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2008.01.26

捕鯨問題のわからない話

 私は捕鯨問題にはほとんど関心がない。過去には一度やや関連のエントリとして「極東ブログ: くじらバーガーの伝言ゲーム」(参照)を書いたが基本的に情報の伝達に関心があったくらい。現在騒がれているフレームワークに適合するような意見はなにも持ち合わせていない。なので黙ってろと言われそうだし実際黙っているのだが、まあ、そんなスタンスのエントリもあっていいかもしれないという程度なので、白黒バッシングのネタにはしないでね。
 最初に自分が一番疑問に思っていることを書いておくと、捕鯨というのはしないでいると増え過ぎてその捕食によって他の魚、海洋資源の減少につながる論があるが、あれは科学的に正しいのか?というところだけ。
 素人風に思うのだが、地球の生態系、しかも海洋の生態系に人間が介在することは想定しがたい。というのも伝統的捕鯨法というのはあるにはあるが、あの程度だと生態系への影響はゼロに等しい。むしろ、鯨を絶滅に近く至らしめたのはよく知られているように日本が商用捕鯨を始める前の、欧米、それとその後のソ連による鯨油獲得のための乱獲の捕鯨だった。むしろ、一世紀ほど前の、日本以外の国の乱獲のおかげで、人間にとって利する海洋の生態系が一世紀くらい保たれていたという帰結になるのだろうか?
 書いていてバカなことを書いているような気がするが、そのあたりが依然わからない。ちなみにエントリ書くにあたってちょっと調べてみたら、コククジラについてはDNAによる研究があって19世紀には現在の数倍生息していた可能性があるらしい。いずれにせよ、現状のまま鯨を保護していくと、海洋における王者の存在で現在の海洋の生態系は変わるのではないかと思うが、それが地球にとって自然な傾向というものなのだろう、と書いていてふと思ったのだが、陸上のほうは人間種が増えすぎというのはあり、しかもこの数世紀で爆発的に増えてしまった。陸上のほうは人間種が占有し、海洋のほうは鯨種が占有するという冷戦的構造というのを人類は無意識的に求めているのだろうか。であるとした場合、人間種の未来の内在的な危機のようなものが海洋にも存在するのではないかとつい与太話の連想に向かうところが私がこの問題に関心がない証拠のようなもの。
 少し話を戻して。捕鯨についての議論、日本人だから日本語リソースを読みがちというのはあるが、議論と科学性の点においては、日本国の主張は正しいように思える。そして、国際的な場でも日本の主張の、議論と科学性においては、きちんと一定の理解が得られているように思われる。ので、するとさて何が問題? と考えるのだがニュースを見ると問題のようだ。そのあたりの話題のずれみたいのがよくわからない。
 同種のわからないなと思うのは、捕鯨というと日本がバッシングされるフレームワークを持つようなのだが、そうなのだろうか。06年のIWC(国際捕鯨委員会)総会では、IWCの正常化を求める宣言が賛成33、反対32、棄権1で採択された。この宣言の提案国は日本だけではないが、この傾向を見ると、国際的にも日本はまるで孤立しているふうはない。もちろんこれには日本が裏で小国を画策しているという意見もあるだろうが、それを言うなら反捕鯨国も同様。得られる妥当な見解としては、捕鯨問題は別段日本というフレームワークの問題でもないか、あるいはコアとなる数国の問題で世界の諸国はそれほど関心のないことか。そんなあたりだろうか。ただ、後者であっても国際的な合意の手順としてはきちんとしているので、やはりこれは日本の問題ではないように思う。
 さて。とはいつつ、ニュースを見ると、依然、日本を中心としたコントラバーシャルな話題に見えるし、私はあまりニュース映像は見ないのだけど、たまに見ると過激な日本バッシングが目に映り、ほぉと思う。このあたり言っていいのかわからないけど、他国から日本に向けられる感情的なバッシングはある程度可視であったほうがいいとなんとなく思っている。日本人は世界から愛されているみたいな暢気な幻想に陥らないためにいい薬ではないかと。ただ、映像をぼんやり見て思ったのだけど、国際化が進むなか、日本バッシングって実際の民族とかで考えると、日本人と韓国人と中国人、さらにベトナムとかタイなんかでもそうだけど、別に区別は付かない。そのあたりいろいろ思う外国人も増えているのではないかな。

