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2010.12.20

防衛大綱決定を巡る朝日新聞とフィナンシャルタイムズのリベラル漫才

 17日、新たな「防衛計画の大綱」が閣議決定された。この新防衛大綱決定を巡る、18日付け朝日新聞社説「防衛大綱決定―新たな抑制の枠組み示せ」(参照)と14日付けフィナンシャルタイムズ社説「Japanese defence」(参照)の社説を読むと、なんとなく掛け合い漫才のように思えた。というわけで、掛け合い漫才風に引用をまとめみよう。Enjoy!


朝日新聞さん
東アジアの情勢は不安定さを増しつつあるとはいえ、「脅威に直接対抗しない」としてきた抑制的な路線から、脅威対応型へとかじを切った意味合いは重大である。


フィナンシャルタイムズさん
That Japan should seek to respond to strategic realities ought to be unexceptionable. While the Soviet Union is no more, China is rapidly modernising its military, and North Korea’s missile and nuclear programmes represent a growing threat.

戦略的な現実に対応しようと日本が模索すべきということには、なんら文句のつけようがないだろう。ソ連はもう存在しなし、中国は急速に軍部を近代化させている。しかも北朝鮮のミサイルと核化の進展は脅威を増大化させている。



朝日新聞さん
新大綱の策定には、文民統制の立場から政治の強い指導力が期待された。政権交代こそ究極の文民統制とも言えるからだ。しかし、根幹の議論を民間有識者に任せるなど、総じて政治が深くかかわった印象は薄い。


フィナンシャルタイムズさん
Moreover, this is no rushed change. Tokyo has been debating the shift for some time.

しかも、この変化は急速な変化ではない。日本政府は近年議論をしてきたものだった。



朝日新聞さん
中国の軍事動向への警戒感を色濃くにじませるとともに、脅威には軍事力で対応するというメッセージを前面に打ち出した。


フィナンシャルタイムズさん
Japan is not rearming.

なのに日本は再軍備していない。



朝日新聞さん
自衛隊の運用や予算に新たな抑制の枠組みを創出することも急務である。


フィナンシャルタイムズさん
Any build-up in missiles and ships should be offset by cuts to tank forces.

ミサイルや艦船の予算も戦車部隊の削減で相殺されることになる。



朝日新聞さん
中国を刺激して地域の緊張を高める恐れがあるばかりか、「専守防衛」という平和理念そのものへの疑念を世界に抱かせかねない。


フィナンシャルタイムズさん
China will not like the shift in emphasis, but Beijing has itself to blame. It fluffed the opportunity to reset the relationship with Tokyo after the Democratic Party of Japan’s election victory last year.

中国は力点の変化を好まないだろうが、中国政府が責めるべきは自分自身である。中国政府は、昨年の民主党による政権交代後の日本政府との関係改善のチャンスでドジを踏んだ。



朝日新聞さん
周辺諸国の目には、日本が軍事的な自制を解こうとしていると映らないか。東アジア地域の不安定要因には決してならないという路線を転換し、危うい歩みを始めたと見られないか。


フィナンシャルタイムズさん
Chinese bullying has intimidated its smaller neighbours – especially those that have territorial disputes with Beijing. Japan’s new policy may give those nations comfort.

中国による弱い者いじめはその周辺国を脅迫しつづけていた。特に中国と領土問題を抱える諸国において顕著である。だから、日本の新しい方針は、こうした国々に安堵感をもたらすかもしれない。



朝日新聞さん
意図せぬ摩擦を避けるためにも、菅首相は中国を含む国際社会に、新大綱が専守防衛を逸脱するものでないことを丁寧に説明しなければならない。


フィナンシャルタイムズさん
While not neglecting the need to change its defence forces, Japan should open its hand further towards Beijing and the region. It must not allow its fist to clench.

日本の国防の変化を否定する必要はない。他方、日本は中国政府やその地域に外交を広げるべきだろう。日本は拳を堅く握るべきではない。


 こんな感じかな。
 朝日新聞社説はなんとなく中国政府の代弁という雰囲気もあり、当の日本人にしてみると中国対英国の雲の上の会話といった趣もある。
 ところで、フィナンシャルタイムズのどこがリベラルなんだという疑問もあるかもしれないが、それはここです。

フィナンシャルタイムズさん
But Tokyo must move carefully, given sensitivities about its past conduct in Asia. Japan has yet to come to terms with atrocities it committed in the 1930s and 1940s.

しかし、アジアにおける日本の過去行為からすると、日本政府は慎重に行動しなけれがならない。日本は1930年代、1940年に行った虐殺についていまだ折り合いをつけていない。


 そのあたりは、大英帝国が中東諸国とどう折り合いを付けるかから学ぶことにしたいものだが。

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コメント

朝日の「政権交代こそ究極の文民統制」って どういう意味でしょうね

投稿: kansatsusha | 2010.12.21 16:23

 昨今、新聞には自分勝手な感想を載せて欲しくないが、変わりそうにないのが残念です。
 リベラル漫才解説比較ありがとうございます。

投稿: Siji | 2010.12.23 01:30

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 17日、日本の防衛大綱の改定が公表(防衛省)され、Twitterで拾ったNHKニュースの記事を見て、ふーん、なるほど、と思って流してしまいました。このところ、高齢者の医療保険問題やこども手当てなどの... [続きを読む]

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