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2010.07.03

[書評]タングラム・パズルの本 Tangram Puzzles: 500 Tricky Shapes to Confound & Astound(Chris Crawford)

 10歳くらいの子供にちょっと気の利いたプレゼントをするかなという機会があり、アート的な写真集や絵本がよいだろうか、知的なパズルなんかもよいかなと、いろいろ考えて、タングラム・パズル本「Tangram Puzzles: 500 Tricky Shapes to Confound & Astound(Chris Crawford)」(参照)を選んだ。日本のアマゾンから購入できたのだが、現在でも「通常2~3週間以内に発送します」とあり、米国に発注するのではないだろうか。私の場合も、2週間ほどで届いた。
 タングラムとはなにかだが、この本の表紙を見ると、皆さん、ああ、あれかとピンとくるだろう。そうあれです。正方形を7つのピースに分割して、それでいろんな形を作るというものだ。

cover
Tangram Puzzles: 500 Tricky Shapes to Confound & Astound
Includes Deluxe Wood Tangrams
Chris Crawford

 自由に形を作ってもよいのだが、パズルとしての遊び方は、最初にできあがったシルエット(影絵)が提示されて、それに7つのピースをどのように収めるかということだ。
 お子様向けと思われているし、その程度の影絵だとたしかに、1分もしないで完成するのだが、簡単ではない影絵もある。大人がやっても、苦戦するというか、その面白みにはまる。西洋では1800年代に流行して、ナポレオンも隔離されたセントヘレナ島で暇つぶしにやっていたという話もある。不思議の国のアリスの作家ルイス・キャロルもこれが好きだったらしく「不思議の国の論理学 (ちくま学芸文庫): ルイス・キャロル」(参照)にもタングラムのパズルが載っている。私(1957年生)の世代だとサム・ロイドの本が有名で、ちょっと懐かしいなと古本をあさったがなかった。復刻してもいいんじゃないかな。

 このプレゼント用の英書だが、英語の部分は序文くらいなもの。あとは淡々とタングラムのシルエットがタイトルどおり500も掲載されている。実際に捲ってみると、鳥、犬、横顔、ランプ、人びと、幾何学図形と分類されていて、パズルというよりアートのインスピレーションがわきそうな感じが楽しい。こういう、アートセンスというのはこの手の洋書ならではのものだ。
 タングラム・パズルには類書が多いなか、これがよいと思った理由は2つある。1つは、表紙の木片だが、現物が付録になっているのだ。シュタイナー教育ではないが、木という自然の物に触れるのはよいなと思った。実際に手にしてみると、思ったより厚みがあり手触りもよい。なかなかよい木片だった。
 もう1つの理由は、リング閉じである。学生時代英語の教科書をよく使ったものだが、ハードカバー、ペーパーバックスの他に演習問題集によくリング閉じがあった。日本ではリング閉じ製本というのをあまり見かけないように思うが、何かをプラクティスするときは、開きが楽で便利なものである。余談だが、ノートもリング閉じがよいと思う。先日中学生にノートを薦めるとき、リング閉じがよいとアドバイスした。

cover
ビッグタングラム
 プレゼントとしてどうだったか。それなりに好評みたいだったが、それを見た他の子供も関心を持ったらしい。もう少しお子様向けのものはないかと、アマゾンを見回したら、「ビッグタングラム―知のパズルをときあかせ! 7つの図形がうみだす難問奇問(パナソニックセンター東京リスーピア)」(参照)がよさそうなので、買ってみた。パズルのシルエットは等身大で、これに添付されている磁石付きのピースをはめていく。ページの裏には添付されている鉄を含んだ厚紙をひく。いかにも知育玩具という感じだ。このしかけなら4、5歳くらいから楽しめそうだ。
 気になったのは、大半のピースはひっくり返しても同型なのだが、平行四辺形だけはそうではない。英書のほうは、木片を自然に使っているので、ひっくりかえすという操作は自然に内包されているが、「ビッグタングラム」のほうは、そこが自然に禁止されている(裏面が磁石面)。企画者もわかっていたのだろうが、こういうディテールに大きな感性の違いが出てくる。
 そういえばと、iPhoneアプリにもこの手のものはありそうだなと探ってみると、けっこうあった。無料のものもある。いくつか試してみると、ひっくり返しに対応していないのが多い。対応していてよさそうなのは、TanZenというのだった。iPad用もある。
 しかし、こういうのは、デジタルな世界から離れて静かにするのが楽しみではないかな。テーブルにリング閉じの本を置いて、木材の感触を手で確かめながら。

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日本では、ラッキーパズル知恵の板、はまや玩具株式会社かな。

投稿: | 2010.07.03 16:03

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 このような本の紹介は嬉しい。中学年以上くらいの子どもさんへの知育遊び「パズル」の本の紹介だ(参 照)。エントリーでは10歳くらいの子どもさんへの気の利いたプレゼント用にされたらしいが、内容から、低学... [続きを読む]

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