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2009.03.31

明日のエープリルフール用エントリのボツネタ

 明日のエープリルフール用エントリを書いたのだけど、これはいまいちなのでボツとした。が、なんとなく愛着もあるので、適当に公開。以下、べたなウソです。

[書評]草食系男子の栄養学(盛岡征博)

 すでに若い世代では当たり前のキーワードともなっている「草食系男子」だが、知らない人もいるかもしれない。「草食系男子」とは、肉食獣のような野生的性質を持たない、草食動物のように優しい男性のことだ。女性をがつがつと求める肉食系ではない。女性と肩を並べて、伸びやかな放牧地で優しく草を食べることを願うようなタイプの男性だ。草食系男子は、現在30代以下の若い世代に目立つが、40代、そして50代にもいる。もともと草食系男子は集団や恋愛の場で目立つタイプではなく、男性についての規範意識もあり、従来あまり注目されてこなかった。

cover
草食系男子の栄養学
 草食系男子の特徴だが、基本的に心が優しく、自分の欲望をがつがつと押していくのが苦手で、相手を傷つけることも、自分が傷つくことも苦手だ。性欲や恋愛願望はあるが積極的ではない。草食ゆえに肉欲---つまり性欲---は少ないがまるでないわけではない。恋愛願望もないわけではない。一見、なよっとした感じに見えるが、同性愛者ではない。もっとも本書でも触れられているが、他者との関係では親密性が優先され、バイもヘテロも違和感がないというタイプも少なくはないようだ。
 女性からは、草食系男子にどのように対応したよいのか悩むケースが多い。同棲してみて、あるいは結婚してみて、パートナーが草食系男子であった場合はどうするか。つまり、「彼」にどのような栄養を与えたらよいのか、それが本書「草食系男子の栄養学(盛岡征博)」(参照)のテーマであり、本書の「栄養学」には精神的な意味合いと、具体的な食生活の二つの意味合いがある。
 精神的な栄養とは愛情のことであり、草食系男子に必要とされる「草」に込める愛情がどのようなものであるべきか議論されている。この側面では、社会心理学やカウンセリング手法なども本書では取り上げられていて興味深いが、個々の事例ではそれほど目新しいものはない。
 反面、具体的な食に関する栄養学の解説が非常に興味深い。当たり前といえば当たり前のことでだが、草食系男子は実際の食生活においても草食であり、肉を好まない傾向がある。50人に満たない予備的なアンケート調査なので正確なこと言えないが、草食系男子の性格は、その草食的な食生活による結果かもしれないのだ。
 草食から得られる栄養のイメージとしては、通常、デンプンや食物性繊維といったところだが、著者が注目しているのは脂肪酸である。草食的な食生活を自然に継続することで、n6系とよばれる脂肪酸の摂取が増えるらしい。n6系の脂肪酸で有名なのはリノール酸だが、これには痩身効果があることが知られており、草食系男子の一群がスレンダーな体形をしているのもそのせいだろうと推測される。
 n6系脂肪酸代謝で興味深いのは、アラキドン酸と呼ばれる炎症物質が代謝されることだ。脂肪酸はたんぱく質ではないのでそれ自体がアレルギーを起こすわけではないが、一度炎症を起こせばそれを悪化させる要因になりやすい。草食系男子に皮膚アレルギーが少なくないことや敏感な肌をしていることなどは、その関連であるらしい。
 さらにアラキドン酸の代謝が、草食系男子と、肉欲にがつがつしたタイプの肉食系男子において、特有の意味合いを持っているという考察は本書においてもっともスリリングな展開になっている。
 基本的に人類のような雑食性の動物において、効果的にアラキドン酸を摂取するのであれば、肉食のほうが効率が高い。肉食獣は草食獣の代謝の産物であるアラキドン酸を搾取するようにできているからである。しかし、草食系男子においては、草食からアラキドン酸を効率よく代謝する体質を持っているので、肉食の身体的な必要性が弱められている。このことが精神面での優しさという行動まで生み出していると見てよさそうだ。
 さらに重要なのは、アラキドン酸からは、究極の脳内快楽物質であるアナンダマイトが代謝されることだ。つまり、人間種は快楽によって行動を制御されているのだが、その制御において、草食系男子に優位性があるらしい。

 ヒトは狩猟によって肉を食べる。満腹感はアナンダマイトを多くし、ヒトに至福感をもたらす。このことはヒトをさらに危険な狩猟に駆り立てる。

 しかし、草食系男子ではその必要性が相対的に低い。

 ヒトのなかでもアラキドン酸代謝の優れた一群の遺伝子をもつ男性においては、狩猟の必要性も相対的に低くなる。彼らは狩猟活動には参加するが、肉食によってアラキドン酸を得なくても、自身の草食からそれが生み出せるからだ。

 草食系男子の栄養学でもう一点興味深いのはセロトニンの代謝だ。セロトニンは、肉や牛乳に含まれるトリプトファンから摂取しやすく、この面において当然草食系男子では欠乏しやすい。
 セロトニンはアラキドン酸代謝とは異なり、草食から補うことは不可能ではないものの効率はよくない。著者はそのことが草食系男子における独特のうつ病や肥満に関連していると見ている。草食系男子の血中セロトニンレベルを測定すると、肉食系男子より少ない傾向も見られる。
 草食系男子については、現状、その表面的な性交や社会的な意味が議論されがちだが、独自の代謝の優位性遺伝子の発現として、ヒトの進化の過程にも重要な示唆を持っているようだ。

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コメント

 そうしょく→草食・僧職・装飾、人名なら曹植ですか。どれも似たような系統ですね。言葉って凄いなあ。

 肉食・草食という分け方だけをしなくても、積極・消極、活動・非活動、相対的貧窮・富裕による生い立ちの差…(他多数)といった分け方でもある程度選別可能な気がしますし、「羊の皮を被った狼」なんて言もありますし。個々の性質はその人次第ってことでもありますから、何とも言えませんね。

 血液型性格診断と、どこが違うんでしょう?

 あと。江戸時代にも、活動型の女性が多数出て優し型の男性が家事全般や育児を受け持ったとか、そういう話があったような気がします。成人男性が長期出征して子供・女性・老人が地域社会の中核になると優し型の男性が出やすいのも、歴史を鑑みるとよくある現象のような気がします。商才が無い場合は完全な草食系?に成る可能性が高いのかもしれませんけど、商家の男子は処世術として草食系(羊の皮を被ってる)な可能性もありますから、草食系とひと括りで見做すのは、それはそれで問題のような気もしますね。

 私なんぞは「要る子ほど(色んな重荷に耐えきれなくて)逃げる」、「要らん子ほど(どうにか取って代わろうとするから)捩じ込む」もんだと思ってますから、法螺や嘘や騙しや詐欺は、そういう手合いが「捩じ込む手段」としか思ってないです。

 何でもかんでも要る要る言うて溜め込まんでも、適度で身の程弁えてさっさと譲るか捨てるかすれば、要らん子は減るんじゃないですかね? 要る子が増えれば訳の分からん与太も減るような気がしますし、要らん子が増えなければ大きな夢は出て来ないような気もします。今はちょいと要らん子が多いような気がしますから、「要らん子を要らんようにする知恵」が、必要なのかもしれませんね。どうせ「法螺や嘘や騙しや詐欺」のような知恵を回すなら、-に-を掛けて+にするような、そういう使い方を考えなよ? って思います。

 思っただけ。ほなさいなら。

投稿: 野ぐそ | 2009.03.31 22:41

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