« 米国不良資産救済プログラム(TARP)はまずは成功した | トップページ | 天明の飢饉に学ぶこと »

2010.04.20

子供のローラーシューズの安全性

 今朝の朝日新聞社説に「子どもの事故―危険はもっと減らせる」(参照)という話題があった。いわく。


 子どもから目を離さない、危ない物は遠ざける――。周囲の大人が注意しなければならないのは、言うまでもない。落ち度が大きければ、保護者の責任を問う必要はあるだろう。
 でもそれだけで、子どもの事故は防げるのか。家庭や地域の見守る力が落ちる一方、生活空間に潜む危険は減っていない。子どもは昔も今も日々成長し、予測外の行動をとるものだ。
 様々な事故の情報を集め、原因を分析し、リスクの重大性を評価する。製品改良を促し、必要なら規制措置をとり、子どもを取り巻く環境から危険を減らす。そんな機動的な仕組みが求められているのではないか。

 まったくそのとおりだと思う。
 そして、私が市中で見かける子供の安全ことで気になるのがローラーシューズである。朝日新聞社説にはまったく言及がない。なぜだろう? (1)ローラーシューズは安全だから、(2)朝日新聞社説執筆者は現実の世間の子供には関心がないから、(3)その問題はタブーだから。
 どれだろう。他の理由だからだろうか。
 米国ではローラーシューズの安全性は2007年頃話題になっていた。その後の話題はあまり見かけないので、その時点での話題性で米国での問題はある程度解決されたのかもしれない。日本でローラーシューズが子供に広まるのはその後のようだから、米国での改善を踏襲してすでに安全の問題はない、ということなのだろうか。しかし、私は現実の世界で、けっこう肝を冷やすような場面に遭遇しており、到底そうは思えない。
 2007年のAP記事「Agency: 1,600 roller-shoe injuries last year」(参照)では表題のとおり、消費者製品安全委員会(CPSC: U.S. Consumer Product Safety Commissio)によれば、2006年にローラーシューズで1600件の負傷があったとのことだ。大半は子供の使用である。死者は1名とのこと。同年には関連して医師からの示唆の記事「U.S. Consumer Product Safety Commissio」(参照)もあった。初心者の場合、肘や膝の損傷を起こしやすいのでヘルメットやプロテクターをしなさいということだ。
 子供の教育や安全性に関連する話題を扱うeducation.comでも同時期に関連記事「Roller-Shoe Injuries on the Rise」(参照)を出している。それによると、67件の事故中57件が女の子とのこと。他に、事故は初心者に起こりやすい、事故は市中で発生している、上腕の損傷が目立つ、前後移動で事故になりやすい、など。
 具体的に、American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS) は以下のアドバイスを出している。

・Learn and practice the basic skills of the "sport" — like how to stop — before taking the shoes out in public.
 公衆で利用する前に、スポーツとしてストップの方法など基本に習熟すること。

・Use the shoes on flat surfaces — not on rocky areas, over curbs, or down hills.
 平らな場所で使うこと。でこぼこや曲がりの多い道、下り坂は禁止。

・Don't use the shoes around lots of people or in traffic.
 人の多い場所や交通の激しい場所では禁止。

・Don't try to maneuver around crowds.
 人混みで曲芸的に使わないこと。


 イギリスでは事故をきっかけにローラーシューズを禁止した街もあるとこのこと(参照)だが、そこまでするより、基本の指導をして、安全に遊べる場所を確保するほうがよいだろう。

|

« 米国不良資産救済プログラム(TARP)はまずは成功した | トップページ | 天明の飢饉に学ぶこと »

コメント

 子供取り巻く環境から危険を減らす。?

finaiventさんのいけんじゃないみたい。 
子供のうちにたくさんの事故にあうべきじゃないのか。?

投稿: ドスコイ庭師 | 2010.04.20 22:00

スーパーによく行くおっさんの感覚としては、出始めは2003年ころからでピークは2005年ごろ、最近はもうブームが去った感じで見ないですかねえ。地域による違いはあるかもしれません。ああゆうガキを見ると蹴飛ばしたくなる衝動を抑えながら買い物してました。

投稿: as62 | 2010.04.20 22:04

ローラーシューズの危険性に対処するといっても、まともな対処案は、ローラースケートリンクの充実ということになって、金ばかりかかってしょうがないんではないのですか。

まあ、大人も変なものを子供にはやらせないことですよ。

投稿: enneagram | 2010.04.21 07:06

あれ? 家庭欄か何かで特集記事してなかったっけ?

