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2010.04.09

2025年、世界最大の都市は東京。しかも、ダントツ。

 今日のCNNのニュースで、現在、世界最大の都市は東京であり、しかも、ダントツだという話があった。それはそうだろう。以前「東京が世界の中心なのかも: 極東ブログ」(参照)というエントリも書いたことがあるので、それほど驚きではなかったのだが、ニュースの詳細を見ていて、驚いた。2025年になっても世界最大の都市は東京であり、しかも、ダントツなようだ。日本の人口は縮小し始めているのに、東京だけが世界に冠たるお化け都市になっていくらしい。
 CNNのニュースは「世界の人口、巨大都市に集中の傾向 最大は東京圏」(参照)である。


 国連がこのほど発表した報告書によると、人口1000万人を超える巨大都市の住民は現在、世界の都市人口の9.4%以上を占め、2025年には10.3%に達することが予想される。巨大都市の人口では、東京圏が世界首位に立っている。
 国連経済社会局が3月末に発表した「世界都市化展望2009年修正報告」によると、世界には同年現在、人口1000万人以上の巨大都市が21カ所あり、この数は2025年までに29カ所に増える見通しだ。
 巨大都市のうち、東京圏の人口は横浜、千葉などの周辺部を含め3650万人で、世界2位のインド・デリーを大幅に引き離している。これは国別人口のランクに当てはめると、アルジェリアやカナダ、ウガンダをしのぐ数字だ。

 CNN報道を読むとわかるが、正確には「東京」ではなく「東京圏」としている。データの出所は国連経済社会局が3月末に発表した「世界都市化展望2009年修正報告」とのことだが、同内容と思われる英語報道「The world's megacities」(参照)にはこの言及が見当たらない。代わりに英語報道では、世界の都市調査・予測で定評があるデモグラフィア(Demographia)(参照)があるが、日本語報道にはない。報道のヴァージョン関係がよくわからない。が、今年のデモグラフィアの「Demographia World Urban Areas & Population Projections」(参照PDF)は興味深いものではあった。、
 CNN日本版にある、国連経済社会局が3月末に発表した「世界都市化展望2009年修正報告」だが、これは3月22日付けガーディアン「UN report: World's biggest cities merging into 'mega-regions'」(参照)に、UN-Habitatによる"Biannual State of World Cities report"とある、「State of the World’s Cities 2008/2009 - Harmonious Cities」(参照)ではないかと思う。
 UN史料を見ていくと、2025年の巨大都市の推定があるのだが、これを見ると、東京がその時点でもダントツである。

 現在の2位はメキシコ・シティだがこれは2025年には6位に落ちる。2025年の2位はインドのムンバイだが、それでも東京には1000万人も及ばない。
 東京はどれほどお化け都市なのかということだが、よく見ると、東京が2025年にそれほど膨れているわけではない。100万人増えるくらいだ。東京といっても東京圏なので、おそらく2025年に現在の東京都自体が人口面で大きく変わるということではないだろう。東京に近い人がもう少し東京に近い圏内に移住するといったくらいのものだろう。
 2025年のダントツ1位の東京の人口が現在とそれほど変わらないというのはどういう意味なのだろうか。他のメガシティには超えられない上限が存在するということだろう。200万人レベルの都市を見ていくと、どちらかといえば途上国発展の無秩序的拡大の限界と、ニューヨークやロサンゼルスのような米国型都市の限界がありそうだ。
 欧州型のメガシティというものは見当たらないようだ。また、上海などもメガシティでそれなりに拡大するのだが、他の都市からすると相対的に落ちてくる。北京も同様だ。意外に、中国はあれだけの人口を抱え、沿岸部の都市へ人口がシフトするのだろうが、全体として効率のよいメガシティ化はせず、むしろ都市間の距離から分散的になっていくのだろう。
 もう一点、ある意味で驚くべきこともしれないが、現在20位にもないナイジェリアのラゴスが12位に上がってくる。11位も同様にコンゴのキンシャサが登場する。この観点からフィナンシャルタイムズが6日付け「From megacity to metacity」(参照)というアイロニカルなエッセイ掲載している。


If Tokyo is a shimmering, high-tech, consumerist dream of intensity and density, somehow remaining civilised, polite and eye-wateringly efficient, Lagos has become the cipher for the urban nightmare – a city without structure, infrastructure, social provision, amenities or basic property rights for its citizens.

