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2010.07.01

さすがの菅首相、消費税額分に4.5%の金利を付けて全額還付ですよね

 菅首相の経済音痴には困ったものだな。デフレに増税とか、増税で強い経済とか、それってトンデモでしょ。消費税発言もブレブレだし、まともに話を聞いていても鳩山元首相同じことになりそうだな。それに9月には小沢さんが頑張りそうだな。次は原口首相? という感じで、菅首相の発言にあまり耳を傾けなかった。だが、おや、なかなかすごいことを言っている。消費税額分を全額還付することを検討するらしい。そりゃいい。
 昨年の還付加算金は4.5%だから、1年間で200万円消費したら20万円に9千円追加になって返ってくる。いいんじゃないか。なかなか菅首相、斬新なアイデアだ。麻雀点棒計算機につづくヒットアイデアだ。
 どの銀行に預けるより消費税として国に預けておくのが高金利というのが魅力的。これにセブンイレブンのナナコカードのポイントとか1%だから、こういう制度を上手に使って消費すると、6%くらいお得になりそうだ。
 消費税還付の話は今日のNHKで伝えていた。「参院選 消費税めぐる議論活発に」(参照)より。


菅総理大臣は、カナダで開かれたサミットから帰国後、先月30日から参議院選挙の全国遊説を再開しました。そして、山形市で行った街頭演説で、菅総理大臣は、消費税率の引き上げをめぐって、超党派の協議をあらためて呼びかけるともに、「所得の低い人に負担はかけない。例えば年収300万円、400万円以下の人には、かかる税金分だけ全部還付するという方式、あるいは食料品などの税率を低い形にすることで、普通に生活している人には過大にかからないようにする」と述べ、低所得者への負担軽減策として、年収400万円以下の世帯については、かかった消費税額分を全額還付することも検討したいという考えを示しました。

 野党は批判している。

自民党の谷垣総裁は札幌市で「高齢化が進むなか、介護、年金、医療をどうしていくのか、正面から目を向けなければ社会の安心をつくれない。菅総理大臣は、消費税を何に使うのか、発言するたびに中身がぶれている。また『10%消費税を公約だと思って差し支えない』と言っていたのに『野党と話し合いをするのが公約だ』と言ってみたり、総理大臣のことばがこんなにグラグラしていいのか」と批判しました。

消費税率の引き上げをめぐって、公明党は、社会保障のあるべき姿を議論するのが先だとして、財政再建のための増税は反対だとしています。

また、共産党は、低所得者への負担が増え、景気をさらに悪化させるだけだとしているほか、社民党は、社会的弱者を取り巻く環境をさらに悪化させるとして、消費税率の引き上げに反対しています。

一方、国民新党は、まずは大胆な景気対策が必要だとしているほか、みんなの党は、徹底的な税金のむだづかいの解消が最優先だとして、現状での税率の引き上げに反対しています。

また、たちあがれ日本と、新党改革は、社会保障費の増大に対応するため消費税率の引き上げは避けられないとして、時期や税率に言及しており、参議院選挙は、11日の投票に向け、消費税をめぐる各党の議論が、より活発になっています。


 各党の批判は、どうも、還付加算金のメリットを理解していないようだ。
 国や地方が課税で取りすぎた分を返還するときには、還付加算金として市中金利とは比べものにならない高金利が付く。日本銀行が定める基準割引率+4%だ。1999年末までは7.3%だが、2000-2001年は4.5%、2002年以降は4.1%(参照)。昨年は4.5%なので、そのあたりが今後も目安になるだろう。
 従来でも徴税に際して、必ず還付されるとわかってる税金は納めておくのが常識だった。国に高金利で貸し付けているようなものだから。これが消費税に適用されるとは、菅首相、なかなかのアイデアマンである。
 もちろん、NHKの報道にあるように、この恩典が受けられるのは、「年収300万円、400万円以下の人」という限定があるが、消費税の逆進性や消費の活性からすれば、納得できる限定だろう。
 またNHK報道では、還付金ではなく「食料品などの税率を低い形」という考えもあるようだが、今日付け読売新聞「消費税上げで首相「年収2百~4百万以下還付」」(参照)では、還付金の制度が有力なようだ。

