韓国で軽自動車が普及するのかなっていうか、他の国では?
先日ラジオ深夜便の韓国便りを聞いて、韓国では軽自動車が普及しないという話題に関心を持った。このあたりの実態についてはなんとなく聞いていたが実感が伴っていなかったので、ちょっと調べてみたら興味深かった。というだけのエントリで、韓国がどうのという話ではなく、原油が高止まりする今後、すでに日本って軽自動車が普及しているけど、中国や他の国ではどうなんだろうということに関心がある。
ネット見ると、すぐに朝鮮日報”軽自動車が売れない韓国、日本に見習うべきこと”(参照・参照)の記事が見つかった。話はまず日本の現状から入る。
日本における昨年の軽自動車販売比率は乗用車全体の32.5%で、ここ3年間、乗用車の市場規模そのものが小さくなりつつある中にあっても、軽自動車の販売台数はむしろ増える傾向にある。販売順位でも、軽自動車・小型車がトップ10のうち7‐8割を占めている。車体が大きく燃料を多く消耗する大型セダンや大型SUV(スポーツタイプ多目的車)はほとんど売れていない。
日本人としてまあ、そんな感じかなというふうに生活感覚としてもこの状況は違和感はない。対して、韓国はというとこうだ。
一方韓国では、原油高により小さくて燃料費が少なくて済む車に対する必要性が切実であるにもかかわらず、軽自動車の販売比率が極めて低い。2000年の乗用車販売全体の8.8%から、昨年は半分以下の4.2%にまで落ち込んだ。また、販売順位トップ10圏内に入る車種も、ほとんど中・大型車や準中型車以上が占めている。
この書き方はちょっと誤解を招くのではないかという感じもするが、とりあえず話を先に進めると、日本の軽自動車販売比率は32.5%であるのに対して、韓国は4.2%と格段の開きがある。単純になぜなのだろうかと疑問が沸く。と、同時にガソリン高騰や環境問題について韓国政府はどのように考えているのかも気になる。
ところがこの朝鮮日報の記事、後半を読んでも今一つピンとこない。いちおうこういうふうにまとめているが。
急騰している原油価や都心の交通事情を勘案すれば、軽自動車の販売比重が現在よりはるかに高まることは正しい。消費者がもっと多様な軽自動車を選ぶことができるよう、自動車メーカーが販売車種をさらに増やす必要もあるが、現在の市場規模で販売車種を直ちに増やすことは難しい。韓国自動車工業協会のカン・チョルグ理事は、「軽自動車に対する政府のさらなる支援、自動車メーカーの車種拡大も重要だが、何よりも軽自動車を愛用する消費者の意識拡大が切実な問題だ」と指摘した。
韓国でも軽自動車を増やすべきだという認識はある。だが、それができないのは、政府支援がないことや車種が少ないことより、消費者意識だというのだ。消費者意識ということは、つまり、軽自動車を買わないという意識なのだろう。
ここで矛盾する。軽自動車を増やすべきだという意識と、でも、軽自動車を買わないという意識はどういうつながりになっているのだろうか。
単純に「軽自動車 韓国」でグーグルを検索すると、Allabout韓国ネットビジネス事情”自尊心を満足させる、まずは「見た目」が大切”(参照)が出てくる。こう切り出されている。
韓国では、人であろうと企業であろうと他人に対して自分がどのように見えるのかということが重要なようだ。したがって少しでも良く見せようと、まずは「見た目」を整える。
表題から考えると、自尊心のために軽自動車は買えないという含みがありそうだ。
しかし、読み進めるとより詳細な事情が描かれている。
それはGM大宇自動車からでている「マティス」が、唯一の軽自動車となっているためだ。一時は現代自動車からも「アトス」(2002年10月から国内の販売中止)、起亜自動車からも「ビスタ」(2003年12月生産中止)が出されたが、人気を得ることはできなかった。軽自動車が人気がない理由としては、安全や力不足などいろいろな指摘はあるが一番重要なのは、やはり軽自動車が持つ他人から自分に対する「見た目」のイメージ、「大きいものがいい」という意識などが働いて購入にブレーキをかけさせているのだろう。
