« 2008年9月28日 - 2008年10月4日 | トップページ | 2008年10月12日 - 2008年10月18日 »

2008.10.10

どんどこしょ

 10月10日と言えば……、言えば? まあ、いろいろある。体育の日ではない。いつから体育の日がフロートするようになったか私は忘れた。が、体育の日の由来は知っている。1964年の東京オリンピックがこの日に始まったからだ。あの日のこともよく覚えているが、ご安心あれ、その話を書くわけではない。また10月10日は双十節でもある。つまり国慶節。違うんじゃないのと思う人もいるかもしれないが、その話も書かない。

cover
改訂 文学入門
(講談社文芸文庫)
伊藤整
 とか言ってウィキペディアのこの日を見ていくと、へぇな話は多い。「1954年 - 光文社が新書判の「カッパブックス」の刊行を開始、第一冊は伊藤整『文学入門』」というのもある。57年生まれの私なのにこの本を知っている。ロングセラーだったのだろう。そういえば高校の時の先生がふと伊藤整の「変容」(参照)を読んでおけと言ったのを思い出した。あのころの先生は今の私より若い。彼はその後大学の先生になり偉くなったようだ。
 他に? 「1969年 - 巨人の金田正一が史上初の400勝を達成」もなんとなく記憶にある。私は父と野球は見ていた。カネやんは巨人の星にも出てきた。大リーグボール三号はカネやんの指導だ(だったかな)。あの時代、子供ながらに世間の空気を感じたかぎり、それほど韓国人差別もなかったように思う。調べるとカネやんは「帰化」とある。
cover
「絆」
王貞治の勝因とルーツ
 そういえば王貞治の国籍は依然中華民国だったと思う。それゆえに台湾系のように理解されているが……この話も書かないが、中国人(台湾人)に初の国民栄誉賞を与えたのは1977年の福田内閣のことだ。お父っあんのほう。80年代まではそんな日本だった。私も大学生だった。今の日本っていったいいつから始まったのだろうかと変な気持ちになる。世界と同じく5分前だろうか(参照)。
 今の日本の始まりは天宇受売命御開帳の如きに思われているバブル景気あたりだろうか。ウィキペディアを覗くと「1986年12月から1991年2月までの4年3か月(51ヶ月)間を指すのが通説」とある。そうかな。私が二十代の終わりだ。85年にプラザ合意があった。86年9月13日に東証は暴落した。それでも86年12月からバブルの時代。
 87年10月19日月曜日はブラックマンデーだった。下落率は22.6%。今回のブラディーマンデーはじわっときてそれを超えてしまった。文字通り世界恐慌以来ということになりそうだ。
 あの日の日経平均株価は3,836円安、下落率は15%。それでも2万円を割っていなかったし、翌日40%戻した。その後もしばらく日本のバブルは続いたことになる。1989年の大納会のバベルの塔は4万円の天を見上げたが、翌年正月にはその怒りを買ったのか株は転げ落ちていった。
 当時の新聞を見ていたらふと面白い記事があった。”ブラックマンデー一年 識者に聞く(上)経済評論家・松本和男氏”(読売1988.10.18)。ブラックマンデーを乗り越えたとして。

 --長期的にもこの傾向が続くだろうか。
 「長期波動(約五十年周期)でみて、二〇二〇年、つまり団塊の世代が定年を迎え本格的な老人社会に突入するまで大丈夫だ。今年は“明治百二十一年”だが、日本は一八六八年、明治維新で資本主義国になり、五十年後一九一八年の第一次大戦前後に農業国から工業国に躍進、さらに一九七〇年のイザナギ景気の最中に工業国のピークを迎えた。
 それから五十年後の二〇二〇年には日本は高度情報化社会の頂点に立ち、アジア・太平洋地域、中国などに資本、情報、技術を提供するセンターになっていく。米ソのデタント(緊張緩和)、社会主義国の開放政策、地域紛争国の戦後復興などで、社会資本整備の需要は無限に近い。実質六%の中成長は可能で株価も長期的に上昇しよう」

 過去に語られた未来というのは、その未来の側に生きている人間から見ると面白いものだ。いや、長期波動がやってくる2020年まであと12年ある。私はこの世にいるだろうか。
 今日の東証はひどかった。終値で8276円。あっさり9000円も割った。5年4か月ぶり。下げ幅は一時1000円に近づいた。明日は7000円台か。底抜け感はある。どんどこしょだな。
 でも、またいつかバブルがやってくる。日本版ニューズウィーク10・15掲載、ラーナ・フォルーハーによる”金融危機後の新時代が来る”ではこう結論を書いていた。ちなみにオリジナルは4日付け”A New Age Of Global Capitalism Starts Now”(参照)で無料で読める。ちょっと調べたら日本語版も無料で読める(参照)。

