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2009.08.16

民主党政権で社会保険庁は存続だが日本年金機構は廃止の件

 社会保険庁は解体され年金業務は公法人の日本年金機構に移行することは、法律第109号として2007年に7月6日公布され2010年1月に施行されることになっていたが、これを民主党政権は凍結するという報道が東京新聞に昨日流れた。大手紙やNHKでの報道は見当たらないのでどうなのだろうと疑問に思っていたがその後、共同でも流れた。その後の続報はというと見当たらない。拙速感はあるが、重要な問題でもあり、忘れぬ内にブログに庶民の雑感を記しておきたい。
 当の東京新聞「年金機構 移行を凍結 民主検討 記録散逸を懸念」(参照)ではこう切り出されていた。


 民主党は十四日、衆院選で政権についた場合、二〇一〇年一月に予定される社会保険庁から日本年金機構への年金業務移行を凍結する方向で検討に入った。衆院選マニフェストで年金問題への取り組みを「五つの約束」の一つに掲げているが、年金業務を移行して社保庁を廃止すれば、年金記録の関係資料が散逸したり、組織改編で責任の所在が不明確になり、問題解決が遠のく可能性が高いと判断した。

 端的に言えば、日本年金機構凍結というより、社会保険庁の廃止を阻止するという意味が強い。理由としては、「年金記録の関係資料が散逸したり、組織改編で責任の所在が不明確になり」の2点が上げられている。
 当初この報道を見て私は、すでに成立寸前の日本年金機構を阻止するのかと驚いた。だが、結論を先に言うことになるが、マニフェストβを読み直すと、この方針は驚くほどのことではなく規定路線であった。それでも、マニフェストβの趣旨が、設立寸前の日本年金機構をつぶすという話だったのかとは読み込めないでいた。いずれにせよ、つまりそういうことだ。マニフェストβにはこう書かれている。

社会保険庁廃止と歳入庁創設
 社会保険庁を廃止し、国税庁と機能を統合して「歳入庁」を創設します。社会保険庁の職員については厳しく審査して移管する者を決定します。
 社会保険庁を「日本年金機構」(特殊法人)に移行させることによって年金記録問題がうやむやになる可能性があります。社会保険庁の体質をそのまま受け継いだ組織では問題は解決できません。

 現時点で読み返すと、日本年金機構を潰すことに加えて含蓄があるが、後に言及したい。
 当面の問題としては、これまで日本年金機構は設立が既定事項に見られていたこともあり、すでに採用内定者が出ているが、これをどうするかということだ。同じく東京新聞記事「<政権選択>年金機構『凍結』 記録回復 解決は手探り」(参照)ではこの問題に言及している。

 加えて、来年一月発足予定の年金機構は、七月下旬に民間から採用する千七十八人を内定しており、追加募集も始めている。このため、移行凍結は雇用問題に発展する可能性もあり、民主党は採用内定者を非公務員の身分で年金記録問題への対応に充てることも検討している。

 日本年金機構採用予定者の身分は不明であり、対照的に社会保険庁職員の身分は公務員のまま保持されることになる。12倍近い難関をくぐられた日本年金機構採用予定者は、公務員になれるチャンスと見るより不安感が先立つのではないか。
 共同の報道「民主、社保庁を当面存続 年金機構移行を凍結、秋に法案」(参照)では、この部分への当然とも言えるが簡単な政治的な言及がある。

 年金機構は社保庁の一連の不祥事を受け2007年6月に成立した社保庁改革関連法で設立が決まった。社保庁への懲罰的な意味が強く、不祥事で処分された社保庁職員は機構への移行を認めないことになっている。このため社保庁を存続させることには自民、公明両党から「民主党を支持する労働組合の擁護だ」と強い反発が出そうだ。

