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2010.07.31

[書評]多面体折り紙の本、3冊

 折り紙が趣味と言えるほどのことはないが、好きでたまに折る。三つ子の魂百までの部類かもしれない。三歳くらいから折っていた。実家の書棚に昭和30年代の折り紙の本が一冊あるはずだ。
 折り紙にはいくつか思い出がある。一つは、20代のころ知的障害児と遊ぶということをしていたときのことだ。何だったら遊んでくれるかなと、いろいろ単純なおもちゃを揃えたなかに、折り紙も入れてみた。そしてやってみた。うまくいかなかった。折り紙というのは、けっこう難しいものだと思った。
 30代のころ、インドに行って地元のNPOと子どもを交えたちょっとした交流会があって、そうだな何をするかなと、折り紙を持って行ったことがある。とりあえずパフォーマンスはできたものの、率直に言って、現地の子どもは関心を持ってなかった。外国人なら、折り紙関心あるだろうなとそれなりに思っていたのだったが、そういう関心があるのは、むしろ工業製品にあふれた先進国の子どもや大人のようだ。
 そのおりのことだが、現地で予定がキャンセルされたりしてぽかんと暇になり、暇つぶしをかねて余った紙でユニット折り紙をした。いくつかのピースを組み立てて立体を作るのである。これも面白いかなとは思った。

cover
すごいぞ折り紙
折り紙の発想で
幾何を楽しむ
阿部 恒
 ひょんなことでまたあれが作ってみたくなった。どういう仕組みなのか、なにか数学的な背景でもあるのではないか。それと、任意の角の三等分が折り紙ならできるという話をもういちど読んでみたい気がした。その話のオリジンである該当書は「すごいぞ折り紙―折り紙の発想で幾何を楽しむ(阿部恒)」(参照)である。
 この本は白黒二色で地味な感じというか、もろに幾何学である。レベルは中学生の幾何学程度。上手に説明すれば中学生の教材にもなるだろう。ぱらぱらと見ているだけで、ああ、そうだこの長さは3のルートだととか思う。その点はわかりやすい。実際に立体を作ってみると、やや地味かなという感じもするのと、素材の紙は正方形の以外の作品が多い。きちんと切り出して多少厚みのある紙で作れば面白いのだが、普通の折り紙を切り出すとやや弱々しいものになる。

Chapter1 作図問題
Chapter2 一定比率の用紙を使って
Chapter3 正三角形ユニットで作る正多面体
Chapter4 正八面体から立方体へ
Chapter5 正二十面体から正十二面体へ
Chapter6 ユークリッド幾何学で作図不可能な問題を”おりがみ”で解く

 同書には、「ハミルトンの世界一周パズル」の話もある。ハミルトン路(Hamiltonian path)である。これ、平面でアルゴリズムを考えるというより、実際に正12面体で考えると、なかなか味わい深い。
 同書を購入した際のお薦めに「はじめての多面体おりがみ―考える頭をつくろう!(川村みゆき)」(参照)があり、こちらはどうかなと買ってみた。
cover
はじめての多面体おりがみ
考える頭をつくろう
川村みゆき
 これはまた多面体好きにはたまらない本である。著者はこう書いている、「多面体は好きですか? 多面体をつくったことがありますか? わたしはこどものころから多面体が好きでした」。その思いが作品を通してじんわりと伝わってくる。実際に作ってみると、解説のディテールがしっかりして驚く。これはべたに理系の頭だと思ってもう一度著者見ると「多面体の折紙―正多面体・準正多面体およびその双対(川村みゆき)」(参照)の著作があり、この原型は作者が素粒子物理学の大学院生時代に自費出版したものらしい。なるほど。
 作品はまさに多面体が意識されているせいか、立方体なども簡素な一例のみであり、クラフト的な意味合いは薄い。できあがった構造もやや弱いのでノリで補強したほうがよい点もある。
cover
ユニット折り紙
エッセンス
布施 知子
 もうすこしクラフト的な本も欲しいなというか、以前やったユニット折り紙的なものもよいかと探すといろいろある。そのなかでやはり多面体志向がよいなと思って、「ユニット折り紙エッセンス―布施知子のユニット集成 立方体、12面体、20面体から星組みまで(布施知子)」(参照)を選んでみた。まあ、正解。千代紙などで作ってみるときれいな柄が浮かび上がる作例がたくさん収録されている。説明もわかりやすい。ユニットの発展もわかりやすい。
 ユニット折り紙は手間がかかる。その間、ぼんやりとしているわけでもなく、きちんと折り目を作るなどそれなりに集中する。多数のユニットを作成していくうちに、折りの手順も暗記する。もしかしてこれってボケ防止にもよいのではないかと思ったら、その手も本もありそうだし、子どもの早期教育なんかへの応用もありそうだ。しかし、そういう二次的なアプリケーションというより、純粋に多面体の面白さやできあがった達成感みたいなものだけでも十分いいんじゃないか。

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コメント

定規とコンパスだけでは不可能な角の三等分ですが、折り紙を使うと可能であることをダンコーガイ氏が教えてくれました。

先生は、折り紙を使った角の三等分の方法はご存知ですか。

投稿: enneagram | 2010.08.01 08:24

小学生の頃に「多面体の折紙―正多面体・準正多面体およびその双対(川村みゆき)」を読んで色々作ったなぁ、懐かしい。
折り紙による角の三等分はこの本にも書いてあったような。

投稿: naruse | 2010.08.02 14:36

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 折り紙。嫌いじゃない。好きかというと、多分そう。折り方が分らないためにその魅力に入り込めていない。そうか、折り紙の本ってあったんだ。 いつか折ってみたいと思っている形がある。画像のもその一つだ。近所... [続きを読む]

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