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2008.08.01

さんぴん茶

 さんぴん茶は普通ジャスミン茶として理解されている。ウィキペディアのジャスミン茶の項目(参照)にもこんな話が載っている。


沖縄ではさんぴん茶(さんぴんちゃ)として飲まれている。これはジャスミン茶を指す中国語(香片茶 シャンピェンツァー)から転じたものである。沖縄においてよく飲まれている茶であり、大衆食堂では大きな薬缶に入って置いてあるところもある。沖縄では紙パック入り、缶入り、ペットボトル入りのさんぴん茶飲料がスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで販売されている。中華のジャスミン茶よりジャスミン香が控えめである。

 間違いとは言えないのだが、ちょっと微妙なところがあるので、エントリに書いてみようかなと思った。そんなことを思うのも沖縄で八年暮らしたせいもある。別に沖縄通だとかふかしたいわけでもなく、なんとなく懐かしい思いを喚起させられることがあったからだ。
 ウィキペディアにある「大衆食堂では大きな薬缶に入って置いてある」というのは、そういうのもあるだろと思う。ああ、あそこにあったなというのは思い出せない。が、このさんぴん茶は戦後というか昔からずっと沖縄で飲まれいていたさんぴん茶で、なぜかピンク色の紙の筒に入っている。ブランドはいろいろある。ネットを眺めていたら、『ならんちゅぬツブヤキ。。』というブログの「さんぴん茶」(参照)というエントリに写真が載っている。なぜどれもピンクの紙筒なのかはよくわからない。入っているのはたしかにジャスミン茶なのだが、中華街とかで飲むジャスミン茶とは若干違って、ほうじ茶っていうことはないけど番茶みたいに鈍い味がする。つまりいわゆるジャスミン茶がべた中国緑茶を使っているのは違う。ウィキペディアには、「ジャスミン茶の茶葉は基本的に緑茶なので、80℃前後の若干ぬるめの湯で淹れるのが良いとされる」とあるがこのピンク紙筒のはそんな配慮は要らないはずよー(ちょっと沖縄ふうに言ってみる)。
 沖縄ではこのピンク紙筒のさんぴん茶の熱いので黒糖を摘む。黒砂糖とは言わない。黒糖という。ナイチャーの私は宮古だのヤエマのこくのある黒糖が好きだったが、オジーやオバーたちのなかには、そういう不純物の多い黒糖は質が悪いと思っている人もいた。このあたりの味覚が今一つわからない。鍋縁というのがよいと力説しているオジーもいた。どこでそんなものが手に入るのかというか、鍋縁と称する黒糖も売っているのだが、どうやらそうではない。オジーが子供のころ黒糖を鍋で煮て、その縁についたのを食ってうまかったという昔話なのだ。でも、それが本当にうまいんだろうな。
 ついでにいうと、泡盛なんか臭くて飲まないというオジーもいる。米軍統治の時代の酒はウィスキーで泡盛なんかそんなに飲まれてなかったというオジーもいた。また、観光客が好む泡盛を憮然、憤懣やるかたなき、みたいに思っているオジーもいて、ではどんな泡盛がよいかというと、忠孝とかいうのか、なんかよくわからない一升瓶を勧めてくれた。なるほどねというかアルコールですなという味がした。戦前は黒糖焼酎を飲んでいたというオジーもいた。そうなのかもしれない。
 ついでにいうと、ナイチャーは、れいの、ざわわ・ざわわ・風が通り過ぎるだけ♪というお歌が好きだが、うちなーんちゅの少なからずがあれにピンと来ない。フィリピンの歌でしょとかいううちなーんちゅもいた。たしかに戦前もサトウキビ畑はあったが、キビ畑というかウージっていうかあれがあんなにどばーっと広がって「基幹産業」になったのは米政府の指導によるもので、とある広がるキビ畑の光景だが、「戦前は、水田が広がっていたよぉ、このあたり」とかオジーに教えてもらって、え゛っとうなったことがある。
 なんの話だったっけ。さんぴん茶だ。で、ピンク紙筒のさんぴん茶の他に、中国から直輸入の缶入りジャスミン茶もそれなりに飲まれている。普通中華街で飲まれているのと同じだ。これが高級だと思っているオジーやオバーがいるが、それほど高級品ということはなく、サンエーとかカネヒデとか丸大とかでも普通に売っている。缶は丸いのと四角のとある。違いはよくわからない。図柄が蝶なのでなのか、蝶缶だったか、なんか愛称があったようだが忘れた。
 以上が沖縄さんぴん茶現代史の上巻、なのだが、平成5年に革命が起きる。沖縄ポッカが缶入りサンピン茶を出したのだ。沖縄ポッカの該当ページ(参照)にも「平成5年に販売を開始したポッカのさんぴん茶は、県内のさんぴん茶ブームの火付け役です」とあるが、これがなぜ革命的なのかというと、それまで缶入りさんぴん茶がなかったということもだが、味が違った。これは、ピンク紙筒系でもなく中国輸入缶入り系でもない。
 最初に飲んだときの感動を私も覚えているのだが、というか私は中国茶にそれなりに詳しいので、「こ、これって、白毫のか?」とつぶやいた。あの頃、というかそれ以前からだけど、華人の飲む茉莉花茶には白毫というかシルバーティップスというか、茶の葉の芽というか産毛の多いスジみたいのに丹念に着香した高級品があって、たいていはこれを丸めている。中国語で真珠を意味する珍珠と呼ばれている。白龍珠とも呼ばれている。
 さらにいうと、この茶の芽というか、短めで白毫のは細いほど高級品なので、珍珠は粒が小さいほうが高級品だ。私はこの最高級品ランクを飲んだことがあるけど、「こ、こ、これがさんぴん茶のことかーっ」と叫ぶくらい、なんつうのかギリシア甘いワインとイケムくらいの差があった。トロっいうふうでもないけどとろみのような、そして香りがあの、お便所にもよろしい鴨系では全然なく、楊貴妃の脇毛芳香もかくあらん(なわけねーよ)みたいな芳香です。っていうか、白龍珠の高級品は中華街の中国茶屋で売っているから、気になる人は一番高いのを飲んでんでみるといい。いれ方はこれこそまさに80度くらい。珠がひらけばいい。というか、そこがまた見て楽しいので耐熱グラスで飲むとよい。
 沖縄ポッカの缶入りさんぴん茶はそこまで高級品ではなかったけど、白毫系のサンピン茶の味がして、すごいなこれ、と思った。というか、うちなーんちゅも、え、これさんぴん茶という感じで嵌っていた。当然だが、類似品は出る出る(たしか沖縄ポッカは「さんぴん茶」を独自商標にしたかったのではかったかな)。出ても、あの味は出ない。今でも、沖縄ポッカのサンピン茶の品質はかなりすごいと思うよ。伊藤園とかのさんぴん茶のはお茶のテイストとしてはどうしてもナイチャー的な感性に引っ張られている。
 ついでだけど、ウィキペディアには。