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2008.01.25

米国のインフレ懸念とか日本の団塊世代への歳出抑制が問題とかちょっと言いづらい

 サブプライム問題に端を発した経済不安だが、さすが株価に及んでくると事態は深刻度を増している。ただし、バーナンキ僧正耐久力テストとしてはこのくらいの事態になるだろうということは想定していたシナリオどおり。ざっと見た感じではまだ耐久力がありそうだ。問題はたぶんインフレのほうだし、そしてもう一つの大きな問題がある。そこがこのエントリのテーマなのだが、いやさらにもう一つあるか。そちらは中国の問題。端緒のように中国の銀行もサブプライム問題を抱えているのではないかという懸念がわき上がったら、すかさず鎮火した。よかったと言えるのだろう。他に言いようがない。
 ブログをさぼっている間に状況は刻々と変化しているのだが、米国で景気刺激策として1000億ドルが検討されたおり、コラムニストのロバート・サミュエルソンがこれは子供だましと言ってのけた。政権側はこれにもう少し上乗せという流れになったが、これはバーナンキ僧正の上限の示唆どおりなので、市場としてはいちおう耐久力テストとしては合格っぽかったのかもしれない。
 サミュエルソンのコラムだが、日本版ニューズウィーク(1・23)”子供だまし経済学にご用心”というもの。先週の号だ。要点は以下。


 とはいえ、アメリカの経済規模は14兆ドル。たかが1000億ドルでは少なすぎて大した効果はない。景気悪化が深刻ならもっと大規模な対策が必要だ。逆に深刻でないなら、その程度の対策は政治的な意味しかもたない。

 ざっくりと見て、そこに少し上乗せされても現状の景気刺激策には実質的な意味合いはない。そもそも住宅バブルがまるで世界経済の終わりかのように騒がれるのはやや珍妙という部分があるが、それを言うなら、なぜ石油が高止まりしているかなどの不思議にもつながる。結論はあっけない。世界にカネが余りすぎているのだろう。だから、余った部分のカネというは消える運命にあるのかもしれない、と言うのは暢気すぎるが。
 このところの日本の新聞社説などを見ると、「景気悪化が深刻ならもっと大規模な対策が必要だ」論がまかり通っているようだ。笑い話なんだろうが、日本を見習えというのまである。サミュエルソンは現状をヒステリックにすぎると見ている。

 今の経済論議にはヒステリックなところがある。住宅不況は確かにひどいが、住宅市場は最大でも経済全体の5・5%しか占めたことがない。しかも第二次大戦以降で4番目に悪い状態でしかないと、カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院の景気予測ディレクター、エドワード・リーマーは指摘する。

 とはいえ現在の金融の状況は過去と比較できない点が多すぎるので、こうした議論はややレトリックに流れがちだ。問題はすでに住宅バブルが本質ではなくなっている。
 今後の問題はおそらくインフレのほうにある。

 一方で、インフレは脅威だ。消費者物価は07年11月までの1年間に4・3%上昇、ここ3カ月は年率換算で5・6%上昇した。原料費が高騰している。コンサルティング会社グローバルインサイトのエコノミスト、ジョン・マザーソールによると、銅は06年前半に1トン=4900ドルだったが、07年後半には7300ドルになった。景気減速や後退はこのような価格上昇に歯止めをかけ、インフレ心理をおさえる方向に働くだろう。

 ふつうそう考えるのだが、その後にバーナンキは大幅利下げを行った。これがインフレをブーストするかよくわからない。この程度ではそれほどでもないのかもしれない。いずれにせよ、事態にマジックワンドの解決策はないのだろう。
 で、私がサミュエルソンのコラムで一番気になったのは、その結語の指摘だった。こうした子供だまし、飴玉経済政策をやっていくとどうなるか。

するとコストがふくらんで長期的な財政政策が犠牲になる。つまり、ベビーブーム世代の引退で増大する歳出を抑制するという課題に逆行することになる。

 これ、米国の話なのだが、日本も同じというか、日本はもっとひどいことにずぶずぶと進んでいるのではないか。こう言い換えていいのではないか。

年金問題や各種保証の問題の解決を政府にだけ期待していくと、コストがふくらんで長期的な財政政策が犠牲になる。つまり、団塊の世代の引退で増大する歳出を抑制するという課題に逆行することになる。

 団塊世代より上の世代、つまり老人になるほど貧富差が激しい。また団塊世代までは豊かな年金を得る人達は多い。でも、その尻尾、ちょうど団塊世代が終わったところにいる自分から日本の未来を眺めてみると、今の日本の財政政策だと、私の老後に利するまでには息切れして、後はなんにもないんだろうなという感じがする。
 なんだかんだ言っても米国は人口が増大し、出生率も維持できている。そういうことが、ようするに経済的な意味での「信用」というものを支えている。とすれば、逆の日本にはそういう未来はないなと思う。
 というか、いかにも正義で語られている政治の話が、今の40代が日本で死ぬころ何をもたらしているだろう。

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