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2010.12.30

ドイツのボードゲーム史上初の三冠を獲得したドミニオンはなるほど面白かった

 ドミニオン(Dominion)はドイツ人、ドナルド・X・ヴァッカリーノ(Donald X. Vaccarino)が考案し、2008年、米国のリオグランデ・ゲーム(Rio Grande Games)社から発売されたカードゲームである。特定の創作者によるカードゲームはデザイナーカードゲームと呼ばれる。

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ドミニオン日本語版
 ドミニオンは、2008年の10月23日から4日間開催された恒例のエッセン国際ゲーム祭で発表され、国際的にも大人気となった。その直後、日本でも英語版でブームが起きていたようだった。
 2009年には各種の賞を取った。ドイツゲーム賞2009(Deutsche Spiele Preis 2009)の大賞、ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres 2009)で大賞、アラカルト・カードゲーム賞(Fairplay:À la carte Preis 2009)で第一位とのこと。すごいね。
 そんなに面白いものかねと気になってはいたが、カードが500枚と聞いて尻込みしていると、2009年4月にホビージャパンから日本語版が発売されて日本でも話題になった(参照)。じゃあ、やってみますか。
 ゲームは二人から四人。たぶん四人が一番面白い。各プレーヤーは貧しい資産から出発し、領土を拡張し領主とならんとする。国盗り物語である。信長の野望である。三国志である。とかいうと、なんか戦争ばっか繰り返すイメージだが、これがけっこう違う。戦闘はないと言っていい。
 というか、やってみて、これは面白なと思ったのはそこだった。どちらかというと、いかに資産を形成し、国力の資源を築き上げていくかというのがポイントになる。シムシティーとかiPhoneアプリのセトラーズに近いのかもしれない。
 国土の基本的な資源(王国)は10種類のカードで表現され、この10種類をそれぞれ山にしてテーブルに並べる。それに加えて貨幣カードの山がある。金貨、銀貨、銅貨である。さらに領有の対象となる属州、公領、屋敷カードのもある。これ、英語だと、Province、Duchy、Estateになる。西洋史の語感の勉強にもなるな。
 ゲームのターゲットは領有を増やすことで属州のカードが無くなると(売り切れると)ゲームは終わり。あるいは、国土の資源か貨幣の3種類が尽きてもゲームは終わる。
 プレーヤーが一つのターンでできることは、アクション(Action)、お買い物(Buy)、クリーンナップ(Cleanup)のABC。アクションつまり行動内容はそれぞれの資源のカードに書かれている。お買い物は通常貨幣で資源を買っていく。クリーンナップがこのカードゲーム特有の動作で手持ちのカードをいったん捨て山にする。この山はいずれ手札に還元される。ということで、購入した資源がどんどん増えていく。戦略は各自のアクションとお買い物の選択で決まる。
 複雑なようだがやることはABCだけとも言えるので、対象年齢8歳以上とあるのも頷ける。ただし、ルールブックは、個人的な印象だがわかりづらかった。まあ、二度ほどやってみるとゲーム自体に合理性があるので自然にわかるようになる。
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ドミニオン陰謀
 王国の10種類のカードだが、一回のゲームに使うのが10種類ということで、全部では25種類ある。つまり、25種から10種選んでゲームになるのだが、この組み合わせでゲームの質ががらりと変わる。この部分をさらに増強するとさらに別のゲームができるということで追加のゲームとして「陰謀」(参照)なども発売されている。
 ドミニオンで最初にお薦めされる10種類でやったときは、ほへぇ?面白くないことはないが、これって地味な内職型ゲームじゃないのと思った。他のプレーヤーに聞くと、うなっていた。TCG(トレーデイング・カード・ゲーム)ってこんなものと聞くと、違うけどと答えていた。まあ、もう一度やってみますかと、王国のセットを変えてみたら、がらりとゲームが変わった。アクションの連鎖や戦略ががらりと変わり、内職ゲームじゃないな、かなり相手のカードや戦略を読まないといけないとか思う。アクションの面白さに惹かれていると、目的が失念され負けたりする。このあたりで完全に嵌った。これ、面白いぞ。
 歴史好きの私の趣味にも合致している。アクションで実質説明される各概念が面白いのである。宰相(Chancellor)や役人(Bureaucrat)は苦笑だが、民兵(Militia)には爆笑した。市民兵というのは、まさに、こういうやつらなのだ。つまり、盗賊団みたいなものだ。で、この厄介な市民兵に対する市民はどうするかというと、堀(Moat)で防御する。そうそう、城壁の中にいるのが市民なのである。
 ゲームの後、参加した人にその手のうんちく話をしたところ、魔女も堀に落ちるんすかと言われた。落ちるんじゃねーの。「魔女も堀に落ちる」って西洋カルタで言うじゃね。

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コメント

私の友人で、テーブルゲームがすごく好きだったやつが、相場でずいぶん損したらしいんですよ。

そいつは離婚したみたいです。

投稿: enneagram | 2010.12.30 12:58

ドミニオンをお知りになったとのことで、
半プレミア化しているらしい「公使・闇市場」を、幾つか余分に買っておいた分から一つ、郵便局留めか何かでお送りしたいのですが、如何でしょうか。(イベントなどの度に再版はあるそうですが)

また、余り関係ない話ですが、ツイッターは「ブロックする→解除する」で一応フォロー外しも出来るけれど、外れる事もあるのだね、というような事にしておく、と以前見たことがあるような気がします。

投稿: enokura | 2010.12.30 15:36

enokuraさんへ。ありがとう。でもなんか自分だけ不公平な感じがして辞退します。しかし、ああいうカードがあるとゲームが面白くなるなというのはよくわかる気がしますね。

投稿: finalvent | 2010.12.31 11:25

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例によってid:finalventさんの記事にまたまた刺激され、ほんとうにはまりやすい私は「ドミニオン」を子どもと始めた。 ドイツのボードゲーム史上初の三冠を獲得したドミニオンはなるほど面白かった: 極東ブログ ドミニオン 日本語版 出版社/メーカー: ホビージャパン 発売日... [続きを読む]

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