 庶民感覚としても、積み重なる不祥事から社会保険庁は当然解体されると想定していたはずだが、これが事実上そのまま「歳入庁」とやらに組み込まれ、内実は温存されるような印象を受ける。だが民主党としては日本年金機構のほうが、「社会保険庁の体質をそのまま受け継いだ組織では問題は解決できません」としている。
 問題が錯綜しているのは、社会保険庁の不祥事を、(1)組織の問題とするか、(2)不祥事で処分された社保庁職員の問題とするかが、はっきりしないことだ。もちろん両方関わっているとも言えるが、特定組織に不祥事を起こす人員がしかも組織的に存在しているとすれば、基本的に前者の組織の問題であると見てよいだろう。するとこの問題は、不祥事を誘発する構造が、民主党の案で解消されるのかということになる。また、日本年金機構がそれに劣ると言えるのだろうかとも問い直される。当面、ごく単純に言えることは、社会保険庁は存続されるということで、その意味は当面不祥事構造が温存されるということだ。
 凍結される日本年金機構と不祥事で処分された社保庁職員の関係について、具体的な処分の意味合いを知る上で報道を少し見直しておこう。5月19日付け朝日新聞記事「「のぞき見」など処分の2116人も採用 年金機構内定」(参照)がわかりやすい。

 社会保険庁が解体された後の後継組織「日本年金機構」(10年1月発足)の設立委員会は19日、社保庁から移行する9971人の採用を内定した。このうち約2割の2116人は、年金記録ののぞき見や国民年金保険料の不正免除などで訓告や厳重注意などの処分を受けた職員。
 社保庁の正規職員は現在、約1万3千人。年金機構の採用基準により懲戒処分歴のある約850人は採用されないが、それより軽い訓告などを受けた人は移れる。
 移行を希望した職員は1万1118人。正規職員として内定したのは9613人(定員約9880人)、有期雇用の准職員は358人(同約1400人)。能力や意欲の面から不採用とされたのは28人。残る約1100人は健康上の理由で面接が受けられないなど、採否が保留となっている。社保庁は採用されなかった職員は民間への再就職をあっせんする。

 庶民感覚的には2割のグレーな人が移行できる予定だったのかの感はあるが、私としては必ずしも処分が適正だったか疑問点もあるので、そこはあまり問題は感じない。むしろ、事実上、社会保険庁職員の大半が日本年金機構に移行できる状態だったことを再確認した。
 7月4日中日新聞「社保庁職員1000人再雇用せず 処分歴ありが半数」(参照)にはより現時点に近い報道があるが、興味深いのは、大半が新機構に移行できる状態でありながら、移行できない職員対処が問題視されていたことだ。

 厚労省と社保庁は不採用者の再就職を支援する対策本部を6月下旬に設置。分限免職をできるだけ回避する方針で、国家公務員の再就職を一元管理する「官民人材交流センター」が企業などへの再就職をあっせんするが、全員に再就職先が見つかる保証はない。
 社保庁の労働組合は、処分歴のある職員を年金機構で一律不採用とした政府の決定を不当と批判しており、組合員があえて分限免職を受け、提訴することも検討している。

 これらの問題は、社会保険庁解体凍結ということで当面解消されることになるだろう。
 議論の局面を変える。社会保険庁廃止阻止のメリットである「年金記録の関係資料が散逸したり、組織改編で責任の所在が不明確になり」の2点はどれだけあるのだろうか。率直に言って、これは問題にならないのではないか。資料の散逸は意図し計画すれば未然に防げるだろうし、責任の所在というとき処罰される職員についてはトレース可能だろう。デメリットとされるものは機構的には日本年金機構解においても改善されうるし、過去の責任を問うより混乱した事態の収拾が重要になるはずだからだ(なお天下り等の問題は別の問題)。
 背景に潜む問題は、誤解を受けそうであまり言及したくないところでもあるが、社保庁職員の身分が必然的なモラル・ハザードを機構的含んでいるように見えることだ。よく誤解されるがモラルハザードとは「倫理観の欠落」といった道徳的な問題ではなく、契約後に依頼者が観察できない部分で起きる問題のことだ。国民が国家を介在して社会保険庁職員を観察・管理できない仕組みになっているように見える。別の言葉で言えば、社会保険庁職員が国家のグリップを外れた地方公務員のようにも見える。いわば、身分の二重性がある。
 身分の二重性は労組にも反映されているので、その視点から見るのに、読売新聞記事「基礎からわかる「社会保険庁」Q 労組は?」(参照)がわかりやすい。