東京が、きらめく、ハイテクの、強度密度を持った大量消費の夢であり、文明にとどまり、礼節を持ち、泣けるほど効率的であるなら、ラゴスは都市が悪夢の謎である。そこは構造も生活基盤も社会的供給も快適さも市民の基本形もない都市だ。


 たしかに、そんなネタを展開したくなるような世界都市の変貌にはなるだろう。
 デモグラフィアのほうの史料もざっと見ていくと、東京圏について興味深い言及があった。

A plausible argument could be made for designating the south coast of Japan from Tokyo-Yokohama to Osaka-Kobe-Kyoto as a single urban area, because it has nearly “grown together.” Yet, this ribbon of urbanization is far too large to be a single metropolitan area (labor market) and thus considered to be multiple urban areas.

日本南岸について東京・横浜から大阪・神戸・京都までもが単一の都市域なのだと論じることも可能だろう。一体的に成長しているからだ。しかし、この一帯は、単一の都市部(労働市場)として見るにはあまりに大きすぎる。だから、都市部としては分割して考察される。


 おそらく世界の他の都市の広がりからすると、東京から大阪間までも巨大な一つの都市と見なせないこともないのだろう。実際のところ、日本は世界最大都市東京を頭にもちつつ、太平洋側に緊密に、事実上のさらなる巨大都市を作り上げていくのだろう。
 日本は政府と経済を見ていくと、老人の「立ち枯れ日本」といった印象があるが、現実には、他の世界のどの国もなしえない、不思議な都市空間を作り上げている。それは、人類からさらに進化した、どちらかというと、蟻に近い存在なのではないか。

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「社会」カテゴリの記事

コメント

楽しい(?)記事をありがとうございました。

最後の一文、「人類からさら進化した」というところは「さらに」の誤植のような気がします。

投稿: nanoshi | 2010.04.09 21:39

この話題については、リチャード・フロリダの『クリエイティブ都市論』が参考になりますよ。

投稿: レバレッジ君 | 2010.04.09 22:24

蟻は病気になったりすると「英雄的に」巣から離れて死んでいくそうですし、地震があっても他の動物や昆虫のように特別な行動をとることもないそうですからまさに人の目指す対象ですね。

投稿: Melchizadake | 2010.04.09 23:48

増田 悦佐 『日本文明・世界最強の秘密』
http://www.amazon.co.jp/dp/4569696317/

この本で、東京の成功の理由が鉄道網の構築によるエネルギー消費の効率化であることが論証されています。
米国型都市が規模を大きくできない理由も。

投稿: ほるほる | 2010.04.10 01:36

鉄道網という意味では連結した都市圏だととらえられるかもしれません。
でも,移動コストという意味,つまりお手軽な運賃と時間でどれだけ広く活動できるか,という意味では,太平洋ベルトが都市圏とは言えない。

アセンブリの液晶なんかでは,上海・釜山・瀬戸内・関西ベルトって感じすらする。

いびつな巨大都市圏とは,高密とともに自給率の低さ,外部依存を意味する。脆弱。それにしてもこの評価,地震リスクは含まれてるのかしら。

投稿: hira | 2010.04.10 01:42

東京圏の拡大に関しては、つくばエクスプレスや日暮里・舎人ライナーなんかの今後の影響は大きいだろうと思います。

実は、京阪神経済圏も、ロサンゼルス経済圏より大きな経済圏であるということをご存知ですか?名古屋経済圏もシカゴ経済圏より大きな経済圏です。

こういったことについては、増田悦佐さんが、鉄道の普及と利用の観点から説明されています。

投稿: enneagram | 2010.04.10 07:42

>>東京・横浜から大阪・神戸・京都までもが単一の都市域なのだと論じることも可能

かなり無理がある

投稿: | 2010.04.10 08:32

nanoshiさん、誤記ご指摘ありがとうございました。修正しました。

投稿: finalvent | 2010.04.10 09:26

よくわからないのですが、大都市の基準って、単に居住者数だけなのですか?