 いくら救済策を打ち出し、新たな法律を作っても、バブルは必ず繰り返される。次のバブルが来るときには、08年の世界的危機など誰も思い出しはしないだろう。

 歴史を見るとそんな感じはする。いや、これで投資ビジネスは懲りるのではないか。前段にはそうではないとしていた。

 もっとも、最近とくに高いレバレッジをかけて取引をしたのは、ウォール街の大手金融機関ではなく、複数のドイツの銀行だった。政府の監視を強化するだけで万事うまくいくとはかぎらない。入念に練り上げられた規制をきちんと実行し、かつ、ある程度柔軟でなければならない。
 たとえばジョージ・ソロスは、レバレッジ率に一定の基準を設けるのではなく、市場の状況に応じて基準を上下させる裁量をFRBに与えるべきだと主張している。
 もっとも、資本主義を縛ることは本当に可能なのか。それとも投機的な面はしばらく鳴りを潜めても、そのうち復活するのだろうか。

 復活する。
 それよりも、またバブルを起こすならそのカネはどこに? というより、そのカネがあるなら、今の惨状は救えるのか?

 最近の損失で痛手を受けたヘッジファンドは、クレジットデリバティブ市場から逃げ出そうとしているのかもしれない(この数週間でマネー・マーケット・ファンドに約1000億ドルの資金を移している)。だが今のところ、ヘッジファンドに対する規制はとくに提案されていない。ヘッジファンドはいずれ舞い戻り、姿を消した投資銀行に代わって信用リスクを取引するだろう。
 同様に、政府系ファンドや新興市場にはカネがあふれている。アジア各国の中央銀行だけで外貨準備高は4兆ドルを超える。今回の救済案で必要とされる7000億ドルの何倍もの額だ。
 潤沢な資金がある以上、たとえ新たな規制が生まれても、人々はそれを回避しようと策をめぐらす。投資家(とその関係者)は規制をかいくぐるため、これまで以上に独創的な方法を模索するはずだ。
 こうした新たな資金のうち、かなりの部分がまちがいなく欧米市場に流れ込む。その結果、新興国の影響力が増し、世界の多極化が加速するのは確かだ。だが、だからといって自由市場体制が総崩れになるわけではない。

 ふんふんと読んでしまうのだが、カネの在処は、政府系ファンドや新興市場だ。そして、「アジア各国の中央銀行だけで外貨準備高は4兆ドルを超える。今回の救済案で必要とされる7000億ドルの何倍もの額だ」なのだが、ここ、原文はこうだ。

Likewise, sovereign wealth funds and new emerging markets powers are flush with cash --- Asian central banks alone have reserves of more than $4 trillion dollars, enough to fund several Paulson plans.
(同様に、政府系投資ファンドと新興市場勢力にはキャッシュがだぶだぶになっている。アジアの中央銀行だけでも外貨準備高は4兆ドル以上のドルがあるし、これはポールソン案みたいなのをなんどか作れるくらいの基金になりうる。)

 世界にカネは余っているのだ。どこに余っているかというと、まずアジアの中央銀行だ。アジアといっても、リアリズムでいうのだけど、ベトナムでもカンボジアでもないし、いくらノーベル経済学賞ベッカー教授のギャグが冴えても韓国ではないしその北のほうに隣接する地域でもないし、もうちょっと北の帝国でもない。ずばり、中国と日本でしょ。なんだか陰謀論みたくなってしまうけど、日本と中国の外貨準備高を基金にすれば、ポールソン砲なんかいくつも作れるというのだ。なんか血まみれになった原田甲斐のように「これで世界は御安泰」とか言いそう。そして、おじさまラブラブは残った。ああ、なんて冴えないギャグなんだ。
 フォルーハーの記事ではこう続く。

 投資よりも貯蓄をする人が再び増える。節約の美徳が再び語られるようになり、短期的には金融引き締めが続く。それでも、資金はいずれ再び動きだす。新たなバブルが生まれる。エネルギー、エコ技術、宇宙--どの分野かはまだわからない。

