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2010.07.08

韓国産パプリカ・沖縄産クレソン・トンガ産カボチャ

 暑くなってきたのでカポナータをよく作る。ラタトゥイユとの違いはよくわからない。以前ラタトゥイユのエントリを書いたことがあるが(参照)、最近はちょっと作り方を変えている。カットを小さくして、トマトソースを減らして野菜の味を生かすようにしている。まあ、素人料理。ズッキーニがなければキュウリを入れることもある。オクラと同じように余熱が通るくらいにする。ナスは欠かせない。パプリカも欠かせない、ということでこの季節、八百屋に行けばパプリカを見て回るのだが、韓国産が多い。なんで韓国産のパプリカなのだろうか。検索してみるとオーシャン貿易というサイトに話があった(参照)。


 今でこそ電子部品を世界に供給するまでになった韓国ですが、10年程前までは農業が中心で輸出する製品はあまりありませんでした。
 農作物を海外に輸出したい、と考えてはいましたが一番近い消費大国日本にはなんでもあります。そんな中、日本に視察にきた韓国の生産者の方がデパ地下に並んでいるオランダ産のパプリカが1個600円で売られていることに目をつけたのです。
 味もおいしく、韓国で栽培がさかんなトウガラシ(もちろんキムチ用ですね!)と同じ果菜類なら販売できるのではないかと考えた生産者は、パプリカの輸出を思いつきます。

 そういう背景があるらしい。しかし、今では200円を割っている状態なんで、どうなんだろう。円とウォンの関係でそれなりの儲けになっているのだろうか。よくわからないが、韓国産パプリカの品質はよい。ちなみに、きっちり肉厚のあるパプリカだったら、全体に黒焦げが付くまで焼いてから皮をむいてカットしてオリーブにつけて半日くらい冷蔵庫でひんやりと寝かせてから食うと、すごくうまいよ。
 韓国の農園のパプリカをなんとなく想像してみるうちに、沖縄暮らしのことを思い出した。いや、ようするに地場産業というか、地元ならでは農産物というのが各地域にはあるのだが、沖縄にもある。
 沖縄の地元野菜ということでよく食べたのはクレソンだった。どういう仕組みなのかわからないが、クレソンがどっと束で安価で売っているのだった。最初見たときに、そのやけくそな売り方が気に入った。生でももちろん食べられるが、おひたしとかにしてやたらと食べた。うまい。空心菜もこれでもかという量が安価で売っていた。よく食べた。炒めても湯がいてもうまい。野菜といえば、ハンダマ(水前寺菜)がなつかしい。いちおう探すと東京でも売っているのだが、なんかこー、やけくそ感が足りない。味噌汁に入れると紫色になってグー。
 オクラも山ほど売っていた。サイズもでかい。率直にいうとあまり美味しくないが、あのどさっとオクラの山盛りというのは幸せなものである。オクラは花も美しい。和名で秋葵というのか葵の一種と見てよいのか、あれが畑いっぱいに咲いているのは見事なものだった。サトウキビの穂と同じでなんか独自な美しい自然風景である。
 パッションフルーツもやけくそのように売られていた。両手に抱えて300円という感じだったか。ジュースにしたりした。パッションフルーツはあちこちの家の庭先にもあった。花が時計草に似ていてきれいなものだった。
 花といえば電照菊をあちこちで作っていた。那覇で酔っ払ってタクシーで山間部を過ぎるとあちこちに電照菊の電照がきらめいて不思議な光景だった。内地向けの仏花である。沖縄では菊の消費はあまりないらしい。内地向けといえばポインセチアも作っていた。内地にいるとクリスマスの寒い季節のイメージだが、沖縄なんぞで作っているのだった。庭先に植えている人も多い。それが巨木化する。見上げるようなポインセチアとなってこそ南国であるな。
 南国といえば、これも最近知ったのだが、カボチャはけっこうな量がトンガから来るらしい。検索するといろいろ情報はあるが、ガーディアンの記事「From squash to space tourism」(参照)にもあった。

Squashes are as unpopular with Tongans as the country's native vegetables are with outsiders. Such dietary niceties matter less when the squash's role in Tonga's economy is worked out. At times, more than half of the island kingdom's export earnings come from the crop, and the figure rarely falls below a third.

トンガ産の野菜が他の国の人に馴染みがないのと同じようなものだが、カボチャはトンガの人には馴染みがない。そうした食習慣の細部はトンガ経済におけるカボチャの意味を考えるなら些細なことだ。この王国の貿易上収益の半分以上をカボチャだったりすることがある。三分の一以下にはまず落ちない。

Almost the entire crop goes to Japan, where it makes up 96% of Tonga's exports. The other 4% comes mostly from tuna and mozuku seaweed, a delicacy grown in Japan's southern Okinawa islands until May and in Tonga until November.

カボチャの大半は日本向けで、トンガの輸出の96%になる。残り4%の大半はマグロ、それとモズク。五月までは沖縄産で、11月まではトンガ産の珍味である。


 記事の日付をみると2002年とあるので、最近はどうだろうかと思うが、それほどの変化もないのではないか。トンガではその後政変があり、今年の11月には総選挙もあるらしい。安定するとよいのだが。
cover
トンガ・ベビーホルダー
 トンガと言えばどういう理由なのか知らないが、子供を抱えるフランス産のスリングにこの名前が付いている(参照)。夏場は赤ん坊を腰につるしていてむれない。というか、ああ、夏場だから南国のトンガなのか。今、気がついた。

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コメント

クレソンちぅと、東京だと栃木&群馬産がスーパーで一握り束100円くらいで売ってますね。クレソンそのものだと、コッツウォルズにツアーで行った時に観光名所の長屋の前の小川で自生してて、ツアーのメンツで面白がって食べてたのを思い出します。東京だとどうやって育てるのか、ただいま実験中です。
パプリカは.......まぁピーマン熟成させればいいやということで庭で栽培中です。オクラはアメリカだと南部の「ガンボスープ」用の粉末として需要あるでしょうが、沖縄だとどうすんですかね。

カボチャというと、バブルの頃だったか、日本の商社がメキシコで日本向けに栽培させて輸入ルートに載せていたと新聞で読んだ覚えがあります。いまはトンガなんすか。トンガ人も蒸してカボチャ食べればいいのに。アメリカで食べてるカボチャは家畜用かと思うほどに不味いと戦後に移民した知り合いのおばあちゃんが言ってます。だからパンプキンパイのピューレぐらいにしかならないとか。日本だけじゃなくアメリカ向けにもクリカボチャとか輸出すりゃいいのに。

投稿: とおりすがり | 2010.07.09 21:10

トンガのカボチャは日系2世の人が現地人を
雇って、厳しく品質を管理して作っていると
テレビで紹介されてました。
現地人は食べる習慣がなくて、不合格品は
家畜の飼料として使っているとか。

投稿: | 2010.07.12 18:13

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» 極東ブログ「韓国産パプリカ・沖縄産クレソン・トンガ産カボチャ」について [godmotherの料理レシピ日記]
 えーっと。表記の野菜達は、お互いが関係することはあるのでしょうか?わっからんのですよぉ、何回読んでも。特に最後のトンガ・ベビーホルダーへの結びつきが(参照)。 今回のエントリーは、韓国産のパプリカが... [続きを読む]

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