高級なものほど、茶葉に対して花の量の比率が高い。烏龍茶や白茶に花の香りを吸着させたものもあり、特に白茶で作ったジャスミン茶は高価。 ジャスミンの花弁を取り除いたものが製品として出荷されるが、花弁を残しているものもある。この香りを移す工程を繰り返せば繰り返すほど、そして花弁を丁寧に除いたものほど、良質なジャスミン茶となる。

 とあり、この白茶は白毫か白龍珠の意味だろうと思う。というか、白茶の白毫もあるし、白茶で茉莉花茶もあるかもしれないけど、私の知識だとはたいていのは白茶には分類されないはずだし、珍珠というか白龍珠のは緑茶の分類のはず。このあたり、専門の方がいて、finalventの言うとおりだよというなら、ウィキペディアの同項目を修正しておくといいと思うが、どんなですかね。
 で、と。こんな沖縄ポッカのさんぴん茶のことを思い出したのは、先日、これの水出しを買って、水出しで作ったらけっこううまかった。どこで買ったのか失念していた。伊藤園でも水出しさんぴん茶があるのだが、緑茶テイストがきつい。
 沖縄に旅行に行く人に、なんか懐かしい土産物あるか、と聞かれて、沖縄ポッカの水出しさんぴん茶と答えた。まあ、ネットを見ると売っているみたいなんですけどね。というわけだけど、このエントリにはアフィリはないです。

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コメント

 何気に100億円ショップ@大創に逝ったら「ルイボス茶」が置いてあって、
「ルイボスティーは、南アフリカ喜望峰セダルバーグ山脈でしかとれない植物から生まれたお茶です。【ルイボス】現地の言葉で”赤い藪”という意味。乾燥すると赤くなるため名づけられたそうです。カラダにやさしいノンカフェイン、どんな食事にもあうさわやかな味わいです」
 …って書いてあったから好奇心全開で買ってみて飲んでみたんだけど独特かつ素敵な味わいだぜ~!! って感じ。100億円ショップでこじんまり纏まってるのは勿体無いので世間一般の普通の市場に普通に流通させて普通に「クワっ!! ヌニコレっ!?」とか言わしめてこそ天下のドイドーダリンコ株式会社だと思いました。
 コレなら往年の旨飲料メッコール大明神にも余裕で勝てると思います。南ア最高。アパルトヘイト最強。な感じ。

投稿: 野ぐそ | 2008.08.01 20:07

さんぴん茶ならポッカだよね!とずーーーっと友人と主張し続けているのですが、今日のこのエントリを読んで報われたような気持ちになりました。何の事だかあれですが。
私は他のメーカーのを飲むと強い違和感を感じるのです。(自分ちで入れるのは別ですが)
幸せな気持ちになるエントリをありがとうございます。

投稿: てまにす | 2008.08.02 13:00

はじめまして。
以前、沖縄へ旅した時に宿の自販機で缶入さんぴん茶を見て
「ほっほ~、こりゃ何じゃろかい?」と面白半分で買った
記憶があります。
んー、なるほどなァ(何がなるほどだか自分でも不明)って
さんぴん、と言えば自分は雀牌を連想してしまいます。
会社麻雀仲間の先輩に土産として1缶持ち帰りましたっけ。
来年は少々重点的に沖縄訪問してみようかと考えてますが
コチラの場所にもまた時折、覗きに来たいと思っております。

投稿: ansh | 2008.08.03 09:38

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