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2008.08.24

[書評]私のアメリカ家庭料理(長島亜希子)

 どこの国の料理が一番食べたいと聞かれて、そして正直に答えてよさそうなら、私はアメリカ料理と答えてしまうかもしれない。それでいいのかなと今一度自分に問うてみて、それほど確たるものはないが、概ねそれいいかなとやはり思う。自分に一番合う料理はといえば、気分とか季節にもよるけどなんとなく地中海料理かトルコ料理かもしれないが、ああ食べたいなというときに思うのはアメリカ料理だし、家庭料理ということで思い浮かべるのもアメリカ料理だ。アメリカ料理って、ところで何?

cover
私のアメリカ 家庭料理
長島亜希子
 長島亜希子が生涯の1冊の本として、特に娘さんが大学を卒業するの合わせて書かれた「私のアメリカ家庭料理」(参照)は私のアメリカ料理のイメージがつまった本だ。掲載されている料理は1960年代のもの。私は1957年生まれ。別段アメリカ家庭料理を食べて育ったわけでもないけど、わずかに進駐軍文化や、当時のアメリカのホームドラマなどの影響から、そんな思い込みがあるのだろう。そして、不思議なことに、私の人生もなにかとアメリカ家庭料理のようなのものを食べる機会が多かった。特に沖縄暮らしでは意識して、米軍文化が残したアメリカ料理を食べた。玉城村(現南城市)にあるチャーリー・レストラン(参照)や浦添市の米国領事館跡のピザハウス(参照)・(参照)にはよく通った。
 長島亜希子は昭和18年生まれ。小・中学校は雙葉学園。栗本慎一郎の本にそのころの彼女の思い出話があった。1958年、15歳のとき高校からインディアナ州ココモハイスクールに単身留学。氷川丸に乗った時代だった。船酔いでふらふらしながらシアトルに上陸。三日三晩大陸横断鉄道に揺られシカゴへ。ローカル線に乗り継いでココモについた。そこでビクスビー家にホームステイ。ビクスビー家の転居で高校三年の時友人のクーンズ家に移った。クーンズ家の母親はココモ・トリビューンの編集長をしていた。

午後3時ごろ仕事を終えるママ・クーンズは、ひと休みしたのち、手早く用意した料理をオーブンに入れるか大鍋で煮るかします。パパ・クーンズが帰宅すると、パパ、ママ、テレサ、それに私の一家全員で「食前のカクテルアワー」が始まります。パパはママと自分用にマルティーニ(カクテルの一種)を作り、テレサと私はコーラを片手にリビングルームに腰を下ろし、ポテトチップスをつまみながら一日の出来事を話すのです。

 彼女はそこから家庭料理を含めた家庭の理念のようなものを学んだのだろう。

 楽しい思い出をたくさん与えてくれたアメリカの’60年代。そこには古き良きアメリカの生活がありました。そこにはまた、素朴で情け深く、他人の喜びをわが喜びとし、他人の悲しみは己の悲しみとする、まことに信仰心の厚い人々が住んでいました。私はその生活と人々によって多くのものを学んだのです。”’60年代”は私の青春と共に永遠に過ぎ去ってしまいましたが、アメリカが私にくれた”贈り物”はいつまでも心の奥深く残って、励ましてくれているように思えます。

 そして彼女は、このレシピ本をアメリカへのお返しという意図も込めて書いたという。
 レシピを見るとわかるし、巻末の食材リストを見てもわかるが、スパムやビスクイックなど缶詰や簡単料理の食材に溢れていて、いわゆる料理のレシピ本とは違い、60年代の、あるいはそれからあまり変わらない米国の家庭料理のそのままが描かれている。

 紹介したい料理は数限りなくありますが、ここではふだん我が家で数多く作るものだけに絞りました。

 長島家の普段の食卓がそこにあると言っていいだろう。
 先日、このレシピ集からアボカドのグラタン(Baked Avocado)を作った。アボカドのグラタンにはいろいろなレシピがあり、ネットを検索するとそれなりにレシピが出てくる。長島亜希子がココモで覚えただろうレシピはこうだ。カップは米国標準なので240ccになる点を注意されたい。説明は私流にする。正確には本書を参照されたい。

(6人分)
アボカド(熟れたもの) 3個
タマネギみじん切り 1/2カップ
マッシュルーム薄切り 1/2カップ
エビまたはカニ(または両方) 適量
カレー粉 小さじ1/2
パン粉 1/4カップ
パルメザンチーズ 1/4カップ
レモン汁 少々
バター 大さじ1