 どの分野かわからないという人は、むこう20年は貧乏。わかった人でもそうかもしれない。15年前、私はホリエモンみたいな人たちが栄光の階段を駆け上がるのを、隠れて見ていた。ああやればいんだろうけどな、と。隠れていた理由は、自分はそんな器でもないし、自分の人生とか病で忙しくなかったからだ。人間、生きるのに忙しいときはカネに関わるもんじゃない。墓場に詰めるカネは六連銭だけ。30円くらいかな。
 いや、どの分野かわかって、しかもその破局まで見えてしまったらどうするか。見えてしまったときに考えようか。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2008.10.09

ベッカー教授のきっついギャグをどう考えるか

 一万円は割るかもしれないけどもう昨日あたりで株の低迷も底になるかなと思ったら今日も結局下げていた。45円の下げというと微妙だが、現下9157円と聞くとすごいな。ふと昔長谷川慶太郎が株はいずれ5万円になるとか言っていたのを思い出した。ははは。どうでもいいけど長谷川慶太郎ってご健在? ウィキペディアを見るにご健在のようすってか、「大局を読む 2009年―長谷川慶太郎の (2009)」(参照)っていう本もあった。2009年って、私の理解だと来年なんだが。
 それにしてもなんで日本の株がこんなに下がるのだろうか。とか考えるまでもなくプレイヤーの多くが外人なんでお家の自己資本強化のためにキャッシュが必要になったということか。でもそうだとすると円を売る? そのあたりの動向はよくわからない。でも円は上がっている。各国協調して利下げをしても日本は下げないからなのか。日銀の深慮遠謀というのは白川ゼミを聞いていてもわからないものだな。それとも全世界流動性の罠状態だとこれで正解なんだろうか。
 株は日本だけが下げているわけではなく全体として下がっているし、この下げようはものすごいな。先月29日、ニューヨーク株式市場が777ドル過去最高に下げたといっても下落率でみると6.9%なんでそうたいしたことないんじゃないのと思っていたし、それからちょぼちょぼしていたが、が、下がる下がる。こりゃやっぱ大恐慌ってやつかな。ロバート・サミュエルソンはなんて言うだろうかと6日のコラムを見ると”Is It 1929 Again?”(参照)とあり、まあそういうテーマでコラムを書かざるをえないだろうな、さて、と読むと毎度ながらの楽観論的な空気に戻っていた。つまり、これって、大恐慌じゃなくて、普通の不況でしょ、と。このコラムは昨日の日本版ニューズウィーク2008.10.15でも「大恐慌とはここが違う」とタイトルで訳されていた。ので訳を引くと。


 いま思い出すべきなのは、景気低迷が国家的な惨事につながることはほとんどないということだ。アメリカでは40年代後半から、景気後退は10回起きている。持続期間は10カ月で、月間失業率の最高値の平均は7.6%、今の米経済は、ほぼ確実に景気後退に陥っている。ただし、9月の失業率は6.1%に達したものの、第二次世界大戦後の最悪レベルまでに上昇することはないだろう。

 ちょっと楽観が過ぎるかな。
 さらに6日のコラムということもあるが株価も楽観視していた。

 今の株式市場の状況も、それほど悪くない。戦後、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数が20%以上下落した下げ相場は10回起きている。下落率の平均は31.5%で、73~74年と00~02年には50%近くに達した。現在の下落率は10月3日の時点で、07年10月のピークから30%のダウンになっている。

 まあ、さらに下がったし、まだじわっと下がるかもだけど。

 29年10月の株式市場の暴落から始まった大恐慌は、戦後のこうした景気低迷とは別物だ。32年7月には、株価はピーク時から90%近く下落。企業や一般市民は10年にわたって苦境にあえいだ。40年になっても失業率は約15%だった。

 たしかに大恐慌と比べるとそうなのだが。がというのは、そのあたりの歴史はちょっと別の見方もあるかもしれない。
 R.サミュエルソンにしてみると、景気後退はガチだが、賢く対応していけば、「単なる景気後退で終わるかもしれない」としている。が、ここでも欧州のようすまで含めるとまだまだ微妙な問題もありそうだ。
cover
ベッカー教授の経済学では
こう考える
教育・結婚から
税金・通貨問題まで
 なかなか楽観な人はいないものなかと見ていたら、ベッカー教授(参照)がウォールストリート・ジャーナルに面白いものを書いていた。”We're Not Headed for a Depression”(参照)だ。標題からもわかるように、「我々は恐慌に向かっているわけじゃない」ということだ。副題も面白い”No, this isn't the crisis that kills global capitalism”。「ちがうってば、目下の危機でグローバル資本主義が死んでしまうわけはないよ」と。で、でも、どうして?

