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2007.11.14

ベトナムの男女出生比率不均衡雑感

 秋なのかブログに飽きなのか、政局にも国際問題も経済にも関心が向かない。それなりに思うことはあるが、いくつかの局面の展開はすでにこのブログで予想した通りなので、特に書くべきこともないような気もしてくる。それと、ブログを書くということはどういうことなんだろ、そんな手間よりもTwitterでだべっていたほうが楽しいんじゃないかとも思えてくる。よくわからない、としているうちに3日空き、今晩からココログの長時間メンテらしい。なんかエントリ書こうかな、最近読んだ本の話、また息抜きに料理、と思っているうちに、ベトナムの男女出生比率不均衡のニュースのことを思い出した。
 ニュースとしてはAFP”男女比の不均衡が拡大、ベトナム”(参照)が詳しい。


新生児の男女比の国際平均は女児100人につき男児105人だが、ベトナムでは女児100人につき男児が110人、一部の地域ではこの差が100対120まで広がっている。この傾向は中国やインドでもみられるという。

 ニュースの出所は国連人口基金(UNFPA:UN Population Fund)によるもので、AFPには書いてないが分析の元のデータはベトナム政府によるものなので、ベトナム政府の意図に反してUNFPAが指摘したというような意味合いはない。
 AFPによると、UNFPAが今回指摘した背景には、今年が亥年、つまり中華圏では縁起の良い豚年(猪年)で男児が生まれることが望まれることが示唆されている。日本ではあまり報道されていないが、猪年のこうした呪術的な傾向は韓国や中国でも顕著で、結婚ブームもあった。
 男児が選別される背景には、中華圏特有の男尊女卑的な文化的要素がありそうにも思えるが、直接的には人口抑制策があるらしい。

 ベトナムでは長年にわたり「2人っ子政策」が実施されていた。中国の「1人っ子政策」ほど強制的に施行されなかったが、現在でも都市部から離れた地域や職場などでは子どもの数の制限が奨励されている。
 2003年には男女産み分けを目的とした中絶が法律で禁止されたが、経済発展により超音波検査が普及した今日のベトナムでは、医師から簡単に性別を聞きだすことができる。

 AFPは伝えていないが、「二人っ子政策」は1993年に始まり2000年には終了している。この間、女性が一生の内に産む子供の数は3・8人から2・09人に落ちた。政策としては成功であったとは言える。それから7年後もその傾向が続いているということなのかはよくわからない。
 男女出生比が狂うのは、AFPのニュースにもあるように、超音波検査を使った性判定による選択的な中絶が実施されているからだ。なお、中絶率自体34・7%と高い(日本は22%)。
 別ソース、ベトナムニュース” ベトナムの男女出生比率の不均衡 UNFPAが警告”(参照)には「およそ3分の2の妊婦が超音波装置を使って出産前に男女の別を調べている」とあり、検査の普及率は高い。
 ところでAFPニュースでは「この傾向は中国やインドでもみられる」とあったが、中国やインドでも深刻な問題となっており、UNFPAとしてはベトナムが中国の状態になることを懸念しているようだ。というのは、中国ではすでに男女比が100(女)対120(男)にある。2005年のソースだが中国情報局”人口13億:男女出生比率の不均衡が深刻化”(参照)ではこう伝えている。

 中国国家人口計画出産委員会によると、中国における男女の自然出生比率が119.9:100となり、男性比の正常値である106を大幅に上回っているという。5日付で新華社が伝えた。
 第5回全国人口普通調査の結果、中国全土の5省で女性100に対し男性が130を超えて、男女比率の不均衡が深刻化していることが明らかになった。

 これが中国では結婚難にも波及しているらしい。2007人民網”男性結婚難の原因 男女出生比率のアンバランス”(参照)より。

 人口学的統計から見ると、中国の人口男女性別比の差異は顕著である。20世紀70年代以降の出生率下降と80年代以降の出生人口性別比のアンバランスの影響を受け、1970年代以降に出生した男性は深刻な結婚問題に直面している。

 こうした問題が実際の社会に結婚難以外の影響を与えるかはよくわからない。今回のベトナムと同様の傾向は70年には韓国にもあったが是正されたものの、結婚への影響がないわけはないだろう。
cover
プリンセス・マサコ
 話は余談になるがおくればせながら、「プリンセス・マサコ 完訳 菊の玉座の囚われ人(ベン・ヒルズ)」(参照)をざっと読んだ。存外につまらないなという印象はもった。アマゾン評のこれに近い。

結果的に宮内庁批判, 2007/9/23
By てち - レビューをすべて見る
筆者がどこまで意図して書いたか不明だが、内容はこれまで流されたゴシップと変わらない印象。ただ、このレベルの本に、宮内庁からクレームを公式文書(?)として送ったあたり、宮内庁の閉鎖的・排他的な体質を露呈させてしまったというのが皮肉なところか。

 個人的に気になったのは、この本だと愛子内親王が人工授精で生まれたとか書いているのだろうかというあたりだった。私の感想だが、そのあたりが不必要にぼかして書いてあるように思えたが、全体としてはそのような誘導的な記述でもあった。こんなことに関心を持つのは、男児であろうと私は当時こうした背景で考えていたからだ。が、実際には女児であった。遠心分離法による選択の可能性は事実が排したのだと私は考えた。私は、日本の皇室は日本らしい近代性を備えていると信じることにした。

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「社会」カテゴリの記事

コメント

>中国ではすでに男女比が100対120にある。
逆では。

投稿: 猿小玉 | 2007.11.14 18:18

それと『・・・・中国ではすでに男女比が100(女)対120(男)にある。200年のソースだが』
は『・・・2000年』ですね。

投稿: | 2007.11.14 23:11

遠心分離法などを用いた精子の選別による産み分けは,確実性が低いので(確率をちょっと上げることができるかも,というレベル),実際のところは分からないですね。ほぼ確実に選別が可能なのは受精卵の遺伝子検査ですが,いくらなんでもそこまではやってない,とは言えるかもしれません。

投稿: Taq | 2007.11.18 20:57

20年以内に女尊男卑に世界全体が変わっていくでしょうね。男が威張ってられる時代の終わり。これからは女を産んだもん勝ちですよ!

投稿: | 2007.11.20 19:56

「財を成すか」それが鍵

投稿: 無粋な人 | 2007.11.22 11:35

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町で、いきいきとした、なかなかいい面構えの若者グループがいるなあと思うと、にぎやかな中国語のやりとりが聞こえてきたりする。要はそういうタイプの若者だから外国にもどんどん出て行くのだということなのだろうが、同世代の日本の若者諸君は、知的にも体力的にも、総じて彼らにかなわないのじゃなかなあ、とオヤジとし... [続きを読む]

受信: 2007.11.16 22:41

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