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2008.10.23

バフェットのご託宣にフィナンシャルタイムズがツッコミ

 以前沖縄で暮らしているころなんとなくポンキッキの爆チュー問題を見ていた。シイタケのキャラが嫌いではなかった。好きと言っていい、照れるが。時折爆笑問題カーボーイも聞いた。太田光はいいかみさんを持ったなと羨ましくも思ったが、ありがちに文化人左傾化してきてなんだかなぁと思っていた。たまに見かけても全然面白くねーやと。ところが最近爆笑問題のニッポンの教養を見ていて、なんか太田の目が尋常なくすっかり本気。昭和な芸人のように体臭からヤニ臭が揮発していそうな感じもあり。これはちょっとすごい芸人なんじゃないかな、死ぬなよと思うようになった。というか田中がなんとなく台湾の弥勒様みたいにボケのツッコミをするようになって、こういうところに芸の年っていうものはあるなとも思った。まあ、ボケが出たらツッコまないとというわけで、「極東ブログ: ウォーレン・バフェットのありがたいご託宣」(参照)を書いたが、がというのは、投資家のご託宣なんか、若い女医さんとか嫁にもろたやる気満々の30代投資家というなら後生拝見の妙もあるが、78歳のお年で惚けと言ってはいけないがご老人何を申されるの部類だが、ちょっと結論だけいうと、インフレが起こり貨幣価値が落ちる、つまり、ぶっちゃけドルは相対的になると宣うあたり、ご老体、本気マンマンだなと思って畏れた。
 というか、マジこくとけっこうこりゃどうなんだろ、そのあたり、ボケとツッコミじゃないがボケがツッコミしないのかな、と思っていたら、フィナンシャルタイムズがツッコミ。ああ、なんかこのギャグなセンスがたまらない。”The bull of Omaha”(参照)。タイトルもぐっとくる。"The bull of Omaha"、オマハの説明は不要でしょう。で、ブル、つまり雄牛、しかも去勢されていない、ってやつで日本語でいうと、オマハのキンタマということ。いやいや、これは"bull a market"とかの洒落なんだが。


Everyone knows that when the shoeshine boy offers you investment advice, it is time to sell. So what should you do when the Sage of Omaha does the same thing? Warren Buffett announced last week that he was buying US stocks on his personal account. “Be fearful when others are greedy, and be greedy when others are fearful,” he advised, not for the first time.
(靴磨きの少年が投資のアドバイスをしたら売り時だというのは誰もが知っている。ではオマハの聖人が同じことを言ったらどうべきか? ウォーレン・バフェットは先週米国株を個人資産で買っていると公言した。「人が貪欲なときは恐る恐る行け、人が恐る恐る行くときは貪欲に行け」とね。またかよな話だが。)

 と、落語の枕みたいな出だし。そしていきなりツッコミ。

But is he right?
(だが、彼は正しいのか?)

 いやまったく、そう。あとで知ったのだけど、このバフェット・ネタ他のブログでもちょっと見かけたが、なんつうのか投資やる人って前向きっていうか、でないと投資なんかできないのか、あるいは投資をやる人でブログを書いている人なんて以下略。
 いずれにせよ、ツッコミはねーのかなとは疑問に思った。みんな、ご老体!とか思っているはずなのに。で、フィナンシャルタイムズ少年の疑問。

Long-run price/earnings data show two things: that US stocks seem cheap by historical standards, and that there is scope for them to get much cheaper.
(長期の価格収益データが示すことは2つ。米国株は歴史的に見ると安価に見えるということ、そして歴史的に見るなら、これはさらに安価になるということ。)

While Mr Buffett’s advice is sound in principle, it is not easy to put into practice.
(バフェット氏のアドバイスは原則に沿っているかのようだが、実行は簡単にはいかない。)


 ナイスなツッコミ。
 米国の株は安いけど、過去を振り返って展望すれば、さらに落ちるんじゃねーの。
 オマハ聖人は恐慌の話をしたけど、あれもね。

Without hindsight, the low might well have appeared to be just before Hallowe’en in 1929: the Dow had just had two awful days and was down almost 40 per cent from its recent peak. Being greedy when others were fearful, contrarians poured in. The market then fell another 80 per cent. A repeat performance is unlikely. It is not impossible.
(今にして思えばという視点をはずして見れば、1929年ハロウィン前には底値が出たみたいなことがあった。ダウ指数は恐怖の2日間で頂点から40%も落ちた。人が恐る恐る行くときは貪欲に行けの流儀で逆張りが入った。が、市場は80%もさらに落ちた。またその見物ということにはならないだろうが、まったくないわけでもない。)

 つうわけで、現在のワロス曲線になっている、現実ね。聖人にしてみれば些細なワロスワロスなんだろうが。結局、でも聖人は勝ちってことではないのか。

Historically, the typical stock market investor has managed to underperform the market itself, unerringly buying high and selling low. Mr Buffett’s advice is so good precisely because few people take it.
(歴史から見るなら、凡庸な投資家というのは、きちんと高いとき買って安いときに売る。これじゃ市場にはかなわないものだ。バフェット氏のアドバイスが正鵠を射ているのは、それができる人なんていねーからだよ。)

