た、6月3日発売の週刊文春記事「鳩山官邸マル秘作戦”権力にしがみつけ”(上杉隆)」が面白かった。ヒュー・エヴェレット三世(参照)の多世界解釈の視点からも興味深いし、ごく政治記事としても面白い。以下は後者の視点から。

cover
週刊文春6月10日号
 すでに退陣してしまった鳩山首相だが、3日のこの記事ではまだ退陣していない。それどころか、この記事の世界のメディアは首相退陣論が噴出しているとして、ジャーナリスト上杉隆氏はこう断じている。

 だが筆者は一貫して選挙前の首相退陣はない、と言っている。

 上杉氏は一貫してそう述べていたそうだ。もしかすると、3日の時点でも一貫して述べている可能性もないとは言い難い。
 その一貫性の理路も興味深い。

小沢幹事長がこの時点で鳩山首相と再三会っていることこそ、退陣がないことの証だ。なぜなら、ここで首相を辞めるとなれば、小沢幹事長の進退問題に話が及ぶ可能性があるからだ。

 確かに、退陣前になって鳩山首相と小沢幹事長が頻繁に会うようになったのだが、それは結果論に近い。むしろ重要なのはここで上杉氏が意図的か非意図的にか書いてない部分に今回の真相があったのだろう。つまり、小沢氏ではなく、輿石氏である(参照)。輿石氏の関与から鳩山首相辞任問題が急転する。
 いずれにせよ上杉氏がそう考える補強として記事では、小沢側近スタッフの言葉を引いているのだが、小沢側近スタッフが誰なのかわからないので、その言明の信憑性は記者上杉氏への信頼性に依ることになる。そして話はこう続く。

小沢幹事長が交替を求めれば退陣であろうし、必要だと言えばそのまま続投なのである。最高権力者の意向が明らかになった以上、もはや鳩山首相の辞任はないだろう。

 問題は二つある。(1)小沢氏の意向は明確だったか、(2)小沢氏の意向だけではどうにもならなかったか。
 輿石氏のファクターを入れなければ、前者の論点しかない。
 上杉氏の記事は以上が前半で、その基盤の上に後半にさらなる議論が続く。言うまでもなく上杉氏の記事と限らず前提が間違っている推論はすべて間違いである。

 それはまた、鳩山官邸がひそかにもくろむシナリオにも合致する方針である。官邸の鳩山側近らの話を総合すると、次のような狙いがあるようだ。
 六月は郵政法案の成立可否などで国会が大荒れになる可能性が高い。だがそれが鳩山官邸にとっては功を奏しそうだ。
 口蹄疫などの対応をめぐる集中審議や大臣罷免などを求める声も野党から上がるだろう。だがそうした抵抗が強ければ強いほど、国会は空転し、それこそが再興の時間稼ぎの材料となる。
 六月末には主要国首脳会議(サミット)もある。

 この叙述から鳩山首相の要素を消してみる。それでも、国会の空転は続く。さてそれがどう参院選に結びつくか。
 上杉氏のお話は別の世界の叙述である。そこではさらに、鳩山首相で選挙を戦うと続く。

選挙が始まれば不測の事態以外に代表を替えることはできない。よって、選挙まではこの体制が続くのだ。

 選挙後も続くとして「側近」の談話を伝えている。

「参院選で惨敗してようが、何があろうが九月の代表選には必ず出馬する。勝てばいいが、仮にそこで敗れた賭しても、自民党の安倍や福田のように、自ら首相の座を放り出したわけではない。捲土重来、復活を目指す。政治は生き物だ。先はどうなるかわからない。」

 これを受けて、上杉氏も「民意はどうであれば、夏の終わりまで鳩山政権が続くことだけは確定する」としている。しかし、談話で重要な点は、「政治は生き物だ。先はどうなるかわからない」のほうであった。
 上杉氏の記事を読み返してみて、確実なソースは一つもなかったなというと、なぜ輿石氏の線を読まなかったのか不思議に思える。
 加えて、この話を週刊文春が掲載してしまった理由もよくわからない。上杉氏のジャーナリストとしてのブランド価値はそこにあると判断してのことかもしれない。

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2010.06.03

フィナンシャルタイムズ曰く、恐るべき失望の民主党にだって希望はある、たぶん

 本当はいい人なんだよ、ボクたちワタシたちの鳩山さんの悪口をいうなということで、いろいろ罵倒もいただいております。ご苦労様の一声もかけてやってあげたら、とも。
 聞く耳を持たなくなっては私の不徳の致すところになりかねない。が、そういうものなんだろうか。
 ご参考までに、フィナンシャルタイムズの鳩山首相の評をご紹介。2日付け「DPJ’s setback may be good for Japan」(参照)より。鳩山首相について。


As prime minister, he has dithered and thought out loud. His indecisiveness was symbolised by his humiliating climbdown over the relocation of the Futenma US military base. That political miscalculation alone merited resignation.

