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2008.07.10

原油高騰にまつわるきな臭い話

 先日「極東ブログ: 原油高騰の雑談、2008年前半版」(参照)でざっと原油高騰まわりの雑感を書いた。そのおり、ちょっとさすがにこの話は控えておこうかなと思って控えたのだが、今週の日本版ニューズウィークのホルヘ・カスタニャダ(Jorge Castan~eda)のコラム「原油高騰とイラン攻撃の幻影」というコラムに出てきた。例によって原文”The War Premium On Oil”(参照)は無料で読める。
 結論から言うと修辞を除けばどってことない話なのだが、ニューズウィーク所属のコラムニストが出してきたのかというのと、この手の話の出所がいつもならお馴染みのあたりではないところから出てきているようなので、ちょっと首を傾げていた。印象でいうと、そのスジではまさかオバマが出てくるとは思っていなかったのかな。
 そんな背景で、与太話といえばそうだけど、このあたりは目下の常識となりつつある与太話だし、日本では若干タブー化しているようでもあるので、ちょこっと触れておこう。まあ、タブー化しちゃう理由もわかるし、それほど弊害があるわけでもないのだけど。
 話はホルヘ・カスタニャダの切り出しがわかりやすいだろう。ちょっと長いけど、こういうことだ。


 最近の国際情勢で誰も模範解答を示せない二つの疑問がある。一つは世界経済が減速しサウジアラビアが原油増産を打ち出しているのに、なぜ原油価格が上がり続けているのか。もう一つはなぜ多くの専門家や政府がアメリカかイスラエル、または両方が、ジョージ・W・ブッシュ米大統領が任期を終える来年1月までに、イランの核開発計画を破壊あるいは後退させる行動に出ると考えているのか。

 一見この二つはつながりがないし、真実は繋がっていないのかもしれないが。

 膨大な数の解答のうち、筆者は「答えは二つの疑問を結ぶ関連性の中にある」という意見が気に入っている。

 この書き方はようするに与太話ということではある。が、与太話を書くときにはこっそっといいづらい真実を混ぜておくものだ。

 相場はすでに1バレル=140ドルを超え、連日最高値を更新している。理由を解き明かす唯一の説明はない。だが石油取引業者や消費者、製油業者に政府機関までもが、近い将来アメリカとイスラエルがイランに軍事介入し、結果として原油価格がさらに高騰すると考えていることは説明の一つにはなるだろう。

 与太話はこう展開していくのだが、与太は与太でもこれで動いていそうな投機筋はありそうだし、カスタニャダはこの先そう書ききっている。というあたりはとりあえずガチなのだがようするにその比率がどのくらいで、そしてその投機筋はどこかということは、ぼやかされている。
 カスタニャダの話は日本人にとってはへぇくらいなもので、米国民にとってもへぇなのだろうが、この先、与太の楽しみで、ウゴ・チャベスを登場させ、このマッチョも米国への原油をストップさせるだろうとしている。おお怖いぞぉとか合いの手を入れたくなるところだ。
 が、実際にはそれでもそれほどの危機にはならないと私は見ているし、カスタニャダもそのハラはありそうだ。ただ、短期的に200ドルという局面はありそうなんで、投機筋の最適化行動は続く可能性は高い。結局のところ、カスタニャダが与太を超えて言いたいのは、こうしたチキンレースが世界構造化しているよということで、それはそう。問題は、つまりイスラエルの国是としては空爆圧力はあるよというのと、イランやベネズエラが火遊びを楽しめるだけの外貨をもってしまったということ。
 現実的には、イスラエルが米国を無視して暴走する可能性は少ないし、ちょっと踏み出していうと、昨今米国が北朝鮮がらみでわいわいやっているのは、日本の思惑とはべつにイランへのメッセージかもしれない。どさくさでふみだすと、構図はイラン対イスラエルではないかもしれない。まあ、ちょっとぶっそうなんであまり与太でも言うべきこっちゃない領域に近づいてくる。
 もうちょっとイスラエル寄りに見ると、日本では報道されたかどうかわからないが、先日はでな軍事演習をやっていた。先月26日のガーディアン”A shot in the dark”(参照)より。

Efforts to persuade Iran to freeze its programme of uranium enrichment are entering a dangerous new phase. Viewed from Tehran, the west is playing a classic game of good cop, bad cop. The good cop, the EU foreign policy chief Javier Solana, tells them that a package of incentives is still on the table if they halt enrichment. The bad cop, Israel, sends 100 fighter planes 870 miles into the eastern Mediterranean (the distance between Israel and Iran's main enrichment plant at Natanz) for an exercise designed to show military readiness for a long-range attack.

 空爆機を百機もイスラエルからイラン核濃縮施設のあるナタンツへの距離に相当する870マイルも飛ばした。
 イスラエルの強行の裏付けはガーディアンによるとこう。

  • Syria was planning to supply Iran with spent nuclear fuel from al-Kibar, the site Israel bombed in September;
  • discrepancies found in the amount of fissile material North Korea (Syria's adviser in the construction of al-Kibar) declared and the amount it could have produced, drastically alter intelligence calculations of how soon Iran could get enough material to make a nuclear bomb;
  • the point of no-return in Tehran's bomb programme is now 2010;
  • there would be regional consequences to a strike on Iran's nuclear facilities, but that these would be the lesser of two evils.

 さすがにこれは与太と笑い飛ばせることではないし、日本みたいに目をつぶって過ぎゆくの待つわけにもいかない。
 この潜在的な危機だけど、意外と別の方向からくるかもしれない。ガーディアンにはその意図はないのだろうが、結語にはよからぬ暗示がある。

There is also Afghanistan and the Strait of Hormuz through which 90% of Gulf oil passes. And that is before you even get to Hizbullah's long-range rockets. A ball of fire, the phrase of Mohamed El Baradei, the head of the International Atomic Energy Agency, would not even begin to describe the fallout from an Israeli attack.

 エルバラダイIAEA事務局長まで与太かよとはいいづらいが、つまりその話はカスタニャダのコラムに近い。問題はこの前半だよな。オバマはこの問題の構図を根幹からわかっていないようだし、EUにはもう解決は不可能みたいだし。

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コメント

オイルマネーで中東が武器(戦略兵器)を買って英国が潤ってますね、ということでおk。

投稿: cyberbob:-) | 2008.07.11 07:13

中東在住者です。
何がどう与太なのかがよくわかりませんでした。

投稿: gev | 2008.07.13 20:26

今回のエントリーは、筆が滑らか過ぎるのか滑りすぎるのか、何がどう与太なのか、私にも良くわかりませんでした。出来れば、もう一段のご解説を。

投稿: | 2008.07.22 06:38

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