« finalvent's Christmas Story 2 | トップページ | ブット暗殺、雑感 »

2007.12.27

フィナンシャルタイムズ的には、ごく簡単に言うと、福田首相は小泉流にやれ、と

 来年が間近に迫ってまいりましたぁ。日本はどうなるのか、どうあるべきか、福田首相はどうするべきか。やはりあれか、朝日新聞がご指導するように、中国に行って未来のために歴史を語れってことか。
 クリスマス・ボケはさておき、19日付けフィナンシャルタイムズが日本への期待というか、よりスペシフィックに福田総理への期待の社説を書いていた。”Japan needs to revive consumption”(参照)である。これ、どっかで翻訳するでしょと思っていたけど、その後、なんとなく見かけない。私が見かけないってだけかもしれないけど、スルーってことと私には区別が付かないので、ちとこちらのブログに備忘メモを兼ねて書いておこう。
 フィナンシャルタイムズはイコール英国的というわけでもないし、そもそもメルトダウン状態のブラウン首相を担いでいる英国が何か言う?みたいなわけもない。ので、この社説は欧米のごく普通の見解くらいな意味合いしかないだろうと思う。
 で、福田首相の課題は何か、というと。


It is hard to say which is the greater challenge: maintaining growth in the Japanese economy or maintaining popularity as a Japanese prime minister. New opinion polls and economic forecasts suggest that Yasuo Fukuda, premier for only three months, will struggle to do either. His only hope is to take a bolder, more reformist path.

 福田首相が直面している課題は、経済成長と人気の維持の二つで、どっちもおろそかにはできないだろうが、フィナンシャルタイムズ的には、ドーンと改革路線で行くんだぜというのだ。うへぇ。日本の新聞の社説じゃちょっと書けませんね。
 この段落に続いて、なんで福田さん人気がないのかというと、年金問題だし、つまりは自民党のボケ(the day-to-day blunders and missteps of his Liberal Democratic party)背負いこんでますね、があるけど、来年の日本経済上向き予想からすればもっと強気でいいのではないか、と。ほぉ、強気でもOKか。
 日本のGDPは昨日の朝日記事にあるように”日本の名目GDP、OECD加盟国中18位に転落”(参照)。目出度く「経済協力開発機構(OECD)加盟国(30カ国)中18位となった。前年の15位より下がり、比較可能な1980年以降最低とな」った。何が目出度い? 円安の影響でしょ。円安大歓迎じゃないですか。「円の足枷―日本経済「完全復活」への道筋(安達誠司)」(参照)ですよ、とか凝った冗談を書くと誤解されがちなのでフィナンシャルタイムズの記事に戻す。
 日本の未来は労働力の低下から換算していいとこGDP年率成長は1・5%ナンボ。今年は1・3%だけど、来年は2%は行きそうだから、もっと福田さん強気になれよとフィナンシャルタイムズは見ているっぽい。
 とは言ういうものの、"That said"だよ。

That said, growth might have been higher without a number of policy changes. New building regulations caused a slump in residential construction. New laws on money-lending are restricting access to credit for some poorer consumers and their full effect is yet to be felt.

Rather than reform that restricts the supply side of the economy, no matter how well intentioned, Mr Fukuda needs to follow Mr Koizumi by pushing through reforms that improve microeconomic efficiency. Since Mr Koizumi’s great achievement of postal privatisation little progress has been made.


 日本が成長したいなら多くの政策変更をしなければいけないのに、な、な、なんと(団塊世代的口調を真似てみる)、理由は聞くな大人ならの理由で、建築規制で建築業界は沈没し、山本夏彦翁のいうところの金貸しの業態の規制もうまく行ってない。
 でさぁって感じで、財政再建がどんなにか大切だとしてもだよってな感じで、フィナンシャルタイムズ的には、福田総理は元小泉総理の改革路線をとってミクロ経済学的な状況を変えろ、と。郵政改革以降日本はなんもしてないじゃないないか、と。
 いや私が言っているんじゃないし、私はこういう問題に言及するには懲りて日和っているわけです。そこんところ、フィナンシャルタイムズは、もっとポジティブに考えようぜ、と。
 では日本はどうあるべきか。

Japan’s greatest economic challenge, however, is to rely less on exports and capital investment, and more on domestic consumption as a source of growth.

 輸出依存や海外投資の体質からもっと国内消費による国家経済の成長をしろ、と。
 このあたり、べたにいうと団塊世代カネを使えよと、いやそんなカネないよと云々。というわけで、フィナンシャルタイムズ的にも年金で年寄りが安定するとカネ使うかなと色目とちらちらするが、日本企業にはきつく出ている。

Perhaps the most helpful thing the government could do, however, is discourage the tendency of private companies to hoard cash. Two areas for reform are the tax code, which still encourages corporations to retain their profits, and the scarcity of takeovers, which means inefficient balance sheets are not penalised.

 日本国政府がやるべきことは、二つ。企業がこれ以上現ナマ溜め込むんじゃねぇ規制をすべきだというのと、企業乗っ取り恐怖を緩和させたらどうかね、と。日本企業の貸借対照表このままでよいのか、と。
 このあたり、いやさらっと書かれているけど意味を読み解くとフィナンシャルタイムズもえぐい。で、締めはもっとえぐい。

Such reforms would be hard for Mr Fukuda to push through even without opposition control of the upper house of parliament. LDP politics as usual, however, is not going to revive his government.

 改革は必要だとわかっていても参院の反対で無理でしょうなあ、でもそれって昔ながらの自民党体制と変わらず、つまり、再生はしないでしょう、と。つまり、日本オワタ、と。
 いやはや、フィナンシャルタイムズ、るっせー、余計なことを言うなよのお話なのでした。

|

« finalvent's Christmas Story 2 | トップページ | ブット暗殺、雑感 »

「経済」カテゴリの記事

コメント

>福田総理は元小泉総理の改革路線をとってマクロ経済学的な状況を変えろ

マクロじゃなくてマイクロですね。マクロは主に日銀のお仕事になるんでしょう。

投稿: zajuji | 2007.12.27 12:27

今日本は、ロシアや中国、中東資本の草刈場になってるんですよね。欧米資本は実態は火の車なので。
FTはその辺焦りを感じてるのでは。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2007.12.27 12:49

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フィナンシャルタイムズ的には、ごく簡単に言うと、福田首相は小泉流にやれ、と:

» ブット元首相暗殺 [歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。]
パキスタンの首都イスラマバード郊外にあるラワルピンディで27日、野党指導者ブット元首相の選挙集会を狙ったテロ事件があり、ブット氏は死亡しました。 ***♪いつかテロをなくし♪ 何故に凶弾は貫いて 黄泉へと連れ去るテロ組織か 遥か混迷のパキスタン すべてを歪めるあの惨さよ 還らぬ人 怒りを声に出す野党 激しき波のよな支持者の暴動も 果てしない因果を断ち切るのなら いつもブット ああブット 支持に手を挙げる 赤い血飛沫が落ちる瞬間 数多の生命が斃れ逝くの ... [続きを読む]

受信: 2007.12.29 00:12

« finalvent's Christmas Story 2 | トップページ | ブット暗殺、雑感 »