 税金の還付対象について、首相は同日、青森市での街頭演説では「年収200万円とか300万円」、秋田市内での演説では「年収300万円とか350万円以下」と述べた。これに関連して、政府高官は同日、「(食料品などに)軽減税率(を適用する)より税金還付方式の方がスムーズではないか。所得税と住民税の非課税世帯の人が(低所得者ほど税負担が重くなる)逆進性で苦しまないようにしないといけない」と語った。

 税金還付方式の方がスムーズだし、高金利が付くし、そのほうが断然よい。
 
 ……というエントリはどうかな。
 今日は7月1日だよ。4月1日じゃないのにどうなの?
 嘘もフカシも入れとらんけど。
 あのさ、あの菅さんだよ、経済音痴の菅さん。そもそも還付加算金のこと、知らないんじゃないの?
 税金収めてんでしょ。知らないわけないんじゃない。
 年金も納めてなかったんだよ、菅さん。
 でも、これ、えいってやっちゃったらいいんじゃないの?
 あのさあ、消費税の話、民主党のマニフェストにも書いてないんだよ。食品の例外とか還付にかかる費用や制度なんかも、菅さんが考えていると思う?
 ……

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「経済」カテゴリの記事

コメント

毛沢東も、マーガレット・サッチャーも、政治家としてはものすごく卓越していたけれど、経済は素人未満。

われらが大政治家菅直人首相も、経済はだめでも、国家安泰の基礎は築くかもしれません。

投稿: enneagram | 2010.07.01 12:47

消費税の納税義務者はあくまでも事業者ですので、還付金という形では消費者へお金は流せないはずです。

民主党は、子供手当てと同じ形でばらまくんでしょうかね。

個人的には、この際、将来の増税をにらんでインボイス方式に切り替えるのがいいかなと思っています。現場は大変でしょうが。

投稿: bo_rude | 2010.07.01 13:41

菅の年金2ヶ月未納のやつって、結局役所のミスだったんじゃなかったでしたっけ

食料品なんかは、低くするべきですよね~メディアだとほとんど触れられませんね。あたかも、諸外国皆、日本式の消費税を導入しているかのごとき報道のされようです

投稿: Mar | 2010.07.01 19:26

公務員の負担はただただ増えていく・・・
事務費って馬鹿にならないんですよ

投稿: るる | 2010.07.01 21:53

還付するくらいなら最初から取るな。
手間が無駄だろうが。

それよりも累進的消費税なんかどうかな。
10万円以下の品物は5%
10万円超50万円以下の品物は10%
50万円超の品物は12%

ってな感じで。
これで庶民の生活は守られるし、金持ちから税金取れるし。

投稿: t_t | 2010.07.01 21:56

>enneagram さん

まず、毛沢東とサッチャーが同列で
いいんですか?

それに、産業の空洞化が急激に進み、
人材の質でも周囲に大きな差をつけられつつあり
まさに経済的敗戦ともいえる国難にあって、
経済音痴の首相が国家安泰の基礎を
つくるとは果たしてどういうことでしょうか?

投稿: 疑問に思ったんで | 2010.07.02 00:11

労組、日教組、郵政、医師会などの組織票、
そして小沢前幹事長との確執、
民主党政権、参院挙に勝っても大変な気がします。

P.S. 公務員の負担ですか?、公務員の給料は税金ですよね、国民の負担じゃないでしょうか?

投稿: 佐伯 | 2010.07.02 06:10

今回の消費税騒ぎの本命は、国民ID制の導入で正確な所得把握と行政IT化の推進と見ています。
正確な所得把握に基づく課税の厳格化が実施できるなら、5%ほどのわずかな消費税アップでも(財務省的に)元は取れます。
……いや、そんな息もできないような税監視社会が、本当に住み良い社会なのかどうかまでは知りませんが。

