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2008.01.25

米国のインフレ懸念とか日本の団塊世代への歳出抑制が問題とかちょっと言いづらい

 サブプライム問題に端を発した経済不安だが、さすが株価に及んでくると事態は深刻度を増している。ただし、バーナンキ僧正耐久力テストとしてはこのくらいの事態になるだろうということは想定していたシナリオどおり。ざっと見た感じではまだ耐久力がありそうだ。問題はたぶんインフレのほうだし、そしてもう一つの大きな問題がある。そこがこのエントリのテーマなのだが、いやさらにもう一つあるか。そちらは中国の問題。端緒のように中国の銀行もサブプライム問題を抱えているのではないかという懸念がわき上がったら、すかさず鎮火した。よかったと言えるのだろう。他に言いようがない。
 ブログをさぼっている間に状況は刻々と変化しているのだが、米国で景気刺激策として1000億ドルが検討されたおり、コラムニストのロバート・サミュエルソンがこれは子供だましと言ってのけた。政権側はこれにもう少し上乗せという流れになったが、これはバーナンキ僧正の上限の示唆どおりなので、市場としてはいちおう耐久力テストとしては合格っぽかったのかもしれない。
 サミュエルソンのコラムだが、日本版ニューズウィーク(1・23)”子供だまし経済学にご用心”というもの。先週の号だ。要点は以下。


 とはいえ、アメリカの経済規模は14兆ドル。たかが1000億ドルでは少なすぎて大した効果はない。景気悪化が深刻ならもっと大規模な対策が必要だ。逆に深刻でないなら、その程度の対策は政治的な意味しかもたない。

 ざっくりと見て、そこに少し上乗せされても現状の景気刺激策には実質的な意味合いはない。そもそも住宅バブルがまるで世界経済の終わりかのように騒がれるのはやや珍妙という部分があるが、それを言うなら、なぜ石油が高止まりしているかなどの不思議にもつながる。結論はあっけない。世界にカネが余りすぎているのだろう。だから、余った部分のカネというは消える運命にあるのかもしれない、と言うのは暢気すぎるが。
 このところの日本の新聞社説などを見ると、「景気悪化が深刻ならもっと大規模な対策が必要だ」論がまかり通っているようだ。笑い話なんだろうが、日本を見習えというのまである。サミュエルソンは現状をヒステリックにすぎると見ている。

 今の経済論議にはヒステリックなところがある。住宅不況は確かにひどいが、住宅市場は最大でも経済全体の5・5%しか占めたことがない。しかも第二次大戦以降で4番目に悪い状態でしかないと、カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院の景気予測ディレクター、エドワード・リーマーは指摘する。

 とはいえ現在の金融の状況は過去と比較できない点が多すぎるので、こうした議論はややレトリックに流れがちだ。問題はすでに住宅バブルが本質ではなくなっている。
 今後の問題はおそらくインフレのほうにある。

 一方で、インフレは脅威だ。消費者物価は07年11月までの1年間に4・3%上昇、ここ3カ月は年率換算で5・6%上昇した。原料費が高騰している。コンサルティング会社グローバルインサイトのエコノミスト、ジョン・マザーソールによると、銅は06年前半に1トン=4900ドルだったが、07年後半には7300ドルになった。景気減速や後退はこのような価格上昇に歯止めをかけ、インフレ心理をおさえる方向に働くだろう。

 ふつうそう考えるのだが、その後にバーナンキは大幅利下げを行った。これがインフレをブーストするかよくわからない。この程度ではそれほどでもないのかもしれない。いずれにせよ、事態にマジックワンドの解決策はないのだろう。
 で、私がサミュエルソンのコラムで一番気になったのは、その結語の指摘だった。こうした子供だまし、飴玉経済政策をやっていくとどうなるか。

するとコストがふくらんで長期的な財政政策が犠牲になる。つまり、ベビーブーム世代の引退で増大する歳出を抑制するという課題に逆行することになる。

 これ、米国の話なのだが、日本も同じというか、日本はもっとひどいことにずぶずぶと進んでいるのではないか。こう言い換えていいのではないか。

年金問題や各種保証の問題の解決を政府にだけ期待していくと、コストがふくらんで長期的な財政政策が犠牲になる。つまり、団塊の世代の引退で増大する歳出を抑制するという課題に逆行することになる。

 団塊世代より上の世代、つまり老人になるほど貧富差が激しい。また団塊世代までは豊かな年金を得る人達は多い。でも、その尻尾、ちょうど団塊世代が終わったところにいる自分から日本の未来を眺めてみると、今の日本の財政政策だと、私の老後に利するまでには息切れして、後はなんにもないんだろうなという感じがする。
 なんだかんだ言っても米国は人口が増大し、出生率も維持できている。そういうことが、ようするに経済的な意味での「信用」というものを支えている。とすれば、逆の日本にはそういう未来はないなと思う。
 というか、いかにも正義で語られている政治の話が、今の40代が日本で死ぬころ何をもたらしているだろう。

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コメント

>いかにも正義で語られている政治の話が、今の40代が日本で死ぬころ何をもたらしているだろう。

ホントそうですね。
バブル崩壊の頃から同世代を探してましたが、舞台に現れないというか、上の世代のシッポ=尻拭い役に吸収固定されてしまった印象を未だ拭えません。
まして、その頃に流行った日本脱出=スペイン永住組も失敗してこっそり帰って来てるし。
小林信彦が、80年代以降は恥知らずの時代と呼びましたっけ、その理由を噛みしめるしかないですね。

投稿: katute | 2008.01.31 12:41

アメリカ等はインフレですが、日本は逆にデフレですね。まぁ、スタグフレーションと言った方が正しいのかな?
このデフレ下で行う政府の歳出削減の緊迫財政には疑問を感じずにはいられません。経済の初歩ですね。デフレなら市中に通貨を供給しなければなりません。
それをしなければ日本はどんどん貧乏になり、外資に買収されていきます。(それが目的かもしれませんが。汗)
通貨を増刷し、それを福祉や年金などに使うべきかと思います。管理人様はどうお考えですか?

投稿: 国憂う者 | 2008.02.02 15:32

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