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2010.01.01

年明け早々から多発するカネを巡る小沢疑惑

 元旦というのに民主党小沢一郎幹事長を巡る政治資金問題が騒がしい。何が起きているのだろうか。自分なりに、まず3つの流れがあると見た。(1)通称「小沢ハウス」を巡る資金の出所、(2)小沢氏が過去にかかわった政党の清算金、(3)西松建設を巡る偽装献金、である。
 (3)の西松建設を巡る偽装献金問題については、このブログでも世間で話題になっている時期に取り上げた。いろいろな見方があるが、表向き、賄賂性や出所不明のカネが関係しているわけではなく、基本的には政治資金の記載の問題に過ぎなかった。問題だとすれば、逮捕された大久保秘書が西松建設からの企業献金であることを意識していたかに絞られ、現状、秘書からその旨供述が上がっているので、最悪、偽装献金ということにはなるだろう。
 偽装献金の問題は、これも過去にこのブログで扱ったが、小沢氏に限った問題ではない。自民党の代議士などでも普通に見られるもので、そのため騒動が起きたのが政権交代を前にした時期でもあったことから、民主党の小沢氏を狙い撃ちしたのではないかという社会非難を検察が浴びることにもなった。
 検察に政局的な意図はなかっただろう。西松建設を巡る談合事件の解明から小沢氏の関与を疑っていた一連の帰結にあっただけだろう。経緯はむしろ、この問題が単なる偽装献金ではなく、ダム利権を巡る談合采配から事実上の賄賂を政治家が受け取るシステムの存在にある。検察は現在、その全体システムの解明に向かっているようだ。が、小沢氏の関連でそこまで大きな絵として仕上げることができるのかどうかは識者からも疑念が寄せられている。私もそれは無理ではないのかと思う。なお、こうした視点を取ることで私も民主党擁護派との執拗なバッシングを受け、嫌な思いをしたものだった。
 現在の状況はなんだろうか。この(3)の偽装献金問題、さらにその背後にある談合采配システムでの疑惑を検察が追っているという渦中に、(1)の通称「小沢ハウス」を検察が蒸し返してきた、というのが年末のこの関連の状況だ。
 懐かしの「小沢ハウス」の再登場で私が率直に思ったのは、(3)の偽装献金・談合采配システムでの小沢氏への追い詰めが手詰まりになったため、別の搦め手として、古い話として持ち出してきたのではないかということだ。また検察は下手を打ち出したのではないかとの印象も当初もった。通称「小沢ハウス」については2007年にも政治資金収支報告書の正誤でマスコミなどでも話題になっていたが、その後話題が事実上立ち消えになっていたことからもわかるように、小沢氏の政治資金管理として大きな瑕疵がないものと見られていた。
 「小沢ハウス」再登場のポイントだが、この土地の購入代金の4億円の出所に当てられている。12月31日読売新聞記事「「小沢氏から現金4億円受領」石川議員供述」(参照)によると、2004年、民主党小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」がこの土地を購入する際、当時同会の事務担当者だった現石川知裕衆院議員(民主党)は、最近の東京地検特捜部の事情聴取で「小沢先生に資金繰りを相談し、現金で受け取った」と供述しているとのことだ。さらに翌年(2005年)も別途収支報告書に不記載の4億円の同会入金があり、検察はこれも小沢氏本人から受け取ったものではないかと追求しているとのことだ。
 「小沢ハウス」関連の再登場の話題のポイントは、政治資金として公開されていない謎の出所から4億円のカネを小沢氏が出したということだ。石川氏は供述ではこのカネは小沢氏の個人の資産であり、別途収支報告書に記載しなかったのはミスだとしている。
 当然、そのカネの出所は今後追求されるだろうが、「小沢ハウス」を巡る4億円の出所疑惑は、検察の絵では、小沢氏を巡る資金問題の一例としてのみ扱われているわけではなさそうだ。