 社保庁職員の労組は現在、主に民主党を支援する自治労傘下の「全国社会保険職員労働組合」(旧・自治労国費評議会、約1万1000人)と、共産党の影響力が強い全労連系の「全厚生職員労働組合」(社保庁職員は約2000人)がある。
 旧評議会の設立は1972年8月。国家公務員だが、知事の指揮下に入る「地方事務官」という職員の身分の特殊性から、地方公務員中心の自治労に加盟した。名称は「実質的に地方公務員だが、国のお金(国費)を扱う」ことに由来するという。

 社保庁職員は、国家公務員だが、知事の指揮下に入る「地方事務官」という職員の身分の特殊性がある。記事には言及されていないが、実際には逆に国家公務員として知事の指揮下に入りづらい。つまり、社保庁職員の労働団体に対応するのが国なのか地方なのか、わかりづらく、どちらでもないようにも見える。この二重構造の解消には、基本的には、日本年金機構のように全員を公務員から外すか、地方公務員の労組ではなく国家公務員の労組に改編する必要がある。後者は一応措置も執られていたが、実質に変化はない。

旧評議会は、地方事務官制度が00年度に廃止されてから7年間は経過措置として存続したが、今年4月、「全国社会保険職員労働組合」に衣替えし、国家公務員の労組として再出発した。名称変更後も「理念を共にする」という理由で自治労に加盟している。活動内容にも本質的な変化はない。秋田、神奈川、愛知、京都、愛媛など7府県の組織は全労連系の組合に加盟している。

 社会保険庁を構成する職員の身分の点からは三層構造とも言える構造もある。社保庁職員の常勤職員は、「厚労省キャリア職員(国家公務員1種)」「社保庁本庁採用職員」「社保庁地方採用職員」の3種類がある。「厚労省キャリア職員」は2年という腰掛け期間で厚生労働省に戻るため、現場業務には実質立ち入らない。事実上、厚労省側からの直接的な管理は不在に近い。ここにもモラル・ハザードがある。また先の自治労の二重構造は「社保庁地方採用職員」にあたり、いわば、直接国家公務員として「社保庁本庁採用職員」とは対照的になる。
 この問題はこうしたモラル・ハザードを必然的に含み込む二重性をもった社保庁職員をどう整理するかにあり、日本年金機構では問題を原点から解決し、そもそも公務員ではないとするはずであった。リバタリアン的な政治観を持つ私としては国家はできるだけ小さい方が好ましいので、日本年金機構に賛成したいが、しかし日本年金機構が実現されない見通しとなった。
 民主党政権下で社保庁職員はどうなるのか。地方採用で実際には地方公務員にしか見えなくても、保険・年金業務を原理的には国家事業とするなら、国家公務員として規制するということになるはずだろう。端的に言えば、地方職員の組合である自治労(全日本自治団体労働組合)とどういう分離になるのかが問われることになるはずだ。が、そこが民主党案からは見えてこない。推測で言えば、おそらく現状ママになるのではないか。つまり、二重構造は歳入庁に持ち込まれることになるだろうと思う。
 もう一点だけ述べてこのエントリを終わりにしたい。新規歳入庁は国税庁に統合されるということは、年金が実質国税化するわけで、厚労省の管轄から離れ、財務省の外局として、財務省に移ることになる。ついこぼれそうになる本音として、「なーんだ、財務省の焼け太りじゃん、これなら民主党に反発ねーわ」とかを言いそうになる人もいるかもしれない。そこをぐっと抑えても、厚労省側はそれですんなり終わるのだろうか、バトル観客としての国民に疑問は残る。

