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2007.11.03

自民党・民主党の大連立? はあ?

 結論からいうと大連立なんてありえないと思うが、責任政党として民主党は国政の運営に寄与していかないといけないので、昔の社会党みたいな万年野党で安閑とした立場ではいられない。いろいろ政策面で摺り合わせが必要になるし、そういう機会が増えるだろうから、一山でおいくら?みたいなパッケージ化もあってもいいだろう。それが大連立に見えるということもあるかもしれない。
 大連立といえば、ドイツの現メルケル政権がひな型になるが、その前に気になったことをメモしておきたい。
 自民党の当面の問題は対米同盟の問題で、単純に言えば米国から見て自民党に政権運営能力があるのか疑問符が付いた。ただし米国としても日本をそこに追い込んだ負い目のようなものと、また次期は民主党政権で日本パッシング(無視)してもいいかもみたいな流れもある。
 大連立という珍妙な話がどこから出てきたのか。朝日新聞は今朝の社説”「連立」打診 まず総選挙が筋だ”(参照)で「びっくりするような提案が、福田首相の口から飛び出した」と驚いてみせるのだが、流れ的に見るとこの話題は小泉時代からくすぶっていた。例えば、2006年4月12日読売新聞”「小沢氏が大連立仕掛けるかも」 小泉首相が警戒感”より。なお、べた記事については事実のみなのであえて全文引用する。


 小泉首相は11日夜、都内のホテルで参院議院運営委員会の溝手顕正委員長らと会談し、民主党の小沢代表について、「仕掛けるのが上手だ。党内の旧社会党系を追い出し、自民党の本流でない人と組むよう、自民党に手を突っ込んで大連立を仕掛けてくるかもしれない」と述べ、小沢氏の動向に警戒感を示した。

 昨今の大連立話と、昨年の春のこの話題とそう変わらないので、朝日新聞のように驚くには独自の能力というか政局感が必要だろう。しかも今秋からは活発なフカシが進行していた。読売新聞もおつかれ様ですねというように。9月1日読売新聞”「大連立へ向け、努力が大事」/自民・二階総務会長”では、二階の発言としてこう引き出す。

 自民党の二階総務会長は31日、読売新聞社などのインタビューで、自民党と民主党の大連立構想について、「基本は、連立が組めれば、組んでいきたい。そうした方向について、お互いに努力することが大事。焦ってはならない問題でもあるので、情勢を見極めながら、しっかりした方向を見いだしていきたい」と指摘した。

 小泉の盟友山崎も9月27日読売新聞”自民党・山崎氏「大連立ありうる」”でこう。

自民党の山崎拓・前副総裁は26日、千葉市で講演し、自民、民主両党による大連立構想について、「社会保障費は消費税で支える以外に方法はない。次の総選挙で自民党が過半数を維持できたとしても、参院でのマイノリティー(少数)は解消しない。消費税(の税率引き上げ)を一つの結節点として、大連立が行われることもありうる」との見方を示した。

 御大も10月19日読売新聞”衆院選後の大連立 中曽根元首相「政治家は考えよ」”でこう。

 中曽根元首相は18日、都内のホテルで講演し、自民、民主両党による大連立構想について、「こういう(国会の)状態は少なくとも6年は続く。大事な点は大連立をつくることだ。民主党は『大連立は反対だ』と言うが、何が国益かを話し合うことが必要ではないか」と述べ、大連立の実現を促した。連立の時期については「衆院選挙前はないだろうが、選挙が終わった後に政治家は考えなければいけない」と語った。

 自民党側の流れで見ると、大連立構想は自然に見えるので、今日の読売新聞の愉快な記事”民主・小沢氏、早い段階から連立に前向き…自民関係者”(参照)もやや浅薄に思える。