 今日の時事通信記事「小沢氏の事情聴取検討=元秘書「自宅に現金4億円」-東京地検「貸付金」原資解明へ」(参照)によると、小沢氏の元私設秘書が東京地検特捜部の事情聴取で、「2007年春ごろ、4億円の現金を小沢氏の自宅に運んだ」と供述しているとのことだ。また、今日の産経新聞記事「4億円不記載で小沢氏の認識捜査 東京地検、任意聴取も検討」(参照)では、石川氏は単独で資金移動できる立場になく、小沢氏自身がこのカネの流れに関与しているとの疑惑が報じられている。
 現状では、小沢氏から陸山会に貸し付けた資金の返済と見られているが、そもそもの4億円が小沢氏自身のカネでなければ、「小沢ハウス」を介したマネーローンダリングにも見える。
 問題の4億円の入金に話を戻すが、このカネは2004年10月上旬から10中旬、1000万円から5000万円に小分けして入金されていた経緯がある。このカネの扱い方自体も興味深い。今日の読売新聞記事「「小沢氏から現金4億円受領」石川議員供述」(参照)によると、2004年中堅ゼネコン、水谷建設の担当者は10月中旬、ホテルの一室で石川氏に5000万円の現金を手渡したと、同社幹部が検察に供述しているとのことだ。
 石川氏はこの5000万円の受け取りは否定しているが、受け渡しされたと見られる直後に「陸山会」に5000万円を入金している。常識的に見れば否定は難しい。これが水谷建設からの企業献金であれば、政治資金収支報告書の不記載となる。
 それ以上に問題なのは、この「献金」がダム建設の談合の報酬の意味合いを持っていたかどうかだ。疑われる背景はある。2004年10月は、国土交通省東北地方整備局が発注した岩手県胆沢ダム工事を鹿島などの共同企業体(JV)が約193億円で落札した際、水谷建設がJVの下請けに入ったことだ。
 こうした文脈から、検察としては、(1)の「小沢ハウス」疑惑を一連の(3)の偽装献金・談合采配システムに収める絵を描いているのだろう。
 この絵をどう評価するか。現状、話はすべて検察リークを元にしているので、そのバイアスを受けることになるが、おそらく「小沢ハウス」疑惑に水谷建設からの「献金」が流れ込んでいるというところまではありそうな話に思える。しかし、一番の問題は、検察の大きな絵である、献金が談合采配のシステムの実証例なのだとするには弱いように思える。
 そもそもこの談合采配システムと想定されるシステムは、いわゆる談合を実質采配した手数料というものではない。いわば慣例的な権威として神社に奉納された献金のような様相をしている。また西松建設を巡る問題のように時効にもなっているはずだ。現状では、小沢氏の政治生命にピリオドを打たせるほどの決定打にはまだ仕上がっていないように見える。
 しかし、注目されたカネが5000万円なので大工事にすれば薄謝かに見えるのだが、今日の東京新聞「小沢氏関連団体 数カ月で15億円出入金」(参照)は驚くべき話を繰り出している。やはり2004年10月なのだが小沢氏の関連政治団体「改革フォーラム21」に政治資金収支報告書には記載のない総額約15億円が現金で入金されていたらしい。
 こちらも検察が解明に向かっているとのことだ。この巨額の資金は数か月かけて分散して引き出されていることから、同年11月1日の紙幣デザイン変更(ホログラム付き)に対応した新札切り替えとも疑われている。もしそうなら笑えるほどのマネーローンダリングである。
 この話をどう受け止めたよいだろうか。巨額すぎるのと東京新聞系以外の報道がまだなのでなんとも判断しがたい(巨額であることから受注の筆頭が疑われはするが)。そもそもそれだけの金額が引き出された先が現状不明なのも奇っ怪だ。
 さて残る(2)の小沢氏が過去にかかわった政党の清算金の問題だが、これは今日の赤旗記事「小沢氏関連政治団体 繰越金が20億円 結党・解党のたび膨らむ」(参照)や、12月27日の毎日新聞記事「資金移動:小沢氏側に新生、自由党解党時残金22億円余」(参照)、さらにその前に文藝春秋1月号「小沢から藤井に渡った15億円の怪」が扱っているものだが、これは、いわば政党交付金をくすねたといったタイプの話ではあるがかなり古い話でもあり、また検察がこれに首を突っ込んでいるふうでもない。ある種、小沢祭りに出遅れないためのネタのような様相をしている。なお、文藝春秋の記事についてはタイトルとなっている話題よりも、小沢氏と鹿島との関係の話が興味深い。

