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2008.09.03

フィナンシャルタイムズ曰く、変化が必要なら政権交代しろよ、日本

 タイトルをこうすべきか悩んだのは、あとで紹介するけど、若干微妙に書いてあるし、なんかタイトルで釣るというタイプのブログはあまり好きじゃないんだよね、なのだけど、まあ、概ねそういうこと。では、福田首相辞任についてのフィナンシャルタイムズのご託宣のほどは、と。
 その前にこの社説、翻訳出ているんじゃないかなと、gooニュースのフィナンシャル・タイムズ(参照)を覗くと、デビッド・ピリング東京支局長のコラム”やはり「その場しのぎ」首相だった 福田氏辞任”(参照)のほうの翻訳は掲載されていた。原文はこれね、”Stop-gap leader proves critics right”(参照)。他にも、デビッド・ピリングとミチヨ・ナカモトによる”Fukuda quits as Japanese PM”(参照)と”Fukuda gives up the unequal struggle”(参照)がある。こっちは欧米記事にありがちな趣味の悪い出だしなんでちょっとだけ紹介すると。


Hara-kiri is back in fashion in Japan. Less than a year after Shinzo Abe, the aristocratic nationalist prime minister, quit on the grounds of ill health, Yasuo Fukuda has become the second premier in year to commit political suicide.
(腹切りの流行回復が日本にある。貴族的なナショナリストの首相である安倍晋三が健康を理由に辞職して一年足らず、継いだ福田康夫首相も一年で政治的に自殺した。)

 ミチヨ・ナカモトさんは日本人かな。日本人ってこういう英文もの書くかなとはちょっとだけ疑問に思った。まあ、でも、ありがちかな。
 さて、社説”Japan changes to more of the same”(参照)も同日に出たのだが、なんとなく翻訳はなさそうな感じがするので、じゃあ、と。

The resignation on Monday of Yasuo Fukuda, prime minister of Japan, was dramatic --- but the outcomes will not be. Mr Fukuda came to power only last year, after the resignation of Shinzo Abe, and his resignation will, eventually, lead to the appointment of a new prime minister. But the government is, in truth, taking drastic steps to change as little as possible.
(月曜日の福田康夫首相辞任はドラマチックだったが、その結果はそうならないだろう。安倍晋三辞職後に福田氏が実権を持ったのは一年前にすぎないが、彼の辞職は、結局のところ、新首相選出を導くものの、政府は、実際は、大きな変化への道のりをできるだけ些細なものしている。)

 こった言い回しなんで何言っているのかよくわからないが、今後政府は大きな変化を遂げるはずなのに、見た目は大したことないでしょ、ということかな。
 ところで、私の昨日のエントリ”福田首相辞任は驚いたし、詰めもよくわからない”(参照)のケツで、私はこう書いた。

国際社会としても日本への様々な期待はあるのだろうが、政治の中枢が潰れてもさしたる国際的な話題にならない日本というのは、サバイバルのシステムとしては、それなりに強いということなんだろう。

 そんなものかなと思ったが、フィナンシャルタイムズもそんなものとして見ていた。

Japanese politics is a stable game. Mr Fukuda’s Liberal Democratic party is the dominant force in political life. Backed by a once-formidable coalition of farmers, civil servants and businesspeople , it has been out of power for only 11 months since 1955. Debates occur within the LDP rather than between parties. The government’s policy options are also curtailed by the civil service, which is a powerful --- and conservative --- interest.
(日本の政治は変化のないゲームだ。福田氏の自民党は政界の支配力である。農民と官僚と実業界の人々からなる以前の強固な同盟に支援され、1955年以降権力からはずされたのはたった11か月だけだった。論戦は政党間よりも自民党内部で起こった。政策のオプションもまた強力で保守的な勢力である官僚によって刈り込まれた。)

 日本では政党政治というのが端から機能せずして幾星霜。官僚様のおかげで政策なんて意味ないものねという時代。いや別にそれが悪いわけじゃないし、フィナンシャルタイムズも悪いなんて言ってない。

This is not necessarily bad. Japan is an admirably well run country. Politicians elsewhere would kill for Japan’s public services, infrastructure and crime rates. It is, admittedly, slow to make necessary structural changes, but the Japanese do occasionally allow stronger leaders to take charge when disaster strikes, as they did when Junichiro Koizumi built formidable public support for big economic reforms.
(それが必ずしも悪いと決まってわけじゃない。日本という国の運営は賞賛されるほどだ。そこいらの政治家なら日本の公共事業や、インフラ、犯罪率のためになんだってするだろう。つまり、認めざるを得ないが、必要な構造改革はゆっくりと進むものだとしても、日本国民はまれに、小泉純一郎が並はずれて国民の支援を受けて経済大改革をしたように、天災の時など強い指導者たちをその任に当てる。)