民主党の小沢代表が、首相から連立の打診を受ければ、民主党内を説得する考えを首相に伝えていたことが2日、明らかになった。

 これだけ読むとへぇと思うが、話の出所はこう。

 自民党関係者によると、小沢氏は早い段階から自民党との連立に前向きで、民主党内を説得する考えだったという。

 政治って愉快ですね。
 現実的に見れば小沢民主党代表は福田総理・自民党代表の提案を受けたので、持ち帰って党で検討するというだけのべたな手順だろう。ただ、他にもお土産はありそうだが。
 面白いのはよだれのようにだらだら続いてきた大連立フカシ話の背景だ。これにはいくつか別スジの思惑の統合がある。昨年の小泉の流れはそらく、昔懐かし抵抗勢力と公明党への対応だろう。今回のどたばたにもそのスジはありそうだ。特に公明党あたりがじりじりしてきた。
 中曽根あたりのスジは、安倍政権に期待していた憲法問題ではないだろうか。この懲りを知らないナベツネ的情熱というのもなんだか未来の老人大国日本のパワー炸裂を予感させる。
 実際上の問題は、山崎あたりから聞くのも変だが、消費税アップだろう。ここはひな型のメルケル政権でも重要なポイントだった。そこで少しおさらい。
 2005年9月18日総選挙の結果は、中道保守キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は226議席、対する中道左派社会民主党(SPD)は222議席だった。通常ならそこまで僅差にならないので、どちらかが他の少数政党と連立して政権を担う。当然、連立する少数政党がキャスティングヴォートを握る。日本でいうと小泉総選挙前の自民党に対する公明党がこうした位置にあった。
 ドイツではこの際、通常の連立はできないため、同盟と社民の大連立が模索されて実現し、同盟側だったメルケルを首相とした政権になった。大連立に恥じない規模で、連邦議会614議席の448議席(約73%)を獲得。そこまであれば、日本でお馴染みの「大政翼賛会」風になりそうなものだが、というか常識的に考えればわかるが、政権は妥協に妥協を重ねることになる。
 メルケル政権樹立には2か月を要し、連立協定合意が結ばれた。この時点での協定の主軸となるのが、付加価値税3%の値上げだ。このあたりの背景も日本と似ている。消費税アップを狙っている官僚様ご一行などの要請に大連立は与しやすい。
 消費税なんか上げた日には日本終わりでしょとか思いがちだが、ドイツの場合は政府財政が黒字化した。このあたりも、大連立ウマー勢力の希望なのだろう。威勢のいい声はやはり読売新聞から聞こえる。8月16日社説ですでに、いちにさん大連立だぁの声を上げている。

 予算案は衆院が優先するといっても、予算関連法案が成立しなくては、予算が執行できない。国民生活にも重大な影響が及ぶことになる。
 仮に、与党が次の解散・総選挙以降も衆院での多数を維持し続けられるとしても、3年後の参院選でも過半数を回復するのはきわめて難しい。6年後も難しいだろう。
 となれば、国政は長期にわたり混迷が続くことになりかねない。
 こうしたいわば国政の危機的状況を回避するには、参院の主導権を握る野党第1党の民主党にも「政権責任」を分担してもらうしかないのではないか。つまり「大連立」政権である。
 自民党は、党利を超えて、民主党に政権参加を呼びかけてみてはどうか。

 そしてメルケル政権を都合よくこう引き合いにする。

 メルケル政権は、日本の消費税に当たる付加価値税の16%から19%への引き上げを実現し、増収分の3分の2を財政再建に、3分の1を雇用保険料の引き下げに充てた。また、所得税の最高税率を42%から45%へと引き上げたが、これはSPDの主張を受け入れたものである。
 これにより、財政再建に一定のメドがつき、08年から法人税率の引き下げを実施することになっている。
 大連立内部では、時に両党間の議論が過熱することもあるが、全体としては、国政運営は効率的で安定している。

 めでたしめでたしみたいに聞こえるが、国際的にはメルケル政権には警告ランプが点灯しはじめている。ニューズウィーク日本版(10・31)”メルケルが進める「逆構造改革」”より。

 気前のいい失業手当にせよ、家庭への補助金ばらまきや最低賃金の見直しにせよ、「政府が提案するすべての政策にエコノミストはぞっとしている」と、バング・オブ・アメリカ(ロンドン)のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディングは言う。
 政策の行方によってはドイツ経済は再び暗黒時代に入るかもしれないと、シュミーディングはみる。いずれにせよ、改革経済の短い「ベルリンの春」は終わった。