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コメント

あけましておめでとうございます。

なんか、日本では、まだまだ金丸式政治システムは健在のままということのようですね。

竹下・金丸現役時代に、ずいぶん中国に援助したみたいだから、小沢さんたちは、中国からのキックバックもいろいろな形でかなり受け取っているのでしょうね。

本日、靖国神社に参拝しましたら、日本ウイグル協会のかたがたがパンフレットを配っていて、習近平副主席とカンボジア王国のウイグル人亡命者の扱いに関する条約違反を非難していました。

わが国では、極東ブログみたいな社会派サイト以外で中国の人権問題を大きく取り上げようとすると、大勢の人たちが集まる日の靖国神社以外には、あまり宣伝工作の場所がないということかという感慨を持ちました。

ただ、これは、小沢幹事長たちがマスコミに言論規制しているのではなくて、日本の放送・出版・興行界では、外国の人権問題はたいしたビジネスにならないから、大手は扱わないだけだと思います。

終風先生は、稀少で貴重なコンテンツライターですから、これからもがんばってください。私も、自分のブログを立ち上げるつもりですけれど、当分は、エンタメ関連とか、相場とか、占いの話題で固定客つかみをすることになると思っています。私もがんばります。

投稿: enneagram | 2010.01.02 13:39

鹿島か・・・また岩手閥ですね。

小沢はアテルイの再来だそうですから、そんなことを言い出せば、国内では地元閥しか集められない。この辺に小沢の弱点がある。

参院選で圧勝すれば、次に小沢は森越前日教組委員長を連合の会長に添えようとするでしょう。経団連には鹿島建設を当ててそれを創業者一族の縁で縛る。
各界の長を同県出身者で独占して固めてしまうやりくちは原敬あたりがモデルなのでしょう。あるいはライバルの長州閥のやりくちか?

ただし、小沢とこれまでの岩手出身有力者の違いは欧州の特権階級、宗教層に食い込んでいることです。
小沢の資金源が自民党時代と同様に国内の建設業界にあると思っているなら検察は大失敗します。
今の小沢の権力の背景を解明するには英国の貴族層、更にはバチカンにまで食い込まなければなりません。

そこまで日本の検察に出来るかな?

投稿: 田舎から | 2010.01.03 13:14

小沢の4億円については政治資金収支報告書に年度内に適正に報告されていることが確認されたよ。
報道された「4億円不記載」は虚偽報道であることが明らかになってしまった今、言及すべきは「犯罪をでっち上げて特定の政治家を追い詰めようとする検察の行為が法的に妥当かどうか」だろうし、「あきらかな虚偽報道を平気で行うマスコミの報道姿勢」だろう。

この問題は、またしても戦う前に検察の敗北。
この4億円の問題では、小沢一郎の資金ではなく、検察庁特捜部の存在の是非に関心の目が向けられるべきだろう。
・・・と言うか、ここまでくるともう反社会的な存在だよね、検察特捜部。

投稿: 田舎から | 2010.01.10 13:48

田舎からさんへ。この点ではマスコミが正しく、小沢氏の疑惑は政治資金収支報告書では確認されていようです。
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20100112/1263276135

投稿: finalvent | 2010.01.12 15:07

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