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2008.03.08

スペイン総選挙が明日に迫る

 スペイン総選挙が明日に迫る。もう4年かと印象深く思い起こすのはマドリード列車同時爆破テロ事件のせいだろう。あの対応で国民党アスナールが失態を演じたことで現在の社会労働党サパテロ政権に移った。今回はその継続が問われる。どうなるだろうか。私はサパテロ政権継続ということになるのではないかとこのエントリを書き出す前に思っていた。予想ではサパテロ与党が優勢と伝えられているからだ。
 2日付け東京新聞”スペイン 左派与党リード 総選挙まで1週間 自治権拡大など争点”(参照)より。


 最新の調査では、社会労働党が支持率44%で野党第一党の中道右派・国民党の39%をリード。一週間前に2ポイント差まで詰め寄った国民党を押し戻した。三日に行われるサパテロ首相とラホイ国民党党首(52)とのテレビ討論会も選挙戦に影響を与えそうだ。
 和平路線の失敗については国民党がテロリストとの対話そのものを厳しく批判。だが、過去には国民党も交渉に失敗した経緯があり、与党側への決定的なマイナス要因にはなっていない。サパテロ首相は「完全な武装放棄がない限り交渉再開はしない」と明言し、取り締まりを強化させたことも支持率回復につながったとみられる。

 その後の7日付け日経新聞”スペイン、3月9日に総選挙 サパテロ与党優勢”(参照)ではこう。

スペインは9日、4年に一度の総選挙を実施する。景気減速や米国との関係修復など課題は山積。最近の世論調査では、サパテロ首相(47)率いる与党・社会労働党(左派)が42%強の支持率で、野党第一党の国民党(38%強)を抑えるが、投票が近づき差は縮んでいるとの見方もある。

 調査が同一ではない可能性があり単純な比較はできないのだが、微妙に社会労働党の支持が弱くなっている印象はある。
 記事を見直している途中、7日付けJANJAN記事”燃えるスペイン総選挙、2大政党党首が最後のTV討論”(参照)を見つけた。面白いといえば面白い。

9日に迫ったスペイン総選挙。与野党党首2人による、最後のTV討論が3日、行われた。前回より視聴者数は少し減ったが、それでも国民の半数が観た、という。選挙への関心は、依然として高い。番組終了直後の世論調査では、与党・社会労働党サパテロ氏の圧勝。だが、独裁者フランコ将軍の系譜を継ぐ野党支持勢力は強力で、選挙結果がどう出るかは予測できない。これがスペイン流総選挙なのだ。

 ようするにスペインは今政治に熱く、目下のところサパテロが優位。とはいえ結果はわからないという保険をかけている。ついでにJANJANの関連記事を読むと、妙に熱い。
 そうなんだろうか。私はそう思っていない。それをどう切り出していいかわからないなと感じていたのだが、今週のニューズウィーク日本版3・12”スペイン「帝国」のメッキが剥げた”で膝を叩いた。

 競売サイト「eベイ」のスペイン版に、こんな出品があった。「私の1票を買ってください。落札した人の言うとおりに投票します」。ジョークと笑い飛ばすには深刻すぎるメッセージだ。
 総選挙の投票日は3月9日だが、すでに有権者の気持ちは固まっている。どの政党もどの候補者も気に入らない。どんな結果が出ようと知るものか、選挙なんてどうにでもなれ、である。

 やけくそというのがたぶん実情に近いのだろう。同記事ではスペインの凋落ぶりをうまく描いている。

肝心のスペイン経済にブレーキがかかってきた。昨年は3・8%成長でEU(欧州連合)の優等生だったが、今年の予測値は2・4%。失業率は昨年末に上昇に転じて8・6%、インフレ率は4%に迫る。
 住宅バブルもはじけた。業界団体によると、07年には不動産業者の半数が店をたたんだ。個人経営者が多いとしても、かなり深刻な状態だ。