 この風景が日本でも見られるかといえば、まあ、大連立という形式は別としても、実質は大連立のような妥協の繰り返しで同じようなことになるだろう。日本人の世論が望んでいることなのだ。この実現の先にまた長い暗黒時代が来るかもしれない。
 そうなるだろうか。という以前に小沢はどう考えているのだろうか。わかるといえばわかる。わからないといえばわからない。ただ、考えの道筋はそれほど難しくない。単純な算数だからだ。
 民主党の参議院会派は112人。過半数の122人対して10人足りない。大連立以前に通常の連立的な方策が採られるなら、共産党・社民党を組み込み、そこにキャスティングヴォートを握らせることになる。そうでなければ、国民新党だとかみたいのをまぜて10人できるか。そこがどうにも足りない。共産党・社民党を立てつつも自民党からもう少し勢力を引きたいという戦略は出てくる。実際、自民党側としてもそのあたりの揺さぶりが嫌だというのもあるだろう。
 早晩の衆議院解散から総選挙への流れはあるだろうか。率直にいうと私はないと思う。今の情勢では民主党が負けるだろう。
 では民主党内の小沢おろしはあるだろうか? というかそのあたりが自民党のけっこうまとまった意図なのだろう。小沢を降ろせば民主党は解体するか、解体しないまでもなく社民党や共産党のような愉快な政党に縮小するだろう。
 小沢ワッチャーの一人として私が思うのは、彼の命を支えているのは政権交代だけだろうから、そのために彼は最後まで忍耐するだろう、というあたり。

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2007.10.31

[書評]魚料理の本三冊

 時事的な話題に関心がないわけでもないが書き出す気力がない。気が付くとブログが三日欠になる。なってもいいのだけど、気楽な埋め草話があってもいいかもしれないし、魚料理の本のご紹介も兼ねて。
 昨日行きつけというほどでもないけど魚料理の上手な店で煮魚を食べた。「今日の魚は何?」と聞くとカワハギとのこと。そりゃありがたいということでカワハギの煮魚を食べた。しみじみとした味わいだった。私は魚食いのほうだと思うが情けないことに魚が捌けない。カワハギは捌きがむずかしいのを知っているので、ありがたいと思ったしだいだ。カワハギの肝も添えてあったが、苦いなと敬遠してしまった。これじゃ魚食いとは言えないか。

cover
魚料理いろは
 魚料理の本でこれはすごいなと思うのが、「魚料理いろは(野口日出子)」(参照)だ。いろはとあるように魚料理の基本から書かれているのだが、私にはからっきしダメ。それでもこの本は類書のように魚料理の初歩に終始してないで、かなり高度と思える料理まで踏み込んでいる。なにより、どれもうまそうなんだ。人生ってなんだかわからないけど、うまい魚が食えたら幸せじゃないかという、幸せ感に浸れる本にもなっている。手元の同書ぱらとめくると太刀魚の背びれのはずし方がきちんと解説されているが、私にはできない。でも魚屋さんに、頼んで背を抜いてもらった切れ身を買っているときに思い出す。
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フライパンで
切り身魚料理
 実際に私が作るという段で便利なのが「フライパンで切り身魚料理 焼く・煮る・揚げるも簡単に(松田万里子)」(参照)だ。表題のとおり使う調理器具はフライパンだけ。しかも、魚は切り身ときている包丁ワザは一切不要。それでいて各種の代表的な魚に合う調理法がいろいろ掲載されている。調理方法は魚の種類ごとにいくつか掲載されているのだが、当然その調理方法は別の魚にも適応できるというのがある。たとえばムニエルなんかだとほとんどどの魚でもできるみたいな。そうした、掲載分以外の調理の対応表が巻末に一覧になっているのでこれが特に便利だ。アマゾンの読者評に「例えばその日スーパーで特売だった切身を買ってきて、それからおもむろにこの本を見る・・・好みの調理法が何かしら見つかる、そういう感じです」とあるがまさにその通りで、とりあえず魚の切り身を買ってきて、さてどう調理するかなという感じで使える。調理法によってはちょっと懲りすぎかなと思えるものもあるが慣れてくると自分なりのアレンジもできるようになるし、調理器具もフライパンにこだわることもなくなる。
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NHKためしてガッテン
魚のすごいコツ
 三冊目は「NHKためしてガッテン 魚のすごいコツ」(参照)だ。最近はあまりこの番組も見なくなったが、一時期録画してよく見ていた。率直に言って、私なんかにしてみるとこの番組は10分でいいのにしょうもない引きが長くて苦痛になってきた。ただし、その10分くらいには、たまにへぇと思うことがあるし、魚料理の特集はちょっと気になっていたので、書店で見かけて中身も見ずに買った。ある程度料理の心得のある人なら、それほどすごいコツでもないなという話題もあるし、健康効果などそれど気にしているわけでもないが、こうした情報は本になってまとまっていると便利なものだ。