この点はラジオ深夜便の話にもあったが、実際は軽自動車は韓国では一種類しかないらしい。またラジオ深夜便の話では、そもそも軽自動車用の駐車場もないらしい。
話は以上で、当の疑問の回答にはなっていない。というのは、自動車産業と政策の関係がいま一つわからないからで、ただ自尊心や見栄えということでもないだろうと私は思う。
とすれば軽自動車の売り込みということもあるのだろうかと調べると、中央日報”日本軽自動車、近く韓国市場上陸…三菱「i」来年市販”(参照)にそういう話があった。
日本三菱の軽自動車が来年に韓国に上陸する。 販売は大宇(デウ)自動車販売が担当する。
大宇自動車販売によると、三菱は最近、大宇自動車販売の販売担当者を日本に招請して車種品評会を開き、投入モデルについて議論したという。
大宇自動車販売営業企画担当者は「ガソリン価格の高騰で軽自動車を購入しようという国内消費者は多いが、国産車種がほとんどないため成功すると確信している」とし、「トヨタ・ホンダなど日本車が韓国でよく売れ、三菱も期待している」と述べた。
まず上陸する車種は「i(アイ)」だ。 ボックスカースタイルの「eK(イーケイ)」も候補に挙がっている。 2車種の日本消費者価格は800万ウォン(約100万円)台。 大宇自動車販売は輸入関税・ディーラーマージンなどを勘案し、1200万-1500万ウォン台で国内で販売する計画だ。
日本の軽自動車の韓国輸出が増えるのか、それを機に韓国でも軽自動車の車種や販売が増えるのか。どういう風景になっていくのか、他国の今後の変化を考える上でも気になるところだ。
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コメント
昔「それなりの地位にある人は地下鉄等の公共交通機関を使うのも恥と感じる」的な話を聞いた記憶がありますが、現在もそんな感じなのでしょうかね
投稿: 流れもの | 2007.11.26 21:48
>>ただ自尊心や見栄えということでもないだろうと私は思う。
甘い。朝鮮人のほとんど全ての問題は自尊心が絡む。
投稿: | 2007.11.27 01:08
軽自動車が忌避されるのと同じ理由で、彼らはほとんど二輪車を利用しないですね。
オートバイは多少使いますが、路上で商売をする人が荷物の一切を積むために使うような特殊なものが多い。レクリエーション用のバイクまでラインナップしている国内メーカーがよく存続できるなと不思議に思います。で、自転車となるともう全くと言っていいほど乗らない。これはfinalventさんには好印象かもしれません(笑)
日中台の二輪輸出三地域に囲まれていることで彼らの気質が際立って見えます。最近は台湾のスクーターが日本でもよく走っているし、自転車もいいものを作る。
アジアという括りをはずして見ても、韓国ほど二輪車の存在感がない国というのは珍しいと思います(雪国ならともかく)。このトレンドは数年では変わりそうにないですね。
投稿: hamanako | 2007.11.27 02:23
小型車より燃費が悪いケースすらある軽自動車が日本で売れるのは純粋に税制上の問題なわけで。韓国の自動車税制がどうなってるのか日本語での調べはつかなかったけど、まず一番にそれに触れずに何かを語るのは無理でしょう。
ヨーロッパの人間が日本の自動車状況を見たら、省エネ好きのはずの日本人が全然ディーゼルの乗用車に乗らないことに驚愕するのだろうし。
投稿: | 2007.11.27 02:45
小型車や自転車に最近おしゃれなイメージが付いて来ましたね、日本では。まぁ成熟なんですかね。100万ぐらいする自転車が売れてるらしいし。
投稿: itf | 2007.11.27 06:34
つい2週間ほど前にソウルに行って、ちょうどこんな話を現地の方に聞いたところ、