投稿: aaa | 2010.04.10 13:21

さいごの「蟻」がスパイスでよかったです

投稿: | 2010.04.10 22:03

なんか訳おかしいよ

投稿: | 2010.04.10 22:11

EU圏は歴史的景観による建築制限があるため、都市の拡大はありえない。
北米は、モータリゼーションが逆にハンディ。地下鉄が発達しているNYが例外的に巨大化しているのがその証拠。
中国、特に上海が東京に匹敵する超巨大都市化しないのは、インフラの問題。特に上水道に使える水源が上海も北京もキャパに余裕がないのがつらい。

21世紀はアジアに超巨大都市がいくつもできる時代となるのでしょうが、どこもネックなのが都市交通などのインフラ整備の公共事業。バンコクは一時期ASEANで最も繁栄するだろう都市になるはずが、この点でこけて脱落。個人的に今後重要な都市になると思うのが、ジャカルタとクアラルンプール。

投稿: F.Nakajima | 2010.04.10 22:52

日本については、破綻しそうだとかネガティブなことだけが目にとまるので、このニュースは新鮮でした。
でも、将来の東京は日本人の占める割合が激減するような気もします。

投稿: T.IMAI | 2010.04.11 12:05

日本は世界に類を見ない官僚による強制的な
東京への一極集中化政策を一貫して続けています。
ここ10年、特に小泉政権以降は前にも増して加速しています。
もしこの政策が2025年まで継続されるならこの結果も当然でしょうね。

しかし現在の日本は東京圏のGDPは上昇し続けているものの
地方はおろか近畿圏も経済は疲弊化し日本全体のGDPでは年々下がっています。

これは一極集中の限界に達したと考えるのが自然ではないでしょうか。
このまま2025年まで政策変更なければ日本はきっと衰退に向かうだけです。

しかし日本がもし今後、地方分権化に舵を切りなおしたならば2025年の東京圏の人口は
3000万人を切るかもしれない。
しかし日本全体はきっと良くなっていると思う。

投稿: masuo | 2010.04.12 01:25

>>masuo
根拠ないですね。

投稿: | 2010.04.16 13:38

増田悦佐さんの本がさっそく紹介されていて予想通り。
その時代ごとのエネルギー効率化にもっとも優れた国に覇権が移ってきたとする主張は一読の価値があります。
オランダの風車→イギリスの蒸気機関→アメリカの内燃機関と、その時代の技術・社会制度は、エネルギー効率が最高のものをなしえた国に覇権をもたらすのだと思わされます。
おすすめです。

物流や人の移動にかかるエネルギー効率がもっとも良いのが鉄道網であり、それがあるからこそ東京圏のような巨大な人口を抱える都市圏が構築できている。
当然経済的メリットは巨大な物になる。

masuoさんの願望を聞いたあとで悪いですけど、地震が起きようが官僚がいなくなろうが、都市化の流れは止まりませんよ。それどころか世界的なトレンドとして加速されます。
現在、世界中の都市で鉄道建設プロジェクトが立ち上がっているのが一つの証拠と言えます。
地方分権への努力をするより、地方が過疎化してもやっていける社会システムの考察をしたほうが建設的だと思いますけど、いかがでしょうかね。

投稿: チラ裏ウォッチャー | 2010.04.21 05:12

しまったアメリカの成長エンジンは移民だったな、内燃機関って書いちゃった。すっかり忘れてたorz

投稿: チラ裏ウォッチャー | 2010.04.21 05:14

>地方分権への努力をするより、地方が過疎化してもやっていける社会システムの考察をしたほうが建設的だと思いますけど、いかがでしょうかね。

複数の町村にまたがる大規模農林業とか?

