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2008.02.14

主婦の友休刊を聞いて

 雑誌「主婦の友」が休刊するという話を12日のニュースで聞いた。時代かなと思ったが、私が読んでいた雑誌ではないしそれほど気にかけてもいなかったのだが、それからぽつんぽつんと思い出すことがあった。
 休刊というのは実際には廃刊になる。今年の5月発売の6月号が最後になるらしい。歴史は91年に及ぶという。長いと言えば長いのだが、先日まで少年だったような記憶が入り交じる自分は50歳なので、私が生まれころは40年くらいの歴史だったということになる。朝日新聞記事”老舗女性誌「主婦の友」今年6月号で休刊”(参照)によるとこう。


同誌は「主婦之友」の名称で、主婦之友社(現主婦の友社)を設立した石川武美社長が1917(大正6)年2月に創刊。「家庭生活の向上」をめざし、月刊の総合婦人雑誌の草分けとして、主婦向けに生活情報や教養などを提供してきた。

 大正6年と聞くと随分古いものだと思うが、その時代から昭和の初期はある意味でハイカラな自由主義的な時代でもあったので、今読み返してみても面白いのかもしれない。だが、こうして歴史を考えるとむしろ戦中に至る時代や戦後の時代のほうに関心が向く。継続的に刊行されてはいないだろうが(3月号で通巻1173号)、時代時代でどのように「主婦」の関心事を受けていたのだろうか。
 関連記事を読むとピーク時には単号で180万部に達したとのことだがその時代はいつだろうか。70年代か80年代か。競合の「婦人倶楽部」「婦人生活」「主婦と生活」は80年代から90年代に休刊したことから、最盛期は70年代ではないか。というと、私の母親がいちばん主婦らしい時代だったはずだ。
 家には「主婦の友」だったかわからないが、分厚い主婦雑誌があった。内容の記憶はほとんどない。が二つ思い出したことがある。一つは、新年号の家計簿の付録が主婦には重要だったらしいことだ。本誌よりは薄いが立派な家計簿がついていた。あれで実際には年間購読を募っていたようだった。記憶と辿ると、当時は本屋が家にやってきて配達していた。もう一つの記憶は、内容の記憶はないといいつつそこに袋とじのページがあった記憶がある。つまり子供に見せないという配慮なのだろうが、子供としては見られないものがあるということについ関心を持った。
 今頃になって推測すれば、袋とじの内容は出産関連か性行為に関連する記事だろうと思う。そしてそう考えてみると、そういう情報を提供するためのメディアでもあったのだろう。
 主婦雑誌というジャンルが90年代になくなっていったわけではない。「サンキュ」「すてきな奥さん」「おはよう奥さん」といったいまではコンビニ販売系の平閉じ雑誌が刊行されていたから、ただ時代に合わせた世代交代というものだったのだろう。それと、雑誌というのは基本的に広告媒体なので、広告主の変化もあるのかもしれない。
 そういえば、蛍雪時代は生き残っているようだが、中一時代や中一コースといった学習雑誌は無くなった。それも90年代に入るころだったようだ。この手の雑誌で、私は富島健夫のティーン向けの小説をいくつか読んだことがある。タイトルは忘れてしまったが、ちょっとエロという感じだ。富島健夫か。なんかネットに情報があるかなと思ったらウィキペディアに項目があった(参照)。

富島 健夫(とみしま たけお, 冨島とも, 1931年10月25日 - 1998年2月5日)は、日本の小説家・官能小説家。


「喪家の狗」(1953年)で芥川賞候補。その後ジュニア小説に進むが、それまでタブー視されていた性の問題を正面から扱った。ジュニア通俗小説と見られつつ、『制服の胸のここには』、『純子の実験』など、独自の世界を作り上げた。1970年代には官能小説にも進み、生涯を通じて数百冊の作品を残している。

 「1970年代には官能小説」とあるのは「おさな妻」あたりからだろうか。と、リストを見直すとたぶん団塊世代には胸キュンものの小説がずらりとあり、官能小説家への変化は自然な流れだったのだろう。
cover
雪の記憶:
富島健夫
 私はなぜかというか角川文庫で出たときの「雪の記憶」(参照)を買って読んでいる。なんだか思い入れがあって処分しないと思うので実家にもまだあるはずだ。が、これが事実上彼の処女作に近いようだ。1958年の作品というから、私が生まれた時代の恋愛や性の意識を描いている。

敗戦と同時に引き揚げてきた小島海彦にとって、心の支えは毎朝電車で出会う少女・雪子だった。やがて二人は言葉を交すようになる。雪子に、やるせない思いを抱き始める海彦だが、ある日雪子から恋文を受け取り…。富島青春文学の最高傑作。

 現代から見ると柴田翔「贈る言葉」(参照)の「十年の後」の一世代前版みたいなもので、私くらいまでは、最初のおセックスに至るまではなにかとこの手の物語があったものだった。いや今でもあるんだろうけど。
 「雪の記憶」の主人公は小島海彦は引き揚げ者とある。私の父も引き揚げ者だった。その世代の最後が五木寛之になり、「風に吹かれて」(参照)にも関連する話があった。あらためて五木寛之と富島健夫を比べると一つ違いであることに驚く。

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コメント

富島健夫さん 懐かしいですね
中学生の頃 コバルトシリーズ(集英社)の不良少年の恋を 読んだ 思い出です。
柴田翔 贈る言葉で プログ検索中です。
ずいぶん前、贈る言葉 という本を 古本屋さん で 見かけて タイトルが 気になって 50円で 購入。贈る言葉 というと 私は 金八先生を 思い出します(関係ない話ですね。ジョ-ダン 冗談)
先ほど 柴田翔 ウェーブで 検索しました。東京大学名誉教授 すごいですね。芥川賞作家 すごいです。
作家研究会(名前検討中 

投稿: 村石太レディ&世論 | 2012.09.30 15:12

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