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コメント

> 問題が錯綜しているのは、社会保険庁の不祥事を、(1)組織の問題とするか、(2)不祥事で処分された社保庁職員の問題とするかが、はっきりしないことだ

「組織」が「役人の集団」という意味であるならば民主党はそういうスタンスではないと思いますよ。
多分民主党の認識は役人はただ言われた通りのお役所仕事をしていただけで根本的な問題はシステムやルールにあるというスタンスでしょう。

投稿: | 2009.08.16 13:30

2007年の参院選で、民主党の長妻衆院議員が「ミスター年金」として活躍していたとき、当時の安倍首相は選挙中、「現在の年金問題の真の根源をつくったのは菅直人厚生大臣だ。」と菅直人現民主党代表代行を非難した、とものの本に書いてありました。中川秀直氏の著書だったか、平沢勝栄氏の著書だったか、荒井広幸氏の著書だったか、それとも別の著者の著書だったかは忘れました。

菅直人氏が厚生大臣だった当時、年金関係の行政については、大臣がずいぶん直接指示をしていたみたいです。菅直人氏だけを非難するのは不当で、故橋本龍太郎氏や丹羽雄哉氏が厚生大臣だった当時も、年金財源になにかしら操作を加えていたのは、たぶん間違いない話なのでしょう。

社保庁解体凍結は、政治家の「くさいものにふた」の感無きにしも非ずです。でも、民主党政権になってこの話が持ち出されるというのは、安倍元首相の菅元厚生大臣への非難の記憶を呼び起こさせるものです。これがこの記事への感想。

投稿: enneagram | 2009.08.16 14:06

年金の記録散逸問題については安倍ちゃんが「最後の一件まで」ってみえきってしまったため、それが既定路線になった感があるが、どう考えても「最後の一件」まで明らかにすることは不可能でしょう。

ここは、むしろ、年金の抜本改革の絶好のチャンスととらえ、基礎年金を一括して「税金」でまかなうことにし、社会保険庁は廃止するというのがいいんじゃないでしょうか。

記録散逸問題は、自分の手もとにはっきりと資料が残っている場合は払うが、それ以外は、社会保険庁が「すみません」と言って謝る。

これしかないでしょう。

いつまでも「最後の一件まで」調べようとしたら、役人がいつまでも仕事を確保できることになって、役人は「うはうは」です。

非現実的な要求が既定路線になってしまうというのは、北朝鮮の拉致問題なんかもそうでしょう。

はっきりいって、拉致された人が日本に戻ってきたいと思っているなら、どんなに情報統制が厳しくても、少しは漏れ伝わってくるはず。

彼らは、もう北朝鮮の人なのです。

日本人(特にマスコミ)は、親密だった家族が不当に引き裂かれたという物語を作って、みんなで感動して涙を流したいだけ。

2年ほど前、週刊現代が、蓮池さんが実は北朝鮮の「工作員」として日本に潜入していたというスクープを報道して黙殺されたが、あれも本当でしょう。

いや、だからといって蓮池さんを非難するわけではない。

ともかく、小なりとはいえ、一国を一から立ち上げ、なおかつ半世紀近く支配することので来た「金日成」がなんの下調べもなしに行き当たりばったりで拉致を実行するとしたら、それは年金記録散逸問題が「最後の一件」まで明らかにされねばならないというのが非現実的であるのと同じくらい、非現実的ですよ。