首相として、彼はぶれまくり、思いつきを口を出してしまっていた。彼の優柔不断は、普天間飛行場移設での屈辱的な撤回表明によく表れている。この政治的誤算だけでも、辞任に値する。


 フィナンシャルタイムズが鳩山氏の辞任についての国際的評価をすべて表しているわけではないけど、まあ、概ねそういう評価だということ。
 で、現下民主党についての評価はどうかということ、こう。

The public had been desperate to rid the country of the LDP and give the opposition a chance. But Mr Hatoyama’s party has been a terrible letdown.

日本の民衆は、自民党国家を除去しようとやけくそになって、反対党にチャンスを与えてきた。しかし、鳩山氏の政党は、恐るべき失望になっている。


 民主党は、恐るべき失望なのである。ま、そういうこと。どの時点でそう思うかという問題はあるにせよ。

At first blush, their twin resignation looks like an unmitigated disaster, both for the DPJ and for Japan. Without Mr Ozawa, the DPJ is deprived of its most astute strategist weeks before an upper-house election that could determine its ability to pass legislation for the next three years.

一瞥すると、鳩山・小沢両氏の辞任は、民主党と日本にとって純然たる災害にも見える。小沢氏の不在で、民主党は参院選前の最も狡猾な策士が奪われる。この参院で今後三年の立法が決まるというのに。

As for Japan, it looks as if any hope for a new kind of politics has been dashed. Instead, the country has reverted to the well-worn path of political sleaze and now-you-see-them-now-you-don’t prime ministers.

日本にとって、新しい政治というものへの希望が砕かれたようだ。希望をなくして、日本は古くさい政治不祥事と手品のように「消えますよ、消えますよ、ほら消えた」の首相に舞い戻っている。


 どうするんだ、立ち枯れ日本、という雰囲気でもあるが、それでもフィナンシャルタイムズは、希望はあるという。そりゃ、政権交代やってみなという蛮勇があるくらいだから希望だってあるでしょう。

There is another possibility. With both Mr Hatoyama and Mr Ozawa gone, Japan’s body politic has been lanced of two festering boils. That could actually leave the DPJ in a stronger position. The party has not been all bad.

他の可能性もある。鳩山・小沢両氏が去ることで、日本の政治は、悩ましい二つのおできをぶちっとつぶしたことにもなる。その結果、民主党はもっと強くなるかもしれない。民主党はなにからなにまでひどいわけでもない。


 おできねえ。まあ、そうか。膿を出したということか。日本人から見ると、でっかい膿の塊みたいなのがずでーんと参院の頂上にいるようにしか見えないが、まあ、フィナンシャルタイムズの話を聞こうじゃないか。何かいいことあるんかい?

An ill-thought-out reversal of postal privatisation may now fall by the wayside.

郵政民営化に対する了見違いの逆行も今や中断するかもしれない。


 それは確かにそうだ。鳩山首相も「斎藤次郎の起用がつまずきのきっかけだった」と考えていたようだし(参照)、人間に戻りつつある最後のプレゼントだったのかもしれない(参照)。
 具体的に次の「消えますよ、消えますよ、ほら消えた」候補は誰? 何? 菅? イラカンの菅?

In Naoto Kan – finance minister and frontrunner to take over as party leader, and hence prime minister – it has a politician with the potential to rally both party and country. Mr Kan’s popularity dates back 15 years when, as a minister, he helped expose a tainted blood scandal.

菅直人、財務相であり党指導者として前線に立ち、だから首相の器のある彼は、民主党と日本をまとめ上げる能力のある政治家だ。菅氏の人気は、汚染血液スキャンダルの暴露を支援した一大臣であった15年前に遡る。

Since then, he has co-founded the DPJ and articulated fairly consistent economic policies, including raising consumption tax to bring public debt under tighter control.

以来、彼は民主党の共同設立者として、かなり一貫性のある経済政策を描いてきた。これには、財政赤字を厳格な制御の下に置くための消費税引き上げも含まれている。


 笑った。
 鳩山首相が「とことんクリーンな民主党に戻そうじゃありませんか」と言ったとき、その脳内に走ったのは、多分、「草志会」のこと。昨年11月27日産経新聞「菅氏「寄付金偽装」で違法性を否定」(参照)より。

