米国に投資? いいんじゃないの
亀井静香金融相が辞任した。実質国営化に逆戻りさせる郵政改革法案が今国会で強行採決されないのを不服としてのことだ。立場はわからないではないけど、国会というのは議論をする場なのに先日の衆院のような強行採決するのでは、民衆党の醜態以前に国会の自殺だと私は憤慨していたので、多少ほっとした。私はこの法案に反対だが、参院選後再度、国民から信託された議員が十分な討議を重ねて、それでよいというならしかたないなと思っている。
で、そうした亀井危うし、郵政国営化危うしという空気なのか、ネットにいろいろ小泉政権時代の懐かしいデマや非難が舞飛ぶようになった。しかたないんだろうなと思っていた。ツイッターでもそんな雰囲気は感じられた。
そうした空気なんだろうなとは思うけど、昨日ツイッターを見ていて、あれ?と思う話が流れてきた。ネットでいう晒しという趣向ではないのだけど、いちおう引用の形にしておくけど、悪意にとらないでね(参照)。
バカにされてる…。こんなもの絶対に呑むべきじゃない。@zebra_masa 米国からの『年次改革要望書』に新規項目-米国債購入義務。年間絶対額か国家予算に対する割合のどちらにする。その選択は、日本政府の決定に委ねる。ただし、絶対額が前年度より常に上回ること。
あれ?と思ったのは、そんな話あるのかな、ということと、もうひとつ、たとえそうでも「呑む」でいいんじゃないのかということだった。そっちがこのエントリのメインの話なんだが、前段として、そんな話あるのかなを続ける。RTで引用されている元はこちら(参照)。当然、話は同じだけど。
米国からの『年次改革要望書』に新規項目-米国債購入義務。年間絶対額か国家予算に対する割合のどちらにする。その選択は、日本政府の決定に委ねる。ただし、絶対額が前年度より常に上回ること。
年次改革要望書は公式な話なんで調べればわかるはず。なのでちょっと調べてみたけど、そんな話は見つからなかった。なんだろこのツイッター情報?と思っていたが、真相はこういうことらしい。同じかたの発言で(参照)。
いやあ、すごいリツイート量ですね。「米国からの『年次改革要望書』に新規項目-米国債購入義務」はもちろん俺の想像です。『年次改革要望書』には出ないでしょうが、密約という形ですでに、あるいは近い将来に高い確率で実施されると考えています。皆さんも懸念されているように。
というわけで、この方の「俺の想像」がソースでした。
まあ、ツイッターだから、ファンタジーをつぶやいてもいいけど、カネという利害にまつわることは悪意のない冗談とも違うわけですから、リツイートとしてまき散らすとよろしからぬデマになってしまいますよね。
かくして前段は、あはは、またやってらくらいな話。
さて、米国の債権購入は悪くないんじゃないかの話に移る。といっても、島根県知事溝口善兵衛氏の杵柄みたいな話の方向ではない。普通に投資先として米国はいいんじゃないのという話である。
なぜ、米国投資がよいのか? 米国が経済的に発展していくから、というだけの話。
現在米国では10年に一度の国勢調査をやっているのだが、調査しなくても粗方の動向はわかっている。なかでも一番大切なのは、ドラッカーも社会変化の一番の要因としてあげているけど、人口だ。2050年までに米国の人口は4億人を超える。
日本はそのころ1億人くらい。現在、1億3千万人くらい(参照)。現在が日本のピークであとは下がり続ける。ざっくり見ると日本は、現状の四分の三くらいに縮小する。随分と小さくなるなと見るかそれほどでもないかと見るか。それほどでもないかもしれないな。老人は多くなる。かく言う私もそのころこの世にはいないんじゃないか。
ロシアもそのころ30パーセントくらい減る。米国との人口比は一対三くらいになり、冷戦時代が遠い歴史の彼方になる。昔、ソ連という国があったげな。
日本は老人国になるが、アジアもそうなる。全域で65歳以上が三分の一になる。中国も当然同じ傾向で、こちらは人口の30パーセントが60歳以上になる。
中国は飛躍的な成長を現在遂げているけど、今後いくらがんばってもこれに社会保障が追いつくことはなく、貯蓄率は上がったまま所得は減少する。長期的に見ると、中国もあまり未来はない。というか、日本より未来がなさそう。
老人が増えるというのは相対的に若者が減るということ。15歳から64歳の比率で見ると、日本は2050年には44パーセント減少。労働力は半減すると言っていい。欧州は25パーセント減。中国は10パーセント減。
対する米国はというと、42パーセント増える。増えるのはわかっていても、そんなにも労働人口が増えるんすかと驚く。そろそろソースが欲しいな、諸君。これね、未来学者ジョエル・コトキン(Joel Kotkin)氏による「400 Million People Can’t Be Wrong」(参照)。