 記事でも触れているがそれはスペインだけの状況ではないものの、凋落の事態は事態としてある。さらに同記事ではサパテロ政権に2つのミスがあったとしている。

 一つは、カタルーニャ地方の独立を求めるカタルーニャ左翼共和党と手を結んだこと。これに対しては各方面から、スペイン国家分裂を促すのかという猛烈な批判の声が上がった。
 第二の誤算は、06年3月に分離独立派の武装組織「バスク祖国と自由」(ETA)が停戦を宣言した後、ETAとの平和交渉に踏み切ったことだ。勇気ある決断だったが、同年12月にETAがテロを再開、交渉は打ち切られた。これでサパテロの支持率は急降下、今年1月には約40%まで落ち込んだ。

 記事では、しかし国民党のラホイがそれゆえに優勢ということではなく、スペイン国民は政治自体に幻滅感をもっているとしている。
 ニューズウィークの記事では選挙結果の予想はしていない。どちらとも読めるやけくそさが漂っている。
 こうした中、7日テロが発生した。8日付け朝日新聞”スペインの総選挙運動、テロで切り上げ バスクで射殺事件”(参照)より。

 総選挙を9日に控えたスペインの北部バスク地方で7日、サパテロ首相が率いる社会労働党系の元町議が射殺された。同首相は会見し、同地方の独立を掲げる武装組織「バスク祖国と自由(ETA)」による犯行だと語った。与野党は最終日だった同日の選挙運動を途中で切り上げた。

 選挙直前のこのテロが今回の選挙に影響を及ぼすだろうか? 影響があるとすればどのような影響だろうか。社会労働党系の元町議なので同じくサパテロ政権への脅威に屈しないというふうに支援が深まるか、サパテロ政権の失政がもたらしたとスペイン国民が感じるか。
 私は冒頭、サパテロ政権継続かなと書いた。国民の大半が政治に無気力なときは政治意識の強い左派的な政権支持が強くなるものだろうと思うからだ。だが、国民が主体的に国家を意識しはじめるとすれば流れは変わる。
 エントリを書いてみて私はチップの置き場を横にずらしてみる、サパテロ政権は負けのほうに。

追記(2008.3.10)
 結果が出た。サパテロ首相再任となった。エントリの賭けは負け。「スペイン総選挙、与党の社会労働党が勝利・サパテロ首相再任へ」(参照)より。


 内務省の午後10時過ぎの集計では、社会労働党が44%超の得票率で、改選前議席(164)を上回る議席を確保する見通し。州都バルセロナのあるカタルーニャ州、南部のアンダルシア州などで安定した得票を重ねた。
 中道右派の野党、国民党も39%の得票率で改選前議席を上積みする見通し。左右両派の二大政党がぶつかる構図が一段と強まる。

追記
 10日付けフィナンシャルタイムズ”Zapatero’s mission”(参照)が面白かった。


Spain’s ruling Socialists will not be partying for long. A second successive term in office, with an ex-panded majority, is a personal victory for Jose Luis Rodriguez Zapatero, the prime minister. But there is little else to celebrate. After an uninspiring first four years in office, Mr Zapatero now faces the daunting task of rescuing an economy that is heading for the rocks. If ever there were a general election worth losing, this was probably it.
(スペインの社会労働党政権はそう長く浮かれてもいられないだろう。二期目の任期は、多数はであるものの、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相の個人的な勝利であって、祝賀的な部分はほとんどない。任期の最初の気の抜けた4年間後、サパテロ氏は障害物に向かう気の進まない作業に直面している。負けた方がよい総選挙というのがあるなら、これはたぶんそれに相当していた。)

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ああ、格闘技ネタはサクッと書くつもりだったのに。 昨日かければと思って書けずじまいだったが、スペイン総選挙が今行われている最中のはず。この前はイラク戦争が争点で親米与党が負け、けっこう世界的な話題を呼んだ。 今回は、私は日本の新聞の各紙を呼んだが、もう分析... [続きを読む]

受信: 2008.03.10 04:57

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