 お前ら、小泉好きだろ、みたいな感じだが。勝海舟とか思ってもそうかな。

Mr Koizumi’s reforms, in fact, seeded Mr Fukuda’s current problems by alienating a large segment of the LDP’s core support. The LDP, which lost the upper house of parliament last year, has given up on reform. Its weakness, indeed, means it has been unable to pass any significant legislation.
(小泉氏の改革は、しかしながら、自民党の中核的支持層の大部分を排除したため、福田氏の現在の諸問題のタネを撒くことになった。昨年参議院を失した自民党は、改革を断念してしまった。その弱さは、実際のところは、重要法案の通過不能を意味している。)

 フィナンシャルタイムズの言い分をまとめると、自民党というのは、農村、官僚、経済界の同盟で成り立っていたが、日本人の大半が日本の危機だと認識して、強いリーダーによってそれ(同盟)を駆逐したため、当の自民党は弱体化し、支援を失って政治能力も失った、ということなのだろう。
 そうかな。まあ、そうかも、とりあえず、そういうことで先を読む。
 これに続く福田辞任の理解についてはgooに邦訳されたコラムと似ていて、どっちかといえば福田に同情的だ。自民党のヘマを背負わされたからなというか。
 さて、今後はどうなるとフィナンシャルタイムズは見ているか。

The prime minister, however, was explicit that the LDP’s domestic programme will not change. It is hard to believe he is wrong. The main differences between Mr Fukuda and his likely successor, Taro Aso, are on foreign policy, where Mr Aso is more hawkish than the prime minister.
(福田首相によって、しかしながら、自民党の内政には金輪際変化ないということが明白なった。彼が間違っていたと確信を持つことはできない。福田氏と、その後継に目される麻生太郎の主要な違いは外交であり、麻生氏は福田氏よりタカ派である。)

 自民党という党の論理から見れば、福田首相の辞任の決断はしかたがないものだったし、自民党ってこんなものじゃないのということだ。麻生になっても外交でタカ派色が付くくらいで、日本国民の政治に変化はないでしょう、と。自民党なんだからね、と。いや、私が言うんじゃなくて、フィナンシャルタイムズの言い分を敷衍するに、だ。

Mr Fukuda’s decision is probably the right one; if the LDP is to have a chance at the next election, it needs a more charismatic leader. A change in leader, however, will not mean a new manifesto. It will be more of the same.
(自民党が次期選挙で好機を得るには、もう少しカリスマ性のある指導者が必要だという点で、福田氏の決断はたぶん正しいだろう。しかし、指導者を変えても、新しい政策の宣言にはならない。大半は同一のままだろう。

 そして結語はこうだ。

Change will need a rare event to take place: a change in ruling party.
(変化を起こしたいならもっと稀な事態が必要になる。政権交代という事態がね。)

 日本国民の内政に変化必要だというなら、指導者の据え替えではなく、だめだめになってしまった支配性政党そのものを、別の政党に入れ替えろということだ。
 さて、どんなものかな。具体的には、民主党にしろということだ。
 ここでもう一度フィナンシャルタイムズの論旨を追うなら、日本というのは農村、官僚、経済界の同盟で自民党という政治権力を作り、さらにその政策の実態を官僚に担わせていた。しかし、それではダメになったとき、強力なリーダーとして小泉を選びだしたが、その事によって自民党の中核が壊れたから、この政党はもうダメだというのだ。
 ちょっと話が論理的ではないなと私が思うのは、小泉が排除した勢力が農村、官僚、経済界の同盟であったなら、自民党に残ったものはそうでないものであるべきだった。しかし、実際に今の自民党に残っているのは、農村、官僚、経済界の同盟だし、ぶっちゃけて言えば民主党の政治勢力も農村、官僚、経済界の同盟と言っていいだろう。小泉に追い出されたものが、代替の政党に押しやられたならそれで政権交代しても、意味、ないんじゃね、と。
 ただ、フィナンシャルタイムズとしては、ポスト小泉の弱気がこの曖昧な状況を生んでしまったということかもしれない。
 とはいえ、そこまでの強気を維持できるわけでもなかったし、冷静に見るなら、小泉元総理は世界経済の好況(実は偽物だったけど)に支えられた幸運もあった。
 じゃあ、どうすべきかね、日本人は、ということ。
 それはまた明日考えようかな。でも、明日は明日で別のこと考えたりして。

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コメント

 今さらそもそも論とかどうなのよ? と自分で思いつつ勝手に書くんですけど、

 そもそも小泉さんが改革路線を打ち出して庶民人気かっさらってアレコレ道筋つけた訳でしょ?
 そんで後任の安倍さんがいろんな法案通したでしょ?