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2007.10.28

最近の米価下落についてのメモ

 先日NHKの朝のラジオで農政学者大泉一貫宮城大学教授が、最近の米価下落について話していて興味深かった。備忘を含めてメモ書きしておこう。
 まず現状だが、公設の米入札機関、米価格センターでは、米価は今月に入って昨年比で8%下落しているとのこと。従来も米価下落はあったが3%前後だったので今年は異例ということになる。なぜ米価は今年がくんと下がったか? 豊作だから下がるという単純なことではないらしい。
 大泉によれば、問題の基軸は米価に市場の需給動向が反映されるようになったということだ。従来は、生産調整政策や、米価格センターが希望価格・入札制限で高値誘導をしていてその影響が強かった。しかし生産調整効果は薄れ、米価格センターの改革も進んだために市場が機能しているらしい。
 生産調整の背景には3つの要因があるとのこと。(1)消費量の減少速度が速い、(2)今年は適性需要より20万トン上回っていた、(3)海外から義務的に輸入する7.2%の米があるがUSAライス連合会によるサラダ感覚のコメの市場で圧迫を受けた。
 売れる米と売れない米の問題も関連しているらしい。売れる米を作っている人は最初から生産調整とは距離を置いていてもっと増産したい。が、売れない米のほうは当然市場からはじかれ、これが過剰感を出している。
 具体的に今年の米価下落問題の背景として見ると、この夏の全農概算金7000円ショックと呼ばれる事件が大きいらしい。全農概算金の仕組みはこうだ。農協は夏頃に概算金を農家に渡し、一、二年後実際の販売価格との差額を精算する。だが、実際には近年のその差額が小さくなり、実質概算金がイコール価格になっているとこと。つまり、全農概算金はお金の先渡し制度と言っていいだろう。なお、現実には7000円は低すぎるということで、1万円程度になっているらしい。
 大泉は、こうした状況でもっとも厳しいのが専業農家だと主張する。兼業なら他の収入がありそこれで緩和されるからだ。さらに、米の専業農家の救済することを検討しなければならないと論じ、その対策として、輸入米を減らすことや、販売強化、専業農家への補助金を多くすべきという話になる。
 私は話を聞いていろいろ学ぶこともあったのだが、奇妙な感じもした。
 単純に言えば、この問題は売れる米を作る農家の問題ではないのではないか。むしろ、比較的容易にできる兼業農家が従来どおり作れば入金されるから作ってみたら、え、そんなに価格が少ないのということに見える。ちなみに7000円という金額はどのくらい少ないのかよくわからないが、「全農 内金」で検索すると例年の半額というような意見も見かけた。
 ところでこの「全農米内金ショック」だが7月末日のニュースだったらしい。そこでふと参院選を思い出したのだが、だいたい時期が重なる。正確にいうと参院の蓋を開けて以降のショックなのだが、がというのは、このショックはまったく想定されていないわけでもないから、内金が低いぞというのは参院選挙に大きな影響を与えていたのかなと思った。
 こうした背景で、政府によるコメの買い入れを考えるとまた味わい深い。27日西日本新聞”余剰米44万トン買い入れ 800億円 自民、農水省と合意”(参照)より。


 米価下落問題で自民党は26日、備蓄用と飼料用合わせて44万トンの余剰米を政府が買い入れる方向で、農水省と基本合意したと発表した。買い入れ額は約800億円とみられ、同省は今後、財務省と財源確保の方策を探るとしている。
 自民党は、余剰米買い入れによって市場が引き締まり、米価下落に歯止めがかかると説明。農業関係者からは「下落が続けば、農家の離農が進みかねなかった。食料自給率の視点からも危機回避につながる」と好意的な受け止めが聞かれる。
 だが、今回の米価下落問題では、今年から導入された新たな需給調整方式が機能していないことが指摘されており、財源確保とともに課題として浮上している。

 政府の買い上げで米価が上がり、内金との差額が出るということなのかなと思うがこのあたりは私はよくわからない。また、全農も1万円に引き上げる方針を明らかにしたが(参照)どういう対応があったのだろうか。ただ、「今年から導入された新たな需給調整方式」が問題らしいということは、よくわかった。なお、同記事にもあるが、現食糧法では米価対策を目的とした政府の買い入れが認められないので、備蓄が目的となる。
 この話は物騒なんでブログなんぞであまり言及しないほうがいいようだ空気をすーっと吸い込む、と。それと私は農家の補助金は仕方ないんじゃないのと考えている、というか、兼業農家の農地転用で土地の資産性を高めてもっと兼業農家のかたにお金を使ってもらうといいんじゃないかと30%くらい真面目に考えている。じゃ、そのくらいで。

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