 菅直人副総理・国家戦略担当相は27日午前の閣議後記者会見で、自身の資金管理団体で全国後援会の「草志会」が支持者からの後援会費を「寄付」として処理していた問題について、「支持者からのお金は政治資金規正法に基づく寄付と認識しており、その旨を明記した領収証も発行している。顧問弁護士も問題はないと判断している」と語り、違法性はないとの認識を示した。
 ただ、菅氏は草志会の入会案内に同会の経費に「会費」などの収入を充てるとの表現があることに関しては、「会費という言葉が誤解を招いた」とし、表現を改めることを明言。政治資金収支報告書を改める考えがないことも強調した。
 平野博文官房長官は同日の会見で「コメントは差し控えたい」と述べた。
 草志会は1口2万円で年会費を募り、平成16~20年の5年間に個人から計約6000万円の寄付を集めた。このうち延べ1246人分の4224万9120円について総務省から「寄付金控除証明書」の交付を受けたことが判明。政治資金規正法は後援会費の税額控除を認めておらず、同法違反(虚偽記載)の疑いが持たれている。

cover
四国遍路
辰濃和男
 フィナンシャルタイムズとは違った方向で、日本では菅首相の出現に期待している状態ですよ。

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2010.06.02

鳩山由紀夫首相、辞任

 鳩山由紀夫首相は退陣すべきだと思っていたが、これまでどれほど失態しても嘘と無責任を貫いてきたので、このまま参院選で痛い目に合うしかないのだろうとも思っていた。しかも実際にはそれほど痛い目に合うこともないのかもしれない。そんな中、今日午前、鳩山首相辞任と聞いて少し驚いた。小沢幹事長も辞任すると聞いて、もう少し驚いた。辞任の弁を聞いて、呆れた。
 会見では鳩山首相は涙ぐんでいるようにも見えた。辺野古に新基地を押しつけた時点で辞任を考えていたのかもしれない。が、実際に話を聞いていると、本当にダメだったんだなこの人という思いを新たにした。産経新聞「鳩山発言詳報」(参照)より。また、ユーチューブにも公開されている(参照)。

■ 国民に聞く耳がなかった、と


ただ、残念なことに、そのような私たち政権与党のしっかりとした仕事が必ずしも国民のみなさんの心に映っていません。国民のみなさんが徐々に徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった

 嘘ばかり言うのだから、聞いていても信頼はできない。後から「そういう意味で申し上げたのではございません」とか言うのだろうくらいしか思わない。それにしても、国民に向かって聞く耳を持たないと述べる首相というのは驚いた。普通は逆であるべきだ。できるだけ国民の声を聞く耳を首相が持つべきであった。

■ 普天間問題の本質は米国に依存する安全保障だ、と


私はつまるところ、日本の平和、日本人自身で作り上げていくときを、いつかは求めなきゃならないと思っています。アメリカに依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けていいとは思いません。そこのところもぜひ、みなさん、ご理解をいただいて、だから鳩山が何としても、少しでも県外にと思ってきた。その思い、ご理解を願えればと思っています。その中に今回の普天間の本質が宿っていると、そのように思っています。いつか、私の時代は無理でありますが、あなた方の時代に日本の平和をもっと日本人自身でしっかりと見つめ上げていくことができるような、そんな環境をつくること。

 自国防衛は自国で行うべきだというのはわからないではない。しかし、そのための礎石を普天間問題から着手したというのだ。普天間の本質は安全保障の米国依存を減らすためであったというのだ。呆れて物が言えない。
 普天間の本質は、危険な基地とともに生きる沖縄県民の安全や生活を守るためにある。いかにして普天間飛行場を撤去するかということだ。
 沖縄を日本国家の安全保障問題の道具にしないでいただきたい。結局は鳩山首相は国家の安全保障という国家の問題を沖縄問題にすり替えているという意味で沖縄への差別に荷担することになったのは理の当然ではないか。
 「これから50年、100年」というなら、どのように半世紀先を見るのか一世紀先を見るのか、そのビジョンがないから、北朝鮮の軍事活動に泡を吹く羽目になってしまった。一国の首相たるものは、寺島実郎氏のような評論家であってはならない。
 国力が低下していく日本国が、軍事大国化する中国にどう向き合うのかは、長期的な展望が必要になる。自国防衛を自国で行うためにはどのような防衛の制度が必要なのか、その長期や中期の枠組みなかで短期の問題やローカルな問題をどう切り分けるか。それこそが、オペレーションズ・リサーチ的な課題でもあったはずなのに、鳩山首相のパースペテクティブがまったく狂っていた。

■ 政治資金規正法違反の元秘書は知らぬ存ぜぬ、と


そもそも私が自民党を飛び出してさきがけ、さらには民主党を作り上げてまいりましたのも、自民党政治ではだめだ。もっとお金にクリーンな政権を作らなければ国民のみなさん、政権に対して決して好意を持ってくれない。なんとしてもクリーンな政治を取り戻そうではないか。その思いでございました。それが結果として、自分自身が政治資金規正法違反の元秘書を抱えていたなどということが、私自身、まったく想像だにしておりませんでした

