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2008.10.10

どんどこしょ

 10月10日と言えば……、言えば? まあ、いろいろある。体育の日ではない。いつから体育の日がフロートするようになったか私は忘れた。が、体育の日の由来は知っている。1964年の東京オリンピックがこの日に始まったからだ。あの日のこともよく覚えているが、ご安心あれ、その話を書くわけではない。また10月10日は双十節でもある。つまり国慶節。違うんじゃないのと思う人もいるかもしれないが、その話も書かない。

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改訂 文学入門
(講談社文芸文庫)
伊藤整
 とか言ってウィキペディアのこの日を見ていくと、へぇな話は多い。「1954年 - 光文社が新書判の「カッパブックス」の刊行を開始、第一冊は伊藤整『文学入門』」というのもある。57年生まれの私なのにこの本を知っている。ロングセラーだったのだろう。そういえば高校の時の先生がふと伊藤整の「変容」(参照)を読んでおけと言ったのを思い出した。あのころの先生は今の私より若い。彼はその後大学の先生になり偉くなったようだ。
 他に? 「1969年 - 巨人の金田正一が史上初の400勝を達成」もなんとなく記憶にある。私は父と野球は見ていた。カネやんは巨人の星にも出てきた。大リーグボール三号はカネやんの指導だ(だったかな)。あの時代、子供ながらに世間の空気を感じたかぎり、それほど韓国人差別もなかったように思う。調べるとカネやんは「帰化」とある。
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「絆」
王貞治の勝因とルーツ
 そういえば王貞治の国籍は依然中華民国だったと思う。それゆえに台湾系のように理解されているが……この話も書かないが、中国人(台湾人)に初の国民栄誉賞を与えたのは1977年の福田内閣のことだ。お父っあんのほう。80年代まではそんな日本だった。私も大学生だった。今の日本っていったいいつから始まったのだろうかと変な気持ちになる。世界と同じく5分前だろうか(参照)。
 今の日本の始まりは天宇受売命御開帳の如きに思われているバブル景気あたりだろうか。ウィキペディアを覗くと「1986年12月から1991年2月までの4年3か月(51ヶ月)間を指すのが通説」とある。そうかな。私が二十代の終わりだ。85年にプラザ合意があった。86年9月13日に東証は暴落した。それでも86年12月からバブルの時代。
 87年10月19日月曜日はブラックマンデーだった。下落率は22.6%。今回のブラディーマンデーはじわっときてそれを超えてしまった。文字通り世界恐慌以来ということになりそうだ。
 あの日の日経平均株価は3,836円安、下落率は15%。それでも2万円を割っていなかったし、翌日40%戻した。その後もしばらく日本のバブルは続いたことになる。1989年の大納会のバベルの塔は4万円の天を見上げたが、翌年正月にはその怒りを買ったのか株は転げ落ちていった。
 当時の新聞を見ていたらふと面白い記事があった。”ブラックマンデー一年 識者に聞く(上)経済評論家・松本和男氏”(読売1988.10.18)。ブラックマンデーを乗り越えたとして。

 --長期的にもこの傾向が続くだろうか。
 「長期波動(約五十年周期)でみて、二〇二〇年、つまり団塊の世代が定年を迎え本格的な老人社会に突入するまで大丈夫だ。今年は“明治百二十一年”だが、日本は一八六八年、明治維新で資本主義国になり、五十年後一九一八年の第一次大戦前後に農業国から工業国に躍進、さらに一九七〇年のイザナギ景気の最中に工業国のピークを迎えた。
 それから五十年後の二〇二〇年には日本は高度情報化社会の頂点に立ち、アジア・太平洋地域、中国などに資本、情報、技術を提供するセンターになっていく。米ソのデタント(緊張緩和)、社会主義国の開放政策、地域紛争国の戦後復興などで、社会資本整備の需要は無限に近い。実質六%の中成長は可能で株価も長期的に上昇しよう」

