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2010.12.07

コートジボワール、2010年"クーデター"の暗喩

 2002年の内戦以降、南北に分裂していたコートジボワールを再び平和的な統一に向かわせようと国際社会が用意してきた11月28日の大統領選挙だったが、最終的に争った二陣営が12月4日、それぞれ大統領宣言を行った。二人の大統領誕生である。つまり、内戦による分裂の状態に戻ってしまった。解決の見込みは恐らくないだろうし、コートジボワールに限らないアフリカの抱える混迷がある。
 大統領選挙は、内戦を理由に2005年以降先送りされてきたが、2007年の和平プロセス推進を目指すワガドゥグ合意によって、国連を中心に国際社会の援助で準備されてきたものだった。傍から見るとそれなりに順調に進んでいるように見えないこともなかった。
 10月31日の一回目の投票で、現大統領のバグボ氏(65)と野党のワタラ元首相(68)、二者の決戦に絞られたが、この時点ですでに両候補の支持者の衝突があり、11月28日の決選投票は治安部隊が出動する物々しい事態となった。
 結果だが、2日の選挙管理委員会(選管)によれば、得票は、現職バクボ氏が45%、野党ワタラ氏が54%と大差を付けてワタラ氏が大統領に当選とした。
 が、これに不満を抱いた現職バグボ氏が、ワタラ氏側の不正を言いたて、3日、憲法評議会はワタラ氏の地盤である北部で不正投票があったとして多数の投票を無効とし、結果、選管の発表を覆し、現職バグボ氏を当選者とする決定を下した。現職バグボ氏の影響下にあるとはいえ、憲法評議会には選挙結果を最終的に確定する権限があるので、国内法的には違法ではない。軍部も現職バグボ氏を支持している。
 しかし、今回の選挙を準備し、選挙監視団を派遣していた国連、さらに米国や旧宗主国フランスは、憲法評議会の決定に反発し、選管が正しく、当選したのはワタラ元首相であるとした。また、ワタラ氏の支持者は、この事態をクーデターだとしてバグボ氏を批判している。
 5日付けフィナンシャルタイムズ「Ivory Coast’s coup」(参照)も、表題かもわかるように、この事態を「クーデター」と見ている。


In effect, this is a coup and should be treated as such. The UN, which helped bankroll the $400m cost of the polls, has refused to accept the outcome. The African Union, regional bloc ECOWAS, France, the US, Britain and the International Monetary Fund have all recognised Mr Ouattara’s victory.

事実上、これはクーデターであり、そのように扱われるべきである。選挙のために4億ドルの資金供給を援助してきた国連は、この結果の受け入れることを拒んでいる。アフリカ連合、地域のブロックECOWAS、フランス、米国、英国、および国際通貨基金はすべてワタラ氏の勝利を認めている。


 日本での報道では、今回の事態を「クーデター」とは見てないようだが、国際社会としてはすでにそう扱い出していると言ってもよいだろう。
 事態はさらに紛糾する可能性もある。5日付け時事「2人が「大統領」就任=コートジボワール、異常事態に」(参照)が火種を伝えている。

一方、ソロ首相はワタラ氏支持を表明。ソロ氏は2002年の内戦以来、北部に強い影響力を持つ元反政府組織「新勢力(NF)」を率いている。

 内戦の構図に戻ってしまったといえる。
 国際社会はでは次にどう動くのかというと、おそらくよほどの暴力や居留外国人への問題が発生しない限り、大きな動きはないだろう。先のフィナンシャルタイムズがそのあたりをあっさりと表現している。

The west would do well to allow African leaders to take the lead; they have every reason to do so and have been strikingly firm in their stance so far. This fiasco carries the risk of fresh conflict and of cementing the country’s de facto partition. This is not only destabilising for neighbouring states, recovering from civil wars, but also a dangerous precedent that could, without care be replicated in other parts of Africa.

西側諸国は、アフリカの指導者に主導をまかせるべきだろう。彼らにはそれぞれそうする理由があるし、従来強固な態度をとってきた経緯もある。今回の大失態は、新しい衝突と事実上の国境画定のリスクを伴っている。内戦から回復しても、隣接国家を不安定にすることに加え、対応しないでいるなら、アフリカ他地域でも同種の事態となる危険な前提となりうる。


 曖昧な言い回しなので私が意味を取り損ねているかもしれないが、すぐに連想されるのは、南スーダンの問題である。残念ながら、事態は刻々と悲劇的な方向に向かっている。フィナンシャルタイムズの投げやりにも見えるこの論調には、帝国侵略のタネを撒いた西欧の傲慢さというより、すでにその絶望が内包されているようにも受け取れる。


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コメント

 貧民(疑似含む)がチンピラ化して目先の闘争に明け暮れた挙げ句利益のためなら人でも殺すの構図に至るのは、程度の軽さ低さこそあれ日本のネット業界ゲーム関連界隈でもよくあることですよ。そこまで特定せずとも普通の社会でも平気であること。武士や騎士の時代はそれが当たり前なんだから、先進国だろうが未開の土人国だろうが、程度の差こそあれ「皆通って来た道」でしょうに。

 そんなんなっちゃったら、ひとりの神か王様が万民を導き給うの構図にするか超草の根戦術でひたすらボランティアする以外に無いんですけどね。で、そこを通過して後に民主主義があることに一応はなってんだけどなぁ…ってその部分をモロにひっくり返されてる(若しくは追い付けてない)から「絶望が内包」←コレなんでしょ。

 傍目に傲慢かどうかってのもあろうけど、余程のことが無い限り人は傲慢には生きられませんよ。システムに乗っかってその上で生活するなら尚のこと、傲慢さが身を滅ぼすことは分かり切ってて当たり前。西欧(に限らんけど)の傲慢さなんてもんは、無いようであってもあるようで無いもんだと思いますわ。

 彼らだって世紀を越えれば土人でしょうに。何を偉そうにする必然性があろうかと。学んで後に絶望?が来るんであれば、それは人として残念すぎるくらい真っ当なだけでは?

投稿: 野ぐそ | 2010.12.08 01:36

コートジボワールでおきたことは、ウクライナで起こる可能性もある事態です。

ウクライナでおこったら、事態は、カトリックとギリシャ正教の対立になるので、収拾するのは困難になると思います。

満州で伊藤博文公爵が暗殺されても、日本は、朝鮮全土に軍隊を派兵しませんでした。当時としては平和裏に合邦がなされました。サラエボでオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子夫妻がセルビアの青年に暗殺されたら、それがきっかけで第一次世界大戦が勃発しました。


どこかで起こることの怖さは、別のところでも起こると、それが破局につながりかねないということです。

投稿: enneagram | 2010.12.08 08:58

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