In order to promote a much smoother functioning of the financial system, it is paramount to distinguish between the immediate steps needed to cope with the present crisis and the long-run reforms needed to reduce the likelihood of future crises. Let's start with the short-run fixes.

 現状の危機と長期を見据えた未来の対応をわけて考えなさいと。さすが、ノーベル賞経済学者さんだ。で大恐慌はどうだったかという話から切り出されるのだが、そこはサミュエルソンと同じ。飛ばす、と。
 ポールソンのバズーカ砲についてだが。

The main thrust of the new banking law allows the Treasury secretary to purchase bank assets up to $700 billion in order to increase the liquidity of the banking system. These assets are of uncertain worth since there is essentially no market for many of them, and hence they have no market price. The government hopes to create this market partly through using auctions, where banks would offer their assets at particular prices, and the government would decide whether to buy them. I would have preferred starting with a smaller dollar value of purchases, and up the amount if the situation deteriorates further.

 不良資産を買い取ったはいいけど市場がないよと言われているわけで、そこはあちこちで議論される。でも、ベッカー教授は安く売り払ってしまえと言っているようだ。そうなのか。だとして理由がよくわからない。

Partly because many consumers are repelled by the intention to bail out companies and their executives who made decisions that got the companies into trouble, the new law includes income and severance pay limits for executives whose firms seek government help. Even though one cannot think much of executives who led their banks into such a mess, that is a bad precedent since it involves too much micromanagement of bank operations. Moreover, such salary controls can be evaded by very generous fringe benefits.

 米庶民は今回の救済策で税金でウォール街の金持ちを救いやがってと怒っているのだが、ベッカー教授は細かいこと言わないほうがお得だよというのだ。ここもよくわからない。
 その先読んでへぇと思ったのは、ベッカー教授は、ベアー・スターンズは救済するんじゃなかったなとある("Still, the bank bill with its huge bailout does suggest that the $29 billion bailout of the bondholders of Bear Stearns in March was a mistake. ")
 強気なのはわかるが理由がよくわからない。またバズーカ砲に戻って。

Although the media has made much of this possibility through headlines like "$700 Billion Bailout," such large losses are highly unlikely except in the low probability event that the economy falls into a sustained major depression. Indeed, with efficient auctions, the government may well make money on its actions, just as the Resolution Trust Corporation that took over many savings-and-loan banks during the 1980s crisis did not lose much, if any, money.

 そんな大金は要らないし、不況が長引くわけでもない。うまく立ち回れば儲けも出るという感じだ。ほんとか。
 そのあと、資本主義を規制すればより未来に危機を招く。デリバティブOK、空売りOKという話になる。
 それってノーベル賞経済学者ならではのネタってやつなのかとちらと脳裏をよぎる。
 さて締めに向かっていくのだが。ここでロケット団みたいに見栄を張る。

Is this a final "Crisis of Global Capitalism" -- to borrow the title of a book by George Soros written shortly after the Asian financial crisis of 1997-98?
(ジョージ・ソロスがアジア経済危機の直後に書いた本のタイトルを借りると、現況は「グローバル資本主義の危機」なのか?)
The crisis that kills capitalism has been said to happen during every major recession and financial crisis ever since Karl Marx prophesized the collapse of capitalism in the middle of the 19th century.
(資本主義を終焉させる危機というのは大きな景気後退のために言われてきたものだし、19世紀半ばにカール・マルクスが資本主義の崩壊を予言してからも経済危機は言われてきたものだ。)
Although I admit to having greatly underestimated the severity of the current crisis, I am confident that sizable world economic growth will resume before very long under a mainly capitalist world economy.
(私は現在の危機の深刻さを軽視していることは認めるとしても、主に資本主義世界のもとでそう遅くなく巨大な世界経済成長が再開すると確信している。)

 考えようによっては"a mainly capitalist world economy"に絶妙な含みがあるが。
 で、結語へ。

Consider, for example, that in the decade after various predictions of the collapse of global capitalism following the Asian crisis, both world GDP and world trade experienced unprecedented growth thanks to the power of market competition on a global scale.
(たとえば、アジア危機に続く各種のグローバル資本主義崩壊予言後の10年後を考えてごらんなさいな。世界GDPと世界貿易はグローバル・スケールの市場貫徹のおかげで未曾有の成長を経験したもだった。)

 んだ、んだ。で?