投稿: ピーちゃ♪ | 2010.04.26 15:04

みなさん大都市がいいという
根本的な間違いを前提に議論してませんか?
OECDのレポートによれば
50万から800万までの都市が一番流通効率がよくて
それ以上の都市は非効率ですから
アメリカ形の分散都市のほうがいいのです。

投稿: eternalwind | 2010.05.08 20:56

試訳してみます:
 東京がキラキラと輝くハイテク大量消費文化の夢を体現した、稠密で強力な、洗練され礼儀正しく、涙が出るほど効率的な都市であるとするならば、ラゴスはさしずめ都市の悪夢を体現する暗号のような存在となるだろうーーすなわち、構造もインフラも、社会的な設備も、快適性や基本的な権利すらも、一切が存在しないない街だ。

投稿: 通りすがりのライター | 2010.06.15 15:27

ちょっと、ここにいる方って、無知過ぎないかしら? 東京が世界一とかで喜んでるけど、どういう意味で見るべきか全くわかってない感じネ。東京都市圏の人口が3300万人で、NY広域都市圏で2200万人と1100万人の差。だけど2008年のGDPでは、東京が1479$bnで、NY1406$bn。2025年には東京1981$bnで、NY1915$bn。ほとんど変わらないわ。つまり、東京の所得がどれだけ低いかってことであり、いかに生産性が低いかって事なの。アメリカの都市圏は世界トップ10に4都市圏だけど、人口比で見れば、NYやサンフランシスコなどの方が、遥かに高くなるわ。今、東京の世界的地位は大幅に低下しているの。その最大の原因は、不均衡な東京一極集中にあるわけよ。東京の金融での地位低下は大きな痛手だと思うわよ。それに震災も加味されて、もしかしたら2025年に1000万人以上も少ないNY都市圏に抜かれる可能性あるから心配だわ。

投稿: NYルンルン女帝 | 2011.09.07 01:06

人口は集中したほうが効率はいいんだが、東京の場合は限界を越えて逆に効率が悪くなってる。

それが証拠に、東京の出生率は断トツの最下位。
異常な人口過密で家賃などの生活コストが高いことと、長い通勤時間のせいで子供を産む余裕がないことが理由。

救急車の到着時間も東京が断トツの最下位。通常、都市部の方が病院までの距離が近いから有利のはずが東京は常に渋滞状態だから逆に遅くなってる(同じ都市部の大阪、名古屋はベスト10に入ってる)

つまり東京は仕事や遊びの場としては最高だが、子供を産み育てる場としては最悪ということ。
こんな都市が理想的な都市とはとても言えない。

投稿:   | 2013.11.12 05:44

都市圏人口ではなく、都市単独で人口世界一はどこの都市か知りたいです☆

投稿: 沢庵和尚 | 2014.03.07 19:57

東京は家賃高いと言いますが、場所にもよりますね。
郊外は家賃安い所多いですし、通勤圏(埼玉・千葉・神奈川)でもお買い得の物件が沢山あります。
通勤時間も10年ほど前に比べたら短くなってますし、フレックスタイム制が増えてきて、苦にならなくなりました。
皆、都内に住みたいと言う希望を持たなければ良いと思うのですが・・・。
郊外の方が環境も良いし、住みやすいです。
出生率の件ですが、北区・荒川区・葛飾区・江戸川区・練馬区などへ行くと、物凄く子供が多いです。


私は生まれも育ちも神戸で神戸が大好きですが、東京も住みやすいし、何より刺激的です。

投稿: 翁 | 2014.10.19 00:28

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