 その段階では、多分普通に「改革路線」だったと思うんですけど、安倍さん後期あたりからヒステリーとしか思えないような因縁付けが跋扈して、安倍さんも、そのまた後任の福田さんも潰された訳ですよ。

 んで、その時点で「改革路線は頓挫した」と見る訳です。私は。だって、まだ結論出てねーもん。

 そんで民主党マンセーとかダメ元で小沢さんにやらせてみようとか、そんなん言うてる時点で「お前ら結局改革する意思無いだろ!?」としか思えないんですけど。

 フィナンシャルタイムズさんのご意見って、そういう目から見たらば「どーせお前ら変わりっこ無いんだろ? だったら一見変わったと思わせ振りな民主党政権でもやってて実質何にも変わらない状態に埋没してれば? ウチ(アメリカ)は、そうと見做して今後遠慮なく商売させていただきますわよ?」って言ってるのと同じようにしか見えないの。

 なんでそーとしか見えないのかって? だって私は馬鹿だから。

 あとねー。日本が天然で左寄りなのはしょうがないとしても、国体そのものが赤化するのは、流石に拙いと思うけどね。キューバのようになってしまうの? って感じ。

投稿: 野ぐそ | 2008.09.04 00:00

 自民の頭が誰になるんか知らんけど、麻生さん・小池さん・野田さん…あたりが出るんであれば、小池無理子さんあたりで落ち着いた方が無難かと思いますわ。

 麻生さんは早晩潰されるし野田さんは国民人気無さ杉だから続かんでしょ。小泉改革の時に刃向かっておん出されたのが地味に悪印象かと思うんで。政治やってたらどーやっても腹黒い真似なり掌返しなりやんなきゃ逝けない場面もあるかと思うけど、野田さんがやったら絶対「ホレ見たことか」で食い付かれてボコボコにされるのがオチでしょう。なんだかんだで前科持ちは不利ですわ。

 となると、消去法?的に小池無理子さんが残るんじゃないかなー? みたいな。どのみちサンドバッグ以外に対外的な仕事無いんだから、無駄に景気良さそうな無理子さんならナンボ殴られても大丈夫だろー的な。掛かって来いやー!! とか言い出したら面白いかもね。
 女性元首だと迂闊に殴り難いって雰囲気が出るかもしれんし。出たらラッキー、出なけりゃ瑞穂、くらいの勢いで、いんじゃないかと。でも瑞穂路線は悲惨ですなあ。なりたくないなぁ。俺がなるわけじゃないから別にいいけど。

 あと、天皇家でも武家でも、ゴタゴタが続いてやってられんよーになったらピンチヒッターで女性元首誕生するでしょ。歴史的に。そのへんの按配も加味して逝きたいね。

 麻生さんはどんだけやる気なんか知らんけど、今出て即死するくらいなら(粘るだけ粘って)取り敢えず譲って、しばらく隠忍自重した方がいいと思いますよ。

 んで、民主党が政権担当するとしても、小沢さん以外は全員駄目だし、その小沢さんにしても露骨に中国寄りの政策出しまくって早晩顰蹙の嵐だろうから、やりたいんならやってもいいけどやるだけ無駄じゃね? とだけ言っておきますわ。総理辞める段になったら売国奴呼ばわりされるの目に見えてるしね。それでいいなら是非ドーゾ、って感じ。

 小沢さん死んだら次が本気で誰も居ないってのも、大きなマイナス点だと思うけどね。それでもやるんだフーンあっそう、としか言いようが無いよ。
 自民党の派閥政治も大きな問題なんだけど、それでも領袖化を経て何となく知名度上がってそれなりに総裁候補の頭数に入っちゃったりするじゃない。それはそれで人材育成システム(笑)なのかな? って思うわけ。