話しが逸れてしまったけれど、そう思います。

投稿: 南の原っぱ | 2009.08.16 16:35

やはり、年金は国税方式で国民全員負担とし、社会保険庁の民営化はもちろん中止で、国家公務員として国民の監視下にあるのがベストでしょう。

民営化されればそれこそやりたい放題だし、そもそも民営化したい連中は民営化で私服を肥やせる連中の疑いもある。

今、民営化を推進したい連中が全員死んでしまい、その縁者が一人も民営化によって利益を受けないならば検討しても良いかもしれない。

少なくとも竹中が生きている間は絶対に社会保険庁を民営化するべきではない。
社会保険庁への不信感は大きいが、竹中や新自由主義者への不信はその数百万倍も大きい。

新自由主義が国家、国民をめちゃくちゃにした例はいくらでもあるが、良くした例は無い。

新自由主義者が良いと考えることには全て反対すべきである。

投稿: 田舎から | 2009.08.16 18:31

 本文中における事前の言い訳が見苦しい。必要無い。

 コメント欄での筋の通った物言いが少ない。約1名の我田引水が過ぎる。

 以上ですね。後は、どうでも宜しいです。


 私は「自民も存分にクソだけど民主はそれ以上に酷い」って過日から言い続けてますけど、その筋外してないのを今こうしてエントリー上で検証・考察されても、「だから言うたやん?」としか言いようが御座いませんわ。

 日和見やご都合ばっかりでモノを言うてると、いざって時に泡食いますよ?の実例ですか? って感じ。

投稿: 野ぐそ | 2009.08.16 22:22

国民に情報が公開されているのなら、年金を管理するのが公務員でも民間でも同じことです。
ただ、年金を預かり数十年後に渡すリスクとコストを計算して、そのリスクとコストが安い方に任せればよい。
信頼とは、そうした計算を積み上げることで、何かの肩書きを信じることでは無い。

民主党でも自民党でも、その辺の計算を公表して欲しいですね。

投稿: ほる | 2009.08.17 00:12

> 田舎から さま

「竹中や新自由主義者」がけしからん、という議論はうなずけます。「少なくとも竹中が生きている間は絶対に社会保険庁を民営化するべきではない。」も本当でしょう。

ただ、私なんかは、NHKの民営化は、竹中氏が死んだ後にでもだれかが着手すべきだと思います。国鉄、郵政の次は、NHKです。ちょっとこのエントリーとは話題が違うけれど、民営化すべきは民営化すべき、としたいと思います。これは、新自由主義とはあまり関係が無い話だと思います。ただ、竹中氏がひどくNHKを民営化したがっていたから、わたしが竹中シンパではないことも申し上げたくてこういう話の仕方をしました。

投稿: enneagram | 2009.08.17 07:32

話しがまた少し逸れてしまうかもしれないが、戦後日本の知られざるタブーは、「田舎」を批判することでしょう。

田舎批判がタブーであることは、私が思うに、戦前の恐慌時の地方の荒廃と、その地方出身者からなる軍若手官僚たちがその打開策として戦争を起こしてしまったことと結びついているのではないか。

「国家的悪夢」というのがあるそうで、それは、「これだけは絶対に避けたい」と国民が一致して思っていることで、アメリカの場合は、「真珠湾」なんだそうです。

9.11にアメリカが過剰反応とも思えるような反応を示したのも、あれが「真珠湾」と重なってしまったからだと。

その「国家的悪夢」は、日本について言えば、戦前の恐慌時の「農村の疲弊」なんじゃないかと思うのです。

要するに、ノーモア「おしん」ですね。

これが、強迫観念になって、戦後日本では「田舎」批判がタブーになってしまった。

「田舎から」さんに当てつけたみたいな文章になったけど、まあ、当てつけです。

投稿: 南の原っぱ | 2009.08.17 18:44

>>南の原っぱさん

 ノーモアおしんもありますけど、『火垂るの墓』に出てきた西宮のおばちゃんや百姓のおっちゃんのような真似をされたら、都会っ子は(ましてや子供は)生きていけんでしょ? ってのがありますわな。

 現今くらい海外交流が盛んになって田舎無視でも十分生きていける社会になるから「話が別」なだけで、そうもいかなければ、田舎を無視したらやっていけんでしょ。誰がおまんま作るんだよ?

