捕鯨問題のわからない話
私は捕鯨問題にはほとんど関心がない。過去には一度やや関連のエントリとして「極東ブログ: くじらバーガーの伝言ゲーム」(参照)を書いたが基本的に情報の伝達に関心があったくらい。現在騒がれているフレームワークに適合するような意見はなにも持ち合わせていない。なので黙ってろと言われそうだし実際黙っているのだが、まあ、そんなスタンスのエントリもあっていいかもしれないという程度なので、白黒バッシングのネタにはしないでね。
最初に自分が一番疑問に思っていることを書いておくと、捕鯨というのはしないでいると増え過ぎてその捕食によって他の魚、海洋資源の減少につながる論があるが、あれは科学的に正しいのか?というところだけ。
素人風に思うのだが、地球の生態系、しかも海洋の生態系に人間が介在することは想定しがたい。というのも伝統的捕鯨法というのはあるにはあるが、あの程度だと生態系への影響はゼロに等しい。むしろ、鯨を絶滅に近く至らしめたのはよく知られているように日本が商用捕鯨を始める前の、欧米、それとその後のソ連による鯨油獲得のための乱獲の捕鯨だった。むしろ、一世紀ほど前の、日本以外の国の乱獲のおかげで、人間にとって利する海洋の生態系が一世紀くらい保たれていたという帰結になるのだろうか?
書いていてバカなことを書いているような気がするが、そのあたりが依然わからない。ちなみにエントリ書くにあたってちょっと調べてみたら、コククジラについてはDNAによる研究があって19世紀には現在の数倍生息していた可能性があるらしい。いずれにせよ、現状のまま鯨を保護していくと、海洋における王者の存在で現在の海洋の生態系は変わるのではないかと思うが、それが地球にとって自然な傾向というものなのだろう、と書いていてふと思ったのだが、陸上のほうは人間種が増えすぎというのはあり、しかもこの数世紀で爆発的に増えてしまった。陸上のほうは人間種が占有し、海洋のほうは鯨種が占有するという冷戦的構造というのを人類は無意識的に求めているのだろうか。であるとした場合、人間種の未来の内在的な危機のようなものが海洋にも存在するのではないかとつい与太話の連想に向かうところが私がこの問題に関心がない証拠のようなもの。
少し話を戻して。捕鯨についての議論、日本人だから日本語リソースを読みがちというのはあるが、議論と科学性の点においては、日本国の主張は正しいように思える。そして、国際的な場でも日本の主張の、議論と科学性においては、きちんと一定の理解が得られているように思われる。ので、するとさて何が問題? と考えるのだがニュースを見ると問題のようだ。そのあたりの話題のずれみたいのがよくわからない。
同種のわからないなと思うのは、捕鯨というと日本がバッシングされるフレームワークを持つようなのだが、そうなのだろうか。06年のIWC(国際捕鯨委員会)総会では、IWCの正常化を求める宣言が賛成33、反対32、棄権1で採択された。この宣言の提案国は日本だけではないが、この傾向を見ると、国際的にも日本はまるで孤立しているふうはない。もちろんこれには日本が裏で小国を画策しているという意見もあるだろうが、それを言うなら反捕鯨国も同様。得られる妥当な見解としては、捕鯨問題は別段日本というフレームワークの問題でもないか、あるいはコアとなる数国の問題で世界の諸国はそれほど関心のないことか。そんなあたりだろうか。ただ、後者であっても国際的な合意の手順としてはきちんとしているので、やはりこれは日本の問題ではないように思う。
さて。とはいつつ、ニュースを見ると、依然、日本を中心としたコントラバーシャルな話題に見えるし、私はあまりニュース映像は見ないのだけど、たまに見ると過激な日本バッシングが目に映り、ほぉと思う。このあたり言っていいのかわからないけど、他国から日本に向けられる感情的なバッシングはある程度可視であったほうがいいとなんとなく思っている。日本人は世界から愛されているみたいな暢気な幻想に陥らないためにいい薬ではないかと。ただ、映像をぼんやり見て思ったのだけど、国際化が進むなか、日本バッシングって実際の民族とかで考えると、日本人と韓国人と中国人、さらにベトナムとかタイなんかでもそうだけど、別に区別は付かない。そのあたりいろいろ思う外国人も増えているのではないかな。
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コメント
>海洋資源の減少につながる論があるが、あれは科学的に正しいのか?
問題は、その論文がろくに出てない事だと思われます。
本気で捕鯨がやりたいんなら科学的な側面から押せばいいのに、論文がないので説得力が無い。
でも出てないって事は調べてもちゃんとした証拠が無いって事なんかな?
