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2010.03.30

中国毒入り餃子、ジクロルボスはどうなったか?

 中国毒入り餃子事件の容疑者が逮捕されたという話が27日、公式な外交ルートを通して日本の外務省に入った。北京の日本大使館の公使が中国政府に呼ばれ、容疑者拘束について説明を受けたとのことだ(参照)。翌日28日、中国公安省当局者は、共同通信など日本メディアと会見し、呂月庭容疑者(36)が2007年夏に、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を盗み、冷凍保存庫で三回注入したと供述していることを公表した(参照)。
 今後さらに事態の解明が進むのかもしれないが、現状では中国側の説明は辻褄が合わない。28日付け毎日新聞記事「中国毒ギョーザ:公安当局の説明になお疑問も」(参照)も疑問点を三点列挙していた。


毒入りギョーザ事件を巡り28日行われた中国公安当局の説明にはなお疑問も残っている。
▽犯行には極細注射針を使ったとの証言もあるが、これはどうなったのか
▽日本で検出されたメタミドホス以外の殺虫剤はどう混入したのか
▽複数犯行説がなぜ否定されたのか

--について明確な説明はなかった。

 極細注射針については奇っ怪で、現状の調査では、今回の注入に利用されたのは、0.2ミリ以下の特殊な極細注射針だが、中国の医療用注射針は直径0.25ミリ以上なので、どこからそのような器具が入手できたのだろうか。
 複数犯行説については、逆に呂容疑者単独犯かどうかに関わってくるが、これはようするに事件の真相にも関連してくる。現状では、後で述べるジクロルボスの関係からすると単独犯説は疑わしい。読売新聞記事「警察庁困惑「検証しようがない」…毒ギョーザ」(参照)。でも、「ところが、08年2月に、福島県内の店舗で同じ有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出された天洋食品製のギョーザは、前年の07年6月に製造されており、一連の薬物混入を、呂容疑者の「単独犯」とする中国公安省の見解では説明がつかない」としている。
 気になるのは、メタミドホス以外の殺虫剤、特にジクロルボスの問題である。今回の中国側の発表では現状ジクロルボスについての情報が含まれていない。呂容疑者の犯行だが、毎日新聞記事「中国製ギョーザ中毒:「殺虫剤を3回混入」「診療所廃棄の針で」 公安省が経緯説明」(参照)では以下のように三回の時期としている。

 杜局長によると、呂容疑者は93年から工場の食堂管理人として勤務。07年7~8月、工場衛生班からメタミドホスを盗み、工場診療所から廃棄された注射器数本を入手。同年10月1日と10月下旬、12月下旬の3回、冷凍庫内に忍び込み、注射器でメタミドホスを混入し、注射器を工場内の下水道に捨てた疑いがある。

 ジクロルボスの注入だが、2008年2月8日付け読売新聞記事「天洋製ギョーザ中毒 殺虫剤入りは土日・祝日製造 「単独行動、難しいが…」」では次のように報道されていた。メタミドホス注入の時期については呂容疑者の供述に対応するが、ジクロルボスについては時期が対応しない。

 今回の中毒事件では、昨年6月3日製造の「CO・OP手作り餃子(ギョーザ)」からジクロルボスが、10月20日製造の同商品と、10月1日製造の「中華deごちそう ひとくち餃子」からメタミドホスが検出されている。10月1日は中国の国慶節(建国記念日)で、10月20日と6月3日も土日にあたる。輸入仲介商社「双日食料」(東京)によると、工場は土日祝日でも受注量に応じて従業員が出勤しているという。

 呂容疑者が同年6月にジクロルボスも注入したという話にこれから中国側も慌てて展開していくのかもしれないが、ジクロルボスについては別件の毒入りインゲンにも関係している。同年10月18日読売新聞記事「殺虫剤検出のインゲン袋に1ミリの穴 梱包後から納入まで密封」より。

 ◆ジクロルボス検出 
 中国産冷凍インゲンから高濃度の有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出された問題で、問題の商品の包装袋に約1ミリの穴が開いていたことが17日、警視庁の調べで分かった。この商品は、中国・山東省で段ボール箱に梱包(こんぽう)された後、東京・八王子市のスーパーに納入されるまでは密封状態だったことから、同庁では中国での梱包前か、段ボールがスーパーで開封された後に、人為的に混入された疑いが強まったとみて捜査を進めている。
 ■捜査 
 同庁幹部によると、穴は肉眼では気づかない程度の大きさで、購入した主婦が調理のためはさみで切り離した袋の左下部分で見つかった。近くには、温度差で袋が膨張した場合に中の空気を逃がす数ミリの通気孔もあったが、この通気孔とは異なる形状だった。人為的に開けられたかどうかは不明という。
 同庁では検出されたジクロルボスが極めて高濃度だったことから、中国で洗浄・加熱処理する前の混入はあり得ないと判断。国内で混入された可能性も想定、スーパーの防犯カメラの解析を進めている。
 ■製造・流通 
 輸入元の冷凍食品大手「ニチレイフーズ」(中央区)によると、インゲンは昨年夏、中国・黒竜江省の農場で収穫された。同省の「北緑食品」が工場で洗浄し、大量の熱湯に湯通しした後に冷凍したという。
 インゲンは昨年10月、約2000キロ離れた山東省の煙台北海食品に運ばれ、倉庫に保管された。250グラムずつに手作業で袋詰めされたのは今年7月。20袋単位で段ボール箱に梱包、同19日に船便で日本に輸出された。
 段ボール箱は、八王子市のイトーヨーカドー南大沢店で主婦が購入した11日に初めて開封されたという。

 断定はされていないが、こちらも注射器によるジクロルボス注入である可能性は高いだろう。
 この毒入りインゲンと毒入り餃子に関係はないのだろうか。場所は異なるが時期的にも近い。
 現状では、こうした話から、中国側の説明とは異なるストーリーを想定するには情報が足りない。
 いずれにせよ、これらは、国際的な基準で制度的に対応すべき、いわゆる食品安全の問題というより、日本でもかつてあった青酸コーラ無差別殺人事件に近いタイプの犯罪だろう。つまり、中国製食品の安全性一般の問題とは切り分けて考えたほうがよいだろう。

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コメント

上海万博前に、犯人を創出して、日中両国ののどに引っかかったとげを抜いておこう、とそれだけのことだろうと思いますよ。

私は、上海万博には行かないけれど、上海万博の「ゆるキャラ」人形はほしいと思っています。どこかのららぽ-とかアリオに売っているだろうと思います。

中国製食品は、食べない、買わないに越したことはありません。それができれば、の話だけれど。

投稿: enneagram | 2010.03.31 07:10

あいも変らず、らしい捜査結論ですな。抗議すらもできない島国 敗戦国の無様な対応があきれる。
大きな問題として、廃油の使用中華料理の方が問題だと思うが、問題意識の低さの国なのに頼らなければいけない日本国と言う船を操縦しているのはだ~~~れ。

投稿: | 2010.04.10 16:57

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