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2008.07.11

[書評]あなたがあたえる 大富豪ピンダーの夢をかなえる5つの秘密(ボブ・バーグ、ジョン・デイビッド・マン)

 どういう話の文脈だったか忘れたが、「夢をかなえるゾウ」(参照)をきみは読んだほうがいいよ、みたいに言われた。その本は読んだことがないが、先日、人に用事を頼まれて薬局に行ったおり待合室の女性雑誌にこの本の要点があって、ふーんと思った。要点のなかで覚えているのは「靴は磨け」だけだ。いや、違ったかな。記憶があやふやだが、お話は、たしかダメ人間がガネーシャ神の指導で夢を叶えるサクセスストーリーではなかったか。
 そういえば、関係ない余談だが、私は以前コルカタを旅して、現地の寺院で売られている小さいガネーシャ神像がかわいいなと思い、こういうの好きそうな女友達にプレゼントしようとして買おうとしたら、現地の親切な人に、あなたはこの神様を尊敬していますか、と問われた。インドの人たちはこの神様を大切にし、信じているのです、と。痛いところを突かれたなと思って買うのはやめた。ガネーシャ神を大切に思う人にはガネーシャ神の御利益はあるんだろう。

cover
あなたがあたえる
大富豪ピンダーの夢を
かなえる5つの秘密
 「夢をかなえるゾウ」の本は本屋でよく見かける。表紙の絵のインパクトも売れた理由なんじゃないかなとなんとなく思っていた。この手のベストセラーは、古本屋で100円くらいになった時分に読むのがよかろうかと思っていたところ、本書、「あなたがあたえる 大富豪ピンダーの夢をかなえる5つの秘密(ボブ・バーグ、ジョン・デイビッド・マン)」(参照)をあたえ・られた。ので、もらった。なんかよくわからないが、「宇宙」の御心は、私になんとか夢を叶えてほしいんじゃないかだろうか。
 私の夢? なんだろ? ダルフールの人々が平和に暮らせますように、かな。それもあるけど、自分自身ビジネス的にも社会的にも成功したいなというのがないわけではない。メシャムのパイプが似合うノンスモーカーとかになりたい気もする。どのくらいサクセスしたい気があるかというと、もう50歳にもなっちゃたんだしな。現実的にはあまりその手の夢は自分には合わない感じはするけど。
 で、読んだ。読み始めて、あ、これってあれだよ、「極東ブログ: グーグルは何かを知ろうとしている」(参照)でふれた本田健著「ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣 (だいわ文庫)」(参照)の元ネタ本? タイトルも似ているし。
 でも、サクセスに至るまで17もの秘密をマスターするより、5つのほうがいいような気がする。だいたい四十八手っていったって、正常位、騎乗位、後背位、坐位、シックスナインとかだいたい5つくらなもんだよね、梯子丹。なんか話がいよーにずれているような気もするが、この本のコンセプトは本田健的、ビジュアルは「夢をかなえるゾウ」の矢野信一郎、ということかな。
 これっていつの時代の本か? と、ちとオリジナルを米アマゾン調べて、一つ星の悪口でもたーんと読むかな、うひひ、とか思って、「The Go-Giver: A Little Story About a Powerful Business Idea(Bob Burg、John David Mann」(参照)を調べたら、昨年末の出版で、米国でめっちゃベストセラーやんか。ガネーシャ。ということは米人との付き合いのあるビジネスマンなら普通に読んでおけ常考、でもあるわけだ。
cover
The Go-giver
CD朗読(英語)
 とにかく米国でのベストセラーブリには驚いた。これってすごい本なのかも。今なら古書1円で買える「チーズはどこへ消えた?」(参照)以来の革命的なビジネス寓話とかいう評もあった。な、なるほど、っていうか、こっち本も沖縄時代読んだな。内容はなんにも覚えてないけど。
 というわけで読み始めた。出だしのところを原文で照合した。イタリックになっている用語の強調がうまく翻訳に反映されていないかなという感じもあるけど、翻訳の文体はこれでいいんじゃないか。英語タイトルのGo-Giverは、出だしにもあるけど、Go-Getter(ビジネスのやり手)の洒落になっていて、これって昨年の米国映画のタイトルとかの連想もあるのかもしれない。
 実際読んでみると、自分などからは若い世代になってしまった現代米人ビジネスマン特有の発想や、日本のメディアからは見えづらい米国のビジネスシーンが見えてきて、そういう面でも、読んで桶本だろう。
 内容はストーリー展開になっている。25歳のジョー(つまり「名無し」ということだよね)が、金持ちの賢者から教えを請うということだ。ふんふんふんとか読んでいたのだが、後半のところにあるジョーの妻との話や、夫を失ったデブラの話あたりが、寓話ですませないえぐみがあってなかなかええんでないのガネーシャとか思うに至った。
 感動がこみ上げるということではないけど、こうして語られている5つの秘密というのはとても重要なことには違いないし、こういう、ある意味で当たり前のことを教えてくれる人は今の時代だと少なくなったのかもしれない。人生、宝くじに当たったみたいに富豪になる人はいるし、普通の人でそういう富豪のコネがあってなんとなくつられて富豪になる人もいるけど、悪銭身につかずではないけど、長期にカネにご縁をもつなら、それなりの人間の「うつわ」というものが必要なものだ。この本の秘密はそういう「うつわ」を大きくする基本でもある。読後ぼんやりエビチリ食いながら、そういえば、こういう秘密を世間から自然に学んで立身出世する人たちというのはいるなあ、特に中国人にとか思った。
 書籍のコンセプトとしてはオリジナル本と比べ練られているといえるのかなと挿絵を見ながら思った。かなり練り込まれたイラストかなと表紙裏のイラストとか見て思った。これね。これから読む人の便宜になればと、名前と秘密番号を貼っつけておいたけど。

photo

 キャラとストーリーの感じがよくイラストに練り込まれている、のかな、表紙のイラストもだけど、と思ったけど、よく見るとサムが抜けているので、そうでもないのかも。
 で、この本の秘密なんだけど、以下に英語の原文と試訳を添えておきますよ。翻訳が悪いというわけではないけど、ちょっとニュアンスが違う感じがしたので。
 というわけで本書を読まない人がここだけ暗記してもどうかなと思うし、いちおうスポイラーっぽいので、本書読んでから以下は本書を読んだ人が参考にしてほしい。

Law 1. The Law of Value; Your true worth is determined by how much more you give in value than you take in payments. (法則1 価値の法則:あなたの真価は、どれだけ支払いを得るかではなくて、どれだけの価値を与えるかによって決まる。)

Law 2. The Law of Compensation; Your income is determined by how many people you serve and how well you serve them.
(法則2 報酬の法則:あなたの収入は、あなたがどれだけ多くの人々に役立つか、そしてそれがうまくいくかで決まる。)

Law 3. The Law of Influence; Your influence is determined by how abundantly you place other people’s interest first.
(法則3 信望の法則:あなたの信望は、あながたどれだけ十分に他人の利益を優先するかによって決まる。)

Law 4. The Law of Authenticity; The most valuable gift you have to offer is yourself.
(法則4 誠実性の法則:あなたが与えることができるもっと価値のある贈り物は、あなた自身である。)

Law 5. The Law of Receptivity; The key to effective giving is to stay open to receiving.
(法則5 受容性の法則:効果的に与えるための鍵は、受容できるようにオープンでいることだ。)

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