1 アボカドは縦割り。果肉を取り出しフォークで適当にマッシュ。変色しないようにレモン汁を混ぜる。アボカドの皮は器にするのでとっておく。
2 タマネギ、マッシュルーム、エビ(カニ)をバターで炒めカレー粉で調味。あら熱を取る。
3 1と2を混ぜ、アボカドの皮のうつわに入れる。
4 パン粉とパルメザンチーズを混ぜて、表面に振りかけ、中火オーブンかオーブントースターで表面がきつね色になるまで焼く。


 レシピを見るとわかるがチーズの塩味以外に塩は入っていない。調味に少し入れてもよいかと思う。カレー粉は6人分で小さじ1/2ということ。このくらいに控え目にしないとうるさくなる。

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コメント

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97

>米国のトマトケチャップ消費量は4000万リットルで、世界のほかの国と比べ抜きん出て多い。一説によれば世界のケチャップ生産量の半分はアメリカの若年層により消費されている換算になる。 また、調理用としてはあまり使われず、ほとんどが卓上調味料として消費される。

これが、アメリカと日本の若者体質の違い。身体のデカサの違いにもなる。知ってた?lovely

投稿: | 2008.08.25 09:21

5年ほど前、アメリカの伝統建築(?)について調べる機会がありまして、当然写真資料などにも色々と目を通したのですが…でん、とごっついチキン(?)だとか(今にして思うと、オーブン料理の多かったこと)がよく写りこんでいましたっけ。

あれは確かに食欲をそそりましたね。

投稿: 夢応の鯉魚 | 2008.08.25 17:19

本を読んで料理を作りたくなるきっかけは様々ですが、昭和の60年代ともなると、きっと私にも懐かしい材料などがあるのかもしれません。「私のアメリカ」というのが興味津々な部分で、アメリカの家庭の、個人的なレシピなのかもしれませんね。

ところで、この本のレシピにある食材が、今時手に入るのでしょうか?それが気になりますけど。持っていたい本です。

あ、アボカドのグラタンは是非、蟹で作りたく思います。美味しそう。

投稿: ゴッドマー | 2008.08.25 17:44

 貧乏人は日々粗食で御座います。これぞアメリカ料理!! なるもの、食い詰めの移民の子から何代か掛けて必死で成り上がって、幾多の苦労も未曾有の恐慌も経験して、黄金時代と呼ばれるようになった頃に、ようやく完成したんじゃないですかね?
 貧乏人の切なる願い!! の具現化みたいな感じで。

 日本でも、思い出?の家庭料理って高度経済成長期頃の家庭料理で、ある種完成してるでしょ。ご飯に味噌汁とか。

投稿: 野ぐそ | 2008.08.26 01:10

本当のネイティブ・アメリカン、すなわち、アメリカ・インディアンの文化なんていうのはどうなっているのでしょう。
とうもろこし、馬鈴薯、トマト、タバコ、天然ゴムなどは、南北アメリカから世界中に広がった農業(一部工業)生産物だけれど、白人たちは、自分たちに使い勝手のよいもの以外は根絶やしにしてしまったのでしょうか。
アメリカ・インディアンの血を引くリタ・クーリッジとか、インド系の血を引くフレディ・マーキュリーとか、英語で歌っても、何かしら自分の血統を示すエスニックなものを感じさせますが、料理にも、アメリカ料理というのは、アメリカの風土を感じさせるものがなにかしら散見できるものなのかしら。

投稿: インディアンは? | 2008.08.26 08:42

↑視野狭窄。文句のための文句。そういう文章はこうですよ、って見本ね。

 そこまで言うなら自分から何らかの例示をするなり思うところを述べるなりしろよ。名前を2人分に分けるな。書いてるヤツは一緒だろうが。そういう真似をしてると、緑の園長さんみたいですね、って言われるんだよ。

 ちゃんと書け。ハゲ。

投稿: 野ぐそ | 2008.08.27 19:44

「野ぐそ」さん、書いてるヤツわたしです。

これは言い訳ですけど、文句のための文句というのではなく、料理の話題を題材にして、「アメリカ帝国」に、文化的にもっと成熟してほしいと思っているということ。

中国の唐帝国も、古代ローマ帝国も、いろいろな多様な文化を受け入れて融合させて、それ以前の中華世界や地中海世界より高次の文明、文化を作り出すことにある程度は成功したけれど、現在までの「アメリカ帝国」は、大西洋岸植民地の建国の父たちの業績の延長上にあるだけみたいなもので、せっかく、スラブ的要素やラテン的要素やアフリカ的要素や中国的要素があるのにそれらをを融合してより高次のアメリカ文化、アメリカ文明を成立させて、人類に貢献することができていない、という話を料理を題材にして見たかっただけ。ただ、書き方は、finalvent先生に因縁つけているような書き方になってしまったけれど。