 まあ、凡庸かつ投資家としてゴミだった私の経験でもそうかな。どうでもいいけど、人間ってどうしてこうも凡庸なものなんだろうか。そう見えることで、神様は人類愛をお示しになっているのだろうか、シスター・エマニュエルのご冥福をお祈り申し上げます。
 フィナンシャルタイムズ執筆子もそのあたりのダメダメ感が滲むのは、説明がくどいからなんだよな。

Market timing is a giant game of scissors, paper, stone. If you are confident that you can stay one step ahead – as Mr Buffett is, and with good reason – then by all means outguess the market.
(市場のタイミングというは壮大なじゃんけんだ。バフェット氏のようにそれなりの理由があって前に踏み出すなら、あらゆる手段で市場の先を読め。)
The risk is that, in trying to be too clever, investors merely outwit themselves.
(そこに危険がある。賢くなろうとして投資家は単に出し抜かれるのだ。)

 じゃ、どうしろと。そのあたりは先週だったかカンゴロンゴにも有名な例があったな。ダーツのあれ。

For most people the best advice for scissors, paper, stone is to play at random, and for much the same reason the best investment advice is to invest regularly without any effort at market timing. For those who are not as smart as Mr Buffett, humility is the best approach.
(気になったら訳して読んでおくとよいよ。)

cover
臆病者のための株入門
橘 玲
 付け加えるなら、市場が騒いでいるときは、引いておくべきだ。世の中が騒いでいるなら隠遁すべきだ。時代が狂気なら、人生は隠者で過ごすべきだ、"hermitry is the best approach"、かな。

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コメント

オータムジャンボ宝くじ10枚買ってみました。

仏壇に入れて、当然、毎日、漢文真読訓読、サンスクリット原典音読、英訳仏典音読でお経(般若心経と陀羅尼と法華経の一部が中心)をお唱えもうしあげていたのだけれど、1枚(当然300円の当たりくじ)除いて全部はずれ。

神仏は、こういう功徳はまったく与えてくださらないものであると再確認。地味な努力には成果を与えてくださるけれど、ばくちを意のままにさせてくださる神様などはいないもののようです。

投資だって、地味な知的努力と、投資先と市場に対する善意が見返りをくれるもので、ばくちを支配させてくださる神様などはおそらくいないはず。

そんなわけで知的努力しています。今読んでいるのは、三国志の曹操についての解説書。次に読むのは、Michael Moore監督の"Downsize this!"。

もちろん私は国家転覆など考えていません。宝くじを買うくらいですから。

投稿: 宝くじはずれました | 2008.10.23 12:37

いつも楽しみにしております。

高いときに買って安いときに売る
ではないでしょうか。

間違っていたらごめんなさい。

投稿: S | 2008.10.23 14:05

ご指摘ありがとうございます。訂正しました。

投稿: finalvent | 2008.10.23 14:09

 隠者ネーノ? なんちゅって。

>付け加えるなら、市場が騒いでいるときは、引いておくべきだ。世の中が騒いでいるなら隠遁すべきだ。時代が狂気なら、人生は隠者で過ごすべきだ、"hermitry is the best approach"、かな。

 付け加えるなら、ねこ場が騒いでいるときは、愛でておくべきだ。ねこ中が膝に乗っているときは静観すべきだ。ねこ代が狂気なら、人生はねこの座布団になって過ごすべきだ、"G-class lunch is the best Grandpa
",かな。

 Field excrement the best Bitch

投稿: 野ぐそ | 2008.10.23 15:25

はじめまして。

市場の行方は専門家でも良く分からんし、
誰も正解はわからない。

という話が、「臆病者の株入門」だった気がします。
専門家なる人々がなぜ存在するのかわかって
おもろい本でした。

これから株価どうなるのでしょうねぇ・・・。

投稿: トイレ | 2008.10.23 16:11

神は人間の行動には干渉できません。だって、自由なんですから。人間は。そういう設定ですから。

投稿: ぷるきんえ | 2008.10.24 14:23

5000円!! 5000円!!

投稿: 野ぐそ | 2008.10.24 19:11

失礼します。

Being greedy when others were fearful, contrarians poured in.

「人が貪欲なときは恐る恐る行けの流儀で逆張りが入った。」
ではなく
「人が弱気になっているときは貪欲に行けという流儀で、多くの逆張りが入った。」

ではないかと思います。

投稿: tochica | 2008.10.28 01:07

tochicaさん、ご指摘ありがとうございます。訂正しました。

投稿: finalvent | 2008.10.28 13:46

私は猫が好きです。

投稿: はまろぐ | 2008.10.30 10:39

今日、11月5日は、平成20年の一の酉。熊手を買ってきました。毎年のことですけれど。

年末ジャンボ宝くじは大して期待していません。宝くじに当たらなくても別の功徳があると思っています。

おとりさまの宣伝をするわけではないのですけれど、酉の市に行くことができる人は、せっかくだから参拝されたほうがよいと思います。

私の場合は、地元の産土神さまのお宮さんで酉の市を開催しているので、そこにおまいりしています。

投稿: 熊手を買いました | 2008.11.05 14:15

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バフェットのご託宣にフィナンシャルタイムズがツッコミでfinalventが、 いやまったく、そう。あとで知ったのだけど、このバフェット・ネタ他のブログでもちょっと見かけたが、なんつうのか投資やる人って前向きっていうか、でないと投資なんかできないのか、あるいは投...... [続きを読む]

受信: 2008.10.23 21:39

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