ガソリン税暫定税率再可決、いやほんと雑感
このエントリを書いている時点ではまだガソリン税暫定税率再可決されていないが、されたと書いてもそう大過はないだろう。この問題、私はつまるところ何が問題なのかよくわからないせいもあり、どっちでもいいんじゃない、勝手にすればあ、みたいな投げやりな気分でいた。ブログのエントリに書くべきこともないのだけど、さすがに時代の風景のようでもあるし、簡単にスケッチ程度に書いてみたい。いやほんとに雑感という程度。
エントリ書こうか適当に悩んでそれでもちょっと書こうかなと思ったのは、今日のこの再可決が憲法の視点から見れば極めて遵法であり、憲法が生きていて喜ばしきかなということだ。憲法59条では、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」ということであり、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる」ということで、憲法を守れという立場の私としては、いい結果になったと思う。
というのがなんとなく皮肉っぽいトーンを帯びてしまうのは、この機構上優越されている衆院が現状本当に国民から優越の認可が与えられているかというと、なんだか違うなと思う部分があるからだろう。つまり、現行の衆院は小泉政権の惰性であり、端的に言って郵政民営化の惰性でもある。過去を振り返ってみると、意外と言うのも変だが小泉元総理はそのあたりの配慮に自覚的だったし、安倍元総理も彼なりに自覚的だったように思える。では、現福田総理はというと、本人は自覚的なんだろうけど、もうどうしようないということではないか。世論の内閣支持率ではすでに福田政権は前の安倍政権よりひどい状態に突入しつつあると見てよいようだが、安倍政権末期のような四面楚歌感はそれほどない。というか、今回の再可決を見ても、へぇ、自民党のみなさんすっかり本気ですねということだ。
民主党としてはそのあたりを突いて、衆院を解散せよということで、それはそれなりの考えでもあるだろうが、これも機構上別段、今解散しなければならないほど国難ということではない。国難というなら、目下の日本の意志決定は不在ちゃう?状態だろうが(北朝鮮とシリア問題とか遠い国の問題みたいだし)、同じく世論動向を見ても民主党政権ができればそれでよしという流れは、まったくと言ってないだろう。つまり、出口がないというより、霧に囲まれた四方断崖絶壁にいるようなもので、動けば、すとんと奈落に落ちるようなものだ、というか、いずれ外在的に奈落がやってくるのだろう。
話を戻して、今回の暫定税率失効狂想曲は自分には奇妙なものに思えた。うまく印象がまとまらないのだが、暫定税率が失効したということと市場でのガソリン価格の低下というのは直接的には繋がらないはずだ。というか、短期の再可決は見えていたといっていいわけで、実際のところ市場というか庶民生活が触れる部分での市場ということだが、そこでの価格低下は暫定税率失効より別のメカニズムだったのだろう。それはなんだろとしばし考えたがよくわからない。私は30代の後半から8年ほど沖縄で暮らしたが、沖縄の風物とも言えるのだがときたまガススタンドで価格値下げ祭りが始まる。そして国道のあるガススタンドがつぶれると祭りが終わる。これも沖縄の知恵みたいなものかもしれないが、何年も暮らしていると定期的に起きる。ガススタンドがそれで整理されつくされてもう収束しているのだろうか。話を少し戻すと今回のガソリン値下げも、本来あるべき市場の調整というか過当競争みたいなものではなかっただろうか。
話が横に滑る。ガソリン価格が下がったというのはたしかだが、1リットル当たり25円程度である。いや、比率として見れば少ないわけではない。値上がり後が150円なるとすると、17%くらいかな。一割価格が下がったくらいかと思ったが大きいには大きいか。しかし、価格の差分を儲けたと理解するとして仮に20リッターで見ると500円の儲け。ワンコイン。お金を粗末にする気はないけど、素人に危険なガソリン備蓄をさせるほどのインセンティブになるとも思えない。が、それってガソリンの危険性を知らないのか(ついでに言うとどうも硫化水素というのも理解されてないっぽい感じがする)、その価格差が庶民の生活の死活問題なんだよということか。でも、たかだか1か月程度ということなんだが。
これで暫定税率が戻りガソリンの価格が上がり、年内に200円になるから大変だみたいなお馬鹿なこと言う人がいるけど、まず、これね、「OECD諸国のガソリン1リットル当たりの価格と税(2007年第2四半期)」(参照)。だいたい200円当たりがEU相場っぽい。それと、この高騰は投機の部分とドル安の問題があるので、むしろ投機部分は中国経済の失速を見据えた秋口までのチキンレースになるのでしょう。
別の言い方をすると円が上がっているのだから、輸入品を広く活用するという点ではガソリンの問題は相対的な問題ではないかと思う。というか、それほど騒ぐことかいな。
さらに話が滑る。今回のガソリン税暫定税率騒ぎで、これは私の偏見かもしれないけど、騒いでいたのはむしろ地方だったんじゃないかな。またまた私の庶民感覚になるけど、都市生活してしかもコンビニにプラグインしている私なんかだと、自動車そんなに乗らない。今の若い人たちは自動車を買わないとかいうけど、都市生活ではあまり必要ない。いや、あるとすれば、商店街が崩壊したので、ショッピングがショッピングセンター化してしまうこと。ついでにいうとデパートとかでないとけっこう物が買えない。物はむしろショッピングセンターとかにある。なのでこれは自動車に依存する、のだけど、最近重たいものはネットからデリバリーできる。ネットで広告見てあれとこれとこれみたいにリストして5000円を超えると配送無料で自宅にもってきてくれる。ますます車イラネになりつつある。むしろ、ショッピングセンターとか行って駐車場見て驚くのだけど、ショッピングセンターがいわゆるショッピングというより娯楽センター化していて、車もなんだかセレブなのが多いんですよ。この光景とガソリンをけちる騒ぎがどうにもしっくりこない。小泉政権時代、都市民の利益が政治の前面に出たみたいに言われたこともあったけど、昨今の状況を見ていると、ガソリン税暫定税率騒ぎはそれほど都市民の利害に関係ないんじゃないだろうか。
逆に地方では車は必須になっているから、ガソリン税は重要なんだけど、その地方で選出された議員先生がたは、端的に言うと道路利権そのものだし、地方にもよるのかもしれないけど、地方で暮らしていると、道路整備がないと雇用が崩壊しちゃう。
今回の一連の騒ぎでもう道路は要らないという意見もよく聞いたけど、私はそれもどうかなと思っている。もしかするとピントがずれているのかもしれないけど、都市部や都市郊外の道路事情がそれほどよくない。もっと整備していいんじゃないかと思う。それとよく社会問題にならないなと思うのだけど、最近、老人の無茶苦茶な車道横断が多い。あと少し歩けば信号機付きの横断歩道なのにふらりとあぶねー車道に出てくる。ああいうのも道路整備の一環でなんとかしないといけないのではないか。
まとまりないけど、実際まとまった考えもないので、そんなところですかね。
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