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2008.12.14

漢方が疑似医療だと言われるとなぁ的な雑感

 昨日のエントリの続きというか、ごく雑談。最初にお断りしておくと、カウンターナレッジをご披露したいわけではないし、何かを熱心に訴えたいということではない。何かよくわからないけど変な感じがするよねくらいの他愛ない印象を書こうかなくらい。たかがブログだし、アルファーブロガー(笑)だし。
 「すすんでダマされる人たち ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠(ダミアン・トンプソン)」(参照)で、疑似医療としてホメオパシーが批判されている。これは日本のブログなんかも見渡すとたまに同じような舌鋒で批判している文章を見かけることがある。
 え? ホメオパシーとは何か? あー、ウィキペディアにはなんて書いてあるかな、ちょっと予想する部分があるけど、と、見ると(参照)。


ホメオパシー(homeopathy)は、ホリスティック医療に分類される、代替医療の一種である。「ある症状を持つ患者に、もし健康な人間に与えたら、その症状と似た症状を起こす物質をきわめて薄くしてわずかに与える」ことによって、症状を軽減したり治したりしようとする療法のことである。たとえば、解熱を促そうとする時には、健康な人間に与えたら体温を上げるような物質を含む物質を少量患者に与える。このことによって、極めて短時間発熱が促進されるが、すぐに解熱に向かうとされている。一方、科学的根拠の欠落を指摘する識者も多い[1][2][3][4][5][6]。

 けっこうきちんとしているんじゃないかな。のっけから断定的な否定が書かれているんじゃないかと思ったけど、とりあえず[1][2][3][4][5][6]くらいなものか。ノートのほうに乱闘の跡でもあるかなと覗いたが(参照)それほどでもない。
 オモテに戻ると。

これまでにホメオパシーの有効性を立証したと主張する論文が何度か発表され、そのたびに議論になったが、いずれも対照群の設定や母集団の数、主観の入りにくい調査の実施などが不十分とされ信頼性が低いとされてきた。医学専門誌Lancetの2005年8月号に、ホメオパシーに関する臨床検討の論文110報をメタ解析した調査が報告され、これにおいてもホメオパシーの効果はプラセボと同等であると結論されている[7]。

このことを問題とする立場の者は、ホメオパシーが疑似科学であるとし、プラセボ以上の治癒効果の可能性が有る「代替医療」ではなく、そもそも全く治療効果のない「偽医療」であると主張している。


 というようにカウンターナレッジじゃないの的な部分は併記された意見として掲載されている。
 英語のほうを見ると、カウンターナレッジ云々というより、それが占める歴史的な考察の比重が重たいようだ(参照
cover
人はなぜ治るのか
 そういえばちょっと気になって、この英語の説明のなかに、アロパシー(allopathy)は出てくるかなと思ったが参考文献の標題くらいだった。それもへぇと思ったが、別項目に”Homeopathy and allopathy”(参照)があった。

Allopathy is a term coined in the early 19th century[1] by Samuel Hahnemann[2], the founder of homeopathy, as a synonym for mainstream medicine.

 それでよかったかな、ちょっとこのあたりの正確な知識は忘れたというか、資料は実家にあってちょいとはわからない。さらに見ていくと、もう一つ項目がある。”Allopathic medicine”(参照)だ。なんか項目が混乱しているようだがここにちょっと面白い話があって。

Allopathic medicine or allopathy may also refer to:

・The opposite of homeopathy, see homeopathy and allopathy.
・The opposite of complementary and alternative medicine.
・The opposite of traditional medicine, especially of Ayurveda.[7][8][9]


 3点目に、アーユルヴェーダじゃないものというのがある。たしか私の記憶では、ホメオパシーの伝統は大英帝国の名残でインドに独自の定着をしていたはずだ。っていうか、私はコルカタでホメオパシーと超能力を混ぜた治療を見たことがある。感想は特に書かない。
 で、と。先の「すすんでダマされる人たち ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠(ダミアン・トンプソン)」(参照)だと、ホメオパシーもアーユルヴェーダも疑似医療ということなのだが、これにさらに漢方も含まれている。
 「漢方」という訳語がそのまま書かれている部分もあるが、一番触れているところでは「中国医学」となっている。

中国医学:伝統中国医学(TCM)の薬草療法はマッサージや鍼が、西洋医学を補完してくれるという考え方は次第に広く受け入れられつつある。だが、それを裏づける研究データはない。最新の大規模なTCMの無作為化臨床試験は、1990年に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に発表されたものだが、約3000件の試験のうち、盲検法によって検証されたものは15%にすぎず、サンプルサイズは小さく、効果が数字で示されている場合はほとんどなかったうえ、「大半の試験でテストされた治療法が有効だとされており、公表バイアスが一般的だったことを示唆している」。2007年までに中国製の医薬品で世界保健機関(WHO)の予算承認が得られたのは、抗マラリア生薬アルテミシニンだけだ。