 カネに苦労したこともなく(さらに言えば政治家としての経験も足りないのだが)、カネにまつわる汚いことに目をつぶって、ボクちゃんはクリーンだというのはないでしょう。不倫の後始末をお母さんからカネでかたをつけてもらってクリーンだと思って生きたのだろうか。
 普通、娑婆に生きていたら、カネにまつわる裏切りや血しぶきを浴びながら、大人というのは汚れて生きるものだなと思うのではないのか。そこを経て初めて、可能な政治を求めようとする。
 「自分自身が政治資金規正法違反の元秘書を抱えていたなどということが、私自身、まったく想像だにしておりません」というのは潔白や純真の証明ではない。すっこんでなさいお坊ちゃんというだけの恥ずかしい話だ(秘書はまさにお坊ちゃんをすっこませていたのだろうが)。

■ 郵政官営化のどこが新しい公共なのか


新しい公共もそうです。官が独占している今までの仕事をできる限り公を開くということをやろうじゃありませんか。みなさん方が主役になって、本当に国民が主役になる、そういう政治を、社会を作り上げることができる。まだ、なかなか新しい公共という言葉自体がなじみが薄くてよく分からん。そう思われているかもしれません。ぜひ、きょう、お集まりの議員のみなさん、この思いを、これは正しいんだ。官僚の独占した社会ではなく、できるだけ民が、国民のみなさんができることは全部やりおおせるような社会に変えていく、そのお力を貸していただきたいと思います。

 「新しい公共」という言葉がわからないのではなく、その言葉の看板でやっている郵政の逆行がまるで理解できなかった。今回参院改選となる議員が当選した時代の民主党のマニフェストでは郵政の銀行と保険を解体するとしていた。なのにこの政権ではまったく逆になった。官から民ではなく民から官になっていた。トップに財務省閥を据え付けた。
 高速道路無料化でも言っていることとやっていることはまったく矛盾していた。実態が伴わない言葉をどう理解していいのだろう。

■ 小林千代美衆院議員に辞職を勧めたのは、よかった

 とはいえ、鳩山由紀夫首相退陣の弁のなかで、一つだけよい話もあった。小林千代美衆院議員に辞職を勧めたことだ。


重ねて申し上げたいと思いますが、きょうも見えております小林千代美(衆院)議員にもその責めをぜひ、負うていただきたい。まことにこの高い壇上から申し上げるのも恐縮ではありますが、私たち民主党、再生させていくためには、とことんクリーンな民主党に戻そうじゃありませんか、みなさん。そのためのご協力をよろしくお願いたします」

 別の言い方をすると、首相が詰め腹しないことには小林議員辞職はなかったということなのだろうか。小林氏の支援団体の強靱さを思う。

■ 少し関連の話を

 今回、併せて小沢一郎幹事長の辞任も決まった。これを鳩山首相が小沢氏に説得したかの読みもあるようだが、会見で涙している小沢氏を見たとき、私はそうではないなと思った。小沢氏は小沢氏で今回の事態の責任を取ろうとしているのではないかと私には思えた。ただ、それで小沢氏の院政がなくなるかはわからない。原口一博総務相が首相に付くようなら、考え直さざるを得ない。
 後任の首相に誰が付くか? 民主党がかつて自民党を非難していた論理でいうなら、ここで衆院も解散総選挙すべきだろう。つまり、それはないという前提で、次の首相は誰かというわけだ。自民が悪いと叫ぶ怪獣ジミンガーの背に乗ってどんな首相が登場するのだろうか。菅直人副総理であろうか。
 今回の鳩山首相辞任の直接的なシナリオライターは輿石東参院議員会長であろうと思う。自身の選挙を支える日教組からみで社民党シンパの票の読みが危うくなったためであろう。別の言い方をすれば、社民党が輿石氏を突いたのだろう。つまり社民党が逆鱗であったのだろう。

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2010.06.01

さらにその後のグアンタナモ収容所

 前回関連のエントリ「その後のグアンタナモ収容所」(参照)を書いてから一年も経っていないが、さらにその後のグアンタナモ収容所はどうなっているだろうか。少し動きがあったので、忘れないうちにメモ書きしておきたい。
 昨年のエントリで私はこう書いた。


 グアンタナモ収容所問題は日本に関係ないと見なされているのか、あるいはオバマ大統領の公約について日本で報道された後は、その通り閉鎖されてしまったと思われているのか、その後の経緯はなかなか日本では報道されないが、アムネスティの勝利が確実になるように、今後の動向を見続けていたい。

 さらにその後だが、あまり日本では報道されていない。ブッシュ政権下ではあれほど報道されていたのに、しかもオバマ大統領はグアンタナモ収容所閉鎖を公約としていたのに、その後どうなったのだろうか。
 私は見なかったのだが、5月17日TBSニュースバード「ニュースの視点」と「グアンタナモ・ダイアリー」が取り上げられたらしい。関連のWebページ「グアンタナモ・ダイアリー(余聞)」(参照)にはこうある。