投稿: peri | 2010.04.21 10:41

”そして、私が市中で見かける報道の自由のことで気になるのが記者クラブの解放問題である。朝日新聞にはまったく言及がない。なぜだろう? 
(1)記者クラブは無害だから
(2)朝日新聞社説執筆者は現実の報道の自由には関心がないから
(3)その問題はタブーだから。
どれだろう。他の理由だからだろうか。”

「記者会見・記者室の完全開放を求める会」が4月19日にアピールを行い、その模様はユーストリームやニコニコ生放送で中継されていましたが、これを取り上げている大手紙って無いみたいですね。朝日新聞の記者さんも来てたけど。
その代わりに根拠の曖昧な2chの記事が載ってたけどね。

メディアの権力の源泉は「何を報道し、何を報道しないか」を取捨選択することにあるんでしょう。報道しなければ「記者クラブによる取材の独占」という問題は存在しないし、報道すれば「なんとか牧場の生キャラメルブーム」は存在するんでしょう。

大手紙にしてみたら、個人ブロガーによる報道なんて子供の遊びみたいなもんだと感じているのかもしれないですね。事故を起こすかも?と。
ただ仰るとおり、むやみな規制に走るよりも基本の指導をし、取材の機会を与える方が建設的な気がしますね。子供が親を見限る前に。

投稿: ぽぽん | 2010.04.21 13:29

息子にも娘にも、絶対買わない。うちの夫婦二人の共通の確認事項です。

日本の歩道には、目の不自由な人のためのマークがありますし、私の街は右手で山菜を摘みながら左手は潮で手を洗うような地形です。
>平らな場所で使うこと。でこぼこや曲がりの多い道、下り坂は禁止。
なら、はなっから安全な場所はないですし。

自分の子供の頃と比較していかに通りに車が増えたか、を思えば、子供は危険を体験して大きくなるべき、というのは感傷だけの空論だろうという気がします。

まぁ、野合権力者たちは、子供が安心して遊べる、通りが閑散とした日本にしたいのでしょうから、もうすぐ安心して遊べるようになるかもしれませんが。

投稿: KU | 2010.04.21 18:28

一長一短だと思います。取説を読むだけでもいいので、短の部分も親は考えて頂きたいと思います。

投稿: mocopitch | 2010.04.22 15:16

今年の1月にグアムへ行きました。
小さな子どもから中学生くらいの子どもまでみんなヒーリーズをはいて、マーケットの中を滑っていました。
ほとんどの靴屋の店頭がヒーリーズでした。
すごく人気の商品で、セールで35ドル前後と日本の半額以下で安価、サイズも大人サイズも豊富でローラーシューズのターゲット層が日本と違うなと感じました。
アメリカと日本は環境が違います。
日本でヒーリーズなどのローラーシューズを公共の場で着用するのはほんとに危険です。
どんなに滑るのが上達しても、
一瞬のミスが事故につながります。
小学校高学年の息子は家の中で履いて滑っています。
日本の家ではお行儀が悪いかと思われますが、アメリカで暮らした環境のある者なので、朝起きたら靴を履く習慣がうちではあります。
もちろん家の中用ですので外出する時は普通のスニーカーです。
気持ちよく滑っている子どもはまるでスケート選手にでもなれるんじゃないかと錯覚するほどですが、自分だけでなく他人に危害を加える可能性のリスクのある危険な靴だと思います。

投稿: 1006 | 2010.05.26 20:36

まず第一に、スポーツの一種である事を認識して頂きたい。
あなたたちは自分の子供に自転車や一輪車に乗ること、スキースノーボードをする事を危険だからと言ってやめさせますか?まずそこの所を再認識しなければ、この問題の解決には至らないと思います。
特に、「ああゆうガキを見ると蹴飛ばしたくなる衝動を抑えながら・・」とか思っているヤツ!残念ですね。
世の中のは自分中心ではないのですよ。
子供のように、注意しなければまだ正しい判断ができないのであれば、判るように注意し、大人になっていくのではないのでしょうか?
本題に戻りますが、全てにおいて最終的には自己責任において使用するしかないのでは?
例えば、自転車を例に挙げますが・・オフロードはオフロード用自転車で走行しますよね?
ツーリング用自転車でオフロード走行し、転倒ケガしたからって販売業者に文句を言う人いますか???
スキー初心者が、混雑しているゲレンデを滑っていて、他人にぶつかったからといって、スキーの販売方法や注意方法に対し指導しますか?
使用方法と技術度を、使用するのが子供であればそれはやはり保護者責任(監督責任)の範ちゅうですよね。
危ないからやめさせるとか、前出のような心無い大人の発言が、子供を疲弊させている諸悪の根源であると思います。

投稿: | 2010.05.26 23:50

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 子供のローラーシューズの安全性:

» ローラーシューズは危険 [りゅうちゃんミストラル]
土日のせいか、デパートなどでローラーシューズの子どもが目立つ。公園など広い場所でなく、人の多い中で使う子がいて気になる。   使うのなら、ちゃんとプロテクターなど装備し... [続きを読む]

受信: 2010.05.22 20:32

« 米国不良資産救済プログラム(TARP)はまずは成功した | トップページ | 天明の飢饉に学ぶこと »