 過去に語られた未来というのは、その未来の側に生きている人間から見ると面白いものだ。いや、長期波動がやってくる2020年まであと12年ある。私はこの世にいるだろうか。
 今日の東証はひどかった。終値で8276円。あっさり9000円も割った。5年4か月ぶり。下げ幅は一時1000円に近づいた。明日は7000円台か。底抜け感はある。どんどこしょだな。
 でも、またいつかバブルがやってくる。日本版ニューズウィーク10・15掲載、ラーナ・フォルーハーによる”金融危機後の新時代が来る”ではこう結論を書いていた。ちなみにオリジナルは4日付け”A New Age Of Global Capitalism Starts Now”(参照)で無料で読める。ちょっと調べたら日本語版も無料で読める(参照)。

 いくら救済策を打ち出し、新たな法律を作っても、バブルは必ず繰り返される。次のバブルが来るときには、08年の世界的危機など誰も思い出しはしないだろう。

 歴史を見るとそんな感じはする。いや、これで投資ビジネスは懲りるのではないか。前段にはそうではないとしていた。

 もっとも、最近とくに高いレバレッジをかけて取引をしたのは、ウォール街の大手金融機関ではなく、複数のドイツの銀行だった。政府の監視を強化するだけで万事うまくいくとはかぎらない。入念に練り上げられた規制をきちんと実行し、かつ、ある程度柔軟でなければならない。
 たとえばジョージ・ソロスは、レバレッジ率に一定の基準を設けるのではなく、市場の状況に応じて基準を上下させる裁量をFRBに与えるべきだと主張している。
 もっとも、資本主義を縛ることは本当に可能なのか。それとも投機的な面はしばらく鳴りを潜めても、そのうち復活するのだろうか。

 復活する。
 それよりも、またバブルを起こすならそのカネはどこに? というより、そのカネがあるなら、今の惨状は救えるのか?

 最近の損失で痛手を受けたヘッジファンドは、クレジットデリバティブ市場から逃げ出そうとしているのかもしれない(この数週間でマネー・マーケット・ファンドに約1000億ドルの資金を移している)。だが今のところ、ヘッジファンドに対する規制はとくに提案されていない。ヘッジファンドはいずれ舞い戻り、姿を消した投資銀行に代わって信用リスクを取引するだろう。
 同様に、政府系ファンドや新興市場にはカネがあふれている。アジア各国の中央銀行だけで外貨準備高は4兆ドルを超える。今回の救済案で必要とされる7000億ドルの何倍もの額だ。
 潤沢な資金がある以上、たとえ新たな規制が生まれても、人々はそれを回避しようと策をめぐらす。投資家(とその関係者)は規制をかいくぐるため、これまで以上に独創的な方法を模索するはずだ。
 こうした新たな資金のうち、かなりの部分がまちがいなく欧米市場に流れ込む。その結果、新興国の影響力が増し、世界の多極化が加速するのは確かだ。だが、だからといって自由市場体制が総崩れになるわけではない。

 ふんふんと読んでしまうのだが、カネの在処は、政府系ファンドや新興市場だ。そして、「アジア各国の中央銀行だけで外貨準備高は4兆ドルを超える。今回の救済案で必要とされる7000億ドルの何倍もの額だ」なのだが、ここ、原文はこうだ。

Likewise, sovereign wealth funds and new emerging markets powers are flush with cash --- Asian central banks alone have reserves of more than $4 trillion dollars, enough to fund several Paulson plans.
(同様に、政府系投資ファンドと新興市場勢力にはキャッシュがだぶだぶになっている。アジアの中央銀行だけでも外貨準備高は4兆ドル以上のドルがあるし、これはポールソン案みたいなのをなんどか作れるくらいの基金になりうる。)

 世界にカネは余っているのだ。どこに余っているかというと、まずアジアの中央銀行だ。アジアといっても、リアリズムでいうのだけど、ベトナムでもカンボジアでもないし、いくらノーベル経済学賞ベッカー教授のギャグが冴えても韓国ではないしその北のほうに隣接する地域でもないし、もうちょっと北の帝国でもない。ずばり、中国と日本でしょ。なんだか陰謀論みたくなってしまうけど、日本と中国の外貨準備高を基金にすれば、ポールソン砲なんかいくつも作れるというのだ。なんか血まみれになった原田甲斐のように「これで世界は御安泰」とか言いそう。そして、おじさまラブラブは残った。ああ、なんて冴えないギャグなんだ。
 フォルーハーの記事ではこう続く。

