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2007.12.07

韓国大統領選についてけっこうどうでもいい感想

 韓国大統領選だがあまり関心を持っていなかった。関心は当然誰が大統領になるかということに向かうはずだが、これが根本的に読めなかったからだ。
 単純に考えればハンナラ党李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長になるでしょう、盧武鉉大統領のおかげです、となるのだが、金融関係の疑惑問題を引きずっていてそこでずこんと落ちる可能性は大きいのではないかと思っていた。というか、そのずこんの可能性が外国人である私からは読めない。
 加えて、進歩系旧与党、大統合民主新党鄭東泳(チョン・ドンヨン)元統一相よいしょの声が奇妙なほど大きく02年の盧武鉉当時候補のような展開でもあるのだろうかといぶかしい思いがしていた。例えば日本版ニューズウィーク(10・31)記事”モテ系キャスターが狙う大逆転”ではこんな締めになっている。


 経済発展か、それとも平和か。結局のところ、今回の大統領選挙はこの二つのテーマをめぐる争いになるのかもしれない。

 日本人の感覚だとここは笑うところだよねと思うのだが、そんなの関係ねぇなのかよくわからない。日本版ニューズウィークはよくわからないが長年読んでいるとどうも韓国情報については奇妙な歪みがあるので、そのあたりを補正して再考しても、ま、よくわからない。
 で、結局どうよなのだが、李の疑惑が晴れ、鄭がバイスコア近く引き離されていているので、かなり多分逆転はないだろうということだが、あとは実質第三の候補北の金さんがどう出てくるかということになる。常識的に考えればどう出て来ようもないとは思うが。
 ではこれで韓国大統領選挙の話題を終わりますかというと、ここからがむしろエントリ的には本題。まず、些細といえば些細なのだが、韓国の大統領選挙は第二位選にけっこう意味がある。東亜日報”「先に20%台に」 李会昌氏と鄭東泳氏が2位争い”(参照)がわかりやすい。

大統領選の結果は、08年の総選挙とも密接に関わっているため、落選という最悪の場合を想定しても、「順位争い」では負けられないという切迫感が両陣営に漂っている。

 そういうことらしい。このあたりこそ韓国の今後に関連する部分がある。とはいえそれは別の話題でもあるだろう。
 もう一つ、私としてはこっちの問題のほうが大きいと思うのだが、というか大統領選挙よりもサムスンの未来のほうが問題ではないかと思う。当面の問題としてはサムスン裏金疑惑だ。今ココ熊的に言うと、朝鮮日報”サムスン裏金疑惑:国務会議、特別検事法案を可決”(参照)のあたり。

 韓国政府は4日、国務会議(日本の閣議に相当)で、「サムスン・グループの裏金疑惑に関する特別検事の任命等に関する法案」について審議し、可決した。
 今回の特別検事法案は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の裁可を経て、来週中に官報に告示されれば法的効力が発生する。その後、盧大統領が大韓弁護士協会から推薦された特別検事を任命すれば、最大20日間の準備期間を経て、今月末か来月初めごろには特別検事による捜査が始まる見通しだ。捜査期間はまず60日間とし、2回の延長が認められているが、その期間は1回目が30日、2回目は15日となっている。捜査期間の延長が2回とも認められた場合、来年4月9日に行われる総選挙の直前に捜査結果が発表されることになるとみられ、総選挙に相当な影響を与えることが予想される。

 サムスン裏金問題とはという話については、なぜか赤旗が詳しい。”底無しの疑惑 韓国・サムスン”(参照)より。

底無しの疑惑 韓国・サムスン
裏金工作 230億円超す
元法務担当常務が暴露会見
 韓国最大の財閥、サムスングループによる裏金を使って広範囲なロビー活動を繰り広げてきた疑惑が、底なしの様相を見せています。対象は政治家、官僚、検事、裁判官、報道関係者、市民団体活動家など。サムスンの元法務担当常務だった弁護士が二十六日に四回目の暴露記者会見を開き、その内容を詳細に明らかにしました。裏金の総額は二千億ウォン(二百三十億円)以上だといいます。(面川誠)

 これがどういう展開になるかなのだが、けっこう大きな展開になる可能性が高い。そのあたりをニューズウィークがツンとカンチョのように突いているのだが、その韓国内でのリアクションがちょっと鈍い。そちらを先に紹介しよう。朝鮮日報”サムスン裏金疑惑:米誌「サムスン共和国は解体の危機」”(参照)より。

 米国の時事週刊誌『ニューズウィーク』は今月2日の最新号で、「キム・ヨンチョル弁護士の暴露に端を発するサムスン・グループのスキャンダルが、“サムスン共和国”の解体だけにとどまらず、“大韓民国株式会社”の姿までもを変えようとしている」と報じた。


 そして、「サムスンはキム・ヨンチョル弁護士の主張を全面的に否定しているが、今回の件で、サムスンのオーナー一家が3000億ドル(約33兆2000億円)もの資産を誇る“帝国”の経営権をめぐり生存競争に巻き込まれていることは明らかだ」と指摘した。

 ということ。
 当のニューズウィーク記事が今週日本版にも翻訳されている。”内部告発者が暴くサムスンの闇”(12・12)がそれだ。顛末予想を言えば、サムスンが解体されるかもしれないということだが、それ以前にサムスンの韓国における帝国の偉容に圧倒される。韓国GDPの約15%、1600億ドル、輸出規模では韓国全体の五分の一とのこと。それが解体されると韓国経済に激震が及ぶし、つまるところ、大統領選挙と来年の総選挙はこの問題の派生と言ってもいいくらいだろう。先のニューズウィーク記事の言葉を借りれば「経済発展か平和か」で経済発展とやらが選択されるということなのだから。
 では、李明博大統領が出現してサムスン帝国はどうなるのか? 結論からいうとどうにもならず膠着する可能性が高い。同記事より。

 だが、事態をさらに大きく左右するのは今月19日の大統領選挙の結果かもしれない。最有力候補の李明博は保守派で、現代グループの元幹部でもある。中道左派のライバル候補に比べて、抜本的な企業改革を推し進める可能性は低い。

 同記事別箇所で指摘もあるがそもそもサムスンは十年前のアジア金融危機に韓国が巻き込まれ大半の財閥が解体された際の生き残りだ。その生き残りの延長にこの裏金問題がある。そして、たぶん、大統領選後もこの構図は維持されるだろう。つまり、選択されるはずの経済発展がさらに深い混迷に向かうのだろう。

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■韓国大統領選を経て、新しい大統領が誕生した。李明博(イ・ミョンバク)氏 新大統 [続きを読む]

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