 これはそうじて漢方を含むと読んでいいと思う。
 たぶん、著者は漢方と中医の違いは知らないと思うし、WHOとの関わりの意味、たとえばエッセンシャル・ドラッグのような考え方も知らないのではないかなという印象も受ける。まあ、ごく印象というか偏見かもねだけど。ついでにいうと、BMJのその公表は1990年というのはちょっと古すぎる気もしないではない。
 でも、ようするに、著者にしてみると、漢方は疑似医療だし、カウンターナレッジで、しかも、医療に関係しているだけ悪質ということになる。
 このあたり、そう言われるとなぁ感はある。特に反対もしなけいけど、「著者の意見に賛成です、漢方を世の中から撲滅しましょう」と言われたら、ちょっと引く。
 ちなみに日本では漢方薬は特に毒性などの再検査もなく、伝統的に使っていたからということで、すんなり大衆薬として認可されているはず。もっとも、コンビニとかで販売してはいけない。といいながら、あれ、ユンケルとか漢方薬なんだけどなとも思う。
 ちょっと個別のことになるけど、麻黄附子細辛湯というのがあって、この附子というのは狂言でも有名なように毒というか、トリカブトです。ほかにも桂枝加苓朮附湯とか附子を含むものがある。ウィキペディアを見ると、そのあたりの配慮があって(参照)。

漢方ではトリカブト属の塊根を附子(ぶし)と称して薬用にする。本来は、塊根の子根(しこん)を附子と言い、「親」の部分は烏頭(うず)、また、子根の付かない単体の塊根を天雄(てんゆう)と言って、それぞれ運用法が違う。強心作用、鎮痛作用がある。 毒性が強い為、修治と呼ばれる弱毒処理が行われる。炮附子は苦汁につけ込んだ後、加熱処理したもの。加工附子はオートクレーブを用いて加圧加熱処理をしたもの。危険なので素人はトリカブトを見つけても、絶対に自分で使ってみようなどと思ってはいけない。

 へぇなるほどそれなら大丈夫じゃんと思うだろうか。「毒性が強い為、修治と呼ばれる弱毒処理が行われる」というあたりをどう受け止めるか。まあ修治については附子だけの問題ではないんだけど。
 たしか、FDAでは附子配合の漢方薬の市販を禁止していたかと記憶している。ちょっと曖昧だけど。
 漢方は疑似医療なのか、そいで、その危険性ってどう科学的に考えていいのか、というのは、よくわからない問題だなと思う。
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漢方
日本人の誤解を解く
劉大器
 個人的には葛根湯証が出ると私は葛根湯を飲む。うーむ、だからって疑似医療の推進派だろとか非難されるとちょっとなと思う。

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「科学」カテゴリの記事

コメント

神経の疾患で、普通の精神科医にも診療してもらっているし、漢方医にもひどかったときに2年ほどお世話になったのですけれど、精神科医学については、漢方医のほうが科学的だと思います。

私の診察をしてくださる精神科医の先生たちは、みんな、問診と年に2回程度の血液検査しかしないけれど、漢方医の先生は、ちゃんと、診察のたび舌診、腹診、脈診して、毎回血圧と脈拍を調べてくださいました。漢方医学は、精神科治療でも、心身を一体に考えて、心身を分離しないのです。

神経疾患は、治癒していないけれども、身体の虚弱は、漢方医の先生のおかげで胃弱が原因であることがわかり、胃弱は、投与していただいた漢方薬で、ずいぶん改善されました。そして、胃弱が改善されることで、週に2、3回は酒を飲まないですむようになったし、酒を抜くのが以前より苦痛でなくなりました。

心身を分離して考えない、という点では、西洋医学の精神科医学より、漢方医学のほうが優れている側面が確かにあると思われます。

それから、精神科医は、あまり馬鹿にしないで、フロイトの「精神分析学入門」は絶対に読んでいただきたいものだと思います。

投稿: 経験者談 | 2008.12.14 12:57

不潔を理解して、潔の悪がわかる。
医学でないものを理解できないならば、医者ではない。
そもそも、環境を見落としていたら、ダメじゃん。
日本はアフリカじゃないし。

マクロ妄想は楽しいのだろうけど、意味不明すぎる。

投稿: | 2008.12.14 13:25

聞いてて語彙の定義の問題かなと思いました。
医療という言葉を西洋医療と同義とするなら、漢方はオルタナティブに違いはなく、中には疑似医療と呼ぶひとも出てくるのかなと。

投稿: straycat74 | 2008.12.15 11:09

中医と漢方は違うだろうと。

たとえば、エフェドリンやメタンフェタミンは生薬の麻黄から抽出されたもので、それを発見したのも抽出して結晶化したのも日本人。
だけど、そういう経緯を無視して風邪薬のエフェドリンは西洋医療の範疇に入れてしまえば

葛根湯が効くのは、エフェドリンの薬理作用によるものだからそれは漢方から除外。という考え方になり
そうやって除外できるものを除けば、偽薬しか残らないのは当たり前かと。
単なる西洋中心主義じゃね?


投稿: eternalwind | 2008.12.25 13:41

細かな点で申し訳ない
葛根湯「証」であって「症」ではありません
ある特定の薬方に典型的な症候群をまとめて「証」と言います

投稿: | 2012.01.06 20:03

ご指摘ありがとうございます。訂正しました。

投稿: finalvent | 2012.01.06 20:57

私は漢方薬のおかげで禁酒できるようになったから、漢方薬支持派。

投稿: enneagram | 2012.01.27 10:24

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