![]() The Next Hundred Million America in 2050 Joel Kotkin |
もっとも、米国も長生きする老人への年金や医療の公的負担の問題は抱えていて、国家財政を圧迫している。それでも、米国にはベースの活力があるのだから、政治の意味もある。
日本の未来はというと、米国型でやっているわけはないのだから、それまで貯めたカネを米国とかアフリカとか成長する地域に投資していくしかないだろう。国家安全保障もそういうのが基調になるんだろう。というか、日本もいろいろ政治をすったもんだやって、あーもうダメという地点がそのあたりなんじゃないか。ダメのピークはなんとなく見えつつある。
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コメント
アメリカで人口が増えるといっても、増えるのはほとんどが不法移民の子供たちで、かれらは、しつけが悪く、規律もたいしてなく、成人しても、低付加価値産業労働者か低付加価値サービス労働者にしかなれない人たちです。それも大して良質ではない。
一方、20年後の日本には、40代50代の年齢になったとき、終風先生や切込隊長やダンコーガイ氏が目を回すほど優れたITコンテンツ発信者になれる20代30代の予備軍がいっぱいいます。
これを見ても、そんなに日本は気を落とさなくても大丈夫だと思います。加えて、日本は、領土面積だと世界第51位の小国家ですが、領海と排他的経済水域の自国の海域面積は世界第6位の大国です。海洋開発がもっと盛んになれば、日本のプレゼンスは大きくなることでしょう。
ハイエクやセント・ジェルジやドラッカーみたいな超優秀な人たちがヨーロッパから大量に流入していた時代のアメリカならいざ知らず、スペイン語化するアメリカにそんなに大きな魅力はないだろうと思います。これからアメリカに巨額投資するくらいなら、日本と韓国と台湾とシンガポールと香港で協力して、インド・パキスタン・アフガニスタン・バングラディシュ・スリランカ・モルジブに堅実に投資する政府連合ファンドを結成したほうが、たぶん、未来にとって生産的ですよ。インド文化圏の貧困者たちのほうが、たぶん、ラテンアメリカからの不法入国者たちより、人間性の質は高いだろうと思います。
投稿: enneagram | 2010.06.11 12:55
いやあ、老人が片付けば済む問題でしょう。
人類、生物の未来として、そうあるべきではありませんか?結局、増え続ける老人を支えきれないんです。
なら、もう支えられるだけ(の半分か1/3程度を)残して後は消えてもらうしかないではないですか。
このままでは、あるべき未来が何百年も遅れてしまうんです。それが2000年代の老人の責任だとしたら、今のうちに償わせるべきではありませんか。
老人のために未来がある、そんなくだらねえ世界、嫌じゃないですか。何のために若者は身を粉にして働いているんでしょうか?くだらないと思いませんか?ねえ。
投稿: agito | 2010.06.11 20:42
>投稿: agito | 2010.06.11 20:42さま
15年後に老人になるのはユーミンや中島みゆきで、20年後に老人になるのは、終風先生で、30年後に老人になるのは、切込隊長やダンコーガイ氏ですよ。15年後、20年後、30年後の老人たちの代表は、すごく賢明で生産的です。あまり、老人ばかりを忌み嫌うものではありません。痴呆老人、陰険老人ばかりが老人ではないのです。
投稿: enneagram | 2010.06.15 09:31
そもそも終身雇用・年金制の発祥とは?
明治末期~昭和初期(1910~20年代)にかけて、当時の大企業が、60歳を迎えて引退する人に対して【恩給】を支払っていた。
というのが、終身雇用・年金制度の発端だが、なぜこれを「終身雇用」と呼ぶのであろうか?
それは社会背景として、平均寿命が50代後半の時代に、60歳まで働いた大功労者に対して支払われたのが恩給です(全人口の1割いるかいないくらい)。彼は、ほぼ死ぬまで働いたに等しいわけですから「終身雇用」と呼ばれていたわけですね。
それに比して現代は、平均寿命が80歳代の時代なのに、60歳で定年&年金という甘事人事をほざいてます。
現代の60代70代なんて、まだまだ働き盛りですよね。小沢一郎や石原慎太郎、野村克也、渡邊恒夫、すぎやまこういち、麻生太郎…等々。見てりゃわかるが、元気そのものでしょう。
そもそも、80歳代が平均寿命なら、定年退職&年金支給開始年齢は、90代からが妥当ではないのか?と思われるわけです。(本来、年金なんてのは人口の1割でももらえれば言い方なんだし。)
少なくとも、【終身】雇用制を謳っている会社なら、業務継続が困難な状態にならない限り、90歳まで雇い
投稿: 老人も働け! | 2010.08.21 02:20