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2010.06.06

菅直人氏の海外評価はポピュリスト(大衆主義者)

 菅新首相を海外がどう見ているかの一端は、「フィナンシャルタイムズ曰く、恐るべき失望の民主党にだって希望はある、たぶん: 極東ブログ」(参照)にも記したが、他の報道を見ていると一様に「ポピュリスト(大衆主義者)」という枕詞がついている。populistは「大衆迎合主義」とも訳されるが、市民主義と訳してもそうハズレということでもない。
 表題にポピュリストを冠しているのがCSモニター「Populist Naoto Kan promises to 'rebuild' Japan as new PM(ポピュリストの菅直人は新首相として日本再生を約束した)」(参照)である。


The first PM in more than a decade not to hail from a political dynasty, the populist Naoto Kan hopes to boost his party's standing ahead of July elections.

世襲政治から離れた、10年ぶりの首相として、ポピュリスト菅直人は7月選挙を前に党の地位向上を望んでいる


 "a political dynasty"は直訳すれば政治的王朝だが、世襲政治の意味だろう。ワシントンポスト「Naoto Kan becomes new Japanese prime minister」(参照)もそこを強調していた。

Kan draws on a background that contrasts with those of other recent Japanese prime ministers. He has a humble background and a history as an outspoken populist. He is the first premier since 1996 whose family didn't make politics part of the family trade.

菅は出自において近年の日本の首相と一線を画している。彼は、あけすけに物を言う大衆主義者として、慎ましい育ちと経歴を有している。世襲政治家ではない1996年以来最初の首相である。


 英語としては下層階級的な含みが感じられるが、取材が足りないか、対比を明確にしたかったのだろう。
 CSモニターに戻ると。世襲的背景がなく大衆迎合的という構図でまず捉えられている。そしてその構図のなかで、ポピュリストなら嫌うはずの増税の問題を取り上げている。

But Kan’s populism may have to take a back seat to cold realism when he confronts Japan’s huge public spending commitments.

しかし、巨大な財政赤字への責務に直面したとき、菅の大衆迎合主義は、冷めた現実主義への後退を余儀なくされるかもしれない。

He has talked with more enthusiasm than his Democrat colleagues about the need to raise the consumption tax, a measure that is unlikely to go down well with voters.

彼は他の民主党政治家よりも、得票には結びつきそうにもない消費税増税について熱心に語ってきた。


 大衆主義者だが大衆の嫌う増税に直面するための布石として、消費税アップを語ってきたのかという読みでもあるだろう。
 テレグラフ「Naoto Kan: profile(菅直人プロファイル)」(参照)も大衆迎合主義に着目している。

His sharp debating skills, populist flair, policy pragmatism and reputation also set him apart from Mr Hatoyama, who was nicknamed "The Alien" by local press.

彼のキレのよいディベートテクニック、大衆迎合主義者としの勘のよさ、政治面での現実主義、名声、これらは鳩山氏が日本で「宇宙人」と渾名されているのとは違っている。


 ディベートテクニックでキレがいいかはちょっと疑問な点もある(参照YouTube)が、政界の世渡りのうまさはあるだろう。

In a somewhat dramatic display of his repentance – and perhaps a demonstration of his populist appeal - he shaved his head, swapped his suit for a Buddhist rope and went on a temple pilgrimage on the Japanese island of Shikoku.

どこかしら芝居めいている彼の改悛としては、おそらく大衆迎合をアピールしたものだが、頭を丸め、僧侶の出で立ちで、四国の寺社巡礼をしたことだ。


 英語で読むとおかしさが増すが、あのお遍路も効果的だったと海外で見られているのだろうか。
 ガーディアンの「Japanese prime minister Naoto Kan promises to rebuild country」(参照)でもさらっとポピュリストとして言及されていた。

Naoto Kan, an outspoken populist who started his political career as an environmental campaigner, today became Japan's fifth prime minister in less than four years.

菅直人、率直に語る大衆主義者(ポピュリスト)は、政治家としての経歴を環境問題運動家として始めたのだが、今日、彼は4年に満たない中での5番目の首相となった。


 環境問題の運動家だったろうか? 東京工業大学在学中に「現代問題研究会」を創設しいわゆるノンセクの「全学改革推進会議」として活躍したのち、市川房枝氏の選挙事務所では働いたのが原点だと思うが。余談だが、ぐぐってみると東京工業大学「現代問題研究会」は現存するようだ(参照)。創立者の弁としてこんな話が書かれている。

学生時代の私は,「現代問題研究会」というサークルを作り社会保障や国際問題など幅広く関心を持ち活動しておりました。当時は,ベトナム戦争の最中で,東工大の学生もかなり政治的エネルギーを内包しており,卒業間近の1969年の1月に全学ストライキという形で大学紛争の勃発につながりました。私は,「全学改革推進会議」という改革派グループを創って走り回っていました。今思えば,この時のサークル活動や大学紛争が現在の私の政治活動の出発点です。

 誰なんでしょ。
 いずれにせよ、菅氏もベ平連の流れであったと記憶している。
 ガーディアンの話に戻して、ここで"an outspoken populist"という表現があるが、これは先のワシントンポスト紙にもあり、他でも見られる。"a straight- talking populist"という表現もあった。つまり、歯に衣着せぬというか弁舌さわやかということだが、往年の菅氏はそうだが、現在の彼はどうだろう。「菅新首相会見から、「ある意味」を抜き出してみた: 極東ブログ」(参照)でも触れたが、とてもそうとも思えない変化はある。
 なにがその変化をもたらしたかだが、単純にあれかなと言うのはある。まあ、言うと50代とはいえ私にもブーメランになるので慎んでおこう。

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コメント

>ディベートテクニックでキレがいいかはちょっと疑問な点もある
イラ菅だけにキレはいいかも

投稿: | 2010.06.06 11:29

>言うと50代とはいえ私にもブーメランになるので慎んでおこう。

この部分を是非聴きたい。

投稿: donc | 2010.06.06 13:09

沖縄の問題もいいが、財政や景気はどうなるのか?

日米関係を沖縄の民意だけで考えるのはおかしくないか

そこらへんのこと、政府はバランスをとってやってくれ

投稿: どうなるだろう | 2010.06.06 18:25

なんか中国の方を向いた小泉ってイメージなのですが、菅さん。

投稿: とし | 2010.06.07 07:30

この人気復活も含めて、小沢シナリオの手の上で世間が踊っているのかもしれませんね。
悪の化身役、ご苦労様です。

本来の筋書きは、郵政法案も通した状態で、悪のツートップ小鳩を葬って働かず失点なき期待だけの状態で選挙突入、だったのかもしれません。

投稿: KU | 2010.06.07 08:00

>なにがその変化をもたらしたかだが、単純にあれかなと言うのはある

左翼運動(学生運動)の挫折?
世代的に私にはよくわかりませんが・・・

投稿: 40代男 | 2010.06.09 12:24

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 今日は、伊那周辺特産の根曲がり竹の煮物です。筍特有のえぐみやアクが少なく、茹でて皮を剥いたらそのまま料理にできるという笹の筍です。 実は、今回のこの筍を見つけた時に、三年前に始めて食べた根曲り竹を思... [続きを読む]

受信: 2010.06.07 09:42

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