 オバマ政権で比較的筋を通すことではブッシュ時代の司法長官とは一線を画していたエリック・ホルダー長官までもが、タイムズスクエア事件のあと、テロ容疑者には「ミランダ・ライツ」(黙秘権や証言拒否の権利、弁護人選定の権利)の告知を制限してもいい、などと言い出す始末だ。
 グアンタナモ収容所という存在自体が、テロ行為や自爆攻撃を「再生産」しているのではないか、という自分たち自身を見つめる視点は、そこにはない。

 というわけで、「自分たち自身を見つめる視点」がどうなっているのか。
 日本国内の報道はほとんどないが、この間、少し動きがあった。29日付けVAO「US Report Outlines Fates of Guantanamo Bay Prisoners」(参照)が読みやすい。

A U.S. government report says most of the people held at the military prison in Guantanamo Bay, Cuba when President Barack Obama took office were low level fighters, not terrorist leaders or operatives involved in plots against the U.S.

米国政府調査書によれば、オバマ大統領就任時にグアンタナモ収容所に収容された軍囚人は低レベルの戦闘員であり、米国に対してするテロ指導者でもなく工作員でもないとしている。

The Washington Post's website on Friday published the report, which was ordered by Mr. Obama as a step toward closing the Guantanamo prison.

金曜日のワシントンポスト紙のWebサイトによると、これはグアンタナモ収容所閉鎖に向けたオバマ大統領の一歩であるとしていた。


 VOA記事には明記されていないが、該当のワシントンポスト紙Webページは「Most Guantanamo detainees low-level fighters, task force report says」(参照)のようだ。
 それを読むと、なるほどオバマ大統領は着々と公約を実現しつつあるという印象を持つ。だが、そうでもないという論評はすでにワシントンポスト紙のコラムニスト、マーク・シーセン(Marc A. Thiessen)氏が指摘している。「Where are the Gitmo goatherds?」(参照)がそれだ。
 彼の指摘だと、低レベルの戦闘員とはいえその内実を見ると、テロに荷担すると見なされる人の数は少なくない。

In other words, 95 percent of those held at Guantanamo are confirmed terrorists.

言い換えれば、グアンタナモ収容所内の95パーセントはテロリスト確信犯である。


 どういうことなのだろうか。

Well, if that was the real news, why wasn't the Obama administration trumpeting the results from the rooftops? Why did they leak the report on the Friday before Memorial Day weekend, when the White House typically tries to bury bad news?

まあ、もしこれが本当にニュースだというなら、なぜオバマ政権は屋根に上って勝利宣言をしないのか? なぜ政府は、この報告を戦没将兵追悼記念日前の金曜日にリークして来たのか?

Because the report is bad news for the Obama administration and its allies on the left.

理由は、この調査書はオバマ政権とその賛同左派にとって悪報だからである。


 マーク氏はこのあと、「だからチェイニー氏が正しかった(For one thing, it means Liz Cheney was right)」と論じていくのだが、問題は実態である。現実のところ、グアンタナモ収容所は閉鎖されるのかということだ。
 今回のワシントンポスト紙のリークの直前になるのではないかと思うが、この問題は社説「Politics and fear-mongering keep Guantanamo open」(参照)でも扱われていた。オバマ大統領のグアンタナモ収容所閉鎖公約について。

Such failure seemed unlikely; after all, the president would have four years to close the notorious prison -- a goal shared by his Republican predecessor. Failure does not seem as far-fetched now, because of administration missteps and Congress's crass politicization of the issue.

公約の失敗はなさそうに見えた。最終的に、任期の4年掛けて悪名高い収容所を閉鎖するものと見られていた。この最終点については、共和党政権でも同じだったものだ。ところが、オバマ政権の失態はもはやこじつけではない。オバマ政権は失策し、議会は愚かな政治問題にしてしまったからだ。


 議会がこうした話題を政治問題化するのは、ある意味でしかたがない。日本でも普天間飛行場の撤去問題が政局になってしまっているのを見れば納得しやすい。
 問題はオバマ政権の失態とは何かだ。このブログの以前のエントリで示したドタバタの継続があったのち、こう展開していた。

Meanwhile, the administration undercut its argument for civilian trials by bungling the logistics and politics in the case of Sept. 11 mastermind Khalid Sheik Mohammed; the Justice Department backed, then backed off of, a New York City trial, and has failed to announce when and where Mr. Mohammed will be tried.