まぁとにかくお粗末な話。
投稿: e | 2008.01.26 11:37
90年代?にIWC議長(反捕鯨国の科学者)が、「感傷はクジラを救わない」という反捕鯨国側の対応を非難する論文を発表し、議長を辞任したそうです。
科学的に云々という問題ではないような気がします。
投稿: とおりすがり | 2008.01.26 13:56
論文を書くためには根拠となるような調査捕鯨をしなきゃいけないらしいですが、その調査捕鯨は商業捕鯨だと非難されてるようです。ジレンマですね。
投稿: | 2008.01.26 14:21
もう30年以上昔ですが、日本に「ヨナの会」という反捕鯨団体があって、元外交官という老夫婦が主催してましたが、頑強な日本の捕鯨容認派に業を煮やして、理屈も何もない、ともかく「おつきあい」と割り切って反捕鯨に同調する以外、道はない、と言ってましたが、私もそうすればよかったのだと思います。そうすれば、きっと今頃は、ある程度の「商業捕鯨」が認められていた可能性もあるのではないかと思います。
なんでそんなことを言うかというと、今の反捕鯨派が、無茶苦茶であることはその通りなのだけれど、それは、日本の水産庁があまりにも頑すぎたからという側面が大きいと思うからです。まず、「反捕鯨」を「理念」として容認し、「反捕鯨派」の中に入った上で、捕鯨の可能性を探る議論を重ねるべきだったのです。
そんなことを、「ヨナの会」のおばあちゃんの熱弁に、「でもクジラはうめえからなあ」とニタニタ笑いながらまぜっかえした男(公害反対の運動家。そもそも私が「ヨナの会」を知ったのは公害反対のシンポジウムだった。その後は会ってませんが)のことを思い出しながら、考えます。
投稿: 南の原っぱ | 2008.01.26 18:59
数日前、CS朝日の宮崎哲弥がMCを務める番組で、日本人よりも日本の捕鯨文化を愛するCWニコルが「反捕鯨の欧米人にとって鯨はすでにGodになっていて冷静な議論は全く不可能。 更に今回はwhale watchingで一番の人気者であるザトウクジラだったから余計にfanaticに反応した」とコメントしていました。
投稿: rice_shower | 2008.01.26 19:36
>地球の生態系、しかも海洋の生態系に人間が介在することは想定しがたい。
乱獲などに見られるように、(クジラ以外の)海洋資源に対しての人間の介在も既に無視できない程度行われているんでは?と思いました。
投稿: おさかなさん | 2008.01.26 19:55
鯨って「神」だったんですね、それじゃ議論の余地ないじゃないですか。
投稿: katute | 2008.01.27 09:55
「神殺し」がカッコいい名称として漫画や小説に登場できる日本は特別な国かもしれません。
投稿: KAZ | 2008.01.29 08:55
http://www.youtube.com/watch?v=W8hJTrSG7sg
水産庁の人の。
投稿: sada | 2008.01.29 23:56
あぁこっちでした。
http://www.youtube.com/watch?v=wN8ItFEy-iE
投稿: sada | 2008.01.30 00:10
シーシェパードとパタゴニア
こんにちは。
捕鯨問題に関心のある方には是非観ておいていただきたいリンクです。
よろしければ、ご感想をエントリーしていただけませんか?
日本鯨類研究所
鯨類捕獲調査に対する不法なハラスメント及びテロリズム
http://www.icrwhale.org/gpandseaJapane.htm
パタゴニア日本支社
Sea Shepherd に関する公式コメントについて
http://www.patagonia.com/jpn/patagonia.go?assetid=8235
「パタゴニア」が反捕鯨団体支援 日本支社に抗議のメールや電話
http://www.j-cast.com/2008/01/31016219.html
投稿: | 2008.02.03 19:18
ニセ科学は人々の科学に対する絶対的信頼を悪利用してるのだから、そういう意味で科学の正しさを暗黙の前提としてるニセ科学批判と同根である、と言う見方がある。まぁ基本的にこの見方でよいが。
私「私はずっと言ってたんだ、これじゃ駄目だと」
ある人「ほぉー、それをただ何もせずに眺めてたってわけか」
私「もちろん、いろいろ手を打ったさ。でも結局駄目だった。宿命だよ」
ある人「わかってたんなら、どんな手を使ってでも止めるべきじゃなかったのか!」
私「止める?冗談じゃない!人には間違う権利がある!」
ある人「お前は一体、どういう立場からものを言ってるんだ!」
人は試行錯誤の末、確信に辿りつく。そしてまた再び間違う。間違わないと言うことは、間違ってる事に気づかないと言うだけの事でしかない。我々はやがて正しい確信に辿りつくし、その確信の連鎖の中に今の私たちがある。
投稿: ddc | 2008.04.17 17:09
僕は日本の捕鯨に反対します。でも、オーストラリアの人に嫌われたくありません。
投稿: 加藤 | 2008.05.31 16:06