日本もこれから、華僑と在日コリアン以外の外国人がたくさん入ってくるだろうから、日本も、日本なりに、これまであまり触れることのなかった外国の異文化を取り入れて今までより高次の日本文化、日本文明を構築するための思考実験をいろいろしておくべきなのだろうとは考えています。

そういう話が本音。ところで、わたしは頭のてっぺんは薄くなってきているけれど、まだ、ひどくハゲてはおりません。弁明の機会を作るのに、「野ぐそ」さんがちょうどよいコメントを入れておいてくださってありがとうございました。

投稿: 緑の園長さん | 2008.08.28 06:21

 名から連想するところの「緑の園長さん」に返信どす。

>料理の話題を題材にして、「アメリカ帝国」に文化的にもっと成熟してほしいと思っているということ。

 なるほど、です。でもアメリカは日本で言うところの江戸時代感覚でずーっとやってる国ですから、今から納得?逝くまで成熟するのは難しいんじゃないでしょうか。スーパー長い目で見守る的な。でも多分オバマ氏が大統領になったら射殺されるでしょうし、クリントン氏が大統領になったら(それまでの差別の裏返し的な)異常なウーマンリブが跋扈するでしょうし、負け院さんが大統領になったらどこかと戦争するでしょうね。そして負けます。アメリカ頑張って欲しいです。

>中国の唐帝国も、古代ローマ帝国も、いろいろな多様な文化を受け入れて融合させて、それ以前の中華世界や地中海世界より高次の文明、文化を作り出すことにある程度は成功したけれど、

 ですね。今、『ローマ人の物語』(文庫版全31巻 塩野七生・著)を読んでいます。無学文盲無知蒙昧の身ゆえ思う程に読がはかどりませんが、コツコツ勤しんでおります。馬鹿の分際でどこまでローマを理解できるやら分かりませんが、理解が深まればそれに越したことはありませんね。

>現在までの「アメリカ帝国」は、大西洋岸植民地の建国の父たちの業績の延長上にあるだけみたいなもので、せっかく、スラブ的要素やラテン的要素やアフリカ的要素や中国的要素があるのにそれらをを融合してより高次のアメリカ文化、アメリカ文明を成立させて、人類に貢献することができていない、という話を料理を題材にして見たかっただけ。

 幾ら世界に冠たる超大国(笑)でも、そこまで求めるのは酷ではないでしょうかね? 日本の総理大臣はドブ掃除からミサイル製造まで何でも出来て喧嘩が異常に強くて超優しいマイホームパパじゃないとヤダって言ってるようでもあります。
 史上あらゆる超大国は何らかの美点により伸び、何らかの美点に昂じて衰え滅びるわけですから。アメリカも、ただ斯くあるべしなのではないでしょうか?

>ただ、書き方は、finalvent先生に因縁つけているような書き方になってしまったけれど。

 書き方の外道さ加減では野ぐそ圧勝かと思いますので、お気になさらないでいただければ。こちらこそ失礼な言動して申し訳ありませんでした。

>日本もこれから、華僑と在日コリアン以外の外国人がたくさん入ってくるだろうから、日本も、日本なりに、これまであまり触れることのなかった外国の異文化を取り入れて今までより高次の日本文化、日本文明を構築するための思考実験をいろいろしておくべきなのだろうとは考えています。

 ですね。今であれば歴史的な怨恨因縁から在日コリアンを毛嫌いする日本人も、日本人を敵視する外国人も多かったことでしょうが、今後は因縁の絡まない普通の労務者・生活者としての外国人も多く流入してきますし、華僑や在日コリアンにしても、民族の誇りとはまた別に、生活者の処世術として日本で生きることに前向きになっていくわけですから。今既になっているのであれば、融和を目指すわけですから。
 そういう人々へのまなざしは、温かくあるべきかと思います。難しいでしょうが。

>そういう話が本音。ところで、わたしは頭のてっぺんは薄くなってきているけれど、まだ、ひどくハゲてはおりません。弁明の機会を作るのに、「野ぐそ」さんがちょうどよいコメントを入れておいてくださってありがとうございました。

 ハゲ云々は体質毛質の問題もありますので、なっても仕方の無いことかと思います。私の友人など15の夏から高橋克実(俳優)状態なので悲惨すぎて涙が止まりません。
 ただ、激務過労ストレスから来るハゲであればご自愛次第にて軽減も可能かと思われますので、ハゲに拠ったことではありませんが、何事も無理なさらずお体お大事になさって下さいませ。

 ほなさいのら。

投稿: 野ぐそ | 2008.08.30 21:45

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