 民主党の先の無さは自民以上だぜ? って感じ。

投稿: 野ぐそ | 2008.09.04 01:04

奥田さんは亡くなられたけれど、小沢さん、羽田さん、渡部さんは、自民党竹下派金丸系だった人たちのはずですよ。
鳩山さんもかつては経世会でしょ。

民主党のほうが自民党の清和会よりもずっと、かつての擬似社会主義的自民党色が強いのでは。

そして、そんな民主党なのにもかかわらず、かつては社民連だった菅さんが重要な地位にいる歪みがありますよ。もしかしたら「擬似社会主義的」だからうまく収まるのかもしれないけれど。

民主党に政権交代して果たしてよいことがあるのかどうか。

橋本さんも梶山さんも小渕さんも他界されてしまって、竹下派七奉行の中の竹下系の人たちはもう誰もいないのに、金丸系の人たちはまだ三人も健在なのだから、民主党というのが極めて頑強な人たちの政党なのはよくわかりますけれど。

投稿: 民主党の骨格 | 2008.09.04 06:37

日本国の政治は、米国の占領による属国政党と、大日本帝国を敗戦させて革命を企図したマルクス主義政党の2極しかないです。属国党は米国に反発して、今や中国党です。
朝日・東大をはじめとする指導層の空気は、親中・共産主義であり、それに反する小泉・安部のようなリーダーは、猛烈な批判・誹謗を受けて降ろされます。
しかし国民世論は健全ナショナリズムで、反中であり、反共産主義です。ですから、空気の選んだリーダーは支持されません。
国民の意思とエリートの意思が遊離しているのが、こういう政治状況を生んでいるのです

投稿: PK | 2008.09.04 07:49

 あとね。政治家の皆さんも一部庶民の皆さんも「知名度」ってモンを随分勘違いしてるというか安値で叩きすぎだと思ってんだけど。芸人さんとか顔が売れてナンボの商売やってる連中なら顔くらい安かろう悪かろうで売れても構やぁせんですけど、政治家の顔はそこまで安値で叩かにゃならんもんじゃ無いでしょ。安いとむしろ舐められるでしょ。普通に。そんなだから一部の阿呆に口利き商売と変わらん利用のされ方するんでさ。どうせ口入れ商売やるんだったら、キャバクラの姉ちゃんに口入れてレロレロやってる方がよっぽど健全だっつー。何が悲しゅうて老い先短いクソ爺に口を入れにゃあ成らんのやと。
 そう思うわけですよ。

 政治家は口入れ稼業じゃなくてさぁ。圧倒大多数の国民生活を潤滑に運営するための土台作りをするのが仕事なんだから。それが外交・国防・教育…のための各種法案整備なわけでしょ?

 目先のひとりを救えないヤツが大多数なんか救えるわけない理論とか左巻きの馬鹿とか因業ヤクザがよく言うけどさ。それで足引っ張られて目先のひとりにかまけて大多数の意向を無視するようになったら、ましてやその「目先のひとり」が在日だったり部落だったり犯罪者だったりヤクザだったりしたらば。そらぁフツーに国民の大多数は怒るっつーの。
 そういう類の連中が生きること自体は否定しないし、頑張れるなら頑張ればいいし、一般社会(笑)に入って健全にやれるならやればいいとしか思わんけど、決してそーでもなかったら、その分見る目厳しくなるの分かりきってんだろーとしか言いようが無いんですけど。

 政治家の皆さん方は、「誰」のために政治をやってんのか、そこんとこよーく考えてから顔売れとしか言いようが無いですわ。

 とか言ってもどーせ俺には関係無いから誰でも好きにせいとしか言わんのですけどね。まぁ、頑張って。

投稿: 野ぐそ | 2008.09.04 17:15

米英の現状を見ると日本の政治もまぁアリかもなぁと
思うようになった今日この頃です。
周辺の状況を見ながらのらりくらりと変えて行くってのが
意外と効率的な手法だったりするのかも。

投稿: およよ | 2008.09.04 17:24

今の民主党って、自民よりも右なんですけど(w

ttp://www.dpj.or.jp/policy/rinen_seisaku/seisaku.html

投稿: ario | 2009.01.06 17:56

麻生が消費税増税を人事院勧告や天城越え改革をやり成果を先に見せれたらいいが、舐められとるからジエンドだ。福田はアメリカから100兆融資を相談受け辞めたらしい。ナンシークリントン国務大臣が小沢民主党首と何を話し合うのか、そちらの方が興味あるな

投稿: 早耳特派員 | 2009.02.10 23:49

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