この間、オバマ政権は、セプテンバー・イレブンの主犯ハリド・シェイク・モハメドを一般法廷で裁判に掛けるという議論を、根回しと政策の不手際からダメにした。司法省はニューヨークの連邦地裁差し戻し撤回し、いつどこでモハメド氏の裁判を開く広報に失敗した。


 この話題は2月に国内報道もあった。産経新聞「9・11裁判でオバマ政権“迷走” 主犯格「NYで裁判」一転、軍事法廷「排除せず」」(参照)より。

米中枢同時テロ(9・11)の起案者とされるハリド・シェイク・モハメド容疑者らの裁判をめぐり、オバマ米政権が“迷走”の色を深めている。ニューヨークの連邦地裁で公判を開廷する方針から一転し、当初は否定的だった軍事法廷で審理する可能性にも言及し始めた。テロリストを一般法廷で裁くことへの野党や国民の批判の高まりなどが背景にあるが、軍事法廷での審理はオバマ政権が掲げる「透明性」の自己否定ともなりかねず、大統領は苦しい判断を迫られている。


 一般法廷では不採用となる証拠類も軍事法廷では場合によって採用が可能なほか、一般法廷のような公開義務もないため、国家のダメージを最小限に抑えられるメリットもある。
 ただ、こうした不透明な訴追手続きは、グアンタナモの収容施設の閉鎖方針に代表されるように、対テロ対策で透明性や公平性の確立を目指す政権の方針に逆行する動きになりかねない。オバマ大統領は今後数週間で、決断を下すものとみられている。

 先のワシントンポスト紙社説に戻ると、どうやらその決断は下せていないようだ。
 結局、どうなるのだろうか? 鳩山由紀夫首相のような嘘でごまかすわけにもいかない。問題解決の条件は、はっきりしている。

The administration also has failed to work aggressively to establish a legal framework to authorize and govern the indefinite detention of some who may be too dangerous to release but who cannot be put on trial. So Guantanamo Bay lives on.

危険すぎて釈放できず、しかも裁判にも掛けられない容疑者の無際限拘留を認可し統制するための法的枠組みを精力的に作成することにオバマ政権は失敗している。だから、グアンタナモ収容所が存続しつづけている。


 つまり、グアンタナモ収容所撤去というのは、ただ撤去すればよいという単純な問題ではない。
 単純ではない国家的難問を現実を無視した理想で突っ走って、そのツケを国民に回すのが好きな人びととして愚かな政治家の殿堂入りを果たした鳩山由紀夫氏の横に、仲良くバラク・オバマ氏を並べるのは3年後のことになるかもしれない。見守っていきたい。

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2010.05.31

オバマ・ドクトリンはブッシュ・ドクトリンとどこか違うのか?

 この数日、日本でルーピー・ショー(The Loopy Show)が盛り上がっている間、米国では戦没将兵追悼記念日に前にして、27日、オバマ政権発足後、初めての国家安全保障戦略、通称、オバマ・ドクトリンが発表された。国家の安全保障を示すドクトリン文書は政権ごとに議会への提出が義務づけられている。米国オバマ政権にとって、外交政策の指針となる文書でもある。
 日本の大手紙社説ではまだこれを扱っているところがないようだ。明日あたり扱うのだろうか。このところどうしたわけか、大手紙の社説の情報感度が非常に悪い。口蹄疫の問題でも、このブログでは9日に「2000年と2010年の口蹄疫: 極東ブログ」(参照)で取り上げたが、大手紙社説で最初に口蹄疫問題を取り上げたのは13日の毎日新聞だった。他大手紙はさらに遅れた。あるいは、オバマ・ドクトリンについては社説で扱うほどの問題でもないのかもしれない。
 オバマ・ドクトリンについて国内情報がないわけではない。28日付け朝日新聞「「軍事より外交的解決を優先」 米、新安保戦略を発表」(参照)では、冒頭、ブッシュ・ドクトリンとの差を伝えていた。


軍事力を安全保障上の礎石としつつも、国際協調主義と外交的関与による解決を優先する方針を明確にし、ブッシュ前政権の単独行動主義や先制攻撃論などと一線を画す姿勢を示した。

 28日付け産経新聞「「オバマ・ドクトリン」発表 「先制攻撃」排除、北とイランには圧力も」(参照)も同じような切り出しだった。

「武力行使の前に他の手段を尽くす」とし、ブッシュ前政権が国家安全保障戦略で打ち出した「先制攻撃」を排除し、「ブッシュ・ドクトリン」との違いを明確にした。また、国際協調を進め、国際社会における米国の指導的立場の確立を目指すとした。

 こうした報道を見ると、さすがチェインジを掲げたオバマ政権だけあって、安全保障においてもブッシュ政権と随分変わったかのような印象を受ける。
 でも、それって本当?
 27日付けフィナンシャルタイムズ社説「Obama’s nuanced security policy(オバマの微妙な安全保障政策)」(参照)は、そのあたり日本国内報道とは違った側面から伝えていた。概ね、ブッシュ・ドクトリンと変わらないというのだ。

The differences between the national security strategy announced by Barack Obama’s administration and previous US doctrine are smaller than the White House says. The tone has changed since a humbled Bush administration issued its last pronouncement on the subject in 2006, but the substance mostly has not.