今でも、大きくて、黒いセダンが男の証なのだと語っておりました。
小型車や軽自動車(主に日本車)を欲しがっている人もいるそうですが、
ほとんど売られてないですし、やはり少数派なのだそうです。
(潜在的にはかなりいるのかも知れません)
都市部の若者は、お金に余裕がある人はデカイセダンを買い、お金のない人は車を持たない(持てない)とのことでした。
まあ、参考程度に。
投稿: | 2007.11.27 08:47
日本でいうと、一人乗りの超小型車が余り売れてないようなもんでしょうか。でもあれ、たまに見かけると何だかエコっぽいし、最新っぽいし、かっこいいんだよね~(笑)
投稿: | 2007.11.27 10:49
東京モーターショーなど軽自動車をkei-carと英語表記してます。世界的な標準用語のようです。
欧米でも燃費、価格と来てステータスでは売れなくなってると聞きます。
投稿: katute | 2007.11.27 11:03
韓国の軽自動車は800ccまでだそうです
売れないので今度は1000ccまで軽自動車枠を拡げて既存の1000cc車も軽としてカウントすることで軽普及率を引き上げようなんて話もでたとか
表面的な見た目を重視するのは庶民も政府も同じようですね…
投稿: | 2007.11.27 13:20
hamanako さん
韓国の二輪メーカーは・・・
http://nandakorea.sakura.ne.jp/html/bike.html
投稿: himorogi | 2007.11.27 17:10
こんにちは。
このたびはアルファブロガー・アワードにご推薦いただき,ありがとうございました。
遅ればせながら,お礼いたします。
さて,韓国で軽自動車が売れないのは,軽自動車が「貧乏」の徴だからです。
ホテルにしろ,デパートの駐車場にしろ,大型車と軽自動車で明らかに受ける待遇が違う。
韓国人は,無視されたり,軽視されたりすることを,ことのほか嫌いますので,少し高くても「立派な」車を買いたがるようです。
渋滞や駐車場のことなどを考えると地下鉄で通勤するほうがよっぽど楽なことがわかっているにもかかわらず,自家用車通勤したがります。
いまだに,韓国で車は「ステータス・シンボル」です。
投稿: 犬鍋 | 2007.11.28 00:04
これはいまだ高速の追い越し車線でプレッシャーを掛け易い車種は何かみたいなことでしょうか?
黒いベンツを乗る理由が、面倒だから、というのとチョット似てますね。割り込み自由だし周りが気を使って避けてくれるんだそうです。まぁ今となってはヤクザか議員かって感じですが、医者も多いですよね。
投稿: katute | 2007.11.29 11:29
そもそも日本独自の規格である軽自動車をなんでまた
韓国にあてがって考えようとするのか不思議ですね。
じゃやイギリスでの軽自動車は? ドイツの軽自動車は?
あるわけないだろな。
投稿: Grean | 2007.11.30 00:47
昨年、韓国へ旅行したときガイドさんが韓国の高速道路で一番早く走るクルマは軽自動車だと言ってました。多分冗談だと思いますが、理由は言わなかったです。それにしても韓国のクルマはムチャクチャにスピードを出すので、怖くていつもバスの後部座席に乗ってました。日本では、今クルマのスピードは一般道路などでは制限時速ぎりぎりの速度で走っています。省エネ運転のためだと思います。
投稿: | 2008.04.01 17:50
「韓国の軽自動車が速い理由」
軽自動車に乗ってるという恥ずかしさで、大急ぎで走り去るから…。
ただの冗談ですね。
いかにも韓国的な、見栄っ張りなジョークです。
投稿: | 2008.05.24 14:09
韓国の車線数の多さは日本も見習ってほしいですね。右折車線が無いが為に一台の車が多くの直進車をせき止めるのはどうにかならんもんかと思います。
投稿: | 2012.01.23 21:46