The South Korean economy, for example, was pummeled during that crisis, but has had significant economic growth since. World economic growth will recover once we are over the present severe financial difficulties.
(韓国経済を例にすれば、あの危機で沈んだものの、それから目覚ましい経済成長を遂げた。世界経済は、一度現在の厳しい経済困難を乗り越えれば、成長するだろう。)

cover
ベッカー教授、ポズナー判事の
ブログで学ぶ経済学
 って、ネタですか。ベッカー教授のギャグをどう考えるのか悩むところ。
 ベッカー先生、現在の韓国の姿をご存じないのか、知っていて、このきっついギャグをかましているのか。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008.10.05

あー、ご出席のかたで、ライボーに詳しい人は手を挙げてみて(Well, can anyone -- raise your hand if you're familiar with the Libor rate)

 韓リフ先生こと田中秀臣さんのブログのエントリ”10代、20代は経済に関心がない?”(参照)を読んで、まあそうかなと思う反面、異論とも違うのだがちょっと心にひっかかる感じがあった。もやっと考え、気になっていたことをネットで見て回った。そんな関連の雑談でも。
 きっかけとなった韓リフ先生の話はこう。


 某社編集の人と話していて、「10,20代にぜんぜん経済関係の本が売れない」ということを聞いた*1。
 
 まあ、僕の周囲のサンプルだと確実にそれを支持できるわけだが、やはりサンプルバイアスがききまくるのでよくわからないw
 
 確かにあらゆる編集者が軒並み、経済問題に関心のあるのは中高年以上しかも還暦以上wが主流と口にしている。

 10代、20代には経済関係の本というのは基本的に難しいのではないかと思うというか、なぜそれを面白いと思う人がいるのかなかなか理解しづらいだろう。かく言う私も、難しいなと思う。
 ちなみに50歳にもなる私は、時代でもあるけど高校時代にマル経を読み、大学では枕代わりになるサミュエルソンのEconomicsのペーパーバックを教科書とした。ケインズはなんとなくわかるし、フリードマンとかその後関心ももったが、ブログ時代になってリフレ派という人たちがワシワシやっていて不思議な感じがした。それはさておき、ブログをやりつつ目下の経済状況について結果的に自分なり勉強することになった。こうした傾向は案外「中高年以上しかも還暦以上」なのかもしれない。
 それで経済がわかるようになったかというと、よくわからない。わかっているふうの人の話を読んでも、実はあまりピンとこない。ダメじゃんオレ、でもいいのだが、韓リフ先生のエントリでリファーされているスティグリッツ博士の話(参照)もピンと来ない。というかピントがずれているような感じがする。スティグリッツ博士の御本は他もそうなので、これに限ったことではないけど。
 経済がよくわからないというのは、今回の米国金融安定化法案否決から可決でも気になっていたことがあったからだ。というか、米国時間29日の否決の意味について、というか、なぜポールソン禅師がこんなに慌てふためいていたのか。もちろん、リーマンが潰れ、AIGが救われみたいな流れでわからないわけでもないが、より背景には金融システムの目前に迫ったクラッシュ認識があり、株価の低下よりも深刻だった。
 このあたりに関連した話はブルームバーグ記事”Libor Mystifies Americans as Mayor Reads `Doomsday' ”(参照)が面白い。

Anisha Gupta, returning clothes to a Hugo Boss store on Rodeo Drive in Beverly Hills, shrugged when asked about Libor. She had heard the term. She wasn't sure she could define it.
(アニシャ・グプタが、ビバリーヒルズのロディオドライブに面したヒューゴボスの店に服を戻すとき、ライボについて問われると肩をすくめた。その名前は聞いたことがあるが、なんだかよくわからなかった。)

``I thought it was a pill,'' said Gupta, an unemployed 27- year-old who lives in downtown Los Angeles.
(錠剤の名前じゃないかなと、ロサンゼルス下町に住む非雇用27歳のグプタは言った。



Asked about Libor in Houston, Mike Heider, a 28-year-old drilling engineer, took a long drag on his cigarette, closed his eyes and after 10 seconds said he wasn't exactly sure.
(ヒューストンでライボーについて聞かれた、28歳のドリル工員のマイク・ハイダはタバコを吹かし10秒ほど瞑目して、詳しくはわからないと答えた。)