米国オバマ政権が発表した国家安全保障戦略ことオバマ・ドクトリンは、米国政府が言うほどには、前ブッシュ政権のそれと違いがあるわけではない。語り口調は何かと難癖のついた前ブッシュ政権が提出したドクトリンとは違っているが、実質的には大半には違いなどなかった。


 フィナンシャルタイムズは、オバマ・ドクトリンはブッシュ・ドクトリンと実質的な違いはないというのだ。

That hardly sounds like Mr Bush. Yet the strategy says that US power is undiminished. It insists on US global leadership. It does not rule out unilateral use of force.

印象としては前ブッシュ大統領と同じには思えない。だが、オバマ・ドクトリンによれば、米国の国力はいささかも減じていない。米国は国際世界の指導者主張している。軍事力を一方的に行使することも排除していない。


 日本ではオバマ政権はブッシュ政権とは異なり、多元的な世界観を基本にしているといった愉快な意見もあるが、フィナンシャルタイムズはそう見ていない。
 日本の鳩山政権ほどではないが、政権公約違反ではないかと思われる実態もある。

Expedients favoured by the Bush administration and deplored by many Democrats, such as indefinite detention of terrorist suspects without trial, are not renounced. Drone attacks of dubious legality, at best, will continue. The prison at Guantanamo, which Mr Obama keeps promising to close, is still there.

ブッシュ政権が好み民主党議員の多数から避難した、泥縄的な対応にも破棄されていない。裁判もなくテロ容疑者を無制限拘留するのもそのままだ。合法性に疑念のある無人飛行機による攻撃も継続されることになる。オバマ氏が閉鎖を公約したグアンタナモ収容所もそこにそのままある。


 グアンタナモ収容所閉鎖問題については、日本の鳩山首相の沖縄問題での公約違反ほどには直接的な被害を受ける人がないものの、それでもひどいことになっている。法治国家の放棄に近い。
 結局、オバマ・ドクトリンがきれいそうに見えるのは、オバマ大統領お得意の修辞ということかかもしれない。

Words are important; actions speak louder. In national security, Mr Obama’s words and actions do not yet cohere.

言葉は重要であるが、行動はより物語る。国家の安全保障において、オバマ氏の言動はまだ一致してはいない。


 とはいえ、フィナンシャルタイムズとしては議論の展開上、オバマ・ドクトリンの口調の差だけでも肯定的に受け止めているし、むしろ、ブッシュ・ドクトリンと差がないことを積極的に評価している。

This is not in itself a criticism: the broad principles are correct. The challenge, as the administration is discovering, is living up to them.

(ブッシュ・ドクトリンと同じだということ)それ自体が批判対象になるわけではない。広義の原則として見れば正しいからだ。オバマ政権も理解しつつあるが、課題は行動に移せるかということだ。


 オバマ大統領の任期はまだ残されている。ブッシュ・ドクトリンに戻って立て直すという余地もある。ここで日本を顧みて思うことがあるかといえば、特に、ないな。

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2010.05.30

連立与党から社民党が離脱

 米軍普天間飛行場問題で民主党鳩山由紀夫首相が、連立党である社民党の福島瑞穂党首を閣僚から罷免した。福島氏としては、民主党が進める沖縄県内移設は容認できないということだ。確かに容認したら自衛隊を合憲とした社会党の村山元首相のようなことなり、歴史に残る失笑を買ったことだろう。
 社民党は連立政権から離脱することにもなった。まだ国民新党が付いているものの三党連立の枠組みは崩壊した。
 なんと言っていいのやら。
 私は、福島氏はマスコミ人気をあやかった看板とはいえ社民党の党首なのだから同僚議員の政治生命のことも配慮して自身が閣僚を辞任するくらいで収めるかもしれないと思っていたが、自身に非はないから辞任はしないと言い通して罷免となり、どたばたと社民党は政権離脱した。ニュースでありがちの町の声を拾っているなかで、最初から民主党と社民党の連立が無理だったというのがあった。それもそうかなとも思わないでもない。昨日の読売新聞社説「普天間日米合意 混乱の責任は鳩山首相にある」(参照)もそんなことを言っていた。


 社民党は、「日米安保条約は平和友好条約に転換させる」「自衛隊は違憲状態」との見解を維持している。そもそも、民主党が、基本政策の異なる政党と連立を組んだこと自体に無理があった。