 投資よりも貯蓄をする人が再び増える。節約の美徳が再び語られるようになり、短期的には金融引き締めが続く。それでも、資金はいずれ再び動きだす。新たなバブルが生まれる。エネルギー、エコ技術、宇宙--どの分野かはまだわからない。

 どの分野かわからないという人は、むこう20年は貧乏。わかった人でもそうかもしれない。15年前、私はホリエモンみたいな人たちが栄光の階段を駆け上がるのを、隠れて見ていた。ああやればいんだろうけどな、と。隠れていた理由は、自分はそんな器でもないし、自分の人生とか病で忙しくなかったからだ。人間、生きるのに忙しいときはカネに関わるもんじゃない。墓場に詰めるカネは六連銭だけ。30円くらいかな。
 いや、どの分野かわかって、しかもその破局まで見えてしまったらどうするか。見えてしまったときに考えようか。

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コメント

 銭は要る物買うのに足りるだけあったら、それでええのよ。2,3年ボケッとしてても困らん程度に蓄えてれば、それで充分なのよ。それ以上は欲やね。身の程を弁えてないだけやね。金持ちがカネをダブつかせるのも、貧乏人がローンに追い回されるのも、どっちも身の程弁えてないだけのことなのよ。有り体に言っちゃえば。

 そういう類の人間ってのは、バカみたいに博打に入れ揚げて行く末身代潰すだけだから、ハイそーゆー人生で御座いましたご苦労さんってところで得心していただいて、次の時代にはとっとと乗り遅れていただきたいものです。

 質素倹約諸事節約の精神で時間掛けてキチッと銭貯めて、ここぞという時にガチッと使って要る物ゲット完了したら、それ以上欲を張らずに即座に撤収。そういう精神で事に臨まん限り、誰が何を何度やっても行く末失敗するだけよ? ってことを肝に銘じんとね。遺憾ですよ。それが好況不況の荒波に揉まれて生きる時勢における最良の処世術ですわい。

 さて、あたしゃ今さら株でもやりますかね。まだまだ買い頃になってないから日経平均5000円の声聞くまで待とうかなって感じですけど。私みたいなのに買われないよう、皆さん頑張って株価吊り上げちゃってくださいなっと。ふぉっふぉっふぉ。

投稿: 野ぐそ | 2008.10.11 02:16

■G7で日本の外準活用し各国支援を表明へ=中川財務・金融相―資本を速やかに注入して社会変革への道を開こう!!

こんにちは。当面の信用不安を克服するため、各国が資本注入することは避けられないことだと思います。しかし、その後どうするかで、実体経済の回復が決まってきます。
私は、現在多くの人々の頭の中は「経済」というキーワードでいっぱいになっていると思います。そうして、八方塞になっていると思います。私たちは、ここで「社会」に着目する必要があると思います。今後健全な社会を形成しなければ、実体経済も良くはなりません。といようより、現在全く異質な社会に入りつつある先進国においては、「次の社会」に備える国だけが、来るべき将来において、健全な社会と経済を手にするということです。逆に、「次の社会」に備えない国とっては、不健全な社会と経済で没落していきます。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2008.10.11 10:30

今回の金融不安は、何とか、破局は回避できるのではないのかと考えております。

G20を緊急開催できたし。

危機的状況というのは、みんなが本気になって対策を練るようなときには、普通は間一髪助かるもののはずです。

危ないのは油断しているとき。「日経平均株価5万円」説なんかが出てくるときが非常に危ない。みんながいい気になって油断しているから。

新たなバブルの生まれる分野って私も今のところまったくわからないので、finalvent先生に投資のアドバイスなんてとてもできないですけれど、現代社会で、最も知識集約的で、資本集約的で、労働集約的な経済分野、技術分野っていえば、誰がどう見ても巨大都市。

日本の東京圏(首都圏)は、世界最大の1兆ドル経済圏になっている大都市圏。そして、名古屋圏は、効率のよい中部国際空港を有する、おそらく、日本で(もしかしたら世界で)もっともグローバル化に適応できるかもしれない都市圏。