 私なぞは一々隠そうとしないから言いますけど、いざとなったら石油等各種エネルギーや必要最低限の交易圏(構成員)さえ確保するなら、後は死んでも構わんと思ってますよ。でもそんなん言い出して本気で実行な世の中になったら『おしん』もそうだけど『火垂るの墓』も現実になって双方共食いしまくりの弱りまくりでしょうに。格差社会で困るのは誰よ? とも言いますやん。

 そこを最大に恐れるからこそ、(少なくとも私は)私のことはいいからお前ら頑張れ超頑張れって言ってるだけでね。頑張り損ねが田舎蔑視で相対的に自分の地位を上げよう的な横着な真似したら、そらぁそんときは無視という名の実力行使に決まってますやん? としか言いようが無いんですよ。

 籠城戦なんてのはね、大概、半年~1年で勝負が付くんですよ。半年放っておけば大概の人間は死滅する。銭が基準か食料が基準か仕事が基準かは知りませんけど、「無いと死ぬ」のは、自明なんですよ。人間誰しも。

 私は、小なりと言えど(最大)20年は籠城戦やっても構わんよ? な程度に自力を付けているつもりですから、だから横着者に対して不快感を隠さないだけですよ。

 明治時代までの日本は「結局都会が勝つ」から田舎者が塗炭の苦しみを味わい続けるだけで、それが先の大戦の時期だけ突発的に「田舎が勝つ」で、行く末戦争で無茶苦茶になったわけでしょ? それもあるから田舎者が無茶言う社会は良くないと思いますけど、でも戦後こんだけ立ち直った実績もあるなら、「別に都会っ子は要らんのとちゃうん?」になっても不思議じゃないんですよ。

 そのへんの按配を無視して何でもかんでも田舎蔑視に話を持って行くなら…その先は、どうぞご自由にってだけ。自由の先が繁栄なら、良かったね。貧苦困窮なら、ざまみよ。そんだけですよ。

投稿: 野ぐそ | 2009.08.18 01:10

私は田舎を蔑視なんかしてませんし、そんなことは書いてません。

田舎を批判することがタブーになってしまっていることを指摘しているだけで。

アリとキリギリス、田舎のネズミと都会のネズミの喩えにある、都会は田舎がなくてはやっていけないが、田舎は都会がなくてもやっていけるという感覚は世界共通ですが、どういう理屈でそうなるのでしょう?

「石油等最低限のエネルギー」が確保されたらとおっしゃるけれど、「必要最低限のエネルギー」の「必要最低限」って何が基準になっているんですか?

実は「都会並みの生活」なんじゃないですか?

まあ、「都会並みの生活」ったって、3畳一間の生活だってあるわけですが,そういうのじゃなくて、娯楽が身近にあって、交通の便も良く、おもしろおかしく暮らしていける「都会生活」が基準になっているんじゃないんですか?

たとえば、役人どもが「民間並みの立派なオフィス」を要求して、いわゆるハコものをどんどん建設するが、その「民間並み」の民間の基準は何かというと、トヨタ自動車だったりするわけですね。

それで結果的に、地域に不釣り合いな立派な建物で働いて,当人たちはご満足なんですが、これに似ている。

そんな感じがするんですよ。いかがですかね。

投稿: 南の原っぱ | 2009.08.18 13:36

 南の原っぱさんが月並みなアホだというのは、よく分かりましたわ。

>実は「都会並みの生活」なんじゃないですか?

 こういうところが透けて見えるのが、蔑視と言うんですな。自分から言ってくれて何よりです。

>おもしろおかしく暮らしていける「都会生活」が基準になっているんじゃないんですか?