それに国民ID制を基盤として、行政のIT化を進めれば、行政サービスの質を高めながら、公務員の数を減らすことができます。
これで公務員歳費2割削減も実現可能!
そして行政サービスのIT化、クラウド化のノウハウを使って民間企業も生産性アップ!
これでグローバル化にもばっちりキャッチアップ!
やったね、パパ!
……ええ、総需要が増えないまま生産性なんか上げた日には失業者を量産するだけです。
しかも、かろうじて増えたIT需要の現場には中国人やインド人のプログラマーばかりで、わずかな日本人SEが肩身の狭い思いをしながら開発費のデフレ圧力と闘ったり、中抜きして海外の業者に投げて、技術なんか一欠片も残らなかったりするのでしょうよ。
いや、だって現に今のIT業界の現場が既にそうだし。

そうして職もなく、何の技術も身につけることもかなわなかった日本人労働者だからって、世界に冠たる民主主義国家である我が日本は非情に海外に棄民したりなんてことできるわけがありません。昔似たようなことやっちゃったけどね。ほら、今は棄てる先もないしさ。
そのためのベーシックインカム。行政IT化でその事務処理もボタン一発。クラウド化のおかげで、僅かな開発費でどんどん新しい行政サービスが始められるよ!
生産性向上に役に立たない無能な失業者だって、死なない程度に生きてゆけるような仕組みさ。
財源?
ほら、消費税をちょっぴり増やして、どさくさ紛れに所得把握も高めたんだから、そこから捻出すればいいじゃないか。
それで足りなければ、いつだって消費税率は上げられる。国会に法律を通して、システムのパラメーターをちょっと変えるだけだからね。
その意義に比べれば、デフレ下に消費増税なんて、バカでも判る景気腰折れ策を強行することなんて、何でもない。
これは国家百年の計さ。たかだか「失われた10年」ごときでびびってどうする。
え? 今度失われたら30年?
でも、責任は毎年変わる総理が取ってくれるってんだから、いいよね。
百年と比べたら、30年くらい、大したことないない。

……たぶん共産党か国民党が政権を奪る以外では、このシナリオは回避不能と見ているので、まぁ、どこが勝とうと一緒というか。
ええ、勿論、共産党と国民党が政権を奪ったら、低生産性のままグローバル化に埋没する、別の地獄が待ってるわけなんですが。
どっちの地獄がましかなぁ……。

投稿: 義忠 | 2010.07.02 22:17

思いつきで言ったとしか思えないし、財務官僚に取り込まれすぎ。小泉政権の頃財務大臣だった某谷垣さんも消費税を上げるとかいいだして、小泉さんに叱責されてましたな。

やはり、一国の首相ともなれば、財務大臣を叱責できるくらいの貫禄が欲しい。

投稿: ピンちゃん | 2010.07.03 19:56

毛沢東は政治家というより、革命家として優秀だったような。文化大革命は、自分の地位を守るために中国をめちゃくちゃにしただけではなかろうか?

投稿: ピンちゃん | 2010.07.03 19:58

バカじゃないんだから、そんなことは考えていない。
いちいち上げ足を取るな

投稿: PK | 2010.07.04 13:34

消費税論議を隠れ蓑にして大事な話を隠すのはやめてほしいんだけどな、民主党さん
マスコミもしっかり話題にしてほしいぜ

投稿: STINGRAY | 2010.07.05 09:09

民主党の総理大臣や幹部が提唱する法案は「どうするのがベストか」なんて真面目に考えても意味ないよ。
選挙対策で国民の顔色を見てコロコロ変わるから、要はなるようにしかならないんだよね。

一方で、外国人参政権や人権擁護法や夫婦別姓は国民の反対を押し切ってでも通そうとする必死さは感じる。
それらの法案を成立させるためには強行採決が可能な議席を確保することが必要で、そのためには選挙に勝たないといけない。
という思考回路なのだと思う。

投稿: おすぎ | 2010.07.05 09:39

t_t さん、それって妙なインセンティブが働くと言うか、デフレ圧力にならんですかね。
間口で税金(のようなもの)をとられてた江戸時代の商家が軒並みウナギの寝床になっちゃったのと同じというか。

投稿: Cru | 2010.07.18 02:33

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 もうこの手には引っ掛からないゾーだぁ。 菅さんの事を弁ちゃんが褒めるワケがない。とは思ったけど、確かに今朝のニュースでゆうてはったヮ。やたらと「還付」を強調していた。私はね、今朝「ギリシャ(参照)」... [続きを読む]

受信: 2010.07.01 13:55

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