そうなると、投資するなら、JR東日本と名鉄かな。

JR東日本と名鉄に自分の人生を賭けるのは勝手ですけれど、ただしどこまでも結果については自己責任です。

ちなみに、私は、現在のところは、JR東日本と名鉄の株も社債も買う気はありません。

ブロガーに合わせて、「どんどこしょ」。

投稿: 今度は何とか | 2008.10.13 08:58

↑なんじゃそりゃ。

 世間じゃ小泉改革→地方の疲弊だいい加減にしろ、みたいな空気が出てるような出てないような按配ですけど、今日びそんなん言うても始まりませんからなあ。効率的に富を生み出す都市圏に何らかのアクセスが出来るなら、むしろ都市圏に富を集積させて地方はおこぼれに与る体質?強化した方(それはむしろ高度経済成長期体質なのか!?)が、当面は逝けてますよ。行く末逝けるかもしれませんけど。

 車両交通にしろ情報交流にしろ、そーいったインフラの類をキチンと整備して、住まいは地方だけど都市と繋がりあるから富(と、入手手段)はあるぜ? みたいな体質に変貌した方が、有利っちゃ有利ですわい。

 道路行政とかは、地方と地方を結ぶインフラ整備をするんじゃなくて、地方と都市を結ぶ芳香性で祈念した方がいいし、むしろそれよりは「開かずの踏み切り」に代表されるような都市インフラの再整備を念頭に置くべき。都市部がもっと効率化すれば、それが自然に日本経済を押し上げるんジャマイカと愚考。

 ちなみに、私は、現在のところは、都市部にわざわざ出掛けて買い物する気はありません。

投稿: 野ぐそ | 2008.10.13 10:54

 どうでもいいけど、昨晩大阪在住の姉夫(51)婦(47)が父ちゃん(75・肺ガン第4期・自宅療養中)の見舞いに来ました。
 移動手段は、バイク。ってゆーか普通にツーリング。姉ちゃん(47)が650cc中古50万円で義兄さん(51)が900cc新車140万円だそうで。大阪の平野の街ん中から7時間掛けて、えっちらおっちら来たんですな。凄ぇー元気。今までは来ると言えば車か新幹線だったんで、まさか今この歳になってツーリングするとは思いませんでしたわ。

 ってゆーか、そんなもんでしょ、今日び。昔…それこそ昭和30~40年初頭くらいまでなら、広島⇔大阪、大阪⇔東京、裏日本⇔表日本なんて移動に2,3日掛かったもんで。夜行列車が普及しても丸一日は当たり前で、半日で逝ったり来たりなんて出来るもんじゃなかった。

 それが今じゃあバイクでさえ半日潰す気なら日本の半分くらいは回れるし、新幹線(のぞみ)使えば尾道から東京まで3時間半で到達可能だしで、随分世の中狭くなったわけですよ。
 移動コストの問題があるからそこまで身近でも無いと言えばそーなんだけど、移動コスト低減の努力さえするなら、最早日本は殆ど全てが隣近所だと思って差し支えないわけで(人情格差は除く)。そーゆーご時世なんだってことを、ある程度前提に生きて逝きたいなって感じですか。元気があれば、ニッポンは充分狭いわけですよ。

 今の若い人は、そこに先ず気付くべきだと思いました。地方で飯が食えないから都会に出る的な後ろ向き加減で働きに出るんじゃなくて、もっと前向きに働いて欲しい。ローカル感情に固執しないで欲しい。感じです。

 感じただけ。

 あと。今年は猛暑&少雨だったんで作付け悪いかなー?と思ってたんですけど、米の収穫は1反8畝で20俵弱(30㌔袋で39俵・1,2tくらい)、畑の果実(イチジクと柿)が全体的に甘くなってて美味しいです。
 ウチで食う分は2,300㌔もあれば充分で、残り1tは余りなんで。親戚縁者相手にブチ撒いても余裕で残るんで、今年も何気に東京出陣かな?って感じです。

 弁当翁におかれましては、口に合わないとか正直マズいとか、そのへんにて差し支えなければ進呈上等ですので、一報あれば、宜しくです。ほなさい野良。

投稿: 野ぐそ | 2008.10.13 12:18

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