 それが、余人は知らず私の口から出る言葉だとでも思ってんの? 話にならんね。

>それで結果的に、地域に不釣り合いな立派な建物で働いて,当人たちはご満足なんですが、これに似ている。
>そんな感じがするんですよ。いかがですかね。

 じゃあ都庁はどうなるの。必要無いだろ、あんな建物。石原都知事の時代錯誤発言なんぞ聞いてると、南の原っぱさんが感じる「田舎の馬鹿さ加減」を一番体現しているのは、むしろ東京ですよ。

 東京が一番酷いのに、そちらは棚上げして地域の類似ケースをさもそっちが本尊のように言い立ててるだけ。自分が困ったり下手打った時に人に責任をなすりつけるような輩がよく使う論法を、そのまま使ってるだけとしか思えませんね。文体から見て意図的に真似てるのではなく、何となくのイメージが積もり積もってそういう見方しか出来なくなっている風情が漂いますよ。

 だから、開口一番アホだと言われるんですわ。

 役人のケースは都会と田舎の差異の問題じゃなくて学歴者にありがちなエリート意識&横並び意識の問題で、それを以って「田舎者」でひと括りにするのは違いますよ。田舎者でも無学と有学があるし、それは都会も同じでしょうに。都会の住民の全員が綺麗なオフィスで優雅に働いてますか? 違うでしょ? 現場で汗水流して働いてる人の方が多いでしょうに。

 まぁ、そういう視点なら、以後どうぞご自由に、としか言いようがない。頑張って働いて、偉くなってくださいね。

投稿: 野ぐそ | 2009.08.19 01:32

二項対立厨のジレンマけ?

投稿: | 2009.08.19 12:55

 都庁なんかもちろんいりません。どこかの借家で結構。別に「無駄」とかそういのじゃない。「粋」じゃない。あれは、今の東京に田舎者が多いことの証拠です。

 役人の感覚は、田舎者のもんだいじゃなくて、横並びのエリート意識の問題というのは賛成ですよ。ただ,今回は「田舎」を問題として取り上げたので,特に「田舎」にことよせて書いただけで。

 「おもしろおかしく暮らしていける都会生活が基準になっているんじゃないんですか?」という問いに、あなたは、「それが、余人は知らず私の口から出る言葉だとでも思ってんの? 話にならんね」と答えてますが、これ,答えになってませんよ。

 なんで「石油その他エネルギーが必要最低限あれば」なんていうんですか? 「都会とは別に、田舎だけでやっていける」が、「炭や薪」では維持は無理らしい、そのカントリーライフとやらはどんなものなんですか?

 先回りすると,それが「都会並みの生活」という幻想じゃないの?と私は書いたわけで,そう言う私をあなたは「蔑視が透けてみえる」と言われるが、もしあなたが私の指摘を否定しないのなら,当然、私は、あなたを「蔑み」ますよ。

投稿: 南の原っぱ | 2009.08.19 13:55

>南の原っぱ

 カントリーライフ(笑)とやらに幻想持ち過ぎ。炭や薪(となると、動力は牛馬になるんだろうけど)から始めろって言うなら、じゃあ都会は「金持ち宅の下水から流れてくる米野菜の切れ端を拾って水洗いして乾かしてそれから食う」くらいで我慢すれば? ってなるでしょうに。

 条件付けから既に格差を付けまくって、それを当然と見做す姿勢が「蔑視が透けて見える」んだっつーの。

 蔑むなら蔑むでいいよ。好きにしろ。自由を謳歌して、趣味も仕事も充実して、偉くなって、誰からも愛されて、自分の人生に満足して、恙無く大往生してくださいな。あんたの行く末がどうなろうが、わしゃ知らん。

投稿: 野ぐそ | 2009.08.19 21:20

私は、アルバイトとして22年間もの間社会保険庁とともに仕事をしてきましたが、移り行く時間のなかで申したいことがあります
これだけの人件費のかかる無駄な税金をつかわれていることに怒りをかくしきれません。
職員は、暇にしていても高い賃金をもらい、アルバイトは職員並に仕事をまかされ、安い賃金でこき使われ矛盾を感じてきました。ねんきん特別便と採用されて人員が増える一方、他府県仕事をもらい、暇にWMとにらめっこ、まったく税金の無駄使い!

投稿: | 2011.11.15 08:35

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