 20代ではわからないのかもしれない、ということではないようだった。

White House spokesman Tony Fratto said at a press briefing this week that officials closely watch Libor, then paused.
(ホワイトハウスの報道官、トニー・フラットがプレスが今週の記者会見で、担当者はライボーを注視していると言うや、口をつぐんだ。)

``Raise your hand if you're familiar with the Libor rate,'' he said to two dozen reporters. Only one did, drawing nervous chuckles.
(「ライボーに詳しい人は手を挙げてみて」と彼は24人ほどの記者に言った。挙手したのはただ一人で、神経質に含み笑いをした。)


 ジャーナリストたちもわかっていない。
 オリジナルはホワイトハウスの”Press Briefing by Tony Fratto ”(参照)だ。

Yes, Peter.
(ピーターさん、ご質問どうぞ)

Q You talk a lot about the issue of how to explain it to make sure people really understand the consequences and the nature of the plan.
(本案の帰結と本質につい人々に理解させるための説明について、あなたは多くを語っています。)
How much do you think this has been an issue of explaining and selling and convincing, as opposed just the substance of it, that maybe people do understand it and they just don't like it?
(人々は理解したのか、それを単に嫌ったのか、その要点が反対されたことで、事態についてどのくらい、説明、推薦、説得といった問題があったのでしょうか?)

MR. FRATTO: Well, I don't know. I'm not -- I don't think I'm going to do analysis on -- I don't think I can do analysis on that.
(フラット氏:あー、私はわらないです。調べてみようとも思っていません。というか調べることが可能かもわかりません。
Look, it is a very, very complicated issue. You know, I could tell you something -- something we pay attention to here, in terms of how the markets are faring.
(いいですか。これはとてもとても複雑な問題なのです。ご存じのとおり、市場の現況について私は申し上げること、注視すべきことがここにはあります。)
You hear us talk about credit markets, right? Well, something we look at is the Libor rate.
(みなさんは私たちが信用市場について語ったことを聞いてますね。いいですよね? ええと、わたしたちが見ているのはライボー率です。)
Well, can anyone -- raise your hand if you're familiar with the Libor rate.
(あー、ご出席のかたで、ライボーに詳しい人は手を挙げてみて)


photo

 と、実質的な説明に入ろうとして、ふとフラット報道官は、記者たちがライボーのことを知っているかきいてみたわけだ。知っている人はほとんどいなかった。


The London Interbank -- Bloomberg would know. All right, the London Interbank Overnight Rate.* It's banks lending to banks. That is a critical number.
(ロンドンインターバング、ブルームバーグは知っているでしょう。つまり、ロンドン銀行間出し手金利ですよ。銀行間貸し出しです。これが危機的な数値になった。
Well, it reached -- that spread reached an all-time high last night.
(あー、これが昨晩ずっと跳ね上がりぱなしになった。)

photo
LIBOR


Okay? I mean, that is our communications challenge, is to explain why the Libor rate is at all relevant to an American's ability to get an auto loan, or a small business' ability to maintain their payroll account at a financial institution.
(いいですか。私がいいたいのは、これが私たちに課せられたコミュニケーション上の挑戦です。なぜライボー率が、経済機構上、アメリカ人の自動車ローンや小企業の雇用維持に関係するのかを説明することなのです。)
There are a lot of steps between the Libor rate and the homes of Americans. So we obviously have a challenge.
(ライボー率からアメリカ人家庭までには多くの段階があります。だから、私たちにとっては明白に挑戦なのです。)

 問題は、ライボーをどう米国民に説明するかということ。ジャーナリストたちですらわかっていないのに。
 ライボーについて差し迫る問題としては、解決されたというわけでもないだろうし、その後のニュースでも、ライボーという言葉は出ることもあり出ないこともあるが、今朝のNHKの経済羅針盤でも銀行間直接取引については説明されていたし、ライボーのグラフも掲載されていた。
 今後こうした危機が世界に及ぶのかわからないが、基本的な金融の仕組みについて、この関連でいえば金利がどう決まるかについては、10代、20代で知っておくべきなのだろう。こういうのを学ぶのによさげな参考書ってあるでしょうかね。

追記
 韓リフ先生からお勧めの本のご紹介をいただきました。ありがとう。
 ⇒飯田教養三部作がおススメ : 2008-10-06 - Economics Lovers Live

| | コメント (18) | トラックバック (0)

« 2008年9月28日 - 2008年10月4日 | トップページ | 2008年10月12日 - 2008年10月18日 »