 それを言うなら、民主党は「郵貯・簡保を徹底的に縮小し、官から民へ資金を流します」(参照)と主張する政党だったのに、郵政国営化の国民新党と連立しているのも奇っ怪な話だ。
 社民党にしてみれば、民主党鳩山党首は、普天間飛行場問題で「最低でも県外」と述べていたのだから、それを建前でも信じるというのはあっただろうし、これもそもそも論だが、社民党を抱き込むために鳩山首相はそう述べてきたのだろう。
 だが、鳩山首相が変わった。ユーチューブに鳩山対鳩山(参照)という、過去の鳩山氏が今の鳩山氏を糾弾するネタがあったが、沖縄県内移設が容認できない閣僚を罷免するというなら、罷免されるべきは、そうした過去を持った鳩山首相であった。福島氏は過去の鳩山氏と同じことを言っていたにすぎないのだから。
 結局は福島氏の罷免に終わったが、その間に他党から福島氏への不信任案が出ていたら鳩山首相は、福島氏を信任するとして他党の不信任案を否定して、それから信任をころりと忘れたかのように罷免したということになったのだろうか。
 鳩山首相のなかに人格の時間的な同一性というものがあり、過去と今の差違を認識しその責を負うというなら、鳩山首相こそが辞任し、この内閣を解散し、総選挙を行うべきだろう。選挙の洗礼を受けぬ首相ということで自民党を責めていたのだから、それがスジというものだろう。スジが通る御仁ではないのだろうが。
 社民党が民主党を離脱することでどうなるか。
 二つ思い浮かぶ。一つは、この連立の意味を問い返せばわかること。つまり、全日本自治団体労働組合(自治労)と日本教職員組合(日教組)の丸め込みが不安定になるということだ。
 2007年だが、そもそもこの連立を画策していた小沢一郎氏の思惑はそこにあった。2007年12月30日付け共同「社民の民主合流を提案 小沢代表、有力労組幹部に」(参照)より。

 民主党の小沢一郎代表が10月下旬、同党と社民党を支援する全日本自治団体労働組合(自治労)と日本教職員組合(日教組)の幹部に社民党の民主党合流を提案し、後押しするよう要請していたことが分かった。両党関係者が30日、明らかにした。

 この時は失敗した。理由は、自民・民主の大連立話が立ち上がり、小沢氏は代表を辞任した。今にして思えば、小沢氏を挫くための策略のように見えないこともない。
 この時点の話で学べることはもう一つある。

 小沢氏の提案を伝えられた社民党幹部は「野党共闘を呼び掛けておいて、党の吸収を考えるとは失礼にもほどがある」と拒否する考えを表明。

 社民党というか、自治労と日教組には多少小沢氏への警戒があった。今でも消えてはいないだろう。
 そして現下、社民党が与党から分離し、社民党支持色も強い自治労と日教組がどういう活動するだろうか。反自民という排他の論理だけでまとまるものだろうか。自治労と日教組に不満があれば、政権内から調整する能力が弱った分、政治の裏の部分でさらに宥和的な配慮をしなくてはならなくなる。オモテに出てくる民主党の行動としてはさらに理不尽なものになってくるのではないか。
 もう一つ思ったのは、普通に選挙の票の問題である。社民党は国民の支持という点から見ればその存在の確認は誤差の範囲くらいなものだが、昨年の衆院選比例選では類計300万票を獲得している。しかも、きちんと組織票で動く。
 今日付け読売新聞「社民連立離脱で選挙協力に暗雲…民主打撃」(参照)では、民主党との選挙協力がうまく行かない可能性を示唆していた。

 社民党は過去4回の参院選で、選挙区に10~20人の公認候補を擁立してきたが、今回は7人にとどめた。独自候補擁立を見送り、民主党候補を推薦する選挙区が多かったからだ。
 しかし、社民党が連立離脱を決めた30日、党岩手県連は岩手選挙区で独自候補を擁立する方針を決定した。こうした動きがほかの選挙区にも広がる可能性もある。

 多少はそうかもしれない。

 一方で民主党との選挙協力の見直しは、社民党にとっても悩ましい問題だ。特に改選定数2の新潟選挙区では社民党が公認候補を立てたことに配慮して、民主党が候補者を1人に絞っており、社民党が今後、民主党批判を強めれば、協力態勢に影響することは避けられないとの指摘が出ている。

 そこはまだ小沢氏の采配の内だから、なんとか整合が付くだろう。
 総じて言えば、見た目のドタバタは若干浮動票に影響を与えるだろうが、民主党と社民党が反自民の方向を向いているかぎり、さほど選挙の構図に変化はないだろう。
 問題は、浮動票の半数からすれば、反自民党と反民主党は同じということだ。私は、これこれの理由で鳩山首相は辞任して内閣解散せよと思うが、世の中の空気は、単純に「もうこんな政治はいやだ」というだけで突き進むかもしれない。それを決めるのは、不測の事態がなければ、景気の問題だろう。

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